佐藤浩市さん・樋口可南子さん主演『愛を積むひと』チャリティ試写会

INTERVIEW

6月20日に公開された映画『愛を積むひと』のチャリティ試写会が行われ、朝原雄三監督と社会福祉法人恩賜財団母子愛育会理事長の羽毛田(はけた)信吾さんのトークセッションがありました。

母子愛育会は子育てを親子や家族・地域の絆を大切にしつつ推進・サポートしていきながら母子の保険や福祉の課題に取り組んでおり、このたび同作のポリシーと合致することが多かったことからコラボレーションが行われました。

ご挨拶

試写会前に朝原監督と羽毛田理事長の挨拶があり、この試写会の意義などが語られました。

朝原監督の挨拶

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監督の朝原です。本日はたくさんの方にご来場いただきましてありがとうございます。愛育会チャリティ試写ということでとっても立派な映画なようで恐縮しておりますが、どうぞ楽しんでいらしてください。

アメリカの小説『石を積む男』が原作で、それをなんとか日本で映画化できないか、ということで、それを大胆に脚色して昨年・1年間、北海道の美瑛町に家を建て、石塀を積んで撮影してきました。ぜひ楽しんでご覧ください。

羽毛田理事長の挨拶

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母子愛育会は妊娠から出産・子育てまで母と子の健康と福祉をいかに守るかということを目指して様々な活動を行っています。母子愛育病院はこの2月に、東京都港区田町にオープンしました。ほかにも研究所や幼稚園・保育施設も運営しています。

母子愛育会というのは現在の天皇陛下がご誕生になりましたのを機に、母と子の幸せにお心を寄せていらっしゃいました昭和天皇のご意向で昭和九年にスタートしました。当時は農山村の乳幼児死亡率が高く、その住民の方が自主的に取り組む愛育村というものがありました。こういったものを普及させ、中心となって取り組んでいく愛育班活動を提唱し、推進していくということをしたわけです。それ以来80年、全国津々浦々で一生懸命取り組みを行っています。

本日は『愛を積むひと』という映画。私が伺ったところでは、夫婦の愛でありますとか母と子の愛でありますとか、あるいは家族愛でありますとか、あるいは地域の人々の共生・ともに助け合っていくことがテーマだと伺っています。これはまさに母子愛育会の活動の精神でございます。そういったこともあり今回のチャリティ試写会ということに通じました。

チャリティ試写会にこぎつけてくださったみなさまに心から感謝申し上げますとともに、こういった趣旨であることをご来場の皆様にご理解いただきご協力を賜れればと思う次第でございます。

私ごとですがかつて、4年間北海道で生活いたしました。その時にかの地の雄大な自然、人情に厚い所だと魅了されたことを覚えております。今日は北海道を舞台とする映画を鑑賞できるということを個人的にも喜んでおりますし、この映画の成功を願う次第です。

–{夫婦・親子・家族、それぞれの愛について}–

トークセッションで愛・愛育を

ここからトークセッションとなり、朝原監督の家族愛や愛育会の活動、また家族愛についての思い入れについて語られました。

ーー作品の中では何組かの夫婦・親子・家族が登場してきます。愛という観点につきましてはどの夫婦・親子・家族に注目していくのがよろしいでしょうか?

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朝原監督:

今回の映画は柄にもなく高らかに愛というものをうたい上げてしまいましたので、特にこれということもなく全体的に見て頂ければという気持ちで作りました。この映画は4年くらい企画でかかって、自分の中で温めて来ましたので、どの人間にも僕なりの愛情があって、みなさんもそれぞれの立場の中で解釈していただければ嬉しいなと思います。

ーー先ほど母子愛育会全体のお話をいただけましたが、地域のつながりの中で行われているという愛育班活動についてお話いただけますでしょうか。

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羽毛田理事長:

愛育班活動といいますのは、「愛育班員」というボランティアが中心になりまして全国4万1000人くらいいるのですが、この人たちが中心となって地域のお子さんからお年寄りまでの健康づくりや地域の人々の繋がりをどう強くしていくかということを含めて地域づくりみたいなことまで及ぶ活動・展開をしていただいています。そのことによって地域がより住みやすいようになっていくということで、家庭訪問や子育てのイベントもやっています。

時節的に申し上げますと東日本大震災、ここで国民的にも「キズナ」という形で地域における、あるいは全国的な心のつながりの大事さが再認識されました。少子高齢化時代の到来において地域でのつながりの強さが大事になってきます。そうしますと愛育班活動のモットーというものは共助の精神に基づいて行っているわけですが、今こそそれが求められていると思っております。

家族愛を語る

そして、チャリティ試写会のきっかけとなった「家族愛」について、朝原監督と羽毛田理事長の視点から理想像が語れます。

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ーーお二人にお伺いしたいのですが、映画『愛を積むひと』は夫婦・親子・家族などの愛が描かれています。お二人ご自身の家族愛の理想像を教えていただけますでしょうか。

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朝原監督:

家族愛の理想像も現実を見ると「これで大丈夫か?」というくらいの家庭でございまして(笑)ボクは香川県高松市の出身でお金持ちでも名家でもない普通の家なんですけれども、考えてみれば父や母に愛されて育った。少なくとも、もちろん反抗したこともありますけれども、子供の頃の家庭はとても良かったなと。自分の原風景を理想として持って行けることが良かったと感じております。

ーー私たちも幼いころに受けた愛情が自分の礎になっていくものですね。

朝原監督:

もちろん恵まれない方もいらっしゃって、きちんと乗り越えていく方もいらっしゃる訳ですけれども、変な話ですが理想の家族像ということで自分の家が思い出されるということですね。

ーー羽毛田理事長はいかがでしょうか?

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羽毛田理事長:

普段はあまり考えたこともなかったのですが、改めて考えてみますと、平凡ではありますが家族のみんながそれぞれ相手を思いやる心を持っていること、同時に家族のみんなが相手に思われている感覚をもっていること、その二つが融合した形が、家族の理想ではないかとおもいますし、そういった思いやりが家族から地域に広がれば、それが理想の地域愛になるのかなと考えました。

–{ご参加いただいた皆様へ}–

ご参加いただいた皆様へ

最後に朝原監督から作品について語られ、母子愛育会へのサポートのお願いをもって舞台挨拶が終了した。

ーー最後に作品をごらんになる皆様のために、朝原監督から一言お願いいたします。

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朝原監督:

改めてお集まりいただいてありがとうございます。お楽しみ頂き、寛大な心で見守って頂ければと思います。羽毛田理事長もおっしゃってましたけれど、家族の愛を描いた映画ではありますけれども家族の外にどうつながっていくかということもテーマでありますので、本日の趣旨にそういった点が合っているのかなと思います。

今後愛育会の活動にご協力頂ければと思います。どうぞ楽しんでいってください。

会場では募金箱も設置

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試写会場のロビーでは母子愛育会の説明パネルや募金箱が設置されていました。

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募金箱の側には愛育協会の広報誌が、また説明パネル・動画なども展示されており、映画と母子愛育会の共通点・活動の重要性が説明されていました。

大切な人へ残したい物を綴った本作、人と人の愛、絆が母子愛育会へのチャリティへとつながり、じわりと愛のあふれる舞台挨拶になりました。普段おろそかになりがちな家族愛を思い返したくなるような暖かな空間に包まれました。

(文・写真 奥野大児)

公式サイトURL:http://ai-tsumu.jp/


(C)映画「愛を積むひと」製作委員会

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