<夕暮れに、手をつなぐ>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

国内ドラマ

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広瀬すず主演、永瀬廉(King & Prince)が共演する火10ドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」が2023年1月17日放送スタート。本作は、片田舎で育った女の子・空豆(広瀬すず)と、都会の平凡な男の子・音(永瀬廉)の、互いの夢を応援し合う青春ラブストーリー。共演は田辺桃子、黒羽麻璃央、松本若菜ら。

CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・第10話ストーリー&レビュー

・「夕暮れに、手をつなぐ」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

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九州の片田舎で育った浅葱空豆(広瀬すず)は、幼馴染みの婚約者を追って上京した先で、音楽家を目指す青年・海野音(永瀬廉)と運命的で衝撃的な出逢いを果たす。それっきり、もう一生会うことはないと思っていた2人だったが…。

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第1話のレビュー

何かを捨てると、新しいものが入ってくる。空いたスペースには、また大切なものが仲間入りする。相変わらずの「断捨離」ブームだけれど、もしかしたら、人間関係についても同じことが言えるのかもしれない。

コンポーザーを目指す都会育ちの青年・海野音(永瀬廉)と、九州から上京してきた方言マシマシ女子・浅葱空豆(広瀬すず)が出会う。

なんとも特徴的な名前を持った女の子、空豆は、学生時代からの同級生・翔太(櫻井海音)と結婚準備をするため、東京にやってきた。しかし、翔太の口から出てきた言葉は「ごめん、好きな人ができた」……。信じられない。訴訟を起こしたら勝てるはず。

自棄になった空豆はホテルの超スイートルームに宿泊し、豪華ディナーに紹興酒まで楽しむ。大失恋によってポッカリ空いた穴は、散財で埋めるのだ。

空豆と音は、横断歩道上で偶然な“運命の出会い”を果たしていた。それが二人にとってのファーストコンタクト。そのあと、ひょんなことから空豆は、音の目の前でずぶ濡れになってしまう。音のスマホを救出しようとして、噴水に踏み入ってしまったから。

次に二人が再会したのは、空豆の破局後。ベロベロに酔った空豆の潔い“からみ酒”っぷりは、なかなか気持ちが良い。この辺から音は、空豆に対し「豪快」「破天荒」「方言がすごい」「でも、放っておけない」と思い始めたに違いない。

橋の上から指輪を落としてしまった空豆のことを「失恋のショックで飛ぼうとしている」と察知した音は、咄嗟に彼女を助ける。はずみで靴の片方を落としてしまった空豆のおぶって、例の高級ホテルまで。

離れていた線が、絡み合った。並行していた道が、つながった。

余談だけれど、橋の上から靴を落としてしまった空豆、この瞬間だけ「私の靴が!」と標準語だったのは偶然?

空豆の心に空いた穴を埋めてくれるのは、音の存在かもしれない。だけど、音の心を満たしてくれるのは……

コンポーザーになるのが夢である音は、磯部(松本若菜)率いる大手レコード会社「ユニバースレコード」に所属している。だけど、目立った結果は出せていない。なんとか良い曲をつくって一発当てなきゃいけないのだけど。

磯部は「泣いてないでしょ?」と、音の感情が揺れ動いていない現状を突いてくる。良い曲を作るには、良い恋愛が必要? だとすると、かつて同じ火曜10時枠で放送されていたドラマ「ファイトソング」的展開を思い出してしまう。良い曲を作るために擬似恋愛を始める流れで、間宮祥太朗と清原果耶が共演していた。

音の感情表現は、最小限だ。大口を開けて笑ったりもしなければ、ショックで泣いたりもしない。空豆とは正反対で、真逆。

あっけらかんとした太陽のような空豆が、ひんやりと閉じた音の心を開いてくれるのかも。まさに、あたたかい陽の力で旅人のコートを脱がすみたいに。

最後にもう一度だけ翔太に会い、「おいたちの思い出はゴミクズ」と別れを告げた空豆。高級ホテルですっからかんになった彼女は、田舎に戻らなきゃならない。だけど、結婚を待ち侘びている親戚たちのことを考えると、なかなか気は進まなくて……。

そんなとき、空豆と音の間に、またもや“偶然な奇跡”が。

芸術家であり資産家でもある雪平(夏木マリ)の下宿に住んでいる音、なんとそこに空豆も住むことになったのである。ある意味シェアハウス、というやつだ。

偶然の出会い、偶然の展開、そして、偶然の同居。

人の縁や巡り合わせは、ときに濃いもの。これから時を重ね、ともに過ごす瞬間が増えていくうちに、二人の間では偶然が偶然じゃなくなっていく。

泣きも笑いもたくさん共有し合った二人は、どんな夢を叶えていくんだろう。音が作る曲は? そして、空豆はどんな夢を見つける? ワクワクしながら見守る私たちも、きっと、夢を叶えたくなっている。

※この記事は「夕暮れに、手をつなぐ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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「とっくに恋に落ちているのに、なかなか恋が始まらない」

運命的で衝撃的な出逢いを果たした浅葱空豆(広瀬すず)と音(永瀬廉)。それっきり、もう一生会うことはないと思っていた2人だったが、不思議な運命の巡り合わせから、空豆と音は共同生活をおくる事に。そして、まさかの恋が始まる!

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第2話のレビュー

関係性が近いからこそ、お互いのことに気づけない。とくに日本では、恋人や夫婦になった途端に「言わなくてもわかるでしょ」理論が通用すると思ってしまう節がある。距離が遠ければ慮れることが、近くなればできなくなるのだ。

一緒の下宿で生活することになった空豆(広瀬すず)と音(永瀬廉)。憎まれ口を叩きあったり、お手玉を投げ合って遊んだり、まるで幼馴染のようだ。昨日今日会ったばかりのふたりとは思えない。

まだ関係性が浅いのに、まるで子供同士のように戯れることができるのは、ある意味、稀有とも言える。それに、マッチングアプリで婚活を始めた空豆がドレスアップしたのを見て、「似合ってる、見違えた」なんて、嬉しいことを言ってくれる音。

ふざけ合うこともできるし、真面目なムードにもなれるなんて、傍から見れば相性バツグンのように見えるけれど……。でも、互いの恋心に気付くのは、まだまだ先のよう。このまま家族のようになってしまわないといいけれど。

だって、空豆と音、世界にはふたりしかいない……わけじゃない。空豆は、下宿のオーナー・響子さん(夏木マリ)の息子である爽介(川上洋平)に惹かれている様子。いや、惹かれているのではなく、爽介から空豆への矢印が動きはじめている感じ。

音も音で、所属する音楽事務所「ユニバースレコード」の看板ユニット・ズビダバのアリエル(内田理央)にわかりやすく求愛されたり、アルバイト先のカフェで出会った美女・セイラ(田辺桃子)に一目惚れされたりしている。

空豆は未だ翔太(櫻井海音)への未練を晴らしきれていないようだし、音も過去を引きずっていて恋愛へのモチベーションは低いよう。

早く、空豆と音が互いに矢印を向け合ってくれますように……と願う視聴者にとって、音がセイラに連絡してしまう展開は衝撃だったのでは。一目惚れでいきなり連絡先を渡すセイラの行動力もすごいけれど、迷ったすえに連絡する音もすごい。

2話にして交錯し合う糸は、どう繋がっていくのだろう。

恋愛は、人を強くもするし、弱くもする。

翔太に振られてしまうまでの空豆は、彼と結婚するためだけに、意気揚々と東京へやってきた。その活力は、翔太への恋心から生まれていたはず。

だけど、「ほかに好きな人ができた」と言われてしまってからは、エネルギーが萎んでしまったよう。彼女自身が「思う人がいれば、人間は強くなれる。嫌なことがあっても落ち込んでも、その人のことを思うと強うなれる」と言っていたけれど、まさに、そのとおり。

恋愛には、人を変える力がある。そうじゃなきゃ、空豆に対して「人を好きになる能力値高そう。基本的に人を信じてるから」と言った音が、一度しか会っていない、名前も知らない女性に連絡したりしないだろう。たとえ、疑いながらであっても。

ふたりを繋ぐキーパーソンとなるのは、もしかしたら、響子さんかもしれない。

ちょっと引いたところで、ふたりの若者を眺める響子さん。これまでの経験に裏打ちされたアドバイスを、ここぞというときに与えてくれるのでは? 実の息子(爽介)に対しては、盲目になってしまいそうだけど。

※この記事は「夕暮れに、手をつなぐ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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「いつか、この夢が咲く。」

ひとつ屋根の下、共同生活を送る浅葱空豆(広瀬すず)と海野 音(永瀬廉)。それぞれの恋を見つけていく2人。そんな中、空豆は「人生が大きく変わるかも」と思える、心沸き立つ夢の種に出会う! 運命の出会いをきっかけに、動き出す空豆と音の新たな道。

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第3話のレビュー

今回、2人の“少々面倒な女性”が登場する。あえて名付けるなら「こじらせ地雷女」と「ストーカー女」だ。

翔太(櫻井海音)と破局してしまった空豆(広瀬すず)、ついにその事実が祖母にバレてしまう。とっさに、一緒に出かけていた爽介(川上洋平)にプロポーズするが、なんと彼は……その申し出を受けてしまった。

さっそく結婚前提のデートとして、水族館に出かける空豆と爽介。婚約指輪としてクラゲをモチーフにしたリングを贈ったり、120万円のウェディングドレスを見ながら「どんなドレスがいいか?」と思いを馳せるなど、なかなか展開が早い。

なぜ爽介は、空豆の急すぎるプロポーズを受け入れたのか?

真相は簡単。爽介には、ニューヨークに残してきた彼女がいたのである。彼自身は別れたつもりでいるが、メアリーにとってはそうではない。日本にいる爽介に対し、何度も何度も電話をかけてくるメアリー。その「ストーカー」っぷりはなかなかクレイジーで、爽介自身も手を焼いている。

日本で嫁を見つけてニューヨークに行けば、さすがのメアリーもわかってくれると思ったのだろう。なんとも甘すぎる話。空豆も空豆で、祖母に約束したエレベーター代300万円を出してもらうためだけに、結婚相手を見つけたいだけだった。

いわば、「日本の奥さん」と「エレベーター代300万」を交換条件にした、偽装結婚……。危うすぎる契約は、結ばれることなく立ち消えになる。

爽介を演じている[Alexandros]の川上洋平は、本作でもなかなかの存在感を示している。北川悦吏子の脚本作品では、2021年に放送されたドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(日テレ系列)にも出演。この作品でも、菅野美穂演じる作家・水無瀬碧(みなせ・あおい)の担当編集者役を演じ、話題を呼んでいた。

空豆の二度目の婚約も破棄となり、すったもんだしているなか、音(永瀬廉)もなかなか面倒な女性に捕まっていた。「こじらせ地雷女」である。

前回、カフェでアルバイトをする音に、初対面でいきなり「一目惚れしたの」と告げて連絡先を渡していった、謎の美女(田辺桃子)。人を好きになる偏差値が低い音にしては、自ら電話をかけ、水族館デートまでしていた。

デート後におしゃれなカフェで食事をするなど、客観的に見れば、このままお付き合いに進んでも不自然じゃない構図である。

しかし、彼女は詐欺師だった。

デート後、「話があるの」と言って病気の母がいることを打ち明け、治療費をねだる。詐欺師を要請する学校があったら教科書に書いてありそうなくらいの、典型的な手法である。

こんなやり方に、まんまと騙される人は少ない。案の定、すぐに詐欺であることを見抜いた音は、早々に彼女の元から去ろうとする。

しかし、詐欺師の彼女は本名であるセイラを名乗り、「友達として電話をしてもいいか」「どうしても人の声を聞きたい夜が、死にたくなる夜があるの」と口にした。その言葉に嘘はなさそうだが……音が言っていたように、彼女にとって、相手は音じゃなくてもいいのだろう。話を聞いてくれる“人”が欲しいだけで、音である必然性はない。

仮に、セイラの過去や現状が、どうにもままならないもので、決死の思いで“友達”を作りたいがために今回の詐欺に及んだのだとしたら……。それはそれで、ますますこじらせっぷりが上がってしまう。

なんだかんだ、音は優しい人だ。いざセイラから連絡がきたら、無下にもできないだろう。むしろ、このまま彼女がフェードアウトしてしまうのは、物語の展開としても避けてほしい。(未遂だったけれど)詐欺被害に遭いかけた音の、人間不信っぷりが強化されてしまうだけだから。

2話のレビューでも触れたけれど、音と空豆が、互いの恋心に気付くのはいつだろう?

水族館でセイラと会っている音を見かけた空豆は、確かに「この世の終わり」のような表情をしていた。かつ、音も音で、九州に帰ることをほのめかす空豆に「帰るな、いろよ」と告げる。このドラマのキャッチコピー通り、ふたりはすでに恋に落ちているのだろうか?

120万円のウェディングドレスの美しさに魅入られた空豆は、恋よりも先に、自分自身の夢に落ちてしまうかもしれない。

※この記事は「夕暮れに、手をつなぐ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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「秘密のキス」

浅葱空豆(広瀬すず)は、東京で心が沸き立つ「夢」と出会い、ファッションに興味を持つ。一方、海野 音(永瀬廉)は、空豆と暮らしてから新たに作曲した曲で、ついにメジャーデビューが決まる。 運命の出会いをきっかけに、動き出す空豆と音の人生。心がホッと落ち着く関係だった2人の距離がついに近づき!? 愛おしい日々の秘密のキス!

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第4話のレビュー

これまでに「音(永瀬廉)と空豆(広瀬すず)、ふたりはいつお互いの恋心に気づくのか?」と何度か書いてきた。が、今回、少々ふたりの距離感が迷子になってきたように感じる。

音は念願のユニットデビューが決定。空豆も本格的にファッションに目覚め、記憶だけで何枚もスケッチを描いてみせる、新たな才能まで披露した。そんななか、いつもの縁側で隣り合い、語るふたり。なんの前触れもなく、空豆がこう口にする。

「音は、ずっとオイを守る」

結婚が破談になり、ヤケになっていたころ、橋の上から指輪を落としてしまった空豆。とっさに拾おうとした彼女を「早まるな、大東京!」と叫びながら助けたのは、音だった。そのことを指し「あの頃から、音はオイを守る、そんな気がするったい」と空豆は語る。良い話ではあるが、ちょっと唐突すぎる。

加えて、音の誕生日が7月16日、空豆の誕生日が7月9日と、一週間違いであることが判明。「7日間、お姉さんだ」と言った音に対し、空豆はこう返すのだ。

「音のいない7日間、寂しかったと」

これまた良いセリフなのだが、若干、置いてきぼり感を覚える視聴者もいるのではないだろうか。「なんてこと言うの」としっかりトキめいている音も音である。このふたり、こんな心境にいたるアレコレが、これまで十分にあっただろうか?

極め付けは、寝ている音に空豆がした「内緒のキス」である。

音を演じている永瀬廉の寝顔の美しさはもちろん、空豆を演じている広瀬すずの可愛さにも触れないわけにはいかない。しかし、どうしても気になってしまう……。

このタイミングで、彼女が「キスしたい」と思った理由は? これまでの物語上、空豆が音に対し、友情以上の好意を抱いている伏線のようなものはあっただろうか?

セリフやシーンが素晴らしいだけに、あまりストーリーの整合性が取れていないのが気になってしまう。どうやら音のほうは、空豆に対して心境の変化が訪れているようにも見えるが、スケッチの才能を見せた空豆に対し「天才がこんなに軽く、近くにいるわけない」と、嫉妬心に似た気持ちを覗かせてもいる。

前回、あれだけ存在感を示していたセイラ(田辺桃子)が1シーンも姿を見せなかった点も気になる。もしや、彼女が美声の持ち主であることが判明し、音とユニットを組む展開になるのだろうか。

音と空豆の「距離感迷子」的な展開は、今後も注意深く見守っていきたい。

おそらく、空豆はますますファッションの魅力に取り憑かれていき、なんだかんだ言いながら憧れのブランドに弟子入りすることになるのだろう。そして、音はユニットデビューだ。

お互いに夢への第一歩を踏み出す若きふたりは、どんな関係性を築いていくのだろうか。

※この記事は「夕暮れに、手をつなぐ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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「私たちの正しい距離」

「とっくに恋に落ちていた。」
自分の中にある微妙で複雑な感情を言い出せないまま、ひとつ屋根の下、家族のように暮らす浅葱空豆(広瀬すず)と海野 音(永瀬廉)。そんな中、空豆は響子(夏木マリ)とともに、ファッションブランド「アンダーソニア」を手掛けるデザイナー久遠(遠藤憲一)に会いに行く。また、音は一緒にユニットを組む歌姫をイソベマキ(松本若菜)と探す事に。それぞれの夢が始まるのだが、そこには試練が!?

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第5話のレビュー

前回「秘密のキス」があったとは思えないほど、いつもどおりの距離感で話す空豆(広瀬すず)と音(永瀬廉)。音は寝ている間にキスされたため記憶にないのはわかるけれど、キスをした当人である空豆さえもどこ吹く風で、デザイナー事務所「アンダーソニア」に正式に採用になったことを喜んでいる。

音が「コタツの90度が適切な距離、僕たちの」と言っていたように、前回は不自然に近づいたように思えた音と空豆の距離が、今回はまた離れてしまった。それは、元の位置に戻った、ということなのだろうか。

才能を花開かせようとしている空豆の横で、デビューを目前にしながらなかなか前進できない音。曲はあるものの、それを歌ってくれる適任の相方が見つからない。スポンサーの娘であるという「ゴスロリ娘」をあてがわれそうになるが、プロとしてのプライドを芽生えさせた音は「(曲を)よそに持っていきます」とその申し出を退けた。

スポンサーや社長の顔色を窺っていたユニバースレコードの磯部(松本若菜)は、主張を一転させ、謀反を起こすことに。歌の上手い友人を呼び、空豆がドレスを作り、社内で即興のゲリラライブを敢行。タイミングよく通りかかった社長が意思を変え、ゴスロリ歌姫はクビとなった。

一件落着……な展開にも思えるけれど、結果的に音の相方はまだ見つかっていない。着々とデザイナーへの道を歩み始める空豆を前に、音は少しずつ焦りを募らせ始める。

近づいたり離れたり、不安定な音と空豆の距離感に“テコ入れ”してくれそうな新キャラが登場した。空豆が新入りとして採用された「アンダーソニア」のパタンナー・葉月(黒羽麻璃央)である。

事前に「(新入りに)手を出すなよ」とデザイナーの久遠(遠藤憲一)から釘を刺されていたところを見ると、少々手が早いタイプのようだ。案の定、入ってきたばかりの空豆を何かと気にかけ、「夜のウインドウショッピング」に連れ出し、帰りに二人で蕎麦屋に来る仲にまでなっている。

新しい歌姫を紹介してもらうため、同じタイミングで音と磯部も店内にいた。鉢合わせした音と空豆は、なんだか気まずい雰囲気に……。

気になるキャラといえば、もう一人いる。セイラ(田辺桃子)だ。音との一件があって以来、前回は姿を見せなかったが、今回はなんと空豆と電話している。夜に取り込まれそうになって不安になり、助けを求めたのだろう。音のスマホに着信した電話を、空豆が代わりに取り、なんだか楽しげに会話をしていた。

セイラとしては、音を恋愛対象として見ているわけではなく、シンプルに「寂しい夜に話す相手」が欲しいだけのようにも見える。空豆が「なんだか、チクッとした」とモノローグで言っていたが、セイラが恋のライバルになるような気配は、一周まわって感じ取れない。

近づいたり、離れたり。微妙で不安定な音と空豆の距離に、きっと視聴者も振り回されている。それが狙いなのだとしたら、まんまと手中にはまっているのかもしれない。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

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「手の届かん人になると?」

お互いの夢に向かって歩む中で、浅葱空豆(広瀬すず)と海野 音(永瀬廉)の2人の距離が少しずつ変わっていく。空豆はデザイナー見習いとして久遠(遠藤憲一)のもとで全てをデザインに打ち込む日々を過ごし、音は一緒にユニットを組む新たな歌姫と出会い才能が輝き始める。そんな中、空豆はデビュー間近の音が遠くに行ってしまう気がしてきて…

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第6話のレビュー

「アンダーソニア」に入ってからというもの、空豆(広瀬すず)の天才性はとどまるところを知らない。服や靴に印をつけてわかりやすく整理整頓するなどアシスタント力も高く、おまけに葉月(黒羽麻璃央)からもらった服をさっそく自分らしくコーディネイトしてもいる。

デザイナーとして第一線で活躍する久遠(遠藤憲一)よりも斬新な布の組み合わせを閃いたり、車椅子でやってきた大御所に対して「車椅子はファッションアイテム」と言いながら大胆にハサミを入れ、着脱しやすいスカートを製作したりなど、まさに猪突猛進。

広瀬すずはこれまで、映画『ちはやふる』シリーズやドラマ「ネメシス」(日テレ系列)など、ずば抜けた天才少女役を演じることも多かった。今回演じる空豆というキャラクターは、「天才性」といった共通点を保ちつつ、細かいことは気にしない天真爛漫な性格やちゃんぽんされた九州弁など、他にない要素がミックスされた新たな境地と言えるかもしれない。

順風満帆な空豆と同じように、音(永瀬廉)もデビューに向け進み始めていた。長らく相棒の歌姫が見つからずに苦戦していたけれど、人気ユニット・ズビダバのアリエル(内田理央)の名が挙がる。元相棒のマンボウ(増田貴久)が逃げるように姿を消してしまい、アリエル側も新しい相手を探していたようだ。

しかし、レコーディング当日になってアリエルはドタキャン……。マンボウに思いを寄せていたアリエルは、彼とともに実家のメガネ弦工場を継ぐことにしたという。またもや振り出しに戻ってしまったのだ。

万事休す、といったところで、ふたたびあの女性が再登場する。かつて、バイト中の音に連絡先を渡し、「どうしようもなく寂しい夜がある」と言って電話をしてきた美女・セイラ(田辺桃子)だ。

彼女の出番があれだけで終わるはずはなく、必ず音の歌姫として存在がフィーチャーされると思っていた。公園でハープを弾きながら歌うセイラの姿は、まさに創作の女神(ミューズ)そのもの。それを見つけたのが空豆だったというのも、神様のイタズラだと感じてしまう。

果たして、セイラは音のミューズとなるのだろうか。そうなると、空豆としてはますます複雑な状況に追いやられることになるだろうが……。

トップデザイナーを目指し、日々努力を重ねる空豆。彼女の底力はすでに片鱗を見せており、あとは進むだけといったところ。音も新たなミューズに出会ったことで、ようやっと事態は好転していくだろう。

お互いがお互いの目標に向けて、焦点を合わせ始めている。変わろうとしているのだ。夕暮れ、音と空豆がシャボン玉をするシーンを見ながら、いつまでこんなふうに無邪気でいられるだろうと考えてしまう。

きっと、音と空豆も、互いに同じことを考えていたに違いない。言葉にせずとも、感情の機微は伝わる。ふたりの距離はきっとすでに、それがわかるほどには近づいているはずなのに、見て見ぬふりをしているようにも思える。

お互いの心に向き合うのは、いつになるのか。時間はそう待ってはくれない。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー

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「別れに、手をつなぐ」

浅葱空豆(広瀬すず)と海野 音(永瀬廉)が出会った歌姫菅野セイラ(田辺桃子)。ひとつ屋根の下で一緒に暮らし夢を追うが故に、なかなか自分の気持ちに素直になれないでいる空豆と音の関係に、突然、セイラが加わることに。空豆は、音とセイラが一緒にいる姿を見るたびに、夢を追う音を応援しながらも自分の気持ちに戸惑い始めて…

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第7話のレビュー

メジャーデビューを目前に控えた音(永瀬廉)の相方として、セイラ(田辺桃子)がそのポジションにおさまった。最初は「自信がない」と辞退しようとしたセイラだけれど、音や空豆(広瀬すず)の猛プッシュもあり、覚悟を決める。

音の渾身の一曲「きっと泣く」のMVは、空豆が作った“おはじきのドレス”を着用したセイラが顔出しで登場したこと、インフルエンサーが広めたことも相乗効果を生み、どんどん人気を高めていく。

物語中盤においては、いきなり存在感が薄くなってしまったセイラ。しかし、前回の終盤で歌の才能を見出されてからというもの、7話の主人公はセイラだと思ってしまうくらいに印象を残した。「きっと泣く」は名曲で、そのまま歌として配信してほしいレベル。MVも全編があるならぜひ公開してほしい。

一人で過ごす夜が寂しいと言っていたセイラ。その気持ちは、もしかしたら今も変わらないのかもしれない。けれど、音や空豆と出会ったセイラの目には力がある。

一人でいるのは寂しい。けれど「つながったら余計、寂しくなる。一人のときが余計、寂しくなる」と漏らしたセイラに対し、空豆と音は自分の言葉で向き合った。音の「ちょっと勇気が要るかもしれないけど、信じて」の一言は、深くじんわりとセイラの心に沁みたはず。

そしてきっと、「信じて」と言ってほしかったのは、空豆も同じだったはずだ。

正式にセイラとユニットを組むことになった音は、まだ顔出しこそしていないものの、これからのことを考えて下宿から引っ越すことを決める。空豆とは、はなればなれになってしまう。

みんなで紅白にいこうね、と三人で指切りをした音・空豆・セイラ。紅白に行くということは、つまり国民的アーティストを目指すということで、イコール売れるということ。空豆自身もそれは分かっていたはずだけれど、いざ出ていくことを決めた音に対し「気取ってる」と辛辣な言葉をぶつけてしまう。

終盤、夕暮れのなかで手を繋ぎながら、いつか一緒に花火を見ようと約束する音と空豆。音は空豆に「離れても、俺たち何も変わんない」と言った。それは、果たしてほんとうに空豆がほしい言葉だったのだろうか。

音がセイラに言ったように、どこにも行かない、信じてほしいと言ってほしかったんじゃないだろうか。叶う確率の低い夏の夢なんて、語ってほしくなかったんじゃないだろうか。

音も空豆も、そしてセイラも、これまで知らなかった自分を発見して、前に進もうとしている。前に進むことは、時間を進めること。時間を進めることは、ときにお互いの距離を離してしまう。たとえ、誰も望んでいなかったとしても。

「離れても変わらない」ではなく、「変わったとしても離れない」と約束してほしかったのでは……。空豆の心境を想像しながら次回を待つ一週間が、なんとも苦しい。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー

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「愛を無くす」

夢に向かい、さらなる飛躍を遂げる浅葱空豆(広瀬すず)だったが、海野 音(永瀬廉)と一緒に暮らす最後の日が近づいていた。そんな時、空豆を捨てた母親から突然、連絡があり…

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第8話のレビュー

空豆(広瀬すず)と音(永瀬廉)の間には、どれだけの“見えない壁”が立ちはだかっているのだろう……そう思えてしまうほど、二人の恋の弊害が多すぎる。

空豆が所属する「アンダーソニア」で、小さなファッションショーを任されることに。コンセプトは「Don’t remember days remember moments」に決まった。日々ではなく、この一瞬一瞬を胸に残す……そんな意味だとも解釈できるかもしれない。

万事順調に進む空豆のもとへ、母の浅葱塔子(松雪泰子)から連絡が……。自身を捨てた母親から今さらのようにコンタクトがあり、戸惑う空豆。意図せず心を揺らされる出来事を前に、音は下宿を出ていってしまう。

「なんで、こんなときに出ていくと?」

ようやく心理的な距離が近づいてきたタイミングで、物理的な距離が開いてしまった音と空豆。音とセイラ(田辺桃子)のステージ衣装をつくる仕事を通して繋がりは保たれているが、久々に再会しても音はなんだかよそよそしい。

こうなってくると、空豆にとっては仕事に打ち込むしか道はなくなる。ファッションショーの成功に向け、準備を進めていくが……またもや、予期せぬ事態が空豆を襲う。「アンダーソニア」のデザイナー・久遠(遠藤憲一)が、空豆のファッションショーコンセプトやデザインを盗用したのだ。

いや、厳密には、盗用とはいえないのかもしれない。アシスタントの考えたデザインを採用することは、業界内ではよくあることなのだという。これを機に「久遠さんは空豆ちゃんをよくしてくれるよ」と宥められるが、到底、空豆にとって受け入れられることではない。

デザインの才能を見初められてからというもの、空豆の進む道のりはあまりにも順調すぎた。いわば無敵状態から、いきなりのドン底へ転落……。音に助けを求めるも、レコーディング室で抱き合う音とセイラを目の当たりにしてしまい、いよいよ空豆には逃げ場がなくなってしまう。

おそらく、ふたりが抱き合っていたのには、何か別の理由があるはず。なぜなら、きっとセイラは音ではなく空豆に気持ちを寄せているだろうから。彼女のパソコンには空豆の写真データがたくさん収められていた。彼らの複雑な気持ちの交差は、次回に紐解かれることになるだろう。

磯部(松本若菜)は言った。「そばに理解者がいるかどうか、それが大事」「才能は生物だから」と。きっと、空豆には音という理解者が必要だった。音は空豆に「離れても変わらない」と伝えたけれど、時間が進んでいく以上は、変わらずにいるなんて無理。

最終章が近い。音と空豆、ふたりの時間がふたたび交差してくれることを祈るしかない。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー

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「本当にさよならだ」

浅葱空豆(広瀬すず)は、海野 音(永瀬廉)がセイラ(田辺桃子)を抱きしめているのを偶然見てしまいその場を去る。一方、音は空豆と葉月(黒羽麻璃央)が付き合い始めたと勘違いしており…。とっくに恋に落ちているのに、すれ違い続ける空豆と音に、本当の別れがやってくる。

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第9話のレビュー

「アンダーソニア」の久遠(遠藤憲一)にコレクションのテーマを盗用され、音(永瀬廉)とも離ればなれになった空豆(広瀬すず)は、まさにドン底状態。音とセイラ(田辺桃子)の新ユニットがどんどん売れていくのを横目に見ながら、彼らの衣装を作る話も頓挫した空豆は、まさに希望を失ってしまっていた。

地を這うような様子の空豆に、天啓となるアドバイスをしたのは、やはり響子さん(夏木マリ)。実母である浅葱塔子(松雪泰子)に助けを求めればいい、という、空豆に取っては喜ばしくない提案だった。

しかし、アンダーソニアの後ろ盾もなくなり、せっかく考えたコレクションのスポンサーにも降りられ、八方塞がり。空豆は一本の藁を掴む絶体絶命の状態で、塔子に連絡をする。

それが、道を拓くきっかけとなった。

音とセイラのデビュー曲を彩った、あのおはじきのドレスを見た瞬間から、塔子は空豆を「スカウトしよう」と考えていたらしい。空豆の資金援助の申し出を受け、パリでコレクションをしようと誘う。ドン底状態から一転、いきなり世界の舞台にまろび出ることになった。

音はどんどん名前も顔も売れ、遠い存在になっていく。

空豆はパリ行きを決め、距離的にも遠く離れていってしまう。

壮行会と称し、久々に顔を合わせることになった音と空豆。3月、季節外れの花火が、二人に訪れなかった“空白の夏”を思い出させる。寝転びながら、手を繋ぎ、この夏は花火をしようと約束した。小さくささやかな約束は、果たされなかった。

あの頃交わした秘密のキス。手を繋いだひととき。そして、互いに取り消されたメッセージ。確実にこの二人は恋をしていたのに、ようやく気持ちが通じたのは、別れの直前だった。

「手を伸ばしたら、届くと?」空豆は音に問いかけた。「届くんじゃない? 割と、簡単に」音は答え、そして空豆を抱き寄せる。どこで道が分かれてしまったのか、ボタンの掛け違えはいつ起こったのか。それは音にも空豆にも、もうわからないことなのだろう。

かつて、音は言っていた。俺たちは、離れたって変わらない、と。あれは、どうしたって嘘だった。優しい優しい、嘘だった。「届くんじゃない?」と言ったのも、彼なりの優しさから溢れ出たような、小さな嘘だったに違いない。

※この記事は「夕暮れに、手をつなぐ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第10話ストーリー&レビュー}–

第10話ストーリー&レビュー

第10話のストーリー

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「音の消えた世界」

デザイナーとしての夢のために、空豆(広瀬すず)は母親・塔子(松雪泰子)と一緒にパリへと旅立つ日が近づいていた。運命的な出会いから、忘れられない日々を一緒に過ごした空豆と音(永瀬廉)の、胸を締め付ける切ない恋の行方とは!?

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第10話のレビュー

音(永瀬廉)が人づてに託した手紙とイヤフォンとともに、空豆(広瀬すず)はパリへ発ってしまった。ラブストーリーなら、ギリギリのところで音が間に合い、空豆をハグして想いを伝えるところだろうが、そうはならない。

ここでの生活が、人生で一番楽しかった、と響子(夏木マリ)に告げた空豆は、明らかに未来を見ていた。もしかしたら、音のことを考え、彼の存在に未練が残る余地もあったのかもしれない。しかし、東京での暮らしを“思い出”にし、自ら新天地へ旅立つ思い切りの良さを感じたのも事実。

けれど、空豆は3年後に日本へ戻ってくる。母親である塔子(松雪泰子)の言葉を借りると、「あの子はパリの水に合わなかったようです」……。彼女の持ち前の創造性が活かされるのは、パリコレの舞台ではなかったということだ。

このドラマは、音と空豆の“青春ラブストーリー”だけれど、随所に“やるせなくなるほどのリアル”が織り込まれている。好きな人がパリへ発つと知っても追いかけない、ギリギリで間に合う展開もない、劇的な出立も3年の時を経れば過ぎたことになる。

けれど、それがリアルだ。もう、どうしようもないほどの現実だ。私たちそれぞれが、各々の人生でイヤというほど味わってきたリアルが抽出されている。

そんななかで、3年の間、“あの夢”を忘れずに心に秘めていた音。セイラ(田辺桃子)とともに、紅白に出場し、ステージ衣装を空豆がつくる。そうすれば、また3人で会える日がやってくる。人によっては笑ってしまうような夢かもしれない。

けれど、音はそれを糧に3年の時を過ごした。そして、実際に紅白出場を果たす。

「あんな風に出会うなんて、運命だって信じてた」

振り返ること第1話。あのとき、あの交差点で、たまたま同じ曲を同じタイミングで聴いていた二人。お互いに言葉で伝えはせずとも、運命の出会いを意識していた音と空豆は、まさに神様のイタズラによってすれ違い続けた。

けれど、いつか絶対にまた会える、そんな青くてこそばゆいような夢を頼り、二人はそれを実現させた。なんとも幸せで、見ているだけで心があたたまるラストのキスシーンは、あの日に空豆がこっそり音にした“秘密のキス”を思い出させる。

もう、秘密にしなくても良い恋が実った。もう二人のやりとりを追うことはできないけれど、この先も、喧嘩をしたりすれ違ったりしながら、彼らだけの関係を育んでいくのだろう。そこに、名前はあってもなくてもいい。

※この記事は「夕暮れに、手をつなぐ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{「夕暮れに、手をつなぐ」作品情報}–

「夕暮れに、手をつなぐ」作品情報

放送日時
2023年1月17日(火)スタート。毎週(火)夜22:00〜

出演
広瀬すず/永瀬廉/田辺桃子/黒羽麻璃央/伊原六花/松本若菜/川上洋平/内田理央/櫻井海音/遠藤憲一/夏木マリ/茅島成美/酒向芳

脚本
北川悦吏子

主題歌
ヨルシカ「アルジャーノン」

エンディング曲
King & Prince「Life goes on」

演出
金井 紘
山内大典(共同テレビジョン)
淵上正人(共同テレビジョン)

プロデューサー
植田博樹
関川友理
橋本芙美(共同テレビジョン)
久松大地(共同テレビジョン)

編成
三浦萌

制作協力
共同テレビジョン

制作著作
TBS