マーベル・スタジオが送るドラマシリーズの最新作「ミズ・マーベル」が2022年6月8日より配信された。
イスラム教徒のアメリカ人ティーンエージャーであり、アベンジャーズオタクでもある主人公・カマラを中心に繰り広げられる本作。マーベル作品の新機軸であり、今後のシリーズを支えるであろうニュー・ヒーローの誕生やいかに……。
本記事では、「ミズ・マーベル」第1話の魅力をマーベル好きのライターが紐解いていく。
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開始30秒でアガる最高のオープニング
過去のシリーズでもお馴染みなのが冒頭のマーベル・スタジオのロゴ。
作品によって、個性豊かな演出がなされるのも各作品の見所だが、本作ではノリノリの音楽にのせて、軽快な幕開けとなった。
ここで使われたのが、The Weekndの「Blinding Lights」という楽曲。
2019年11月にリリースされた本作は、世界中のチャートで週間1位と年間1位を獲得するなど、驚異的な成功をおさめ、2020年の最も売れた曲にも選ばれた名盤である。
楽曲のタイトルは直訳すると「まばゆい光」という意味になり、“孤独”や“憧れ”について語る歌詞が印象的。
そして、これがドラマの内容と絶妙にリンクしているように感じられるのもニクいポイントだろう。
変わり者として家族や同級生から”孤独”を感じる主人公にとって、ミズ・マーベルは“まばゆい光”を放つ“憧れ”の存在。
また、特殊能力を手に入れた彼女は、“まばゆい光”を発するように力を覚醒させることになるのだ。
なにはともあれ、本作を見ていない方には、まずは騙されたと思って、開始から30秒をご覧いただきたい。
傑作ティーンエージャーものの系譜
「冴えない主人公が特殊能力を手に入れて……」という導入にこそ『スパイダーマン』を彷彿とさせられる本作だが、オシャレかつポップな演出には、近年の傑作ティーンエージャーものの系譜を継ぐような魅力がある。
周囲から変人扱いされる人物が自身の才能でのし上がる展開は大ヒット海外ドラマ「glee」にも通じており、自立の一歩として車の運転が用いられる部分には『バンブルビー』を思い出す部分もある。
『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』や『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』のようなアメリカのインディーズ学園映画を想起させられる遊び心溢れる演出にも、自然と惹きつけられる。
空想癖を持った主人公の世界を具現化した場面の数々や、コミックのコマ割りのような脱出シーンなど、斬新な表現が多く、最後まで心地よいテンポ感で物語が進むため、気づけば観終わってしまう作品でもあった。
※以降からは「ミズ・マーベル」第1話の重大なネタバレを含みます。未鑑賞の方は、ぜひ観賞後に記事をご覧ください。
–{ファンを惹きつける設定}–
ガチヲタが主役という意外性
過去のマーベル作品に登場したヒーローたちを愛する“ガチオタク”が、特殊能力を手に入れるという展開もアツかった。
この設定は長年愛されたシリーズゆえに為せる技とも言え、彼女が愛好するのがスコット・ラング(アントマン)のポッドキャストというのも良い。(また、この設定が近年のマーベル作品の謎、「一般人はいかにしてアベンジャーズとサノスの最終決戦について知ったのか」のアンサーになっているのも、ファンにとっては大きなポイント)
ちなみに、主人公・カマラを演じているイマン・ヴェラーニは、現実世界でもマーベル作品のガチオタクとして知られている。
本作のインタビューでは、シリーズの初期設定や(過去作)公開当時のバラエティ番組を踏まえたマニアックな回答をしていたり、原作の大ファンゆえに幼少期にミズ・マーベルのコスプレをしていたりと、まさしくマーベルファンを代表するような存在でもあるのだ。
ちなみに、そんな彼女の熱い思いは、現在配信中の短編ドキュメンタリー「ミズ・マーベル ガイドブック」からも確認することができる。
また、今後公開予定の『キャプテン・マーベル』続編『The Marvels(原題)』では、彼女の登場が発表されている。
果たして、憧れのヒーローと出会った彼女はどうなってしまうのか。
本作の公開にも大きな期待が高まる。
>>>ディズニープラスで「ミズ・マーベル ガイドブック」を観る
空想にのめり込む主人公
夢見がちな性格からヒーローになった空想に耽る主人公。
そんな彼女に対し、母親は「自身の人生に目を向けなさい」と厳しい言葉をかける。
この部分には「ワンダヴィジョン」、「ムーンナイト」と近年のマーベルドラマにも通ずるテーマ「虚構と現実への向き合い方」が描かれていたように思う。
虚構にのめり込んで現実逃避をするのか、それとも虚構を力に現実を変えていくのか。
この選択肢は、まさしく、マーベルの物語を追いかける私たちにも跳ね返ってくる部分でもあり、本作ではカマラがどのような答えを導き出すのかにも注目である。
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今回の悪役は?
第1話では、エンドクレジット後のおまけシーンとして、主人公・カマラの動向を追う謎の組織が登場した。
彼らの服装や携帯画面をよく見ると、DODCというアルファベットが書かれている。これは、ダメージ・コントロール局を指していると考えられるだろう。
『スパイダーマン:ホームカミング』からシリーズに登場(実は『アイアンマン』にも小ネタ程度で名前が登場)したこの組織は、トニー・スターク(アイアンマン)の会社とアメリカ政府が共同で設立した団体。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、主人公・ピーターの自宅に押し入り、家族や友人もろとも警察に連行した組織でもあり、本作でも主人公の前に立ちはだかる存在になることが予想されるだろう。
今回は「ミズ・マーベル」第1話を紹介した。
果たして、謎の力を手に入れた主人公の今後やいかに。
等身大高校生ヒーローが放つ“光”のような魅力に引き込まれる見事な第1話だった。
(文:TETSU)
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–{「ミズ・マーベル」第1話ストーリー}–
「ミズ・マーベル」第1話ストーリー
ヒーロー集団・アベンジャーズが世界を救ってから数年後の世界。
ずば抜けたパワーを持つ女性ヒーロー・キャプテン・マーベルに憧れる高校生”カマラ・カーン”は、超がつくほどのアベンジャーズオタクだ。
地元で初開催となったアベンジャーズファンのためのイベント”アベンジャー・コン”に胸をときめかせるカマラ。
キャプテン・マーベルのコスプレコンテスト優勝を目指し、男友達・ブルーノと盛り上がる彼女だったが、両親からは猛反対されてしまう。
そんな意見をよそに家を抜け出した彼女は、何とか、コンテストに参加することに成功。
しかし、衣装の一部として自宅から持ち出した腕輪によって、謎の超能力を覚醒してしまうことに……。
「ミズ・マーベル」作品情報
作品概要
もしも憧れのヒーローのようなパワーを手に入れたら…?
キャプテン・マーベルに憧れを抱くカマラ・カーンは、アベンジャーズオタクの高校生。
学校や家庭では自分の居場所が見つからず、「スーパーパワーさえあれば…」と妄想の世界に浸っている。
しかしある日突然、強大な力を手に入れ、妄想したことが現実に!
ヒーローの力さえあれば全てが理想通りになるはず、と思っていたカマラだが、力をコントロールできず次々と問題が起こってしまう。
なぜ、カマラは強大な力を得たのか?
カマラの力に隠された謎は、生活を一変させ、やがて世界をも変えていくことになる。
ヒーローである前にごく普通の高校生であるカマラが、家庭や学校、社会で様々な問題に直面し、力に伴う責任に悩みながらもMCUの世界を今後大きく変えるヒーロー、 “ミズ・マーベル”として目覚めていく。
予告編
出演
イマン・ヴェラ―ニ(カマラ・カーン/ミズ・マーベル)、マット・リンツ(ブルーノ・カレッリ)、リッシュ・シャー(カムラン)
毎週水曜日16時 ディズニープラスにて独占配信中