土屋太鳳主演・松下洸平共演の木10ドラマ「やんごとなき一族」が2022年4月にスタート。
講談社『Kiss』で連載中の、こやまゆかり作の同名コミックをドラマした本作は、庶民の家庭から上流社会の一族に嫁ぐことになった主人公が、理不尽な一族のしきたりや親族内の複雑な人間関係に翻弄(ほんろう)されながらも、夫とともに真正面から立ち向かい奮闘する“アフター・シンデレラ・ストーリー”。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
篠原佐都(土屋太鳳)は、母の良恵(石野真子)と2人で下町の大衆食堂『まんぷく屋』を切り盛りする女性。ある日、佐都はかねてより交際してきた深山健太(松下洸平)にプロポーズされ、それを受け入れる。
佐都が健太の実家へ挨拶に行くことになった日、2人を迎えに、1台の高級リムジンが店の前に現れる。なんと健太は、江戸時代から400年以上続く名家で莫大(ばくだい)な資産を有する一族・深山家の御曹司だったのだ。
健太の出自に驚き、彼の両親に気に入ってもらえるかと不安がる佐都に、健太はこれまで実家と距離をとってきた理由を正直に打ち明ける。そして、深山家当主である父の圭一(石橋凌)が佐都に会いたがっていることを伝えて安心させる。
その後、2人は深山家に到着するが、圭一から命令された健太の母・久美(木村多江)によって、佐都は門前払いを食らい呆然(ぼうぜん)とする。圭一は、佐都が庶民であるという理由で2人の結婚を受け入れていなかった。上流社会の理不尽なしきたりや深山家内の複雑な人間関係に翻弄(ほんろう)される佐都と健太。そしてここから、2人の奮闘の日々が幕を開ける!
第1話のレビュー
これは面白すぎる!面白そうと思っていたけど、期待していた何倍も面白かった!
佐都(土屋太鳳)は、恋人の健太(松下洸平)にプロポーズされる。冒頭、健太の服装はラフでパッと見いいところのお坊ちゃま感はない。結婚すると決まって実はとんでもない一族だったとわかるストーリーだ。
一方の佐都は、下町の大衆食堂を母と二人で切り盛りしており、父が亡くなったため大学も中退している。貧乏な土屋太鳳がお金持ちと結婚する、おとぎ話のような語り口で始まるシンデレラストーリーというと、映画『哀愁しんでれら』(2021)を連想してしまうが、このドラマの結婚相手・健太は本当にいい人だ。
やんごとなき一族で育ちながらピュアでまっすぐ、飾らない人柄。他の人が意見できない父親にもはっきり意見できる。一族が苦手で距離を置いていたが、結婚の話をきっかけに父に呼ばれ、実家に挨拶しに行くことに。
運転手付きの車で深山家に向かう二人。途中の大きな橋から先は深山家の土地で、西洋の映画やドラマに出てきそうな、実家は門から建物までがめちゃくちゃ遠い大豪邸だった。
門が開き、車から降りるとそこにいた健太の母・久美(木村多江)に突き飛ばされる。地面に倒れ、佐都が母に持たされた大量のもつ煮が地面に散らばり、門を閉められてしまった。何てことすんねん。
父・圭一(石橋凌)はインターホン越しに「わきまえているのなら、二度とこの家に足を踏み入れようなんて恥ずかしい真似はできないはずだ」と言い捨てる。怒った健太は父の元に走って抗議しに行く。
そこに集まっていたのは家族一同。健太は次男で、長男の明人(尾上松也)は老舗和菓子店の娘の美保子(松本若菜)と、三男の大介(渡邊圭祐)はホテルチェーンの娘のリツコ(松本妃代)とそれぞれ結婚している。二人とも、家のために結婚したようだ。さらに、末っ子の有沙(馬場ふみか)もいる。全体的に感じは悪い。
後日圭一に呼び出された佐都は数千万の札束を見せられ、健太と別れるように言われる。「お母さんを喜ばせてあげなさい」というセリフも腹立たしい。それに対する佐都の返しがかっこいい。
「そんなお金で母は喜びません。健太さんとは別れますが、それは彼を愛しているからです」「家に誇りを持っておられるように、私も父の遺した店に誇りを持っています」と毅然と言って去った。
別れを告げられた健太はすぐに佐都の店に行く。扉越しにわざと突き放す佐都だが、「俺の顔を見て言える?」と迫り、バックハグして「一緒になったら不幸になるんじゃない。一緒にならなかったら不幸になる」と伝える。かっこいい男だ。
一転、圭一からの許しが出、ふたたび深山家に向かった二人。佐都を「俺が心底惚れて絶対に離したくなかった人です」と家族に紹介する健太、最高かよ……!
しかし一族の感じが悪いこと。佐都に対してひどいだけでなく、家族同士もいろいろとあるようだ。美保子とリツコと有沙は3人で取っ組み合いをはじめ、「ババア」「小娘」とののしり合い、物を投げ、ドレスの袖を破り合う。凄まじすぎて声を出して笑ってしまった。ここまでくると面白い。
その後そんな家族が情けなくて佐都の前で泣いちゃう健太、ほんとにピュアだし、そんな健太に「2人で頑張ってみない?あの家に入ってみよう。健太が健太でいる限り私は支え続ける。私、健太の背負った運命、一緒に背負うからさ」と言える佐都、かっこいい女だ。
佐都と健太、二人の人柄が本当に素晴らしくて、応援したくなる。
どぎつい一族の中でも特に強烈なのが、松本若菜が演じる義姉・美保子だ。一見言葉はおしとやかだが、実は腹の中は真っ黒。元々いい家の出ではない佐都を馬鹿にしていたうえに、自分が次になると思っていた”次期女主人”に佐都がなるとわかってエスカレートする。
明人が圭一の跡を継ぐと誰もが思っていたが、圭一は経営に向かない性格の明人ではなく、自分にはっきりとものを言える健太に跡を継がせたいと考えていたのだ。
さらに、深山家では資産を減らさないため、財産はすべて跡継ぎにのみ渡り、兄弟には渡らないのだ。佐都との結婚を許したのは、健太を自分の元に取り戻すためだったのだ。「おかえり、もう逃げられんぞ」を笑う圭一、怖い。
美保子はイヤミな言葉(言い方がすごい)だけでなく、すさまじい顔芸で佐都を攻撃。他の人がいないところではものすごい早口で
「この雨後のたけのこが! ずうずうしく 人の家にのこのこのこのこニョキニョキニョキニョキタケノコタケノコ ニョッキッキと生えてきやがって!」
とまくし立てる。もはや早口言葉でしかない、よく言えるな。ドラマ「ファーストクラス」のレミ絵(菜々緒)以来の早口を楽しみにできそうだ。
しかしやることがかなりひどい。お屋敷にきた客の息子が池に落ちたのを佐都が泳いで助け、祖母の八寿子(倍賞美津子)に「面白い子がきたもんだわ」と言わせたのがよほど気に入らなかったのか、小屋にあった瓶の中の水を頭からかけ、サウナのような部屋に閉じ込める。
床に落とした佐都のスマホに母・良恵(石野真子)が倒れたと連絡がきて代わりに出、ドアの小窓越しに顔芸で伝えただけで(ほとんど聞こえない)そのままスマホを持ち去ってしまう。小さい頃から積み上げてきたものを台無しにされたと怒っているようだが、佐都が悪いわけではないし、非常事態なのにひどい。
この顔芸がすごすぎて、もはや松本若菜の虜である。次回以降も彼女の顔芸と早口を楽しみにしていきたい。
でも佐都も王子様を待ってるお姫様ではない。道具を自分で探し出し、自分でドアをぶち破って出て「庶民なめんなよ」とつぶやく。佐都のこういうところ、すごく好きだ。
過激な嫁いびりは本作の見どころのひとつだが、ただいじめられるだけの悲惨で胸糞悪い話という感じにはならず、立ち向かう佐都と健太が爽快だ。
跡継ぎから外されたことに「お父さんが言うなら」「健太が継いでくれるなら助かるよ」と言い、「兄貴は本当にいいの?」と気にする健太にもいいよという明人だが、誰も見ていないときの表情がすごい。後々何かありそうだ。
母・久美ははじめの突き飛ばしから一転、家族の中では優しく「わたくしはあなたたちを応援していますから」と言ってくれるが、ママチャリと聞いて「それはどこの車?」と無邪気に聞いてくるあたり、やはり住む世界の違いを感じる。そして演じるのは木村多江、どこかでブチキレ演技も見たいと思ってしまう。
ちなみにナレーションは「鬼滅の刃」炭治郎などの声で知られる声優・花江夏樹。いい声を聞くのも楽しみだ。また佐都の実家の常連さんがダチョウ俱楽部だったりシュウペイが出ていたり、ちょいちょい出てくる芸人たちも気になる。
次回はどんな波乱が起こるのか、木曜日が待ち遠しくて仕方ない。
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
深山佐都(土屋太鳳)は、義姉の美保子(松本若菜)によってサウナ室に閉じ込められるが自力で脱出。美保子のもとへ戻り、入院した母・篠原良恵(石野真子)を見舞いたいと頼むと、美保子は義祖母の八寿子(倍賞美津子)に断りを入れるようにと促す。しかし、八寿子は佐都の申し出を許さず、深山家の跡取りである健太(松下洸平)と結婚した以上、深山家の発展に人生の全てを捧げるのは当たり前だと?責(しっせき)する。
その後、帰宅して事情を知った健太は、すぐに良恵のところへ行くよう佐都に告げる。深山家の理不尽さを訴える健太は、八寿子らに対し、自分の家と佐都の実家の両方を夫婦2人で守っていくと宣言する。
健太に従い屋敷を出ようとした佐都は、深山家へ来訪した葛西綾(小沢真珠)と玄関でぶつかってしまう。するとそこに久美(木村多江)が来て、綾を丁寧に出迎える。綾は八寿子への贈り物と、圭一(石橋凌)の忘れ物だという小袋を久美へ差し出す。この時、佐都は久美と綾の関係性、深山家の奥深い闇にまだ気づいていなかった。
病院で良恵の無事を確認した佐都は、翌朝、深山家に戻る。しかし、思いもよらない事態が佐都を待ち受けていて…
第2話のレビュー
1週間待ちに待った2話! 今回も期待を裏切らない内容だった。
このドラマ、見どころが多すぎて毎回どこをタイトルにしようか困る。
母(石野真子)が倒れたのにサウナ室に閉じ込められ、自力で脱出した佐都(土屋太鳳)。閉じ込めた美保子(松本若菜)に一言言ってやろうと近づくが、カムフラージュのためか抱きしめられ「お母様のところに行くなら八寿子様に一言挨拶してね」と告げる。
八寿子(倍賞美津子)は深山の家を差し置いて他の家に行くなどありえないとはねのける。美保子はそれを知っていたのだ。佐都は「私は深山の家と結婚したんだ……」とぼう然としながらお客様をもてなす。
帰ってきた健太(松下洸平)は佐都の母が倒れたと聞き、お客様のおもてなしは自分がやるから、今すぐお母さんの元に行くようにと言う。八寿子に反対されるが、「家族が大変なときに帰れない家って何だよ? おばあちゃんだって苦しんできたんだろ? 俺はこの家のそういうところも変えていきたいと思ってる」と意見した。
はーーー健太最高! この家の良心! この環境でよくぞまともに育ってくれた! 佐都に健太がいてくれてよかった!!!
この作品、松下洸平さんのかわいい表情がたくさん楽しめて素晴らしい。
何といってもくしゃっとした笑顔が良い……! 健太の笑顔は荒野に咲いた一輪の花のようだ。
おでこにキスするシーンも、お姫様抱っこも良い……!!! 心の底から大切なものに触れている感がとてもある。5人中8人が好きになっちゃう。
今回の本題は、愛人問題。
深山家に出入りするジュエリーデザイナーの綾(小沢真珠)は、長年家族も知っている圭一(石橋凌)の愛人だという。店を出すお金も生活費も圭一が出しているらしい。
八寿子は「愛人なんていて当然。主人がいつもお世話になってますと挨拶なさい」と言うが、佐都は実際その通りにしていた義母・久美が内心はつらい思いをしているのを察し、受け入れられない。さらに「健太もいつかは愛人を持つわ」と言われてショックを受ける。
ある日、毎日圭一の食べる食事を手間暇かけて作っている久美が、スープに入れるクルトンを切らしただけでスープを床に捨て「お前より綾のほうがよっぽど気が利く」と出ていこうとしたため、とうとう佐都は圭一に意見してしまう。そしてそれもまた、教育がなってないと久美が責められる結果になってしまったのだった。
ちなみにクルトンがなかった原因は、有沙(馬場ふみか)に呼び出された佐都が頼まれ、食パンでおやつを作ったためだった。
健太の専務就任パーティーを前に、リツコ(松本妃代)が佐都のドレスを見繕ってくれることになり、なぜか美保子もついてくる。次々ドレスを試着する佐都を見て首を振る美保子・リツコの様子が何だか面白い。
結果これぞというドレスが見つかったが、靴やアクセサリーを入れて80万。とんでもない金額に驚愕する佐都だが、「買えないなら仕方ないけど、私たちは買えるのよ。手に入れてこれに見合った自分になりなさい」というリツコ、ちょっとかっこいい。
その後「ここからここまで全部ちょうだーい!」とどう考えても1000万円超えそうな大人買いしてたのはやりすぎだけれども。
その後街中でばったり会う佐都と綾。佐都が自分を気に入らないらしいことを知っている綾は、なんとケールの効能を話しながら手持ちの青汁を佐都の頭からぶぶっかける。さすが「牡丹と薔薇」のいじめ役で話題になった小沢真珠、こんなに人に液体をぶっかけるのが様になる人、他にいるだろうか。
パーティー当日堂々と現れた綾を、佐都は「噓でしょ?」と信じられない気持ちで見る。いつもひょうひょうとしている有沙も「普通来る?」とつぶやいているのが面白かった。
来て早々自分が送った花が目立たないところに置かれていると文句を言い、久美をけなす綾に、佐都は自力で花を持ち上げ入口まで持っていき「ここなら皆さんに綾さんの名前を見ていただけます」と言う。いいぞ佐都!
さらに怒った綾に「私が今日いちばん感謝を伝えたいのは、今まで健太を温かく見守ってくれたお義母さんなので。あなたは今日の場にふさわしくありません。お引き取りください」と伝え、怒った綾は帰っていった。
「佐都さん、大変なことをしてくれたわね」と久美に言われ詫びる佐都だが、久美は声をひそめて「でも彼女のあの顔、スッとした~!」と嬉しそうに言い、笑っていることがバレないように咳ばらいをした。お義母さんが喜んでくれてよかった……!
それを見ていて拳をグーにして差し出してきた健太、かわいいかよ……。
パーティーの挨拶で、健太を支えてくれる人として佐都ではなく、新たに健太の秘書となった泉(佐々木希)を呼ぶ圭一。さらに、泉が着ていたドレスは佐都が着ているのとまったく同じもの。泉のほうが着こなせており、会場からはひそひそ声が(この作品に出てくる上流階級の人たち、品性ないよな)。
いたたまれない佐都に泉は「申し訳ございません」と二人の大事な日にドレスがかぶったことを詫び、出直しますと帰っていった。
美しく育ちも良く急場をおさめる振る舞いもできるこの女性、泉はなんと健太の元許嫁だったらしい。健太は泉のことが好きだったが、彼女は好きな人と一緒にフランスへ行ってしまったという。今回帰国したのはどんな事情があったのだろうか。
おそらく圭一が健太と佐都との仲を引き裂くために秘書にしたようだ。泉を見送る健太が気になってしまう佐都たったが、八寿子が「堂々としてなさい」と声をかける。八寿子さん、基本厳しいけどたまに優しい。
もちろん今回も美保子は大活躍。
#やんごとなき一族 で
ひときわクセの強い人物。それは皆さんご存じ、
長男明人の嫁・美保子。彼女を演じる#松本若菜 さんも
美保子のキャラを日々追求中。その姿を人々はこう呼びました。
「 #松本劇場 」と・・・? pic.twitter.com/DgjwIF0VcV— 第7⃣話6月2日放送!木曜劇場「やんごとなき一族」【ドラマ公式】 (@yangoto_fuji) April 28, 2022
倒れた母と深山家のしきたりの間で苦しむ佐都に「グーチョキパーで グーチョキパーで 何つくろう~何つくろう~♪ 右手もパーで左手もパーで板挟み~板挟み~♪」と歌いながら顔をはさんできた。「何なのこの人」と言う佐都、大正解。
夫・明人との力関係も完全に上。気弱な明人の後ろから彼をけしかけ、絶対に勝つ! と彼が作業していた標本の蝶にピンを刺す。
そしてドレスかぶりの件、泉にあのドレスをプレゼントしたのは美保子だった。お前かー!!! ドレスかぶりがバレた瞬間、周りの人に見られないように顔を隠しつつ横目でカッ! と佐都を見て笑う顔が最高。だから買うときついてきたのか……少しは仲良くなったのかと思った私がバカだった。
明人も跡取りの座を取られたことは快く思っていないようだが、ドレスの件に関してはドン引きのようだった。もの申そうとするが、にらまれて何も言えなくなってしまう。
次回予告でも何やらお歌を歌っていたし、来週も彼女の活躍(?)が楽しみでたまらなくなってきている自分がいる。ちなみに三男・大介(渡邊圭祐)がドライすぎるがリツコは多分彼のことを本気で好きそうなのも気になっている。次回も待ち遠しい!
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
→元記事はこちら
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
深山佐都(土屋太鳳)は、義母の久美(木村多江)の気持ちを案じて深山家の愛人問題に一石を投じた。しかし、佐都を健太(松下洸平)の妻として認めようとしない義父・圭一(石橋凌)は、さらなる策略を巡らせる。圭一は、かつて健太が慕っていた立花泉(佐々木希)を彼の秘書にしたのだ。だが、すでに健太は佐都だけを愛しており、二人は間もなく迎える二人一緒の誕生日に旅行を計画する。
ところが、圭一が健太に同行するよう命じた福岡出張が誕生日と重なり、旅行の計画は頓挫することに。健太に期待し、大きなプロジェクトを任せるという圭一の様子に、明人(尾上松也)と美保子(松本若菜)は歯がみをしていた。
健太が圭一と出張に出かけた日、佐都は有沙(馬場ふみか)に呼び出される。有沙は深山家所有のクルーザーで遊んだ後の片付けを佐都に頼んだのだ。断り切れない佐都が掃除をしていると、そこにリツコ(松本妃代)が現れる。事情を察し憤ったリツコは、佐都を連れ出して彼女の誕生日パーティーを開催する。同じ深山家の嫁として佐都を励まし、深山家に対する愚痴をこぼすリツコだったが、ふとスマホを見ると顔色を変え、パーティーをおひらきにすると言いだし…。
第3話のレビュー
これまで佐都(土屋太鳳)と健太(松下洸平)VSモンスター一族という感じだったが、今回は三男夫婦・大介(渡邊圭祐)とリツコ(松本妃代)の苦悩にスポットが当たり、今までとはまた違った味わいがある回だった。
なんと佐都と健太は誕生日が一緒という事実が判明、二人で旅行を計画するも圭一(石橋凌)に言われた出張が入り、別々に過ごすことになってしまう。
泉(佐々木希)のこと好きだったんだって? と普通に聞き合える二人の関係が素敵だ。佐都にほっぺをつままれる健太のかわいいことといったらなかった! このドラマ、松下洸平のかわいさを堪能できるという点では本当に素晴らしい。その後のジャンピング抱っこもいい。意外にもキスシーンやいちゃつくシーンが多いのだが、この二人がやるとさわやかだ。
誕生日だというのに佐都は有沙(馬場ふみか)に呼び出され、クルーザーの掃除を押し付けられる。じ、自分で片付けろ~! 前回のおやつ作って事件しかり、かなりわがままいっぱいに育ってしまったようだ。圭一を見るとそんな風にも見えないが、お金持ちの末っ子&唯一の女の子なのでかわいがられすぎた、みたいなことがあるのだろうか。
掃除を押し付けられた佐都を見かねたリツコは掃除業者を呼び、佐都のためにパーティーを開く。豪華なお店でシャンパンタワーまで! 前回から、リツコは嫌な人とも言い切れないなと思っていたが、相変わらず金遣いは荒い。パーティーを開いてもらえるのはうれしいけど、ゲストが全く知らない人たちなのってどうなんだろう?
リツコが悪い人ではないのは間違ってなさそうだが、今回はクルーザーにGPSを取り付けたいという思惑があった(正直に言うあたり、まだ人がいい)。そしてリツコの読み通り、大介はクルーザーに女を連れ込んで浮気していた。相手の女性、ほぼ全裸でなかなか過激。
前回からそんな予感はしていたが、お見合いではあるもののリツコは大介のことを本当に好きだった。意外にも、二人は結婚当初は仲が良かったのだ。リツコの誕生日に大きなバラの花束を渡すシーン、二人の笑顔が今となっては切ない。
でも大介はだんだんリツコの目を見られなくなった。彼女の顔を見ると、自分の人生は圭一に支配されているということを思い出してしまいつらかったのだ。大介はリツコを避けるようになり、リツコは浮気のお詫びやさみしさからブランド品を買いあさるようになってしまった。だが、心の穴は埋まらなかった。
ブランド品を川に捨てようとしたリツコを止め、捨てるなら売りましょうと提案した佐都。なんと合計3300万円以上の買い取り額に……もともと使った金額はいくらだったのかと考えると気が遠くなる。「このお金はリツコさんが本当にしたいことのために使いましょう」という佐都に「このお金は大介に返そうと思う。どうかな」とさみしそうに笑うリツコ、抱きしめたい。
この二人、一見3夫婦の中でいちばん何にも縛られず自由にやっているように見えたのに、こんなにも苦悩を抱えていたとは。深山家は裕福だけど、誰も幸せそうじゃないな。
離婚を申し出る際「残ったのは私の本当の気持ちでした」「今まで一度も大介さんを愛したことはありません」と噓をつくリツコ。本当の気持ちじゃないのになぜそんなことを……とも思ったが、リツコは大介を本当に愛していたから、自分と一緒にいると彼がつらい思いをするとわかってそんな風に言ったのだと思った。切なすぎる。
心の底から憎み合っているわけではないのだから、二人で幸せにやり直す選択肢はなかったのだろうかと、ちょっとだけ考えてしまった。大介は次回予告にも出てきたが、リツコはもう退場なのかと思うとちょっとさみしい。
#やんごとなき一族 で
ひときわクセの強い人物。それはもうおなじみの
長男明人の嫁・美保子。彼女を演じる #松本若菜 さんも
美保子のキャラをさらに追求中。その姿を人々はこう呼びました。
「 #松本劇場 」と・・・ pic.twitter.com/3sQK7SFmBv— 第4⃣話5月12日放送!木曜劇場「やんごとなき一族」【ドラマ公式】 (@yangoto_fuji) May 5, 2022
もちろん今回も美保子(松本若菜)節は健在。誕生日を健太と別々に過ごすことになった佐都に「バッドバースデイトゥーユー♪」「ぼっちバースデイフォーユー♪」と嫌味な歌をプレゼント。佐都が大介夫妻離婚に加担したと怒る圭一が、健太に任せていた大きな仕事を明人(尾上松也)にやらせようと言った際のガッツポーズと表情にも注目だ。
前回は母・久美(木村多江)、今回は大介・リツコ夫妻にスポットライトが当たったことを考えると、いつかこの美保子のストーリーが取り上げられ共感するような日が来るのだろうか。今のところ共感度0%の人物だが、そんな日が来るなら楽しみな気もする。
今回、出張先で誕生日だからと佐都に電話する健太を見つめる泉の表情も気にかかった。今のところ実害はない彼女だが、何か目的があるのだろうか。明人&美保子の逆襲(?)も、やめてほしいが気になる。有沙が佐都の頭にケーキを投げつけていたのも気になる。前回の青汁といい、頭になにかかけられる確率高すぎでは……?
来週も、健太のかわいさと佐都が斬り込む先、美保子のトンデモ行動を楽しみにしている。そして新たに登場する謎の人物・マダムキリコ(長谷川京子)の正体も気になる!
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
深山佐都(土屋太鳳)は大介(渡邊圭祐)とリツコ(松本妃代)の離婚に加担したと、圭一(石橋凌)の怒りを買い、深山家から追い出されようとしていた。圭一は健太(松下洸平)に離婚届を渡すが、健太は何があっても佐都とは別れないと答える。すると佐都は、もう一度チャンスが欲しいと圭一に頼み、健太と二人で頭を下げる。
圭一は、新たに建てる商業ビルにパリの有名レストラン『ソリマチ』を招聘できたら先の件は不問にすると佐都と健太に言い渡す。だが、そこには彼のある思惑があって…。一方、健太に代わりに福岡のホテルを任されることになった明人(尾上松也)は、圭一からホテル事業を行う新会社社長の椅子をほのめかされる。美保子(松本若菜)は今度こそ佐都、健太夫婦を叩き潰そうと明人を焚きつけた。
佐都と健太は『ソリマチ』のオーナー、反町を探す。彼の経歴を必死に調べ、健太はようやく会うことに成功するが、反町の返事は芳しくない。だが、健太は反町のバックに“マダムキリコ(長谷川京子)”という人物がいるとの情報を得る。しかし、年齢、国籍、性別まで不明とキリコは謎だらけ。佐都と健太が考えあぐねていると、そこに大介が現れる。大介は、佐都たちが見ていたキリコの情報に反応し…。
第4話のレビュー
大介(渡邊圭祐)とリツコ(松本妃代)の離婚が決まり、その原因を作ったとして圭一(石橋凌)に「出ていけ!」と言われてしまった佐都(土屋太鳳)。
圭一は健太(松下洸平)をホテル事業から外し、当てつけに兄の明人(尾上松也)をあてがう。
こんなときも父親に食ってかかって100%佐都の味方をしてくれる健太、最高オブ最高。まあ、どう考えても圭一(深山家)の考えがおかしいのだけれど。
離婚届けを渡されても「絶対に離婚しない」と言う健太。佐都は圭一に対し「もう一度チャンスをいただけないか」と頼む。パリの有名レストラン『ソリマチ』を招聘できたら不問にしてくれるというが……。
『ソリマチ』のオーナー・反町は、日本での付き合いに嫌気がさしているようだ。いい返事はもらえない。
反町がパリへ渡るきっかけとなった人物・マダムキリコ(長谷川京子)を説得すればチャンスがあるかもと知った佐都と健太。噂によると、還暦近いのに30代にしか見えず、”キリコベイビーズ”なる若い男たちを侍らせているのだという。そして、彼女(?)は深山家のことが大嫌いらしい。
マダムキリコのことをネットで調べているときのさとけんたの雰囲気が楽し気でとてもいい。「性別不明……でも魔女ってことは女じゃんね」「こんな人いる?」「いないいない」というようなたわいもないやりとりは、この物語の癒しだ。
大介が現れ、軽く「500万貸して」と言われて「んなっ!!」と声をあげる健太がかわいかった。大介はマダムキリコと知り合いだった(キリコは大介が経営していて取り上げられた美容クリニックの顧客だった)のだが、キリコに気に入られ、ベイビーズに入れられそうな大介は紹介したくないという。
「どうしてもっていうなら、キリコベイビーズに入れば?」と言われて「あぁ!?」とまた声をあげる健太、本当にかわいい。深山家に生まれてこんなにまともな価値観を持って育ったの、奇跡としか言いようがない。
お金がないなら高い車を売れという健太だったが、大介は断固拒否。
久美(木村多江)によると深山家の子どもたちは我慢することが多く、大介は圭一と揉めて荒れた時期もあったのだが、車という趣味を得て精神が落ち着いてきたらしい。なるほど……と思ったが、やはりお金がないなら一度手放して余裕が出たら再び買ってもいい気もした……。
おっとりした性格の明人だが、美保子(松本若菜)に「あなたは期待されてるんじゃないの、試されてるの!」と頭をつつきながら言われ、健太を出し抜くという行動に出た。マイペースな彼だが、圭一に期待されたい、認められたいという気持ちがあるようだ。
しかし、この内向的で風変わりな明人、顔つきや仕草が本当に独特で、尾上松也の絶妙な演技が光っている。バラエティーなどで見ていた彼は決してこんな感じではなかったのだが、もともとどんな雰囲気の人だったか忘れてしまうくらいだ。本当に役者が揃っている作品だ。
大介が経営していたクリニックの受付の女性を買収して情報を得た美保子は、大介に「500万渡すし返さなくていいからマダムキリコを紹介しろ」と言ったのだ。「家族を売るのか、健兄とは大違いだな」と非難した大介だったが、車のことを指摘され言うことを聞いてしまったのだ。
薔薇が浮かぶお風呂に入るセクシーでゴージャスなマダムキリコ、演じる長谷川京子がとてもハマっていた。結論から言うと、マダムキリコは噂とは少し違い、純粋に貧しくて才能あふれる若者を支援している人だった。自身もホステスからのし上がったため、深山家というか圭一のことは大嫌いだった(納得)。
佐都に興味を持ったらしいマダムキリコに実家のもつ煮を食べさせる佐都。「気に入ったわ。レシピも権利も全部私にちょうだい」という彼女に、健太は「できません」と言った。これは佐都のお父さんが大事に守った味、実家のお店の味であり、自分たちだけのものではないと。健太のこの誠実さ、いい。損することもあるかもしれないけど、応援したい。
交渉決裂となり、『ソリマチ』の招聘は明人夫妻に取られてしまった。が、フランスのポール・モローという有名な建築家が健太のプロジェクトを手掛けてくれるらしい。圭一は、話題性はソリマチより上かもしれないと満足げだ。
佐都と健太を気に入ったマダムキリコが推薦してくれたらしい。やはり先日のもつ煮の話のとき、彼女は二人を試したのだ。
だが、マダムキリコについて調べている際佐都が頼まれた、有沙(馬場ふみか)の見合いの話がきてしまい、また波乱の予感……起こった有沙はホールケーキを佐都の頭に叩きつけた(佐都、めっちゃいろんなものかけられるじゃん……)。
今回も松本劇場は健在。明人の腕をつねったりおでこをぐりぐりしながら焚きつけたほか、佐都をドブネズミ呼ばわりしてネズミの真似、(さとけんたを)潰す! と言いながら水牛のチーズのようなものを手で握りしめて潰す、「さっちゃんはね~♪」と歌い出すなどなど(歌上手いし)。
さとけんたから見ると憎き敵なのだが、どんなとんでもないことをしてくれるのか(そしてどんな顔芸を見せてくれるのか)楽しみになってしまっている自分がいる。
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
深山佐都(土屋太鳳)と健太(松下洸平)は、圭一(石橋凌)から命じられたレストラン招聘の手柄を深山明人(尾上松也)と美保子(松本若菜)に奪われたものの、佐都たちを気に入ったマダムキリコ(長谷川京子)の協力によりなんとか窮地を脱する。しかし、そんな二人に、新たな問題が襲いかかる。
末っ子の有沙(馬場ふみか)に見合い話が持ち上がったのだ。相手は貿易会社の御曹司・香川友貴(森田甘路)。佐都は仲人の根岸(田山涼成)から圭一への取りなしを頼まれていたが、うっかり忘れていた。有沙はそんな佐都のことを責め立てる。
健太は、家の繋がりを重要視する圭一ならこの縁談にはのらないだろうと有沙を慰める。ところが、見合いの席で香川家の経歴を耳にした途端、圭一の目の色が変わり…。
佐都と健太、久美(木村多江)は有沙の縁談を考え直すよう圭一を説得するが、圭一は聞く耳を持たない。その上、圭一は有沙を部屋に閉じ込めておくよう厳命する。困り果てた佐都と健太は、有沙との縁談を断ってもらうよう香川に直接頼み込む。その後、二人が家に戻ると、有沙が姿を消していて…。
第5話のレビュー
有沙(馬場ふみか)の見合いが決まってしまった。相手は貿易会社の御曹司・香川友貴(森田甘路)。まずお見合い写真が詐欺で、実物と全然違ううえ、有沙を見て開口一番「100点ですね! 女の人は写真と全然違うこともあるけど、有沙さんは実物もお美しい」と言い出す。
有沙「どの口が言ってんの」健太「なんだこいつ」佐都「人に点数つけるなんてありえない」……と、ほぼ視聴者と同じであろう感想が飛び出る。
さらに「有沙さんとの子ども、かわいいんだろうな」と言い出す。初対面でデリカシーのかけらもない……有沙は白目になる。
圭一(石橋凌)の乗り気でない様子だったが、国交省の関係者だと知って態度が変わる。国交省は不動産業をメインとする深山家にとって、つながりを深めておくと有利なのだ。
なんとか破談にしたかったのに、「お手柄だ、いい縁談をありがとう」とお礼まで言われてしまった佐都。そう、そもそもは佐都が前回のマダムキリコの情報を得るために安請け合いしてしまったのが発端だ。
監禁されそうになった有沙は逃亡。健太がなんとか連絡を取ると、こじんまりとしたアパートにいた。そこにいたのは植木職人の青年・中島俊也(葉山奨之)。なんと、有沙の彼氏だという。
「彼氏…彼氏!?」となるさとけんたの反応がかわいい。
いつか別れなきゃいけないのはわかってるけど、俊也とずっと一緒にいたいという有沙を全力で応援することを決意したさとけんた。有沙のことを誰にも教えず、久美(木村多江)も一緒になって縁談を断ることを懇願した。
「この縁談は、断る」圭一が言ったが、この人がそんな簡単に意見を聞くわけもない、何か裏があると思うのだが……。
「今まで意地悪してごめんなさい、私は別れなきゃいけないのに、勝手にやってるお兄ちゃんがうらやましかったの」と佐都に謝る有沙。お嬢様育ちのわがままな子だと思ってたけど、いろいろあったんだな……。
帰宅すると、そこには明人(尾上松也)と美保子(松本若菜)が。さとけんたをつけてきてバレてしまったらしい。明人は俊也に将来の夢をちらつかせて大金を用意し、さらに言うことをきかないと会社が大変なことになると脅して別れるよう強制したのだ。ごめんと謝る俊也、買収されてしまうなんて……脅されたほうがメインだと思いたい。
明人、ついに本性をあらわしたというか悪い方に覚醒したというか……。
美保子、指パッチンからの目つぶしピース、止めようとする佐都を「えええ~い」と腕で止めるなど、今回も大活躍。指でハートを作りパカッと割るなど、相変わらず芸達者である。
有沙を連れ戻す車中、後部座席で並んだ有沙に私たちは幸せなんだと言い聞かせる美保子の話、彼女なりの苦悩や今に行きついた理由が垣間見えるようで心に残った。美保子メイン回も今後あるのだろうか、気になってしまう。
圭一から有沙の結婚の進行を任され、大喜びの美保子「幸せなら手を叩こう(パンパン)」と歌う様子はもはや通常運転だった。
#やんごとなき一族 で
ひときわ強いクセが
ますます強くなっていく
長男明人の嫁・美保子。近頃は彼女を演じる #松本若菜 さんが
「実は美保子本人なのでは?」という
疑惑まで生まれつつある模様。人々が「 #松本劇場 」と呼ぶその姿は
遂に他番組にまで影響を・・・ #ナンバMG5 #押忍 pic.twitter.com/YmbXNxmCYc— 第6⃣話5月26日放送!木曜劇場「やんごとなき一族」【ドラマ公式】 (@yangoto_fuji) May 19, 2022
一方沙都は、再度考え直してくれと圭一に土下座。
「もういいよ」「私、結婚して幸せになってやるから」と止める有沙。
このときの圭一は、いつものような怒鳴って高圧的な態度をするのではなく、なんともいえない表情だった。圭一も何か思うところがあるのだろうか、娘を家の道具にすることに少しでも気後れがあるのだろうか。そうであってほしいという気持ちと、結局裏があるだけなのだろうかという気持ちがせめぎ合う。
一方健太は、香川のもとに現れる。「有沙がいちごを奪うんです」と昔話を始め、
「有沙にはこれからも笑っていてほしい、笑顔でいてほしいんです」
「不幸にしたら絶対に許しません 、絶対に」
「有沙のこと、どうかよろしくお願いします」
と涙ながらに土下座。人の話を聞かないタイプの香川も若干引いていた。
その後家に戻り、香川とデートに行くという有沙を見送る笑顔が切ない。一連から、健太の妹への思いが伝わってきて泣けてきた。
一方圭一に土下座までしてくれた佐都に「私のためにここまでしてくれる人がいるなんて、思ってたより幸せなのかもしれない。ありがとう、お姉さん」と微笑む。今回有沙の株ダダ上がりだな……。
夜、涙ながらに「お父様はああいう人だから、あたくしが波風を立てないようにやりすごしてきたせいで子どもたちを不幸にしてしまった……という久美。佐都はそんなことありませんと慰め、久美は「この家を変えて、佐都さん」と懇願する。実は健太が陰で、一部始終を聞いていたのだった。
家族それぞれの思いに胸を打たれた今回。
木村秀彬さんの音楽もドラマティックに作品を盛り上げる。
なんとか、みんなが幸せになれる方法はないものだろうか。
次週予告、有沙が婚約という流れにも驚きだが、明人が「ムカつくんだよお前は子どもの頃から~」とブチ切れているのも気になる。
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
深山佐都(土屋太鳳)と健太(松下洸平)は、圭一(石橋凌)が強引に進めた有沙(馬場ふみか)の縁談話を止めようとしたが失敗。そんな佐都に久美(木村多江)は深山家を変えて欲しいと望みを託す。ところが、あれだけ香川友貴(森田甘路)との結婚を嫌がっていた有沙は香川を気に入り、早々に婚約してしまう。
二人の結婚準備を圭一に託された明人(尾上松也)と美保子(松本若菜)は婚約祝いの席を設けることにする。美保子は佐都と久美に婚約祝いをお茶会にしようと提案。久美が了承すると、美保子は佐都に雑用を押し付ける。しかし、三人の話を聞いた八寿子(倍賞美津子)は佐都にお手前で客をもてなすよう厳命。佐都は美保子の雑用と茶道の稽古に忙殺される。
そんな時、佐都と健太は良恵(石野真子)に呼び出される。『まんぷく屋』が軒を連ねる商店街の目と鼻の先にある深山グループの土地に、ショッピングセンター誘致の話が持ち上がったのだ。自分たちへの嫌がらせだと圭一に詰め寄った健太を、圭一は会社の利益を考えて判断しろとたしなめる。健太がショッピングセンターより利益が上がる企画を考えると反論すると、圭一は企画提出の期限を告げるが、その日は有沙の婚約祝いの日で…。
第6話のレビュー
序盤10分ちょっとの時点でさまざまな展開があり、濃い回だった……。
有沙(馬場ふみか)と友貴(森田甘路)は仲良くなり、なんと婚約。
前回の大波乱は何だったのか……。まあ有沙が幸せならいいけど。
友貴、やばそうな人だったけどケーキのいちごを取られてもニコニコしてる。意外と合うのだろうか。
そんな二人の婚約を記念して、お茶会が開かれることに。
美保子(松本若菜)が取り仕切り、作法を知らない佐都(土屋太鳳)には何もさせないようにしようとしたが、八寿子(倍賞美津子)に「お点前をなさい。深山の女でしょう」と言われ、初参加のお茶会でお点前を披露することになってしまう。
久美(木村多江)の全面協力により、特訓が始まった。妨害しようと佐都に雑用を頼もうとする美保子。久美は彼女の前に立ちはだかり、強い口調で「これは私がやります、何かあって美保子さんの責任になってしまったら大変ですものね」と押し切ってくれた。
お母様、素敵……! 前回の涙を経て、久美も自分から行動していこうという気持ちになったのだろうか。いずれにしても、本当にずっと見方でいてくれる存在が心強い。そして木村多江さんのこういう演技、いい……!
そして今回すごかったのは、なんといっても明人(尾上松也)の暴走。ここ数話で態度が変わってきてはいたが、今回はすごかった。
佐都の実家のお店がある商店街は、深山家によってピンチを迎えていた。
向かいの深山の土地に建っている団地をつぶして、ショッピングモールを建設しようというのだ。怒る健太だが、圭一は取り合わない。もっといい案を期限までに考えると食い下がる健太だったが……。
暗闇から昔閉じ込められた記憶を思い出し、健太への憎しみが増した明人は、ものすごい形相で健太に怒鳴ってくる。
「次男坊の健太くん、むかつくんだよお前昔から」
「好き勝手ばかりして、いつも怒られるのは僕だけ」
「僕が厳しくされてきたのを知ってるくせに、跡取り争いにしゃしゃり出てくるなよ!」
……健太がしゃしゃり出たのではなく、圭一が勝手に呼び戻しただけなのだが、ずっと自分が損をしていると思ってきた明人にはそう見えるのだろう。
穏やかではない兄を心配して「大丈夫か?」と健太が心配しても
「やめろよその顔! 心配してるふりしやがって」
思い込みが極まっていて、関係修復はなかなか難しそうだ。
「跡取りは僕だ。おま、えじゃ、ない!」
怒鳴るだけでなく、指で健太のおでこをツンツンするのが印象に残るし異常さをかもし出している。健太のショックそうな顔に心が痛む。
健太は決して悪くなく、いつも自分の心のままに行動しているだけなのだ。
ただ以前、大介(渡邊圭祐)にも「お前に言われたくない、俺の気持ちはわからない」というようなことを言われたことがあった。
自分たちがとてもできないようなことを、自分のままでやってのける健太は、相手にうらやましい、ねたましい気持ちや劣等感をわき起こさせてしまう存在なのかもしれない。
かなりショックそうだが、健太にはそのままでいてほしい。
明人とのことが頭に浮かびつつ、佐都の待つ離れに入る前に表情を作り直す健太が健気……。そして寝てしまっていた佐都にストールをかけ、キスするシーンがとてもよかった。ほんとにこの「大切なものに触れている感」がたまらない。
あとエプロンと眼鏡姿の健太もとてもよかった。
お茶会当日。いきなり佐都に対して動揺を歌い出す美保子。
「お母さんなあにお母さんていい匂い……におうわ」
なんと美保子は、佐都の母・良恵(石野真子)をお茶会に呼び、マナーのなっていない彼女を笑いものにして佐都の立場を悪くするつもりだったのだ。
普段着と聞いて普段着の着物ではなく洋服を着てきてしまった良恵に
「あら私としたことがどうしましょう」と1話と同じセリフを言い佐都が心の中で「デジャブ」と言っていて笑ってしまった。
さらに良恵を正客の席に座らせるなど悪だくみする美保子だが、いろいろと失敗したものの、美保子のフォロー(という名の点数稼ぎ)から「マナーは思いやりだと思ったんです」と自ら習っていないのにお茶碗の絵柄を外側にし、称賛の拍手をあびる。不本意ながら仕方なく、ゴリラのような拍手をする美保子には笑ってしまった。
良恵の横でいろいろとフォローしてくれ、最後は「知識ではなく、心でなさったと」と褒めてくれた客の男性、素敵だった。
帰り際、良恵を呼び止めた八寿子は、こう声をかけた。
「正しい作法は学べば身に付きます。でも一番大切なのは、相手を想う心。今日はあらためて学ばせていただきました」
「佐都さん、結構なお点前でした」
八寿子さん、素敵……! 久美によると、八寿子は関西から嫁いできて随分といろいろ言われ苦労したらしい。「おばあさまはきっとさとさんに期待してるの。私もね」と言う久美。
八寿子さんも、彼女の苦労をしっかりわかっている久美さんも素敵だ。
一方健太は、商店街の人たちがひどい契約書にサインさせられそうになっているのを止めに行った。「この商店街は俺にとってふるさとです。はじめて家族の温かさを教えてくれた」と言う健太の様子から、心から感謝して大事に思っているのが伝わってきた。
触れるべきか迷ったが、商店街のメンバーとしてダチョウ俱楽部の3人が出演していたこのドラマ。すでに撮った部分の上島さんのシーンが流れたが、2人だけのシーンもあり、あらためてさみしさを痛感した。
最後にとんでもないことが発覚する。美保子の実家の和菓子屋は、愛人とその娘によって乗っ取られ、元の奥さんは今も心を病んでいるという。それを言い出した友貴の母は「気分が悪い」と帰ってしまった。美保子は、その愛人の子だったのだ。
どうやら明人はそのことを知って結婚したらしい。はじめて会った美保子の笑顔の一目ぼれしたようだった。逆にちょっと見直した。だが健一は激怒。「二度と私の前に顔を出すな」と言い捨てる。
一人泣く美保子。「まわりに見下されながら、血のにじむような思いをしてここまできたのになんで?」
なら同じ立場の佐都にもっと優しくしてあげてもと思ったが、そのままで嫁いだ佐都が気に食わなかったのかもしれない。結構似たもの夫婦なのかも。
次回、泉(佐々木希)の本性が見られそうで楽しみだ……!
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
深山佐都(土屋太鳳)は健太(松下洸平)との子供を身ごもる。二人から報告を聞いた圭一(石橋凌)は喜ぶが、彼にはある思惑があった。それは、健太と秘書の立花泉(佐々木希)を結婚させ、佐都を深山家から追い出すこと。その思惑は環境大臣に就任した泉の父・立花隆(篠井英介)とも一致。深山家と立花家を強く結びつける二人の計略は実行に移され、泉も健太に積極的なアプローチを開始する。
圭一は佐都に、産まれた子供とともに深山家から出ていくよう厳命する。佐都は抵抗するが、話を聞いた母の篠原良恵(石野真子)は、これ以上娘をバカにするなと激怒。良恵は駆けつけた健太に、佐都と別れて欲しいと頭を下げる。
それでも、二人がお互いを想い合う気持ちは変わらない。健太は良恵に会い、自分がもっと強くなり佐都と子供を守ると宣言。そんな健太に、良恵は絶対に負けないことを約束させる。
同じ頃、泉が佐都の病室を訪れる。健太と別れるよう促す泉に、佐都は絶対にギプアップしないと言い、彼女を追い返す。そんな二人のやりとりを、ちょうど佐都の見舞いに来ていた大介(渡邊圭祐)が聞いてしまい…。
第7話のレビュー
泉(佐々木希)、このままいい人で終わるわけないとは思っていたが、ここまでだったとは…
佐都(土屋太鳳)が妊娠し、圭一(石橋凌)も久美(木村多江)も大喜び。
突如現れた松子(柴田理恵)らお世話3人組には笑ってしまった。
だが”深山家の子”を産む母として、ベビーグッズの買い物も許されないような安静を強いられる。
前回愛人の子だと発覚した美保子(松本若菜)への、圭一の当たりはひどいものだった。佐都はそれを咎めるが、美保子は「これからが本当の地獄」と言い捨てて去って行ってしまう。
前回のラストからどうなる事かと思ったが、美保子が意外と元気そうで安心(?)した。明人(尾上松也)は姿をくらませてしまったようだが……。
目元パックをしながら。泉の父・立花隆(篠井英介)が環境大臣に就任したというニュースを観た美保子。何かをたくらみ笑う様子はタヌキのよう。
後日呼び出した相手は、やはり泉(佐々木希)だった。
まだ間に合う、健太(松下洸平)を手に入れるなら今と焚きつけるが、泉は「恐ろしいことをおっしゃらないで」と拒否。美保子は「かまととぶりやがって」と毒づく。
だが佐都が妊娠したと聞いた泉は、なにやら様子がおかしい。
突然自宅に押しかけ「まだ健太さんの出張の準備してないの? かわいそう」と言い、勝手に健太のパンツなどを用意し始める。
帰宅した健太に説明するも「むっず!あのひりついた空気説明すんのむっず!」と内心で思う佐都。確かに、これまでの泉の行動からは考えづらいことだった。
しかし、これを皮切りに泉の暴走が始まった。
健太の出張先の温泉(混浴)に突然現れ一緒に入り、長時間温泉に出入りして湯あたりした健太のルームキーを盗み、休んでいる間に部屋に忍び込んた。
健太のスーツケースが入るように写真を撮ってSNSにアップしたほか、健太が起きると添い寝しており、キスしてきて告白してきた。
佐都から電話がかかってくるも「出ないで 私だけを見て」と阻止、
「失敗してもやり直せばいいって教えてくれたのは健ちゃんだよ」
匂わせ女やないか……!? と思ったがそれどころではない展開にあ然としてしまった。
帰宅した健太の顔を見て「ほんとに嘘つけないね」と笑う佐都。
さとけんた、強い……! しかしキスからの告白にはさすがの佐都もドン引き。
さらに鬼LINEからの電話、LINEの内容は思い込みが激しすぎて、もう完全にちょっとおかしい人……。
泉「夫の電話に出るなんて非常識ですね」
佐都「非常識ってどっちがだよ」
佐都、圧倒的に正しい……!
「健ちゃんわかってるよ、本当は私に未練があるんだよね」と、何を言われても聞く耳を持たない泉、めちゃくちゃこわい。さらに彼女は翌日、深山家の食事の場に現れた。
「佐都さん 今までありがとうございました。私の代わりは荷が重かったでしょう、もう大丈夫ですから」とまで言い出す。
圭一は、佐都を追い出したかったために泉の申し出を許可したのだ。有沙の件でこの人にも人情が? と思ったのは気のせいだったようだ……。
さすがに怒った健太に「お父様も期待してくれてるのよ、私はみんなの幸せを考えて行動してるだけですわ」と言うが、きっぱりと断られ「何がみんなにとっての幸せか、もう一度考えてくれ」と言われてしまう。
健太はこれでわかってくれたと思っていたようだが、人が良すぎるよ、甘いよ……
そこへ現れた美保子。泉に向かって「まあひどいお顔! 綺麗事言ってたくせに滑稽ね。この前のことは水に流して 手を差し伸べてあげますわ」と言うが、その手を握ってネイルの禿げを指摘「手助けなど不要ですわ」と笑う泉。
「イッちゃってるぅ」と、あの美保子に言わせるほどのヤバさだ。
ここ、松本若菜さんのアドリブらしい、さすが面白い……!
ヤバさは泉のほうが上だけど、やっぱり美保子は面白いな~。
今回は美保子の暴走が控えめで、ちょっとさみしさを感じてしまう自分がいた。
キスを禁止されたさとけんたの「もう少しがまんがまんがまん」とおでこと鼻をくっつけるのがとてもよかった……!
父母教室に訪れた健太に突然電話してきて「今すぐ父と話して」という泉。来なければ佐都の実家がある商店街の計画を白紙にするという。父親も「佐都と別れて泉と結婚しなさい。そのほうが有益だしパーフェクトだ」「そうしないなら商店街の話はなしにする」と言う。なんて卑怯……! っていうか父娘そろってメンヘラかよ……。
きっぱり断る健太、さすが! それでこそ健太!
心労がたたって倒れてしまった佐都のところに圭一がきて「邪魔だ」「子供は連れて行っていいから健太と別れろ」「泉と佐都とでは家も学歴も何もかもが違う」と言う。ほんと最低。
たまたま廊下で聞いていた母・良恵(石野真子)。あまりのことに圭一に噛みつき、出て行ってくださいと言う。そしてやってきた健太に「佐都と別れてください」と言うのだった……。
どうなる、さとけんた!?
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
深山佐都(土屋太鳳)は健太(松下洸平)との子供を身ごもる。二人から報告を聞いた圭一(石橋凌)は喜ぶが、彼にはある思惑があった。それは、健太と秘書の立花泉(佐々木希)を結婚させ、佐都を深山家から追い出すこと。その思惑は環境大臣に就任した泉の父・立花隆(篠井英介)とも一致。深山家と立花家を強く結びつける二人の計略は実行に移され、泉も健太に積極的なアプローチを開始する。
圭一は佐都に、産まれた子供とともに深山家から出ていくよう厳命する。佐都は抵抗するが、話を聞いた母の篠原良恵(石野真子)は、これ以上娘をバカにするなと激怒。良恵は駆けつけた健太に、佐都と別れて欲しいと頭を下げる。
それでも、二人がお互いを想い合う気持ちは変わらない。健太は良恵に会い、自分がもっと強くなり佐都と子供を守ると宣言。そんな健太に、良恵は絶対に負けないことを約束させる。
同じ頃、泉が佐都の病室を訪れる。健太と別れるよう促す泉に、佐都は絶対にギプアップしないと言い、彼女を追い返す。そんな二人のやりとりを、ちょうど佐都の見舞いに来ていた大介(渡邊圭祐)が聞いてしまい…。
第8話のレビュー
前回とんでもない一面を見せた泉(佐々木希)だが、暴走は今回も止まらず、もはやホラーのような展開に驚愕した。
佐都(土屋太鳳)の母・良恵(石野真子)に「佐都と別れてください」と言われてしまった健太(松下洸平)。佐都に今までのことを謝り弱気になる健太だが、佐都は「私の幸せは、健太と一緒にいることだよ」と言う。
あらためて佐都の大切さを痛感した健太は良恵のもとに行き「佐都がいなきゃ、2人じゃなきゃ戦えないんです」と言いに行く。
さとけんた、お互いを思い合っているのはもちろん、2人にとっていちばん大事なことは何かを見失わないところが最高だと思う。相手を思って身を引いたり我慢したりして観る側がもどかしい思いをする……みたいなことが比較的少なめかもしれない。何より大事な2人でいることが大事という点はブレないところが素晴らしい。
良恵も「だったらひとつ約束して、絶対に負けんじゃないわよ!」と認めてくれた。いいお母さんだ、さすが佐都のお母さん。
同じ内容のメールを見て微笑む佐都の病室に、泉が大きな花束を持ってやってきて「私もいつかここで、健ちゃんの赤ちゃんを産むのかな」と言う。ヒエエェ……何言ってんのこの人、怖すぎる……!
だがこれに対する佐都の対応が最高だった。
低い声で「は?」と言った佐都は花束を払い落とし「ふざけないで」と言う。
なおも「早めにギブアップしたほうが」と言い募る泉に、佐都は「あんたとあんたのパパが何をしてこようが私たちは絶対に負けない。そんな生半可な気持ちで健太と結婚したんじゃない。なめないで」と言い放つ。
追い出された泉は病室の外で花束を落とし「許さない」と言う(何を)。怖い怖い怖い。それを見ていたのが大介(渡邊圭祐)だった。「女って怖い」とつぶやいた大介に、何の話かとマダムキリコ(長谷川京子)が興味を持つ。
健太は自力で仕事を何とかしようと駆け回るが、泉の父・立花隆(篠井英介)が手を回し、話すら聞いてもらえない。
さらに、会合だと聞いて待っていると相手は来ず、ウェディング姿の泉が入ってきてドレスの好みを聞き、スライドにはパワーポイントで作られたと思われる「健太と泉の結婚に関する資料」が映し出される。怖っ……! キモッ……! もはやホラー番組である。
邪魔邪魔邪魔……といかに佐都が邪魔かを早口言葉でまくし立て、「パジャマでお邪魔」(懐かしい)を歌い出す美保子(松本若菜)、今回も絶好調のようだ。あまりに無反応な相手に「聞いてるの!?」と怒るが、相手は蝶の標本、反応するわけがない。明人(尾上松也)はどこに行ってしまったのか……。
邪魔されていた健太の仕事だったが、ある日一転して通る。マダムキリコが手を回してくれたらしい。
実は立花はとんでもないパワハラ野郎で、マダムキリコの恋人は立花の秘書だったがパワハラを受けて亡くなったそうだ。さらに、泉はフランスで恋人を刺し、殺人未遂を起こしていたというのだ。立花がなんとかもみ消したが、これを機に泉は父親からの信頼を失ったらしい。
とうとう会社も辞めさせられることになった泉は、前回突っぱねた美保子に泣きつく。「は? 協力してほしい? 何を今さら。お断りよ、そんな泥舟に乗る気ないわ。お力になれなくてごめんなさいね〜、じゃ!」と断られる。電話を切られた後の泉の顔やらカメラワークが完全にホラーでほんと怖いってぇ……。
翌日、健太の仕事先に押しかけ、ビルの屋上から飛び降りようとする泉。
「なーんて、もうきちゃった♡」っていうセリフがホラー。
人のいい健太は、放っておけず屋上へ駆けつける。
「一緒に行こう健ちゃん」と手を引っ張る泉。やめろ……!
「ママは子どもだった私を置いて出て行ったし……」と語り始める泉。出て行った母親と、自分を道具としか見ていない、完璧を求める父親。泉の育った環境には同情するし、こんなにおかしくなってしまった理由も少しわかった気がする。
だがこんなことしたらアカン……。
「こんなことしても泉が望むものは手に入らない、泉を幸せにできるのは泉だけだ」と健太は説得するが、
「こっちにきて、健ちゃん、一緒に行こう、健ちゃん」
と2人とも落ちてしまった。そんな、ここで健太がいなくなってしまうなんて……!? と驚愕した。
だが奇跡的に2人とも軽傷で助かった(何でだよ)。
「もう駄目かもって思ったとき、真っ先に佐都の顔が浮かんだ」という健太。本当に無事でよかった……。
健太は無事に回復していくが、泉の病室には誰も来ない。佐都はそのことがずっと気にかかっていた。健太の退院の日、佐都は泉の病室による。
またこんなことしようとしたら許さないという佐都に、もうそんなことする気力はないから安心してと言う泉。佐都は「いいわけないでしょ」「あんだけ私たちのこと荒らしまくったくせにふざけんな」「どうでもいいなんて言わないで」と、怒りながらも励ます。
「でももう取り返しがつかない……」という泉に「そんなことない、人は何度でもやり直せる。泉さんはまず、その完璧という呪いから逃れるべきです。その呪いをかける相手から離れないと、いつまでも同じことの繰り返しです」と声をかける。
佐都、お人よしを通り過ぎて人徳ありすぎる……普通こんなことしたやつ一生関わりたくないのに。
退院した泉は「もう、完璧はやめる。さようなら、お父さん」と家を出ていくのだった。かなり極端な例だったけど、完璧を求めて苦しんでいる人はきっと少なくない。佐都の言葉に励まされた人は、泉だけじゃなかったかもしれない。
泉とのやり取りを病室の外で聞いていた健太。「佐都と結婚できて世界一幸運だな」「佐都と一緒にいられてハイパーウルトララッキー」「ハイパーウルトラ超絶ミラクルラッキー」とあらためて感謝を伝える。
そして「もう絶対に離さない。だからこれからも俺と一緒にいてください」と
いう再プロポーズ? が最高すぎた。大事なことをきちんと言葉にして伝える健太も最高。
「接吻禁止」と佐都が気にしても「かまうもんか」という健太、キスする2人がよかった。世界一幸せでいてほしい。いつも聞き耳を立てている家政婦の人(?)も良かった……と泣いていて笑ってしまった。
圭一(石橋凌)に明人の子どもを妊娠したと言ってしまった美保子、何やらネットでやり取りした男にお金を渡して精子らしきものを受け取っていたけど、大丈夫なのか……!? まだまだ波乱はありそうだ。
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
>>>「やんごとなき一族」の画像をすべて見る
深山佐都(土屋太鳳)と健太(松下洸平)は、立花泉(佐々木希)を利用して二人の仲を引き裂こうとした圭一(石橋凌)の策略をかわす。そんなとき、圭一の妹・春菜(キムラ緑子)が深山家にやってくる。春菜は毎年決まった時期に深山家にやってきて、滞在中は美保子(松本若菜)と過ごすのが恒例だった。しかし、妊娠を表明したばかりの美保子を外出させられないと、安定期に入った佐都が相手をすることになる。
佐都は春菜に、アイドルのヤマト(内藤秀一郎)が出演する舞台に連れて行かれる。春菜はヤマトの熱烈な追っかけをしていたのだ。二人が屋敷に帰ると圭一は春菜を叱責。これ以上、無駄金を融通する気はないと吐き捨てる。そして、佐都には子供の性別が判明したらすぐに報告するよう命令する。
同じ頃、健太も参加する深山グループの役員会議に明人(尾上松也)がリモートで出席。そこで明人は、休養の礼と自身が奔走するビッグプロジェクトについて述べる。一方、美保子はそのことをつゆ知らず、一向に家に戻らない明人に焦燥感を募らせる。
そんな中、春菜はヤマトを深山邸での食事に招待する。給仕に呼ばれた佐都の妊娠を知ったヤマトが子供の性別を尋ねると、なぜか春菜は取り乱した様子で…。
第9話のレビュー
かなりお腹が大きくなってきた佐都(土屋太鳳)。
圭一(石橋凌)をはじめ、みんな赤ちゃんの性別を気にしだす。結婚した有沙(馬場ふみか)も、姑に「男の子を授かるためには身体をアルカリ性に」「今日は排卵日でしょう」などと言われていた(最悪だ)。
男の子にこだわる周りを疑問に思う佐都だが、深山家では男子しか役に立たない、女子はいい人と結婚できれば役に立つくらいの考えなのだった(これまでの内容から想像はついたが……)。
そんな中、圭一の妹・春菜(キムラ緑子)が家にやってくる。春菜はアイドルのヤマト(内藤秀一郎)の熱烈な追っかけをしており、佐都は彼の舞台に連れていかれる。圭一は彼女のことを疎ましく思っているようで、女の子について「これ以上お荷物が増えたらかなわん」と言う。
深山家に女子として生まれ、結婚もしていない春菜は厄介者らしい。彼女は華道の腕前が素晴らしいが、深山家の女は仕事をさせてもらえず、各地をボランティアをしてまわり、深山家の財産で暮らしているらしい。
春菜はヤマトに高価なプレゼントをして貢いでいるようだ。なんと、圭一が明日国交省のお客さんに見せようとした高い花瓶(高価な骨とう品)を価値もわからず売ってしまったのだ。
困った佐都と健太(松下洸平)は、ヤマトに時計を返してもらえないか頼みに行く。意外にもヤマトはあっさり返してくれ、「こういうことはもうやめてもらうよう言ってくれませんか」と言う。
ヤマトは売れない時代から応援し続けてくれた春菜に感謝しているから、高価なプレゼントなんかいらないというのだ。ヤマトくん、アイドルの鑑……。深山家に訪れたときも(家に呼べるんかい)「(男の子でも女の子でも)どちらでも最高にかわいいんでしょうね」と言っていたし、本当にいい人みたいだ。
だが春菜は「その子は男の子よ!そうじゃなきゃ悲劇だわ」と言う。後から聞いた話によると、春菜は女子なうえに身体が弱かったため、役に立たないと父親(健太たちの祖父)に無視されていたのだ。
ひ、ひどい……。お見合いもしたが、身体が弱いために「跡取りを産めないんじゃないか」とすべて断られたという。春菜はずっと自分には価値がないと思い、ヤマトくんだけが自分を必要としてくれた「自分が存在してもいいんだって思える唯一の救いなの」のだという。なんだか悲しい……。
佐都はそんな春菜に「素敵な花をいけられるなんて心が豊かな証拠です。誰かの奥さんになるとか親になるとか、それだけが人の価値なわけないです」と伝え、久美(木村多江)も「私ね、春菜さんのお花が大好き」と言った。
圭一は翌日の来客時、春菜に恥ずかしいから顔を出すなと言ったが、佐都の提案で、来客時に花瓶にお花をいけてもらうことに。客人は骨董品に花がいけてあったことに大変驚いたが、「スケールが違う!」と感心し、久美は「主人の妹の春菜です」と誇らしげに紹介するのだった。初めて人に認められた春菜は感謝した。
妊娠していると嘘をついていた美保子(松本若菜)。前回提供された精子を使うのはさすがに思いとどまったようで良かったが、お腹にシリコンを巻いて嘘をつきつづけていた。召使いに語る、オールバイ美保子の努力によるシンデレラストーリー、ちょっと気になる。
お嬢様の集まる大学に頑張って入ったが、深山家の3人だったら誰がいい? という話題になっても「美保子さんのところは家柄が違うから関係ないか」と馬鹿にされたりしたらしい。
大学で話題になる深山家三兄弟もすごいが、この話に出てくる金持ち、性格悪い人多くないか……?
なぜか明人(尾上松也)オーディションをし、明人の笑い方を再現する美保子、やはり面白すぎるんだが。明人から呼び出しがあったと思ったら離婚届が張り付けてあり、電話で「別れてくれ」と告げられるが美保子はブチギレ。明人が座っている車の反対側の窓の下から「見いつけた」と顔を出してきたのは怖すぎた。前回でホラー回は終わったと思ったのに(笑)。
明人、ずっと不敵な感じだったのにさすがに美保子があらわれたのにはびっくりし、叫んで形態をぶん投げてビビッていた。仕事には遠隔で復帰したみたいだが、美保子はそのことを知らないらしい。
さとけんたの子どもの性別が判明。女の子だとわかり「がっかりだ」という圭一に、「勝手にこの子に役割を押し付けないでください。子どもに役割なんかありません。女の子だろうが男の子だろうが、どんな性別だって、この世に生まれてきてくれるだけで十分に価値があるんです」と言う佐都。
「そうだよ、俺たちの子どもをこの家の犠牲にはさせない」という健太。
どっちの性別でも、この2人の子どもに生まれてきた時点で大ラッキーな気がする。
ラスト、妊娠は嘘だったことがばれ、ひどい言葉でなじられた美保子はナイフを手にしようとし、それを止めた佐都はリビングで産気づいてしまう。
ちょうどその頃、健太は明人に呼び出されていた。明人は車いすに乗っていた……。
どうなる? 佐都。 どうなる? 健太。
次回、佐都が健太に別れを告げていて気になるどころじゃない……。
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{第10話ストーリー&レビュー}–
第10話ストーリー&レビュー
第10話のストーリー
>>>「やんごとなき一族」の画像をすべて見る
深山佐都(土屋太鳳)と健太(松下洸平)は、立花泉(佐々木希)を利用して二人の仲を引き裂こうとした圭一(石橋凌)の策略をかわす。そんなとき、圭一の妹・春菜(キムラ緑子)が深山家にやってくる。春菜は毎年決まった時期に深山家にやってきて、滞在中は美保子(松本若菜)と過ごすのが恒例だった。しかし、妊娠を表明したばかりの美保子を外出させられないと、安定期に入った佐都が相手をすることになる。
佐都は春菜に、アイドルのヤマト(内藤秀一郎)が出演する舞台に連れて行かれる。春菜はヤマトの熱烈な追っかけをしていたのだ。二人が屋敷に帰ると圭一は春菜を叱責。これ以上、無駄金を融通する気はないと吐き捨てる。そして、佐都には子供の性別が判明したらすぐに報告するよう命令する。
同じ頃、健太も参加する深山グループの役員会議に明人(尾上松也)がリモートで出席。そこで明人は、休養の礼と自身が奔走するビッグプロジェクトについて述べる。一方、美保子はそのことをつゆ知らず、一向に家に戻らない明人に焦燥感を募らせる。
そんな中、春菜はヤマトを深山邸での食事に招待する。給仕に呼ばれた佐都の妊娠を知ったヤマトが子供の性別を尋ねると、なぜか春菜は取り乱した様子で…。
第10話のレビュー
美保子(松本若菜)を止めようとして産気づき、そのままリビングで出産した佐都(土屋太鳳)。生まれたのは女の子だった。途中で健太(松下洸平)も到着し、生まれた直後に「ありがとう」と伝えていてさすが健太~! となった。
さらに、何やら絵を描いて「佐都 赤ちゃん 俺」と言い出す健太。なんでも一緒にお絵かきするときのための練習らしい。健太、かわいいがすぎる。
だが少々絵が下手だったので、佐都には「全然似てないじゃん」とツッコまれてしまう。でもそれもまたかわいい。
だが男子を望んでいた圭一(石橋凌)は、赤ちゃんの顔すら見てくれない。「次は男を産め」「男を産むのが深山家の嫁の義務だ」などと言い、身体をアルカリ性にするため甘いものは食べては駄目だとお祝いのお菓子を全部廃棄される(ひどい)。
久美(木村多江)も自分が明人が産まれるまで時間がかかりつらい思いをしたからと、男の子が産まれやすくなる薬を差し出してくる(そんなこと本当にあるのか?)。
だがその薬を飲むと母乳を止めなければいけない。哺乳瓶を嫌がる子に無理やりミルクを与えることになる。佐都は「今この子を大事にしたい」と薬を飲むのを断る。圭一のあまりに頑なな態度に健太は抗議し、もみ合いになって倒れ、階段に頭をぶつけてしまう。大したことないという健太だったが……。
一方美保子は、佐都の出産の際、肩をさすり全力で「頑張って~!」と言ってしまったことを「何であんなこと言っちゃったんだろう……」と思い返していた。かわいいな美保子。「明人さん、ちゃんと話がしたいわ。会いましょう」とメールしかけて全部消してしまう美保子。美保子……!
2人で赤ちゃんを抱くさとけんたは、このうえなく幸せな時間を過ごしていた。
「チョコが食べたい」と言う佐都に「佐都さん、梅干しの入れ物を見なさい」と言い出す健太。なんと隠しておいてくれたのだ。2人でチョコレートを食べ、チョコレートをポッキーゲームのように口移しで半分に割るシーンもあり、こっちが恥ずかしくなるほどの熱烈っぷりだった。
しかし翌朝、健太は佐都に「誰ですか?」と言う。どういうこと……?
病院に行ったところ、泉(佐々木希)と転落した事故の後遺症で、昨日頭をぶつけたことをきっかっけに記憶喪失になってしまったらしい。一時的なものか、ずっと続くものかわからないという。このタイミングでそんな……。
健太は結婚したことも、兄弟たちが結婚している(していた)ことも忘れていた。有沙(馬場ふみか)も佐都のことを忘れた健太に驚く。圭一は「本人が混乱しているから、健太はしばらく母屋で過ごさせる」と言うのだった。
時を同じくして明人(尾上松也)が深山家に登場。車いすについては「大したことない」という説明しかなくそんなことあるかーい! と思う。
「健太もこんな状態だし力になりたい」「しばらくここにいていいですか」と言い、圭一も快諾。表向き健太に優しく接するが、内心では健太に復讐するつもりだったのだ。
ある晩明人のいないところで、圭一は健太に深山家当主の孤独を語る。
「どんなに嫌われようと、恐れられようと、それを受け入れる」
彼の横暴さには毎回イラっとしてきたが、彼には彼の孤独があったのだなとわかるシーンだった。
「でもそれってさみしくない?」と言う健太に「だから明人は駄目だ。あいつは孤独に耐えられない」「お前だけなんだ健太」「孤独だと思っていたがお前がいる」とたたみかける圭一に、健太は跡を継ぐ決心をしたのだった。
圭一、一瞬ほだされてしまったけどもしかしてこれも策略なんだろうか。
実はこの会話、明人にすべて聞かれていた。「健太に復讐するのはもうやめる。深山家をぶっつぶす!」と言う明人。彼が結託しているのは、なんとリツコの父(石黒賢)だった。なぜ……?
当主になる決意を固めた健太は、離れに戻るが、佐都が飾っていた健太の描いた3人の絵を見てぐしゃぐしゃにして捨ててしまう。佐都に怒られ謝るが、何か思い出すきっかけになるのだろうか。
明人の帰りを聞きつけた美保子が現れる。なんと退去命令まで送りつけたらしい。
「君は深山家にふさわしくない」と言う明人。「深山美保子じゃないと意味がないの」と言う美保子に「それがムカつくんだよ。君がなりたいのは僕の妻じゃなくて、深山家の長男の妻なんだろ。お断りだね」と言う明人。
そ、それを言われるとなんにも言えねーーー……。でも明人は美保子のこと本当に好きでかばっていたみたいだったのに、何でこうなってしまったのだろう。
召使いたちに胴上げのように全身抱えられて「あの蝶々の標本捨てるわよ!」と捨て台詞を吐く美保子、帰宅後「私に楯突こうなんて一億と二千年早いんだよバーカ!」と標本をプールに捨てようとするが、捨てられない美保子。もう今回全体的にかわいいんだが美保子……。
圭一は「彼女は深山家にとって有害な存在だ」と健太に吹き込む。深山家のしきたりを全く守らないと。健太は佐都に「深山家のためにしきたりは大切だから守ってください」と言う。
記憶喪失だから本人に罪がないとはいえ、健太の人柄もこのドラマの素晴らしいポイントだったので、健太がこんなことを言うなんて、こんなの健太じゃないというショックがすごい。佐都はその何百倍もショックだろう……。
ついに佐都は、こう切り出す。
「私はあなたの妻じゃありません。今のあなたは私の知っている健太じゃないですから」
「不器用だけどすごく熱い人、泣き虫だけど優しい人。そんな健太と一緒にいられて私は世界一幸せです」
「だからすっごく幸せだったよ、健太」
「でも、もう一緒にいられないね。別れましょう」
つ、つらい……。さとけんたが別れてしまうの??
別れることを聞き、いつになく久美が激しい感情を見せた。
健太に「あなたのためにさとさんがどんな思いをしてきたか」と言い、圭一に「いい加減にしてください!あなたは女をなんだと思ってるんですか!」と怒鳴った。
2人とも、久美の怒りには驚いた様子だった。
このドラマが始まったばかりのとき、いつか木村多江さんのブチギレ演技が見られるかと思ったが、序盤で佐都の味方になったためないかなと思っていた。しかしこういう形で見られるとは……!
健太とのいろいろな出来事を思い出して泣く佐都が切ない。健太、佐都のこと「もう離さない」って言ったのにばかぁ……。
明人が何やら深山家のデータを盗んでいたが、何をたくらんでいるのか。
それを見ていたのは家政婦となった美保子! さすがめげない美保子……!
そして何よりさとけんたはどうなるのか。みんなそれぞれ幸せになれるのか!?
最終回に期待が募る。
あと竹財輝之助がドバイの大富豪役で出演するの、意味が分からなすぎるし面白すぎてやっぱりこの作品最高だなと思う。
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{第11話ストーリー&レビュー}–
第11話ストーリー&レビュー
第11話のストーリー
佐都(土屋太鳳)は娘の凛を連れて深山家から出て行く。夫の健太(松下洸平)が、佐都と出会ってからの記憶を失くしてしまい、別人のようになってしまったからだ。圭一(石橋凌)はこれで自分の思惑通りになったとほくそ笑むが、女性を見下す彼の態度に、とうとう久美(木村多江)の堪忍袋の緒が切れる。一方、万野誠(石黒賢)と手を組んだ明人(尾上松也)は、健太が記憶を失ってもなお、圭一が自分ではなく彼を跡取りにしようとしていることを知り、深山家そのものを潰してしまおうとしていた。
その後、佐都が実家の『まんぷく屋』で良恵(石野真子)を手伝っていると久美が訪ねてくる。今まで辛い思いをさせたと謝る久美に、佐都は気丈に振る舞う。久美と入れ替わるように美保子(松本若菜)もやってきて、圭一に罵られた時に気持ちを抑えられなくなった自分を佐都が止めてくれたことに感謝する。そして、美保子は深山家の存続に関わる重大な問題を佐都に伝える。
健太は出て行った佐都が気になり、久美や有沙(馬場ふみか)、大介(渡邊圭祐)、使用人にまで自分たち夫婦のことを聞いて回る。誰も佐都を悪く言う者はなく、彼女と出会ったことで自分が変わったことを知った健太は『まんぷく屋』へ。応対した良恵に、自分がどんな人間だったか佐都から聞きたいと頼むが…。
その裏で、明人の計画が実行に移される。深山グループに経営破綻の危機が訪れて…。
第11話のレビュー
毎回楽しませてもらったこの作品、最終回は楽しみだけどすごくさみしい。
この作品と登場人物たちが大好きだった。
記憶喪失になってしまった健太(松下洸平)と別れ、実家の定食屋で働きながら娘の凛を育てる佐都(土屋太鳳)。
圭一(石橋凌)の横暴に、ついに堪忍袋の緒が切れた久美(木村多江)。
「こんな人間の面倒なんか見たくない」「女は役に立たないのでしょう? 私も女ですから」というときの表情がすごくて、さすが木村多江さん……! と思った。
圭一の面倒を見ることを放棄した久美は、佐都の実家「まんぷく屋」を訪れる。新人の店員と間違われてそのまま手伝いをすることになり、手際の良さをほめられて「楽しい、給仕してこんなに感謝されたの初めて」と感激する様子がかわいかった。
そして今度は、なんと美保子(松本若菜)が店に現れる。
「あの時あなたが私を止めてくれなかったら私は豚箱行き。そんなことになったら私の築き上げてきたサクセスストーリーが台無し。そんなことになったら悲劇だわ……」と長々語り出す。
「つまりその、あれよ……あ、ありがとぅ」
「そして……ごめんなさい」
佐都はびっくりして無言になり、美保子はもう1回「あの時あなたが……」から話しはじめるところだった。そりゃみんなびっくりするよ美保子……! ありがとうとごめんなさいが言える人になったんだね美保子……!
感動である。言いなれてなくて&言いづらくて必殺技みたいな言い方になっちゃってるのも愛おしい。
深山家では、健太と久美が話していた。
「佐都さんのやり方は、圭一さんには深山家を破滅させるように感じたのかもしれない。でもこれは破滅ではなくて革命だと思うの」と話す久美。
「ぽっかり穴が空いた感じがする、人生最大の過ちを犯したような」と、いなくなって佐都の大切さに気付く健太。
「待ってるだけじゃ、大事なものは戻ってこないわよ」と言われた健太は、翌日まんぷく屋に訪れた。
「教えてほしいんです、俺と佐都さんのこと。佐都さんと出会ってから俺は変わった、すごく幸せそうだったってみんな言うんです」という健太に「お腹、空きませんか」ともつ煮をふるまう佐都。
「知ってる、この味。家族って味だ。俺好きです、この味。懐かしくて、あったかくて……」
「それ、健太の大好物なの」
「この味もこの店も、あなたのこともきっと特別で大切だった。そう感じるけど思い出せない、ごめんなさい」
「あなたと凛ちゃんのこと思い出したい。例え思い出せなかったとしても、あなたと離れたら後悔する気がするんです。俺と一緒にいて欲しいんです。お願いします」
「今の健太は、私の知ってる健太だよ」
「健太の背負った運命、一緒に背負うからさ」
想いがあふれて止まらない健太に応える佐都。かっこいいな佐都……。
前回は別人のようになってしまった健太が、元の健太に少し近づいていてうれしい。
明人(尾上松也)の策略で、深山家が借金を背負うことになる。
明人がやったと知ってしまった健太は何で……と言う。
「好きで長男に生まれたわけじゃない。お前なんか大嫌いだ」
「お前のことをぶっつぶしてやろうと思ったのに、今さら跡継ぎを譲るなんて、記憶がなくなったからなのか」
そういう明人に、健太は答える。
「これだけは覚えてる、兄貴はずっと優しかった、俺は兄貴が大好きだった」
「兄貴がずっと努力してきたことも知ってる、兄貴が後を継ぎたいんだったら俺は譲りたい」
「でも次の代には兄貴の味わった苦しみを味合わせないでほしい」
跪いてそう訴えた健太。大嫌いに大好きで返せる強さ、それでこそ健太だ。
健太を見て、自分は跡継ぎになりたくないと思った明人。
美保子に会い、「僕は後継ぎになれない。だから別れたほうが……」と言おうとする明人をさえぎる美保子。
「よくよく考えて気づいたの。私は自分でハッピーエンドをもぎ取れる」
「一度しか言わないわ。私は深山家の長男でも王子様でもなく、明人さん、あなたが必要なの。私は深山明人の妻、深山美保子よ」
美保子ーーー!!! かっこいいーーー!!!
かっこよすぎて涙が出てきてしまった。
うっとりして「はい」と言う明人。
それでいいわ〜。これからも私の尻に敷かれてなさい。
は、ハッピーエンド……!
リツコの父・万野誠(石黒賢)は明人と手を組んだと見せかけて、明人のことも裏切っていた。深山家は負債を負うことになってしまった。
だが、ドバイの大富豪・サイード(竹財輝之助)と話がついており、彼を家に招く予定だと言う。久美に女主人としてもてなせと言い「どうせお前にはそれしか脳がないんだからな、ははは」と去っていく圭一、ムカつく~!
サイードが来た日、久美は現れず、佐都が彼をもてなした。
リスクはないか聞いておきたいというサイードの問いに、負債があることを隠して「ない」と答える圭一。だが健太は負債があることを伝え「佐都さんが誠実にもてなしてくれたのにこんな形で汚したくないんです」と言う。
そこへ久美・美保子・リツコ・マダムキリコ(長谷川京子)が登場。
マダムキリコにパパリンと呼ばれ「ぱ、ぱ、ぱ、パパリン?」と困惑する圭一がちょっとかわいい。
女たちは、ここぞとばかりに意見しだす。
リツコ「アップデートが全然できてない」
美保子「それに選民意識が強すぎるんじゃなくって」
久美「私たちはあなたの召使いではございません。クルトンぐらいでいちいち激怒なさらないで」(ここでクルトンの回収……!)
佐都「私たちはもう黙りません。自分のためにも、大事な人のためにも、もうはばかったりしない。私たちはもっと自由に生きられる!」
いいぞ、深山家の女たち……! 佐都は黙ったことない気はするけれども……!
「ビジネスの世界では誠実さのない人間は信用されない」と言うサイードは、健太が深山家の当主になるなら助けると言う。こうして、健太が深山家の当主になった。
サイード、すごくいいことを言っているのだが、竹財輝之助が謎の大富豪を演じている状況が面白すぎて言葉が頭に入ってこない。
八寿子(倍賞美津子)と圭一の会話が印象的だった。
「深山家を守るためにしたことです。私は間違っていない」
「圭一が深山家のためにつとめてきたこと、わかってます。彼女の言う通り、私たちも変わる時が来た。でも、深山家はここにちゃんとある。それでいいでしょう」
佐都の活躍を目の当たりにした健太は「前の俺はあなたと一緒にいられてものすっごく幸せだったんだろうな。あなたと凛ちゃんと一緒に幸せになりたい あなたと家族になりたいんです」と言う。け、健太だ~!!
圭一は姿を消してしまった。出ていかなくてもと思うが……。
なんと彼は、ホームレスして生活していた。きょ、極端だなー!!
捨てられた週刊誌を読んでいると、万野が逮捕されたニュースが載っていた。
また、健太がインタビューされている記事が見て、うれしそうに微笑む圭一。
切ないな……なぜこうなってしまったのか。
そこにやってきたのは久美。「やっと見つけた」と言う。
久美の持ってきたおにぎりをものすごい勢いで食べ、涙する圭一。
「お金を稼ぎはしませんけど、あなたを支えることが私の仕事です」と言う久美に、圭一はおそらくはじめて「ありがとう」と言った。
久美の強い気持ちに感動したし、大切なことにやっと気づいた圭一にも泣けてしまう。久美に鼓舞され、圭一もまんぷく屋に訪れる(もちろん身なりは整えてから)。
もつ煮を食べ、「これが健太の好きな味か」とつぶやく圭一。
「今までのこと、申し訳なかった。健太のこと、深山のこと、よろしく頼みます」
深々と頭を下げる圭一に、この人にもこんなことができるのかと感動した(本日2回目)。
黙るのをやめた深山の女たちは(久美以外今までもあんまり黙ってなかった気もするが)、みんなかっこよくてヒーローみたいだ。どっちが上も下もない、これからはお互い助け合っていけばいい。
健太と佐都の結婚式。美保子はすでに佐都の晴れ姿を見て泣いており、ハンカチを貸す明人に「足、どうしたの?」と聞く。それだよ! みんなそれが気になってたよ! すると明人はスッと立つ。立てるんかーい! まぁ、病気じゃなくてよかった。
すっかり孫にメロメロな圭一と久美、別れた後のほうが仲が良さそうな大介とリツコ。それを茶化す有沙も元気そうだ。夫と一緒でないということは、別れたのだろうか。
白無垢を着た佐都を見る健太は「佐都」と話しかける。
呼び捨てに驚く佐都に「佐都、俺、思い出した!」と言う健太。よかった……!!
全員が幸せになれないものかと思って見てきたこの作品、本当にみんな幸せな状況が実現するとは。佐都って本当にすごい。そしてさとけんたは素晴らしい。
最後、ナンバMG5の難波家のペット・松が登場。出演するのは知っていたが、こういう形とは。引っかかった風船を軽やかに取った佐都を見て「深山の女すっげー」と感心する松。
佐都は「庶民、なめんなよ」と言って物語は終わる。
なんと美しい初回のセリフの回収……!
本当に面白くて楽しみで素晴らしいドラマだった……!
ありがとう、やんごとなき一族。ありがとうさとけんた(そして美保子、みんな)。最高な作品でした!
※この記事は「やんごとなき一族」の各話を1つにまとめたものです。
–{「やんごとなき一族」作品情報}–
「やんごとなき一族」作品情報
放送日時
2022年4月18日スタート 毎週月曜夜10時~
キャスト
土屋太鳳
松下洸平
尾上松也
松本若菜
渡邊圭祐
松本妃代
馬場ふみか
佐々木希
石野真子
倍賞美津子
木村多江
石橋 凌
スタッフ
原作
こやまゆかり『やんごとなき一族』(講談社「Kiss」連載)
脚本
神森万里江(『相棒』シリーズ、『この恋あたためますか』 他)青塚美穂(『ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○』『じゃない方の彼女』 他)
音楽
木村秀彬
主題歌
milet『Walkin’ In My Lane』(SME Records)
挿入歌
wacci『恋だろ』(Sony Music Labels)
プロデュース
宋 ハナ(『教場Ⅱ』『世界は3で出来ている』 他) 制作プロデュース 古郡真也(映画『翔んで埼玉』『コンフィデンスマンJP』シリーズ 他)
協力プロデュース
三竿玲子(『BOSS』『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』 他)
演出
田中 亮(『コンフィデンスマンJP』シリーズ、『イチケイのカラス』 他)三橋利行(『監察医 朝顔』第2シーズン、『SUPER RICH』 他)
水戸祐介(『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』シリーズ 他)
制作協力
FILM
制作・著作
フジテレビ