「飽きられたら打ち切ればいい・・・」渥美清さんの潔さが非常にかっこいい件

映画コラム
サムネ寅さん

どうも。スズキです。

毎度、『男はつらいよ』を切り口に記事を書いている者です。今回は、吉岡 範明さんの著書『渥美清 役者もつらいよ』で心に残った部分を紹介します。山田洋次監督と、寅さんを演じた渥美清さんの『男はつらいよ』に対する思い入れについてです。

寅さんを見て笑うのは、日本が不健康な証拠

まず心に残るのが山田洋次監督の世間に対する認識です。視聴者が寅さんに抱く反応を冷静に分析しているんです。

かつて山田は、マスコミに語ったことがある。

「寅さんを見てゲラゲラ笑うということは、健康な社会じゃないんですねえ、現代社会は。欲求不満というか、飢えているというか。満ち足りてれば、ニコニコ笑うはずなのにね。

これに対して、著者は「日本人の心に上がある限り、寅さんの人気は続く」と語っています。一方、同じパターンが続けば、飽きられるという指摘もしているんです。

人々の心の貧しさが続く限り、『男はつらいよ』シリーズは、ある日、突然、風倒木気のように無残に敗北することは考えられないが、忘れてならないことは、人間という生き物は、いつの時代でも飽きっぽいということだ。

同じパターンの繰り返しは、やがて、その終わりを意味するものに他ならない。フーテンの寅さんこと渥美は、それにどう対しようというのだろうか?

この問いに対して、渥美清さんは以下のように回答しています。

お答えいたします。わたくし、そう先々のことを考える頭をあいにく持ち合わせていないのでございますよ。同時に、そういうことは役者が考えるべきことではなくて、世間が役者に教えてくれことではないかと思います。

ですから、世間の方々が、もういいんだよ、もう見たくないから、打ち切ってくれよ・・・とおっしゃれば、ハイといって打ち切ればいいと考えるのでございますよ。

そして打ち切った後で、しばらく休んで、そして、次のものにかかればいい、そう思うのでございます。

また、渥美さんは「時は流れても同じことの繰り返しだと思ってるわけですから、飽きられたら打ち切って、また次のものにかかればいい、とわたくし、思っているわけでございます」とも語っています。

この姿勢がブロガーとして働く記者から見て、非常にかっこいいと思ったんです。

–{表現者・クリエイターは泥臭い仕事}–

クリエイターは「飽き」と戦っていかなければならない

記者は、ブログを書いて生活しています。これは、演者同様に読み手の反応を常に意識しなければいけない仕事です。

読み手が飽きないように、変化を加えてブログを運営していく必要があります。なので、渥美さんの言葉がすごくよくわかるんです。

面白いかどうかは読者が考えることです。作り手が考えるべきことではありません。なので、「これが面白いんだ!読んでくれ!」と同じことを繰り返すことは本当にダサいと思っています。

人気が出ても、変化することが重要

コンテンツの歴史から考えても、人気が出たからといって、同じことを繰り返していたら、飽きられるのは明らかです。

そうなったら、やり方を変えなければいけません。それまでのやり方に見切りをつける必要があるんです。表現者、クリエイターが生き延びていくためにはこのやり方しかありません。

常に変化していかなければならないのです。変化して、人気の出るものを見つけたら、それを続け、飽きられたらまた新たなものを生み出すために変化する。この姿勢が重要なんです。

なので、皆さんに応援しているクリエイターがいる場合は、その人の「変化」に注目すると、もっと好きになれるかもしれません。

表現者・クリエイターは泥臭い仕事

クリエイターは華やかな仕事に思えますが、裏では泥臭いことをしているものなんです。なので、そこを読み取って、変化を評価してあげたら、クリエイターも浮かばれるのかな、と思います。

と、『渥美清 役者もつらいよ』を読んでこんなことを考えた次第です。皆さんも思うところがあれば、Facebookやtwitterでつぶやいてみてください。

ではまた!

(文・タクスズキ)

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