「売れている芸能人には霊が憑いている。だから、売れるため霊に憑かれよう」。
そんなコンセプトで始動し、現在心霊ファンから絶大な支持を得ているのが『デニスの怖いYouTube』(通称『デニ怖』)。
植野行雄さんと松下宣夫さんからなるコンビ・デニスが様々な心霊スポットを訪れるのだが、実は『デニ怖』スタッフは全員霊感ゼロ。「なにも分からない」からこそリアリティがあり、動画のコメント欄には視聴者から霊障の指摘が相次ぐ。チャンネル登録者数は20万人を突破し、“怖いのに笑える”新感覚の心霊YouTubeとして人気急上昇中だ。
2022年10月7日(金)には、豪華ゲストを迎えるデニ怖プレゼンツ【「真夏に凍える絶叫ライブ〜気狂いたちのサンバカーニバル」】秋のリベンジ編を開催予定。以前行われた『デニ怖』イベントでは、出演者による怪談や心霊写真公開のほか、持ち寄った呪物の中から「最恐呪物」を決める『呪物-1グランプリ』などを実施した。本ライブの劇場チケットは、先行販売が9月11日(日)11:00から9月13日(火)11:00まで、一般販売は9月15日(木)10:00にスタートする(詳細は記事の最後に掲載)。
そんな、今、ノリに乗っている『デニ怖』だが、そもそも、どのように誕生したのだろうか?その背景や運営方針、今後の展開も気になる。そこで、「デニ怖の鬼」としてチャンネルを支える千葉龍ディレクターとデニスに、YouTubeならではの魅力や撮影エピソードも交えつつ、裏話を語ってもらった。
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YouTubeだから実現した「霊感ゼロ&ロケハン無し」
——心霊イメージの無かったデニスが『デニ怖』を始めることになった背景には、どんな経緯があったんでしょうか?
松下宣夫(以下、松下):コンビでYouTubeをやりたかったんですけど、単純に「デニスのバラエティチャンネル」をやっても難しそうやなと思ってたんです。いろんな芸人さんがYouTubeで苦戦してるのを見てるし、やるなら、なにかに特化したいと話してて。あれはコロナ中やね。
植野行雄(以下、行雄):営業とか劇場出番とか、コロナの影響で信じられないくらい仕事が無くなったんですよ。どうしよう、なにかしら仕事にしないとと思って、「YouTubeやりたいけど、なにやる?」……ってところで、千葉さんが「ホラーをやろう」と。
千葉龍(以下、千葉):一緒に釣りに行った帰りに、のぶくん(松下)から「YouTubeに興味無いですか?」と言われて。僕はずっとホラー番組がやりたくて企画書を出し続けてたけど、全然通らなかったんですよ。ホラーは趣味としてYouTubeでやろうかなと思ってたところだったので、「ホラーでもいい?」と聞いたら「全然いいですよ」と。それで、ホラー×デニスでやってみようというのが始まりですね。
松下:ほんまにタイミングがよかったんですよね。
行雄:なにやったら良いか分からんし、とりあえず“特化してる”ことを探してたので。
千葉:でもその時点では、デニスはなにをやらされるかまったく分かってなかった。
行雄:スタジオで、怖い話したり聞いたりとかかな?とか。
千葉:俺の中ではやりたいことが決まってたんで、「すべて任せてくれ」と(笑)。
——地上波でホラー番組の企画が通らないのは、なにか理由があるんでしょうか?
千葉:テレビって、あやふやなものを流してはいけないってルールがあるんですよ。心霊モノはけっこうグレーだし、スポンサーも付きづらい。コンプライアンスもどんどん厳しくなるし、地上波でホラー企画が通らなくなってきてるんです。
——ホラーをやりたかった千葉さんにとって、渡りに船だったんですね。
千葉:そうなんですよ。
松下:僕らにとってもですけどね(笑)。
行雄:初めての撮影で現場に向かってるとき、いっちゃん楽しかった。希望に満ち溢れてて。
松下:最初のロケ行ったときは、ほんまにびっくりしたね。こんなガッツリやってくれるんやって。自分らの手持ちカメラが1台ずつあって、大きめのカメラが3台あって、定点も4台くらいあって。もうテレビやんと思って、すっげぇ緊張しました(笑)。
千葉:地上波でロケするのと同じ体制だったね。
行雄:この初ロケで、「これは危ない心霊チャンネルになる」と思いました(笑)。廃旅館の中を撮影しているとき、床がグニャグニャ揺れるのを感じて外に出たんです。地震じゃないし、なにが起きたのか分からない。それなのに「もう1回行こか」ってなって……。ほんまは霊能者とか連れて行くんかなと思ってたのに、現場にいるのは霊感が無いメンバーだけ。ほんまに分からんままやるんやなと確信して、「ヤバいな」と思いました(笑)。今となっては、全員霊感が無いからこそ胡散臭さも無いし、いい方向になってますけど……。
千葉:これ、テレビとYouTubeの大きな違いなんですよ。テレビは答えを出さなきゃいけないから霊能者を連れて行くけど、僕はずっと「分かんないことは分かんない」でいいんじゃないかと思ってたんです。答えが出ると、ちょっと安心しちゃって怖さが半減するから。まさか、それが「面白い」になるとは思わなかったけど(笑)。
–{テレビとの違いは「ロケハンをしなくていいこと」}–
——『デニ怖』の特色でもある「全員霊感ゼロ」はYouTubeだからこそできたことだったんですね。ほかに、テレビとの違いはありますか?
千葉:一番大きいのは、「ロケハンをしなくていい」ことですね。『デニ怖』のルールでもあるんですけど、ロケハンは絶対しません。事前にロケハンすると、本番で僕が楽しくないんです。それが嫌なので、一緒に入って一緒に撮る。
行雄:千葉さんの趣味なんですよ。
千葉:テレビだと事前にどう回るか決めないといけないし、終わる時間も決まってる。なにも決めずにやれるのは、YouTubeだからこそ、そしてデニスでしかできないことですね。
松下:確かに、信じられないくらい撮ります(笑)。テレビだと霊が出る部屋をテンポ良くまわると思うんですけど、ほんまに全部の部屋を細かく見るんで。気付いたらもう夜明けやん、みたいなときありますね。
千葉:どこに霊がいるか分かんないからね。1泊2日のロケも増えてるし、平均したら8時間くらいいるかも。
松下:移動入れたらもっと(笑)。麻痺してきて、片道3時間くらいやったら近いって思います。
行雄:行き先をあんま言ってくれないんですよ。
——事前に行き先を言わないのはなぜですか?
千葉:やっぱり、初めてのリアクションを撮りたいので。先に調べられちゃうとつまんないなって(笑)。
行雄:真っ暗な山道で車を降りて、どこに心霊スポットがあるんやろと思ったら「あそこ見て」と。よく見たら鳥居があって、「神社か!」とか。そんな感じですね。
松下:暗闇から鳥居が見えたら絶望しますよ。ある意味、素晴らしい演出をしていただいてますね。僕たちがちゃんと怖くなるように。
幽霊は「風邪」みたいなもの!?
——『デニ怖』始動前、デニスのお二人は幽霊を信じていましたか?
行雄:俺は、夜道が暗いと「怖いな」ってぐらい。お化けのことを、ちゃんと考えたことも無かったですね。
松下:僕はめちゃくちゃ“おる派”でしたね。いとこのおばちゃんが、香川の沼で河童に引きずられたとか言うてて、足に手形が残ってるんすよ。だから幽霊だけじゃなく、妖怪とかもおるんちゃう?くらいの感じです。科学的に解明されてないだけであって、将来的にはいることが当たり前になるんちゃうかなと。
——心霊スポットに行き始めると、普段から幽霊を身近に感じるようになるものなんでしょうか。
行雄:距離は置いときたいですね、霊とは(笑)。
千葉:僕たちは全員霊感が無いので、身近にはならないですね(笑)。なにも感じないからね。
松下:でも、呪物を集めた場所に1泊2日したとき、めっちゃ耳鳴りがやばかったんですよ。久しぶりに体調不良になって。
千葉:行くとおかしなことは起こるし、たまに「これまずいかな」ってこともあるけど、帰ってくると忘れる。
松下:東京のネオンが忘れさせてくれるんです(笑)。
——場所が変わると、切り替えができるものなんですね。
行雄:そうですね。人間って慣れるもので、最初の頃は絶対(お清めのために)めっちゃ塩かけてたんですけど、最近は無いですね(笑)。前は、ロケ後はお酒飲まないと怖くて寝られへんとかありましたけど。
千葉:幽霊って風邪みたいなもんで、現場では具合悪くなるけど、帰ってくると元に戻るんですよ。
——へぇ~!
松下:いや、これ勝手に言ってるだけです(笑)。でも確かに、帰ってまで体調悪いことは無いですね。
千葉:経験から言うと、です(笑)。霊感、まったく無いんで。
行雄:霊を気にせぇへんようにしてるってところはありますよ。はやとも(吉本興業所属の霊視芸人・シークエンスはやとも)から、僕みたいにメンタル弱い人は憑かれやすいって聞いたんで、最近は無理やり強くしてますね。
松下:確かに、最初の頃より行雄ちゃんすごいメンタル強くなりました。お化けに耐性ついてますし、普段も前よりたくましくなったような。
行雄:それは関係ないと思うな(笑)。
松下:怖いところに行ってハート鍛えられたのかなって思います。前は「今日、新ネタやろう」って言うと「嫌」って言うことが多かったけど、心霊スポット行きだしてからすごい前向きになってる。
千葉:度胸がついて?
行雄:そんなことないやろ。売れなきゃと思ってるだけ。
松下:全然ちゃう話か(笑)。
行雄:ただ焦りが出てきてるだけ(笑)。
–{千葉Dが初めてストップをかけた“Dead or Die”}–
『デニ怖』は“人間”を見られるドキュメント
——これまで、たくさんの心霊スポットを訪れています。特に印象に残っているロケを教えてください。
松下:ロケの大変さで言うと、下田富士屋ホテルですね。
千葉:映ったものもヤバかったよね。編集してた後輩ディレクターが、「映ってる!」ってけっこうな大声で来たもん(笑)。
松下:あと、意外と公衆電話が怖かった。見た目的に「公衆電話かい」から入ったんですけど、明確にやることがあるのがすごい怖くて。あの世に繋がる番号に電話をかけて、電子音や女性のアナウンスが聞こえてくる……伝わりづらいんですけど、意外と震えますね。
行雄:僕は、呪物と1泊2日する撮影で、のぶくんが「Dead or Die」を迫ってきたとき(笑)。覗くと死ぬ鏡とかわいがったら死ぬ人形があって、「どちらをやるか」と。どちらを選んでも死ぬ状況で、ほんまに大変でしたね。二人しかいない空間で迫られて、これはもうやらないといけないのか?と……。
松下:霊より、俺が大変やった(笑)。
行雄:のぶくんは「撮れ高をどうにかしないと」っていう芸人魂があったと思うんですけどね。この動画で、初めてのぶくんが叩かれてるんですよ。
松下:確かにな。やり過ぎた。
——普段は無理やりにでも、いろいろなことに挑ませる千葉さんが、初めてストップを入れていましたね。
松下:千葉さんが冷静でよかったってコメントがすごい多かった(笑)。確かに「売れるか・死ぬか」やったら分かるけど、ここでやってたことは冷静に考えたら「死ぬか・死ぬか」ですからね。
千葉:そもそも「売れるか・死ぬか」で、死ぬほうに行っちゃダメなんだけど。
行雄:あと都内最強スポットは、ナメてるヤツはほんまに1回行ってみてほしい。ニューヨークがまさにそれでしたけど、あいつら今はお化け信じてビビり倒してますんで。
千葉:10年以上前からいろんな心霊スポット行ってますけど、ダントツですごいのがここですね。ヤラセだと思っちゃうぐらい。
松下:おかしいくらい、いろいろ起こりますもんね。
——仕込まれてるんじゃないかと思うくらいの霊障なんですね。
行雄:千葉さんたちも疑って、なにか仕込まれてないかめっちゃ確認したらしいですよ。
千葉:でも、なぜこんなに霊障が起きるのかまったく分からない。不思議だよなぁ。
行雄:ディズニーのアトラクションとかじゃないと成立しないくらい、いろいろ起きるんですよ。あと、僕が大変だったのはお化けトンネル。
松下:行雄ちゃんがトンネルの向こうまで一人で行って、帰ってこなきゃいけなくて。
千葉:あれは行雄ちゃんが一皮むけた瞬間だったな。
行雄:恐怖でギリギリまで追い詰められて、“キレた後にどうでもよくなる”っていう初めての経験をしました。「無理無理無理!」って言ったけど、千葉さんに「頑張って」しか言われへんくて。さっきまで怖すぎて行かれへん状態だったのに、キレてどうでもよくなって、ぶわっと歩いて行って……。
千葉:ただただキレてた。
行雄:他の場所だと「やらないと終わらないな」とか考えるけど、ここは本当に“キレた”というか(笑)。
松下:もうドキュメントよね。人間が腹括るまでの。
–{心霊スポット巡りで大事にしているポリシー}–
ポリシーは霊にリスペクトを持つこと
——これまで、ヤバすぎて動画に入れられなかった現象はありますか?
千葉:心霊的には無いです。ヤバすぎてあげてないのは、行雄ちゃんのゴネです(笑)。これをそのまま出したら、めちゃめちゃ好感度下がるだろうなっていう。
行雄:僕って、大人やのに言ったらあかんこととか普通に言うし、相手が嫌って思うことを思いっきり言ったりする人間なんですよ。人のことどん底までボロクソ言って、「あ、言ってもうた」って後から後悔するんですけど……。
松下:カッとなっちゃうんだよね(笑)。
行雄:これ、ブラジルの血だと思うんですけど(笑)。でも、後からめっちゃ後悔するんです。
千葉:帰りの車でめちゃくちゃ謝ってくる(笑)。
松下:ゴネはだいたい(1泊2日ロケの)明け方に出ることが多いですね。僕はけっこうガッツリ寝ちゃうんですけど、行雄ちゃんが先に起きて、相当暴言を言ってるらしくて(笑)。
千葉:本当の暴言は切ってます(笑)。
行雄:千葉さんやスタッフの人たちが、それを面白がってくれてよかったですよ。
千葉:その性格も込みで面白いんだよ。
行雄:スタッフさんたちもみんな大変やのに、僕だけ悲劇のヒロインみたいになってボロカス言ってしまうんです。そこはカットしてくれてる。
松下:あと、熱海の巨大廃墟。親子の霊が出るっていう押し入れの中に行雄ちゃんが入って、ドラえもん的に「ケバブえもん」っていうネタをするんです。それもちゃんとカットしてくれてます。
千葉:なんで今、それを言う(笑)?
——『デニ怖』では、心霊スポットで漫才やギャグを披露するのも見どころですね。
行雄:たぶん、俺らがふざけてそういうことをやってたら、めちゃくちゃ叩かれると思うんですよ。でも売れるためにネタを披露してて、最後に「ありがとうございました」と頭を下げてる。
千葉:そこはポリシーですね。死者の前でやるわけですし、敬わないといけない。
行雄:「いえ~い、来たぜ~」みたいなノリでは絶対やってない。だからなのか、ネタをやることに関しては叩かれてないですね。
——霊に対してリスペクトに欠けることはしない、という信念があるんですね。
千葉:そうですね。最初から気を付けてます。
松下:僕「よしもと釣り部」で釣りのYouTubeをやってて、けっこう叩かれるんですよ。だから“芸人がYouTubeでなにかをやる”と叩かれるイメージがあったんですけど、千葉さんが最初に「売れてる芸能人には霊がたくさん憑いてるから、売れるために霊を憑けにいく」というコンセプトを提示してくれて。それで「大丈夫やな」と思えました。これが無かったら、ただ心霊スポットに行って「怖い怖い」って言うだけなので、叩かれたりもしたのかなと。
千葉:目的無く心霊スポットに行くのが嫌だったんですよね。なにか目標を持つべきだと思ったとき、「霊に憑かれて売れよう」というコンセプトにつながって。
行雄:そんとき、すげぇなと思いましたね。「千葉さんはちゃんと仕事できる人や」って。
千葉:それまでも散々付き合いあったのに、思ってなかった?
行雄:全然思って無かったです(笑)。でも、やるとなったらプロなんやってマジで思いますね。千葉さんたちの編集や演出が無ければ、こんなに伸びてない。制作陣のおかげでしかないなと思います。
芽生え始めた心霊スターとしての自覚
——松下さんは現在「心霊スター」として活躍されています。本業のお笑いとは異なる部分で知名度が上がっていることに、葛藤は感じませんか?
松下:最初は「心霊スターってなんやねん」ってめっちゃ言うてたんですよ。「いやいや、お笑いスターになりたいんや」みたいな。そもそも、心霊スターってジャンルは無いし(笑)。でも不思議と、心霊スターとしての自覚が芽生えてきましたね。
千葉:ははは(笑)。
松下:お笑いに関しては、賞レースを頑張る以外は無いとはっきり分かってるんです。それはそれで、心霊スターとしても頑張っていかなきゃいけない。これが今の気持ちです。分かりやすいキャッチコピーみたいなのがあって、僕にはプラスしかないですね。
——行雄さんはいかがですか?
行雄:僕は「心霊スターについて行こう」と思ってます。こんなふうに思うのは芸人になって初めてですね。元々は「僕が頑張らないとコイツも飯食えない」くらいに思ってたんですけど、今は心霊スターを支えたいと思ってます(笑)。のぶくんにどんどん活躍してもらって、『ゾゾゾ』の落合陽平さんという心霊YouTube界トップの方と渡り合えるくらいになってほしい。
松下:なにをどう渡り合ったらええの(笑)。
–{「デニ怖」今後の展望は?}–
——『デニ怖』が始まってからの、お笑いへの影響はいかがですか?
松下:ありのまんまの行雄ちゃんが、お笑いでも出てくるようになったかなと思ってます。動画で見せているようなメンヘラやかわいげがお笑いにも出るようになって、人間性の面白さが見えるようになってきたんじゃないかと。
行雄:僕は「のぶくんは変な人でしょ」ってことを、みんなが分かってくれるようになってうれしいです。
千葉:『デニ怖』って、心霊を通してデニスを紹介する番組ですから。特にこの人(松下)は、サイコパスであることが世間に一切バレてなかったからね。取り繕うのは上手いけど、芯のところはヤバい(笑)。
松下:このチャンネルでお互いのプレゼンをしてもらったことで、お笑いにも還元できてるかなと思います。
行雄:『デニ怖』って、デニスの会話を覗いてるみたいな部分もあるじゃないですか。二人の関係性を知った上で応援してくれる人がめっちゃ増えて、ありがたいですね。13年もやってると、応援してくれる人がいないとやってられないですから。
松下:YouTube観て応援してくれてる人の熱量はすごいですね。
——お笑いファンというより、心霊好きの方が動画をきっかけにデニスファンになってくれているんですか?
松下:ほぼ心霊ファンの方ですね。でも、元々おったお笑いのファンは……。
行雄:のぶくんがこんなにヤバいヤツだと思ってなかったんでしょうね(笑)。シュッとしてカッコいいと思ってたら「あ、気狂いだったんだ」と……離れてしまった方もちょっといるかもしれません。
松下:サイコパスがバレて……。でも、仕事面ではプラスしかないです。YouTube頑張ってるからっていう理由でつながった仕事もたくさんありますし。
千葉:よかった。とり憑かれ始めてるね。
行雄:最初は、ちょっと恥ずかしい部分もありましたけどね。芸人が心霊やるって、なんで?って。
松下:YouTubeやるなら「ネタ上げろよ」ってね。
行雄:でも(動画を観た)先輩とかに言われますけど、「これ、リアクション番組やん」って(笑)。
長く愛される『デニ怖』であるために
——今後、『デニ怖』でやりたいことはありますか?
松下:僕が勝手に思ってるのは、あと4回『M-1』に出られるんで、どこかで結果を残して『デニ怖』もバズらせたいということ。あと関東近郊だと許可取れる心霊スポットが限られるんで、ゆくゆくは全国展開したいですね。
行雄:僕は心霊スターについていく。そして、みんな仲良く。うまく行きだすと、金や女で揉めたりするものなんですよ。だから、これからも仲良く。それと、千葉さんのプロデュースに便乗する(笑)。俺が言うことより、絶対千葉さんが選ぶことのほうが上手くいきよるので。
千葉:テレビをやってきた分、嗅覚は鋭いからね(笑)。僕は、今後もあんまりスタンスを変えないつもりです。楽しいことをやりたくて始めたので、チャンネルを大きくしたい気持ちもあるけど、無理して楽しくなくなるのは嫌だなと。
松下:毎週心霊スポットに行くとか、物理的に不可能ですからね。皆さんに長く愛していただけるチャンネルでいるために、程よくね。
千葉:登録者数が100万人行っても、更新頻度は変えずやっていきたいですね。スタッフは全員地上波でレギュラーを持ってて、今はその合間で『デニ怖』をやってるんです。そこで無理をしてこれまで以上に作っても、俺たちが楽しくなかったら観てもらえないと思うし、空気感も伝わると思うので。
松下:スタッフさんたちにすごくよくしていただいてるので、僕たちもちゃんと感謝と礼儀を持ってやっていきたいですね。ベタですけど、全員が思いやりを持ってやっていかないと。
千葉:そもそもデニスの魅力って、仲が良いことだと思うんです。今の時代にマッチしてると思うし、仲が良いことが1番大事。だから、ずっと楽しくやっていきたいですね。
公演情報
デニ怖プレゼンツ【「真夏に凍える絶叫ライブ〜気狂いたちのサンバカーニバル」】秋のリベンジ編
開催日:10月7日(金)
時間:18:30開場|19:00開演|20:00終演 (60分公演)
出演者:デニス/他
会場:よしもと有楽町シアター(東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル2階)
https://yurakucho.yoshimoto.co.jp/
先行期間:9月11日(日)11:00~9月13日(火)11:00
一般発売:9月15日(木)10:00〜
会場チケット:FANY Ticketにて販売
配信チケット:FANY Online Ticketにて販売
(撮影:大塚秀美、取材・文:堀越愛)
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