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千鳥が出演するNetflixのオリジナル・コンテンツ「トークサバイバー!~トークが面白いと生き残れるドラマ~」シーズン2が、10月10日より配信開始されている。
川島明(麒麟)、ユースケ(ダイアン)、西田幸治(笑い飯)、中岡創一(ロッチ)、ヒコロヒー、平子祐希(アルコ&ピース)、板倉俊之(インパルス)、黒沢かずこ(森三中)、そして渡部建(アンジャッシュ)など錚々たるお笑い芸人が集結。
俳優たちが繰り広げる本気ドラマにインサートされるトーク・コーナーで、即興で「面白い話」を披露するという過酷なトーク・サバイバル番組だ。
仕掛け人は、元テレビ東京のテレビ・プロデューサー佐久間宣行。彼とNetflixは、オードリーの若林正恭とミュージシャンの星野源が、お互いの苦悩を曝け出す新感覚トーク番組「LIGHTHOUSE」(8月22日より配信)でもタッグを組んでいる。
お笑い界で今最も旬な男は、世界最強のプラットフォームでコンテンツを制作することで、さらなる新しいフェーズへと突き進もうとしているのかもしれない。
「トークサバイバー!」のフォーマットには、おそらくプロトタイプがある。テレビ東京で放送されていた「NEO決戦バラエティ キングちゃん」の企画コーナー、「ドラマチックハートブレイク王」だ。これは学園ドラマ風のシチュエーションで、学生姿の芸人たちが過去に傷ついた話を語る、というもの。学園ドラマという設定でエピソード・トークを展開させたのが斬新な発想だった。
だが筆者は、その立て付けに松本人志の影を感じてしまう。
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–{“松本人志的なコンテンツ”}–
“松本人志的なコンテンツ”
佐久間宣行は、松本人志と中居正広がMCを務めるトーク番組「まつもtoなかい」(フジテレビ系)の6月18日放送回に出演している。その際に佐久間は、松本が立ち上げた企画の耐用年数が長いことを指摘。それに対して松本は「シンプルな企画だから強いのかもしれない」と自己分析してみせた。
確かに、芸人たちがすべらない話=面白い話を披露するだけの「人志松本のすべらない話」(フジテレビ系)といい、様々なお題に対して大喜利王を決める「IPPONグランプリ」(フジテレビ系)といい、笑ってしまったらキツい罰ゲームが待っている「笑ってはいけない」(日本テレビ系)といい、相手を笑わせたもん勝ちの「ドキュメンタル」(Amazonプライム・ビデオ)といい、松本人志プロデュース番組は単純極まりない構造のものばかり。それ以上何も足せないし、それ以上何も引けないシンプルさだ。
【関連コラム】<考察>『ドキュメンタル』シーズン12から見る、松本人志が考える”お笑いの未来”
本人が認める通り、“松本人志的なコンテンツ”は企画として圧倒的に強すぎる。今やバラエティーの作り手は、この偉大なる遺産に違う調味料を加え、新たな食材を付け足すことで、バリエーションを増やすしかない。
「トークサバイバー!」も、「人志松本のすべらない話」的なエピソード・トークに、フリとしての本気ドラマと、芸人たちの小芝居という要素を足し算することによって、コンテンツとしての強度を高めようとしている。
確かに、アルコ&ピース平子とシソンヌじろうの芝居が上手すぎるのに対し、笑い飯西田の芝居は目も当てられないほどで、平場のセリフを言うだけで、思わず笑いが漏れてしまう構造になっている(そして千鳥ノブが的確にそれにツッコむ)。つまり、お笑いエントロピーが異様に高い作品になっているのだ。
実は、エピソード・トーク系番組には決定的な問題がある。当たり前だが、回を重ねるごとにエピソードは枯渇していく訳で、同じプレイヤーがずっと番組に出続けていると確実に話が弱くなっていく。
約20年間、「人志松本のすべらない話」のレギュラーを張っている松本人志、千原ジュニア、宮川大輔はマジで凄いのである。
今回の「トークサバイバー!」で、大悟が佐久間プロデューサーに「今回は大喜利入れるんで大丈夫ですって言ってたのに、1箇所だけじゃねえか!」と恨み節を叫ぶ場面があったが、おそらく偽らざる本音だったのだろう。
そう、パート2が前回と大きく異なるのは、「激イタ若手芸人が即炎上したツイートとは?」や、「あ〜いとぅいまて〜んの言い方で大事なことを言ってください」というような大喜利も組み込まれていること。しかもエピソード6「現実と真実」では、芸人の回答をアンミカとTKOの木本武宏が芝居で見せる、という新しい試みにもチャレンジしている。
松本人志的なるものを換骨奪胎することで、よりお笑いの強度を高めていく。策士・佐久間宣行の周到な戦略と計算によって、おそらくこのシリーズはパート3、パート4と続いていくことだろう。
(文:竹島ルイ)
–{「トークサバイバー!〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜」シーズン2作品情報}–
「トークサバイバー!〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜」シーズン2作品情報
<作品概要>
出演
千鳥 ノブ・大悟
渡部建(アンジャッシュ)/中岡創一(ロッチ)/西田幸治(笑い飯)/平子祐希(アルコ&ピース)/川島明(麒麟)/板倉俊之(インパルス)/ユースケ(ダイアン)/黒沢かずこ(森三中)/橋本直(銀シャリ)/じろう(シソンヌ)/みなみかわ/国崎和也(ランジャタイ)/井口浩之(ウエストランド)/山添寛(相席スタート)/福田麻貴(3時のヒロイン)/ヒコロヒー/村重杏奈/鈴木もぐら(空気階段)/渋谷凪咲(NMB48)/栗谷(カカロニ)/吉住/酒井貴士(ザ・マミィ)小籔千豊/大久保佳代子(オアシズ)/木本武宏(TKO)/アンミカ/向井慧(パンサー)/ニシダ(ラランド)
滝沢カレン/佐藤栞里
城田優/本郷奏多/大友花恋/朝比奈彩/近藤芳正/髙嶋政宏
主題歌
サンボマスター 「笑っておくれ」
スタッフ
企画演出・プロデューサー:佐久間宣行
エグゼクティブ・プロデューサー:高橋信一 (Netflix)
プロデューサー:碓氷容子、堀尾星矢
監督:河合勇人
脚本:土屋亮一
制作プロダクション:UNITED PRODUCTIONS
制作協力:吉本興業
製作:Netflix