2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。
古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が、従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。
本記事では、第40話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
[※本記事は広告リンクを含みます。]
「どうする家康」第40話レビュー
兎が狸になった。
秀吉(ムロツヨシ)が亡くなり、石田三成(中村七之助)を始めとした五奉行と、徳川家康(松本潤)ら力を持つ五大老による十人衆が話し合いで進めていくことになる。
が、三成はさっそく、朝鮮から戻ってきた加藤清正(淵上泰史)らと衝突してしまう。
人心を読むことには長けていないとはっきり言われていた三成だが、さもありなん。
そら朝鮮出兵で苦労してきた清正たちに、「戦のしくじりは不問にしますゆえ」「茶会でも開いて」などと言えば怒りますがな……。
そして家康らがなだめようとすると「私は何も間違ったことはしていない」ときっぱり。三成の心にあるのは秀吉が遺した言葉を守ることだけだ。真面目すぎると融通が利かなくなるが、まさに三成がそれだ。
うまくできない三成。
その影で家康が動き始める。三成らと敵対する伊達政宗や福島正則(深水元基)、蜂須賀家政との縁組を進めている。この時代、勝手に婚姻を結ぶことは禁じられている。
「天下簒奪の野心あり」と見なされた家康に、三成は謹慎を申し渡す決意をする。
以前であったら、家康は慌てふためくだろう。が、逆に三成を追い込むことに成功する。
とは言え、家康としては事を荒げたくない。三成と分かり合おうとするが、拒否されてしまう。そもそも、三成と家康が仲良くすれば、おもしろくない人物は多いはずだ。茶々(北川景子)を始めとして。そして真面目な三成は周りの言葉を素直に聞き入れてしまう。
どうして分かってもらえないのか……と前田利家(宅麻伸)に相談する家康。
利家はそんな家康を「オロチ」だと言う。今川義元のもとで育ち、織田信長、武田信玄・勝頼親子、豊臣秀吉と渡り合ってきた。一方、三成が生まれたのは桶狭間の戦いがあった年。
そう聞いて、思わず三成に同情してしまう。そんな人と対立したくないし、どうにかできる気がしない。
三成自身の性格的なものもあるだろうけれど、頑なになるのもやむなし、だろう。
歴史上の事実だけをバラバラに聞いていると、おいしいところをかっさらったようにも見えるけど、こうして改めて流れを知ると、家康が天下を獲るのは必然と言える。
三成は佐和山に隠居することになる。代わりにトップに立つのは家康だ。
虎視眈々と狙っていた天下に王手をかけた……と周りからはそう見えるかもしれない。一方で「やれやれ」という少々諦めに似たようなものを感じなくもない。
そしてここからスムーズに天下を手に入れられたというわけではない。秀吉が死に、野心を持っているものも少なくないのだ。
最後の大きな戦いが、着実に近づいている。
それにしても、ここに来てものすごいスピード感で物語が進んでいるような……気のせいだろうか。
(文:ふくだりょうこ)
–{「どうする家康」第40話ストーリー}–
「どうする家康」第40話ストーリー
秀吉(ムロツヨシ)が死去し、国内に動揺が走る。家康(松本潤)は三成(中村七之助)と朝鮮出兵の後始末に追われる。秀吉の遺言に従い、家康は五大老たちと政治を行おうとするものの、毛利輝元(吹越満)や上杉景勝(津田寛治)は自国に引き上げ、前田利家(宅麻伸)は病に倒れる。家康は加藤清正(淵上泰史)ら諸国大名たちから頼られる中、やがて政治の中心を担うようになる。そんな家康に野心ありとみた三成は警戒心を強め、二人は対立を深めていく。