「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら
2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となるヒロイン・寅子を伊藤沙莉が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第106回を紐解いていく。
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家族麻雀
第22週「女房に惚れてお家繁盛?」(演出:橋本万葉)では、寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)が星家に入りました。
そこでさっそくはじまったのは家族麻雀。
航一(岡田将生)と朋一(井上祐貴)、のどか(尾碕真花)は、朋彦(平田満)が生きていたときは4人で卓を囲んでいたようです。とすると、朋彦が亡くなってからはやっていなかったのでしょうか。百合(余貴美子)はやらないようですし。唯一の家族コミュニケーションができなくなって、ますます家族の関係が冷えてしまったと考えられます。
ようやく麻雀ができたものの、寅子の参加ではいまひとつ盛り上がりません。寅子がうまくないのもあるし、寅子の存在が子供たちに受け入れられてない雰囲気です。
しかも、優未が航一に教えてもらってうまいのだというとき、そっと航一に近づき、それを
見る朋一たちの眼差しが……。確かに優未、あからさまでした。優未ってこういう子でしたっけ?
余談ですが、朋彦は、麻雀、花札、トランプと賭け事にも成り得るなものを好んでいたようです。頭脳戦でも将棋や囲碁ではないところが興味深いです。
星家はなんだかへんな感じで、朝ご飯は、子供たちがパンとご飯、食べたいものを食べています。そのため、百合の二度手間になっています。夜もご飯を外で食べてきてしまったり。お風呂沸かしてとか、お弁当の味に注文を言ったり。寅子は百合の負担が気になって、つい口を出し(うしろで優未があちゃーという仕草をしている)、朋一に「母親面はやめてください」と激しく拒絶されてしまいます。
でも、朋一のような態度は、寅子が猪爪家にいるときにやっていたことだと優未が指摘。自分のやってきたことがいかに他人に迷惑だったか、寅子がようやく気づきはじめます(新潟の3年はなんだったのか)。
花江(森田望智)やはる(石田ゆり子)はほんとうに寅子に寛容で、寅子は恵まれていました。それもこれも寅子の実家だったからであります。他人の家に入るのは大変です。
結婚しない事実婚とは、そういう煩わしさを回避するためのものではないかと思うのですが、なんだって寅子は、佐田のまま星家に入るのでしょう。経済的にも別居ができるのに。
結果的に、家のこともやると言いながら、百合特製の豪華なお弁当を持って、出勤できてしまうのです。なんだかなあ。
仕事場では、豪華弁当を前に、後輩の判事補・秋山(元日向坂46の渡邉美穂)の嫁としての生活の愚痴を寅子は聞きます。秋山が姑に言われているようなストレスを寅子は味わってきていませんでしたが、義理の子供たちにちくちく言われることになるのです。ドラマでは、この日の晩、朋一とぶつかる流れになっています。
一方、原爆裁判はなかなか進展しません。
国側の指定代理人の反町忠男(川島潤哉)が「これは法律問題ではなく政治問題です」
「(敗戦国の賠償請求は)放棄される宿命なんです」などと冷たく言い、雲野(塚地武雅)は
苛立ちます。政治に法は立ち向かうことができるのか。
この難しい問題と、星家の家族問題とを平行して描く、なんともチャレンジングで奥深すぎます。
寅子、百合の豪華弁当に小躍りしている場合ではない。
(文:木俣冬)
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–{「虎に翼」第22週あらすじ}–
「虎に翼」第22週あらすじ
昭和31年。星家で暮らしはじめた寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)だが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕真花)とはまだぎこちない雰囲気だ。百合(余貴美子)が家事全般をほぼ一人で引き受けていることに疑問を感じた寅子は、つい苦言を呈してしまう。一方、地裁では判事補・秋山(渡邉美穂)が予期せず妊娠したことを寅子に告げる。秋山の件をきっかけに女性法曹の労働環境を良くしたいと考えた寅子は「意見書」をまとめ、桂場(松山ケンイチ)に提出する。
–{「虎に翼」作品情報}–
「虎に翼」作品情報
放送予定
2024年4月1日(月)より放送開始
出演
伊藤沙莉 、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、 松山ケンイチ、小林 薫ほか
作
吉田恵里香
音楽
森優太
主題歌
「さよーならまたいつか!」(米津玄師)
ロゴデザイン
三宅瑠人、岡崎由佳
語り
尾野真千子
法律考証
村上一博
制作統括
尾崎裕和
プロデューサー
石澤かおる、舟橋哲男、徳田祥子
取材
清永聡
演出
梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか