「舞いあがれ!」”お父ちゃんがおらんようになって工場までなくなるとかほんとしんどいわ”<第68回>

続・朝ドライフ

2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。

本記事では、第68回をライター・木俣冬が紐解いていく。

[※本記事は広告リンクを含みます。]

▶︎「舞いあがれ!」画像を全て見る

「舞いあがれ!」をU-NEXTで視聴する

社長代行になったものの……

「舞ちゃんの操縦する飛行機に家族が乗っていたあのシーンは幻だったのか」という「おはよう日本」の朝ドラ送りのごとく、舞(福原遥)の進路は急激に変化していきます。

まるで航空学校の訓練で天候悪化により帯広空港から釧路空港へ急遽、着陸地が変更になったようなものです。そう、人生にはいくつもの進路変更がつきもので、そのときどう冷静に行うかが大事です。

浩太(高橋克典)が亡くなり、めぐみ(永作博美)が社長代行を務めることになります。その矢先、頼りにしていた古川(中村靖日)が辞めてしまいます。この状況で自主的に辞める社員があまりいないのは、退職金も期待できないし、不景気で再就職がままならないからしがみつくしかないのかもしれません。
章(葵揚)といい、優秀な人は船を降りていきます。笠巻(古舘寛治)だけが頼り。

「逃げるの早、もうおしまいやな」と、山田(大浦千佳)が感じ悪いことを言いながら居座っていることに毎度いらっとしますが、古川がいなくなったらますます山田をリストラするわけにもいかなそうです。古川を責めるように言うのは意外と愛社精神があるのでしょうか。そのうちそういうところが出てくるのかもしれませんが、ここまで厭味ったらしい人物に設定しなくてもいいのでは……。いい人しか出てこないとスパイス足りないとも言えますが。

社長代行になったもののどうしようもない感じで、めぐみは早々に「たたむわ」と諦め気味です。舞は祥子(高畑淳子)に「よう探したらできることはある」と自分のやれることを探すことを教わって(祥子はお弁当を作っています)、努力していますが……。

工場をたたむことになって落ち込んでいる舞に、柏木(目黒蓮)から電話がかかってきます。「お父ちゃんがおらんようになって工場までなくなるとかほんとしんどいわ」とかなりはっきり口にする舞。でも柏木が「そっち行こうか」と言っても舞は気を使って断ります。

断られても行ってあげてほしい。パイロットとはなかなか時間がとれないものなのかもしれませんが、貴司(赤楚衛二)がすぐに戻ってきたこととどうしても比べてしまいます。
「パイロットになって親孝行すればいい」という励ましもどこか的外れな気がして……。どうなっていくのでしょうか、遠距離恋愛

【朝ドラ辞典 遠距離恋愛(えんきょりれんあい)】

遠距離恋愛はなにかとドラマティック。『カムカムエヴリバディ』(21年後期)では安子が岡山、稔が大阪と離れた際は文通し思いを深めた。娘のるいは、愛する錠一郎がデビューの準備で東京に行き、滞在先のお嬢様の出現で不穏なムードになる。
『おかえりモネ」(21年前期)ではモネと菅沼がやたら入れ違いになって遠距離を続けた。
恋愛ではないが、夫が単身赴任先で浮気するのは『青春家族』(89年)。『おひさま』(11年)のヒロインの夫も一時期、自宅を離れて、ヒロインを心配させた。

(文:木俣冬)

木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中

「舞いあがれ!」をU-NEXTで視聴する

–{「舞いあがれ!」第15週目のあらすじ}–

「舞いあがれ!」第15週目のあらすじ

祥子(高畑淳子)は五島にいた貴司(赤楚衛二)とともに東大阪へ向かう。舞(福原遥)とめぐみ(永作博美)に対して会社を売ることを主張する悠人(横山裕)。

現実的な悠人、そして悩むめぐみを祥子(高畑淳子)は優しくつつむ。

一方、融資を受けていた信用金庫からは会社をたたむ選択肢を提示される。

–{「舞いあがれ!」作品情報}–

「舞いあがれ!」作品情報

放送予定
2022年10月3日(月)~

<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。

日曜: 午前11時~11時15分(再放送)
翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。

<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)
※月曜~金曜分を一挙放送。

出演
福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月 、目黒蓮、高杉真宙、長濱ねる、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、鈴木浩介、哀川翔/吉川晃司、高畑淳子 ほか


桑原亮子 、嶋田うれ葉、佃 良太

音楽
富貴晴美

語り
さだまさし

主題歌
back number「アイラブユー」

制作統括
熊野律時、管原 浩

プロデューサー
上杉忠嗣 三鬼一希 結城崇史ほか

演出
田中 正、野田雄介、小谷高義、松木健祐 ほか