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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第68回を紐解いていく。
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宝くじに夢を託して
終戦から 3ヶ月、愛助(水上恒司)が学業に復帰することになり、スズ子(趣里)はお祝いしようと、闇市に買い物に向かいます。
でも、物価は高く、たいした食材は買えません。そこへ、米兵が、チョコレートを配りに来ます。子どもたちは「ギブミーチョコレート」と群がります。
小夜(富田望生)も覚えたての英語でねだり、チョコをゲット。スズ子とふたり、チョコを頬張り英気を養いました。
そこへ、今度は宝くじ売りが現れます。1等は10万円。
スズ子は愛助のお祝いに、夢を買います。
プレゼントに宝くじって、お金のない男子にありがちな発想だなあと、筆者は知人を思い出し苦笑しました。女性にもいるかもしれませんが。
さて。続・朝ドライフ、おなじみ、お金の当時の価値コーナー。戦後になったので、資料を「戦後値段史年表」(週刊朝日編)に変更しまして(明治、大正の項目をなくして編纂されたもの)を見てみます。
それによりますと、昭和21年に地方くじの第 1号が登場し、そのとき、1枚10円で1等は1万円。一等10万円になるのは昭和22年です。ほかに賞品が、柱時計、ラジオがありました。
昭和22年で、おみくじが10円です。占いするより、未来を買うほうがいいかもしれないです。
昭和21年ではダイヤモンドが35万円です。10万円が高価なのだからどれだけ高価なのでしょうか。
当時のうな重の値段が不明ですが、昭和23年だと並で250円。10万円あったら400回食べられます。
江戸前鮨なら30円です。うなぎがいかに高価かわかりますね。
資料によると、寿司もうなぎも、昭和16年〜終戦まで統制により営業が禁止されていたそうです。解禁になったときうれしかったでしょうね。
愛助は10万円あれば、チャップリンやキートンを日本に呼んで興業したいと夢を語り、小夜とスズ子はうなぎがいいなあと思います。
なんとなくではありますが、女性を素朴な感性に押し込めてそれを微笑ましいふうに描くこの感覚は、「カーネーション」の糸子の「お昼にしようけ」とは似て非なるものであります。
ただ、小夜の貧しいゆえの発想や、スズ子の徹底的な庶民感みたいなところも否定すべきではないとも感じます。この感覚の違いの問題は朝ドラを語るうえで興味深く、慎重に考える必要があります。
食べることばかり考えているスズ子や小夜。もらったチョコレートを愛助にもって帰ってあげようとは思わなかったのでしょうか、という視聴者の反応は想定内で、あえて、隙を作っているのかもしれません。
この、間違い探し的な構成は近年の朝ドラに顕著ですが、なくてもいいような気もしています。ふつうに常識的なことは1秒くらいでさらっと入れてもいいのではないでしょうか。
戦災孤児の描写はあまりに段取り的で、丁寧で繊細な安達もじり演出をなつかしく思いました。現代の子役たちはこの芝居をどう思って演じているのでしょう。
戦争を知らない彼らが演じながらなにかを考える、当時を知らない視聴者が見てなにかを考えることがなければ、描く必要はあるでしょうか。
(文:木俣冬)
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–{「ブギウギ」第15週あらすじ}–
「ブギウギ」第15週あらすじ
終戦を迎え、スズ子(趣里)はやっとのことで東京の自宅へ戻ってきた。物資がなく苦しい生活ではあるが、愛助(水上恒司)と平和な日々を送っていた。やがて、劇場も再開、スズ子はその記念公演に出演することとなる。同じく鹿児島から東京に戻ってきた茨田りつ子(菊地凛子)、上海から命からがら戻ってきた羽鳥善一(草彅剛)とも再会。本来の歌手・福来スズ子として、新たな一歩を踏み出し始める。
–{「ブギウギ」作品情報}–
「ブギウギ」作品情報
放送予定
2023年10月2日(月)より放送開始
出演
趣里、水上恒司 、草彅 剛、蒼井 優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎 ほか
作
足立紳、櫻井剛<オリジナル作品>
音楽
服部隆之
主題歌
中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」(作詞・作曲:服部隆之)
ロゴ・タイトル制作
牧野惇
歌劇音楽
甲斐正人
舞台演出
荻田浩一
メインビジュアル
浅田政志
語り
高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
制作統括
福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー
橋爪國臣
演出
福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠 ほか