<明日、私は誰かのカノジョ>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

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累計発行部数300万部突破したをのひなおの人気漫画「明日、私は誰かのカノジョ」(マンガアプリ「サイコミ」で連載中)がMBS/TBSドラマイズムにてドラマ化。2022年4月12日放送スタートした。

悩みを抱えて生きる5人の少女を描いた本作。一週間に一回レンタル彼女としてお金を稼ぐ「雪」や、孤独を抱えて寂しさを男で紛らわす「リナ」、見た目に固執して整形を繰り返す「彩」、周りに流されず、“自分”を持っていると語る「萌」、夜の街で“今”を生きる「ゆあ」らが各章で主人公となり物語が進む。

cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

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もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・第10話ストーリー&レビュー

・第11話ストーリー&レビュー

・第12話ストーリー&レビュー

・「明日、私は誰かのカノジョ」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

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東京で生きる日々。それぞれの葛藤や理想を抱きながら、お金を稼ぐこと、お金を使って誰かと繋がることを求める女性たち―。19歳の女子大生、雪(吉川愛)もそんな女性の一人だ。彼女はお金と引き換えに、誰かのカノジョを演じる“レンタル彼女”として働いていた。顔に残る痕を隠しながら…。
そんなある日、雪はサラリーマンの辻壮太(楽駆)のカノジョとして、壮太の友人とダブルデートをすることに。壮太の友人の彼女から嫌味を言われ、嫌な気持ちになりながらも、なんとか笑顔でやり過ごした雪だったが、後日、素顔で外出した際に、壮太と偶然遭遇し、顔の痕を見られてしまう。
雪に好意を抱く壮太は、雪のことが愛おしいと伝えるが…。果たして2人はどうなるのか―。

第1話のレビュー

約3年前に連載が始まるやいなや、SNSを中心に反響が広がり、今や累計発行部数300万部を超える人気コミック「明日、私は誰かのカノジョ」。通称「明日カノ」がドラマ化されると聞いたとき、多くの人はまずキャストが気になったと思う。主人公の雪を演じるのは?ゆあてゃは?ホストのハルピは?

それほどまでに一人ひとりのキャラクターが個性的で読者に愛されている作品だからこそ、実写化には賛否両論の声が挙がった。しかし、ついに放送されたドラマの第1話は、そんな明日カノファンを安心・納得させるクオリティの高い仕上がりになっていたはずだ。

物語が幕を開け、今日もレンタル彼女になるべく顔の傷痕をメイクで覆い隠す雪(吉川愛)、男性と腕を組んで歩くリナ(横田真悠)、美容整形外科でカウンセリングを受ける彩(宇垣美里)、ホストクラブでひと時の夢を買うゆあ(齊藤なぎさ)、行きつけのバーでお酒を仰ぐ萌(箭内夢菜)が映し出される。

その時、雪の声で流れていたナレーションを紹介したい。

「今、この東京でたった一人生きていくためにどれだけのお金が必要か。恵まれた環境か、強い意志。そのどちらかがなければ、普通の生活さえままならないのが現実。そんな中でも誰かと繋がっていたいと願い、理想の自分であろうと希望を抱き、自分が主人公になれる居場所を求め、自分の存在価値を探し続ける」

少し長いこの文章をここに記したのは、ドラマの制作スタッフが原作を大切にしてくれていると感じたからだ。「明日カノ」に登場する5人の主人公たちはけっして愚かではなく、こんなに人が溢れているのに、私は誰にも必要とされていないんじゃないかと時折目まいがしそうな東京で、1日1日を生き抜くためにもがいている。それを理解してくれているだけで、本作のキャラクターに自己投影し、深く共感している人たちも救われるのではないか。

さて、大学生の雪とサラリーマンの辻壮太(楽駆)が“レンタル彼女”と“客”として出会う場面が描かれた第1話だが、ビジュアルの作り込みだけではなく、雪を演じる吉川愛と壮太を演じる楽駆の演技力が光る。

とっさに彼女がいると友達に嘘をついてしまい、Wデートで彼女のふりをしてほしいと雪に依頼する壮太。手を繋いでデート以上のことを求める客とは違い、壮太は無茶なお願いもしないし、雪に対しても紳士的な態度を取る。でも彼は、自分とは異なる環境で育った相手の気持ちを想像する力がない。

なぜ映画の主人公が親にひどい態度を取るのか、なぜ雪が通常のバイトより高時給のレンタル彼女として働く必要があるのか。優しいからといって人を傷つけないわけじゃない。壮太の中にある無自覚な悪を楽駆は演技力で視聴者に見せつける。

また、吉川愛もミステリアスな空気を纏っている大学生の雪と、どんな客に対しても笑顔を振りまくレンタル彼女の“雪”の違いだけではなく、最初に壮太の友達の前で完璧な彼女を演じている時の表情と、傷痕を見られて思わず本音をぶつけてしまった後から壮太に見せる、素に近い表情の差を画面に映し出していた。

とにかく描写がリアルで、この世界のどこかに実在しているんじゃないかと思わせる「明日カノ」のキャラクター。それを確信に変えていく役者の演技力に期待が高まる走り出しだった。

※この記事は「明日、私は誰かのカノジョ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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彼氏が実は既婚者であったことを知り、別れたことで自暴自棄になった雪(吉川愛)の友人のリナ(横田真悠)は、ナンパしてきた2人組の大学生との行為を終えた後、ラブホテルのベッドで横になっていた。どうしても埋まらない孤独。リナは以前から、その孤独を紛らわすために、肉体関係まで持つパパ活をしている。寂しさから、しばらく連絡が途絶えていたパパ活相手の飯田(神尾佑)との関係を再開したリナは、飯田に一番の友だちとして雪を紹介する。そして飯田は、誕生日の近いリナへのプレゼント選びに付き合って欲しい、と雪を誘う。一方でリナは、以前ナンパしてきたうちの1人、雄大(井上想良)と偶然再会する。改めて、雄大とデートをしてみるリナ。誕生日が近づくリナの孤独を埋めてくれるのは…誰?

第2話のレビュー

「だって雪は私のこと抱いてくれないじゃん!」

彼氏と別れたことで自暴自棄になり、そう雪(吉川愛)に言い残してナンパしてきた2人組の大学生と夜の街に消えたリナ(横田真悠)。ラブホテルに置き去りにされ、余計に大きくなった寂しさを紛らわすためにリナは一度辞めていた“パパ活”を再開してしまう。

側から見ればリナは容姿に恵まれているし、異性にモテて友達もたくさんいる、誰もが羨むような女の子だ。その実、埋められない人一倍孤独を抱えている。

サークルの友達とBBQをするシーンでも、周りの女の子のリナに対する言葉にはどこか棘があるし、リナの“パパ”である飯田(神尾佑)もナンパしてきた大学生たちも、ただ彼女を喰い物にして欲を満たしているだけ。誰も本当のリナを見ようとはしていない。本人もそのことに気づいているからこそ、寂しいのだ。

リナが周りに嫌われないように笑顔でふるまう姿を見ていると胸が痛む。女優としてはまだキャリアが少ないものの、横田真悠はリナそのもの。笑顔の裏に隠されたリナの不安や孤独が映像化されることでよりひしひしと伝わってきた。

思いやりがあって、素直に友達の良いところを褒めたり尊敬できるリナだからこそ、幸せになってほしい。一方で、真に自分を大切にしてくれる存在に気づけないのがリナの悲しいところでもある。

自分のことで精一杯な時は雪をお店に置き去りにしたのに、一転して気持ちが満たされている時は「一緒にいてくれてありがとう」と優しくできてしまう感じがリアルだ。雪とリナは孤独が良い形で埋め合える関係性になれるのに、周りの雑音がそれを邪魔する。

それにしても、雪に「友達の誕生日を祝いたいから」とデートを断られて工事現場で一人、雪とのツーショットを眺める正之(西洋亮)の切ないこと……。リナや正之だけじゃなく、夜も煌々と明かりが灯る東京の街ではたくさんの人が孤独を抱えている。「明日カノ」は原作もドラマも、分かりやすい“救い”を提示してくれるわけではないが、こういうところで誰かが隣にそっと座ってくれるような感覚にさせてくれる。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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サークル仲間からの情報で、雪(吉川愛)が風俗のような仕事をしていることを知ったリナ(横田真悠)は、友達なのに隠し事をされていたと、雪に不信感を抱く。一方で、飯田(神尾佑)の誘いを受け、一緒にリナのプレゼントを買いに来ていた雪は、飯田から関係を持つよう誘われる。きっぱりと断る雪に、飯田はリナとの関係も終わらせることを告げる。雪とは距離を置き、飯田との関係も切れ、孤独を深めるリナ。そんなリナがすがったのは…雄大だった。リナと会った雄大は事情を聞いて、雪と仲直りするようリナを促す。意を決して雪に会うリナ。その時、雪も心に決めていたことがあった。雪との友情、雄大との恋、リナの未来は果たして―。

第3話のレビュー

「君たち女の子の価値には期限があるってこと、忘れないほうがいいよ」

じゃあ、貴方様には何の価値がおありで?と問いたくなる。

「明日、私は誰かのカノジョ」第3話。リナ(横田真悠)の誕生日プレゼントを一緒に選んでほしいという口実で、雪(吉川愛)呼び出し、身体の関係を含むパパ活の契約を持ちかけてきた飯田(神尾佑)。でも、雪にきっぱりと断られ、上記の捨て台詞を吐いて去っていったのだ。

おあいこ様。リナだって、貴方のお金にしか興味がなかったんで。そう言い返してやりたいが、きっとリナが飯田に会っていたのはそれだけじゃない。いっときだけでも、飯田に優しくされることでリナの寂しさは解消されていたのだ。それをわかっているから、飯田が自分にとって大切な存在であるリナを使い捨てたことに雪は怒りを抑えられなかった。

一方、リナは雪が自分に隠して風俗のような仕事をしていることを知り、不信感を募らせていく。リナの寂しさも理解できないではないが、「友達なら何でも話すべき」という考え方はあまりにも幼い。

そんなリナに説教臭さは一切無しに、「じゃあリナは、“パパ”と身体の関係があることを話してるの?」「言えなかったのは引かれたくないからじゃない?」と考えの盲点や自分の本音に気づかせてくれる雄大(井上想良)の優しさよ……。お金やステータスをとったパパ活の“パパ”力ではなく、愛情や思いやりのある本物の“パパ”力がある。(貴方がその年になってもまともな恋愛ができないのは後者の力がないからですよ、と飯田に言ってやりたい)

さて雄大のおかげでリナは雪に謝りに行くことができるのだが、そこで見事に二人の気持ちはすれ違ってしまう。大切な友達にこれ以上隠し事はしたくないと、顔に残るやけどの跡をリナに見せる覚悟を決めた雪。そんな彼女にリナが向けたのは、雪が嫌な哀れみの目だった。

結局、リナは雪と対等になりたかっただけなのかもしれない。将来を見据えて堅実に生きる雪に憧れ、そうなれない自分に嫌気が指し、空虚感を埋めるために男の人に依存する。でも満たされないでいたところに、雪が傷を隠し持っていることを知り、リナの中で雪のいる場所が下がったのだ。きっとリナは無自覚だけど。

今回の出来事で二人の絆が深まったとルンルンな表情のリナに対し、リナから「似合うよ」と褒めてもらったリップをそっとドレッサーの中にしまう雪。リナと付き合うにあたり、女遊びをやめた雄大に対し、今までの生活を捨てられず“パパ活”を再開したとみられるリナ。両者のすれ違いが辛い。結局、私たちは本当の意味で分かり合うなんてできないんじゃないかと絶望してしまいそうだ。

そこで「今更気づいたの?」と言わんばかりに登場したのが、みんなお待ちかね、宇垣美里演じる彩だ。雪と同じレンタル彼女店で働く彩はお店のスタッフや、偶然出会った雪の前ではぶりっ子を貫くが、一人になると自分より若い子への敵意をむき出しに。盛大にチッと舌打ちする。

普通なら何この女!と思うところだが、みんなが憧れる宇垣サマの女王っぷりを前にしたら自然と跪いてしまう。次週の強烈な「きっっっも」もお楽しみに。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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35歳になる彩(宇垣美里)は、整形を繰り返し、20代とサバを読み、光晴(福山翔大)と付き合っている。そして職業も偽り、実は、雪(吉川愛)と同じ店でレンタル彼女の仕事をしている。彩は異常なほど、見た目の美しさを追求し、内心では客や周りの女性の見た目をけなしながら、整形費用を稼ぐために仕事を続けているのだった。一方、雪のもとには、メイクに興味があるという翼(ゆうたろう)から、一緒にコスメを選んで欲しいという予約が入る。翼は、親身に買い物に付き合い、話を聞いてくれた雪に心を許す。
光晴との結婚に揺れる彩。結婚するまでに済ませたい整形に必要な金額を計算すると…お金が足りない!お金を求めて彼女が頼ったのは…?嘘に嘘を重ね、自らの美を追求する彩の幸せとは…?

第4話のレビュー

期待に、期待されまくっていたドラマ「明日カノ」の宇垣美里が演じる美容整形依存の美女・彩。結論、実写化は大成功だったと思わせる完璧なキャスティングに拍手を送りたい。

彩は比較的、好き嫌いが分かれる主人公かもしれない。見た目に異常なほど固執する彼女は、「人間は内面が大事」「どんな人も美しい」といった価値観とは真逆を行くからだ。

正直、街ゆく女性たちや、彼氏の光晴(福山翔大)から紹介された善良な友達カップルに心の中で悪態をつくのはどうなの?とムカムカしてしまうところもある。そんな彩の憎たらしさを宇垣美里は全力で表現していた。可愛さと美しさが同居したビジュアルも流石の一言で、こんな人に実は自分の容姿を笑われていたらと想像しただけで身体が強張る。

だけど、彩を憎めないのは彼女自身が自分の価値観に一番苦しめられているからだ。

特に今回お見事だったのは、光晴との喧嘩でトラウマが再燃する場面。光晴に友達カップルの彼女・ハルカと自分を比べられた彩は、思わず怒りに任せて「あんなブス」という言葉を発してしまう。そして「彩は見た目に執着しすぎだよ。ハルカちゃんがお前に何かしたわけ?」という光晴の指摘で、彩は二つのことに気づいてしまうのだ。

一つは、「ブス」という言葉をかけられ続け、見た目に執着するようになった自分の気持ちを、見た目で苦労したことのない人(=光晴)には一生理解してもらえないこと。もう一つは、自分がずっと苦しめられてきた「ブス」という言葉を今度は自分がだれかに向けてしまっていることだ。

自分は美しくないから何もかも上手くいかなかった。自分を苦しめた人たちを見返したい。だから、血の滲むような努力をして美しくなった。結論、努力しないで「ブス」に甘んじている人が許せない。でも、そんな私はかつて自分を苦しめた人たちと同じなんじゃないか……。

そんな自問自答の堂々巡りに正解は出ず、ただ涙が垂れてくる宇垣美里の芝居が素晴らしかった。

だけど、レンタル彼女の客である桧山(岡部たかし)に対しては悪女ぶりをこれでもかというほど発揮する彩。一度痛い目にあったほうが……と思うのと同時に、彼女が何か追い立てられているものから解放されてほしいとも願ってしまう、そんな好きとも嫌いとも言えない絶妙なキャラクターを宇垣美里は見事に再現していた。

また、彩と同じレンタル彼女で働く雪(吉川愛)をつなぐ翼(ゆうたろう)も今回初登場!ゆうたろう本人は可愛すぎる“ジェンダーレス男子”として幅広い活躍を見せているが、第4話ではまだメイクに興味を持ったばかりの翼の垢抜けなさをうまく表現していた。

彩、桧山、翼……とにかくどのキャストもビジュアル、芝居に至るまで原作の再現度が高く、新キャラが登場するたびにワクワクが止まらない。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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とうとうレンタル彼女の仕事をしていることが、光晴(福山翔大)にバレてしまった彩(宇垣美里)。そんな彩のもとに、以前雪とコスメの買い物デートをした翼から予約が入る。慣れない化粧をして来た翼のメイクの下手さに、うんざりする彩。しかし、泣きながら可愛くなりたいと言う翼の真っ直ぐな思いに押され、彩はメイクの手ほどきをしてあげる。変身した自分の顔を見て感激する翼。その姿に、初めて整形した時の自分を重ねる彩。
変わらずレンタル彼女の仕事と整形を続ける彩に、光晴は、隠し事をせずに真実を話して欲しいと告げる。光晴を前にした彩はついに―。

第5話のレビュー

「誰だって努力すれば、いくらでも変われる。その単純な事実に私はずっと救われてきた」

自分の理想に近づくため、整形を繰り返してきた彩(宇垣美里)。彼女はいわゆる外見至上主義だが、それは努力すればなりたい自分になれることを身を以て知っているから。

その手段に「整形」が入るか、入らないかは人によって考え方が違う。だが少なくとも、お金を貯めなければ整形は受けられないし、恐怖や痛みとも戦わなければならない。それを努力と言わずして何と言えばいいのだろう。

だけど、彩から本当の職業と年齢、そして整形の事実を打ち明けられた光晴(福山翔大)は彼女にこう言った。

「整形は努力じゃないだろ」

もちろん恋人に嘘をつかれていたことは同情する。仕事とはいえ、彼女が他の男性とデートすることを受け入れられないのも分かる。だけど、彩が整形に至るまでの背景や苦しみを理解しようともせず、自分が好きになった彼女の顔を“偽り”といった彼もまた、人の外側しか見ていない。

彩も美しくなった自分の外見を利用して、たくさんの人を傷つけた。桧山(岡部たかし)をはじめ、他の客も下心があるとはいっても、彩を信用してお金を渡したのだし……。だけど、彼女がそうせざるを得なかったのは、容姿を貶され続けた過去があるからだ。

恋人と仕事を同時に失い、身も心もずぶ濡れになった彩に傘をさしたのは、同じく見た目にコンプレックスを抱く雪(吉川愛)だった。他人に絶望してきた二人の出会いは何をもたらすのだろうか。

次回、第6話では彩編が完結するとともに、ついに萌(箭内夢菜)と優愛(齊藤なぎさ)が本格登場となる。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

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レンタル彼女の店をクビになった彩(宇垣美里)は、偶然雪(吉川愛)と会い、2人で居酒屋に行くことに。彼氏も仕事も失ったせいで妙にテンション高く喋り続ける彩は、雪に全てを話し始める。それを聞き、自分の顔の痕のことを打ち明けた雪に、彩は親身なアドバイスを送る。店を出て、砂浜で語り合う2人。彩は、過去を振り返り、自らの思いを話し、自分の信じる生き方を再確認するのだった―。
所は変わって―リナ(横田真悠)のサークル仲間の一人、萌(箭内夢菜)は、自分のルックスや存在に自信が持てずにいたが、自分は周りとは違い“自分”を持っていると思いながら、大学生活を送っていた。萌には、よく通うバーがあり、最近その店で働き始めたのが翼(ゆうたろう)だった。そんな翼に街中で声をかけ、ホストにハマる少女・優愛(齊藤なぎさ)が店にやってくる。優愛と萌は、バーで偶然居合わせて出会い―。

第6話のレビュー

宇垣美里が主人公を演じる明日カノ「整形編」がフィナーレを迎えた。恋人と別れ、レンタル彼女店もクビになった彩(宇垣美里)。そんな彼女の言葉と生き様に、同じくレンタル彼女として働く雪(吉川愛)は救われる。

彩は自分の容姿に強烈なコンプレックスを持ち、これまで美しくなるために相当な労力とお金を費やしてきた。そのためには手段も方法も選ばない。そんな生き方を恋人にも否定され、仕事まで失っても「今さら生き方を変えることはできない」と彩は言う。

「気づいたんだ。私を幸せにするのは誰でもない、私自身なんだって。だから、私は私の生き方を否定しない。それでいつかのたれ死んだとしても、後悔なんか絶対しない」

そう宣言する彩の横顔は、“美しい”としか言いようがない。容姿だけじゃない、生き方そのものがたおやかで美しいのだ。彩がこれまでの生き方を変えることなく、また希望の整形手術を受けるラストはハッピーエンドとも、バッドエンドとも言えない。だけど、彼女がこれからも自分自身の幸せを追い求め続けることを決めた“ベストエンド”と言えるだろう。

そして、顔と心に傷痕を抱える雪もまた、そんな彩の姿を目の当たりにして少しだけ憑き物が落ちたような表情を浮かべる。傷痕のことを打ち明けた雪に、蔑むでも変に同情するでもなく「まじか、それは辛いわ」と一言だけでサラッと受け止め、親身になってアドバイスを送った彩。年の離れた二人の不思議な友情が心に沁みた。

さらに第6話では、箭内夢菜演じる萌と齊藤なぎさ演じるゆあが主人公の「ホスト編」がスタート。

箭内は「私は周りに流されない。ちゃんと“自分”を持っている」と自負する萌のいつも気怠げで、リナ(横田真悠)のような女の子を心で見下している捻くれた性格を忠実に再現していた。箭内といえば、実写版『ゆるキャン△』の京都弁で癒し系の女子高生・犬山あおい、通称“いぬこ”のイメージが強い。今回は真逆のキャラクターだ。

そして、何より齊藤が演じる“ゆあてゃ”の再現度が高すぎるんだが……!!!いわゆる地雷系のビジュアルはもちろんのこと、ゆあてゃの喋り方や声も初めて聞くはずなのに「これ、これ、これ!」と何故か納得してしまう。ストゼロストロー(ストロング缶をストローで飲む)のシーンには不思議な感動があった。

次回から本格的に始まる「ホスト編」に期待しか湧かない。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー

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優愛(齊藤なぎさ)に誘われ、初めてホストクラブに来た萌(箭内夢菜)。慣れた様子で過ごす優愛をよそに、萌は初めてのホストクラブに馴染めず、居心地の悪さを感じていた。そこに現れたのが、ホストの楓(高野洸)。萌は楓に他のホストとは違う雰囲気を感じ、少しリラックスした時間を過ごせた。一方、優愛は自分の担当するホストのハルヒ(藤原樹)を被り客の女性が指名していたことを気にし、ハルヒと険悪なムードになっていた。少し満足した気持ちで行きつけのバーへ帰る萌と、自宅で仕事終わりのハルヒを待つ優愛…ホストを巡る2人の新たなストーリーが始まろうとしていた…。

第7話のレビュー

私は他の子と違って、“私”を持っている。そんな風に自分を言い聞かせてきた大学生の萌(箭内夢菜)。彼女は行きつけのバーで出会ったばかりの優愛(齊藤なぎさ)に誘われ、初めてホストクラブへ行くことに。

大丈夫、これはただの経験。そのハズだったーー。

「明日、私は誰かのカノジョ」第7話は、誰もがお姫様になれるキラキラとした世界に萌が足を踏み入れる場面から始まる。

ホストクラブには詳しくないが、どうやら「初回」という仕組みがあり、初来店時はお会計が1・2時間の飲み放題で2000円〜3000円に収まるらしい。その初回を目当てに色んなホストクラブを周り、同じ店には二度と行かない人たちのことを「初回荒らし」と言ったりもする。

そんなにカジュアルに遊べるなら、経験のために行ってみてもいいかな〜と女性に思わせるシステムだ。一方で、気軽に足を踏み入れたつもりがどっぷりハマってしまう可能性もある。

でもホストって、派手な髪色・社交的・女癖が悪い・金遣いが荒い等々、もれなく全員チャラいんでしょ?みたいな偏見を持たれがち。いわゆる学校だったら“陽キャ”と呼ばれる人種で、そうじゃない人からしたら何がいいんだろうと思うかもしれない。

萌も華の大学生でありながら、自分とは対照的なその人たちを心の中で見下していた。だから当然、「ホストには絶対ハマらない」と高を括っていたのである。実際、かわるがわる萌のテーブルについたホスト達はほとんどが彼女の性格には合わなかった。ただ一人を除いて。

今回から藤原樹(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)演じる優愛の担当ホスト・ハルヒと、高野洸演じる同じお店のホスト・楓が本格登場となった。二人とも漫画からそのまま出てきました?と思うほど、再現度の高いビジュアルだ。

でもそれだけじゃない。ハルヒは優愛が依存するのも理解できるほど、雰囲気からしてカリスマ性を放つ一方で、他のホストとは違って落ち着いたところもあるのが伝わってきた。そして、何より驚いたのが高野演じる楓の破壊力。最初に萌のテーブルに顔を出した時から「こいつはヤベエ」感を出していた。

高野洸といえば、ミュージカル「スタミュ」の虎石和泉(ティエラ)や、舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stageの山田一郎などを演じてきた人気2.5次元俳優の一人。舞台上ではとてつもない輝きを放っているのに、楓を演じる彼は暗黒のオーラに包まれている。

他のホストに比べると地味だし、雰囲気が親しみやすくてつい心を許してしまうけど、一度関わったら最後。もう一生抜け出せなくなるほど、どっぷりハマってしまう危険な魅力が楓にはある。

楓からLINEでお礼のメッセージを“受け取った”萌が、レンタル彼女店の客に、楓と同じような営業のメッセージを“送る”雪(吉川愛)とすれ違う場面に鳥肌が立つ。萌さんは大丈夫ですよ、萌ちゃんは大丈夫よね……彼女の行きつけのバーで店員たちの語る言葉が不穏に響いた。

“ホスト編”開幕である。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー

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萌(箭内夢菜)にはガールズバーで働いていると言っていたが、実は風俗で生計を立てている優愛(齊藤なぎさ)。担当ホストのハルヒ(藤原樹)の売上に貢献するため、優愛はこの仕事を続けている。仕事後に優愛の家にいく、という約束をすっぽかされ喧嘩し、ハルヒとの関係はぎくしゃくしながらも、優愛は稼いだお金を貢ぎ続ける。
一方の萌は、ホストの楓(高野洸)からこまめに連絡がくるが、営業メールだと思い、返信せずにいた。そんな中、大学の仲間との飲み会に行った萌は、行きつけのバーに彼らを連れて行くことになる。自分の居場所だったバーでも華やかに振る舞うリナ(横田真悠)を見て、惨めな気持ちになる萌。思わず店を飛び出した萌がスマホを見ると、そこには楓からの着信があり…。

第8話のレビュー

「キャストの再現度が凄すぎる!」

思わず叫んでしまいそうにになったドラマ「明日カノ」第8話。前回に引き続き、萌(箭内夢菜)と優愛(齊藤なぎさ)を中心に据えた“ホスト編”が展開される。

萌行きつけの新宿二丁目のバーで知り合った2人。優愛に連れられ、初めてホストクラブに入った萌はそこで楓(高野洸)と出会う。今回は優しくて安心感のある楓に惹かれていく萌と、そんな彼女の未来を表しているような優愛と担当ホスト・ハルヒ(藤原樹)の泥沼な関係が描かれた。

第8話は原作6巻のほとんどを映像化しているにもかかわらず、展開が早すぎるとか、大事な場面を飛ばしているなどの違和感が全くない。要所要所省かれている場面もあるが、そこはキャストの演技力に任せている感じだ。

特に感心したのは、ホストクラブで優愛が約束を破ったハルヒに怒りを露わにするシーン。「ハルヒの今の幸せは全部、私の不幸の上に成り立っている」と優愛が言った直後、原作ではハルヒが想像で彼女を殴る。

だけど、ドラマで映し出されたのはハルヒの表情と彼が握りしめるタバコの箱。優愛のせいで何人もの客が切れたことへの怒りが爆発しそうになりながらも、何とか自分を抑えようとする藤原樹の表情はお見事としか言いようがなかった。

また女性陣の演技も素晴らしい。ハルヒの態度一つでコロッと変化してしまう優愛の揺れ動く感情を表現する齊藤なぎさ。ホストにはハマらないと心に誓いながらも、楓からのアプローチに顔がにやけてしまう萌のトキメキを映し出す箭内夢菜。

2人のリアルな芝居が提示する「頭では分かっていても心がゴネる」状況は、たとえホストにハマった経験がなくとも多くの人が共感できるものだろう。見ているだけで何らかの過去がプレイバックして、胸が痛い。

さらに前話のレビューでも言及したが、特筆すべきは原作以上に楓を魅力的なキャラクターに仕上げている高野洸。自分の存在意義が分からず泣いている萌のところに走って駆けつけたり、ホストクラブでのお会計を一部負担したり、それこそ全部営業だと分かっていても惹かれざるを得ない吸引力を持っている。思わず、「楓がいるホストクラブはどこですか?」と聞きたくなった。良い人なのか、悪い人なのか、全く見当がつかないグレーの人間を演じさせたら高野洸の右に出るものはいないんじゃないかとすら思う。

レンタル彼女編、パパ活編、整形編も、もちろん素晴らしかった。だけど、原作でも人気の高いホスト編の作り込みは異常だ。次週から本格的に泥沼化していく展開を思うだけで、ワクワクと同時に自分の気持ちが持つだろうか……という心配が拭えない。

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–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー

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些細なことから、担当ホストのハルヒ(藤原樹)と衝突を繰り返す優愛(齊藤なぎさ)。一方、萌(箭内夢菜)は、楓(高野洸)の優しさに触れ、楓との仲が徐々に縮まっていく。ホストへ行くため、最初は、母親に仕送りを求めていたがお金が足りず、もっとお金を稼げる仕事をするために、萌はリナ(横田真悠)に雪(吉川愛)を紹介してもらう。レンタル彼女の仕事をする為に、雪とリナに髪型や洋服を選んでもらい、可愛くイメチェンした萌は、その姿を楓に見せに行く。しかし、楓に大金を使う被り客を見てしまう。そして、レンタル彼女の仕事では、すぐには収入が入らないことが分かった萌は…。

第9話のレビュー

「明日カノ」第9話はホストとしての本領を発揮していく楓(高野洸)と、その彼に恋して、どんどん見た目や考え方が変化していく萌(箭内夢菜)の姿が印象的だった。

誰にも女扱いしてもらえない。自分は主役にはなれない。そんな孤独や劣等感を内に抱えた萌の前に突然現れた王子様、楓。優愛(齊藤なぎさ)の担当ホストのハルヒ(藤原樹)みたいに、あからさまな感じでシャンパンを煽ったり、客を風俗で働かせようとしたりしない。あくまでも「萌ちゃんはそんなことしなくていいんだよ」スタンスだ。

頻繁に連絡もくれるし、私服姿でデートに行ってくれる。帰りはタクシー代を握らせて、萌を見送る。とにかく楓はマメ。相手が夢から醒める隙を少しでも与えない。だけど客にキスしたり枕営業をかけたり、自分を犠牲にするようなことは絶対にしないのだから、楓がどれほどホストとして優秀なのかが分かる。

だからもちろん、被り客(同じホストを指名している女性客)も出てくる。少しでも楓と一緒にいたいからと、シャンパンを入れる萌。堅実にためていた貯金も底をつき始め、ついに萌は自らを売りにする高収入のアルバイトに手を出してしまう。

リナ(横田真悠)に紹介してもらって、雪(吉川愛)からレンタル彼女の仕事を紹介してもらおうとした萌。「今の萌ちゃんも素敵だけど」と前置きしながらも、レンタル彼女になるには女性らしい服装やメイクが必要だから、今の萌には難しいことを告げる。そんな萌を、リナは男ウケのいいビジュアルに大変身させるのだった。

リナも雪も優しい。少しもばかにすることなく、変わりたいという萌の願いに全力で応えてくれるのだから。ただ、「好きな人のためにお金を稼ぎたい」というその理由だけには目を瞑って。

「全てを打ち明け合って、全てを信用し合う。そんな100パーセントな関係になんて、なれなくてもいいのかもしれない。他人から見れば歪だったとしても、その関係が自分にとって何よりの救いになることだってあるんだと思うから」

孤独や不安を埋めるため、年上の男性たちに自分を売るリナ。
楓の時間を買うために、自分を売ろうとする萌。
そして、本音を隠したままで友人関係を続ける雪とリナ。

明日を生き抜くため、誰かの“カノジョ”になる。歪な関係に依存せざるを得ない、満たされない気持ちを抱える彼女たちが愚かだとは思えない。「ただ、リナ自身が自分のことを嫌いにならないような、そんな考え方ができるといいよね」。雪が語るように、本作の主人公たちが自分のことを好きでいられる道に辿り着けるよう、願わずにはいられない。

※この記事は「明日、私は誰かのカノジョ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第10話ストーリー&レビュー}–

第10話ストーリー&レビュー

第10話のストーリー

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萌(箭内夢菜)は、楓(高野洸)に会いにホストクラブへ通うお金を稼ぐ為に、風俗で働き始めていた。実は優愛(齊藤なぎさ)も同じ仕事をしていることを知り、2人はさらに仲を深める。そして一緒にホストクラブへ行った2人は、ハルヒ(藤原樹)と楓との4人でアフターを共にし、ボーリングで楽しい時間を過ごす。満たされた気持ちになった萌は、さらに稼ぎを得るため、風俗の仕事に力を入れるようになる。そんな中、楓の誕生日が近付き、楓の売上に貢献できるよう高額なボトルを入れようと画策する萌。その反面、大学の仲間とは距離を感じ始め、萌の楓を思う行動はますますエスカレートしていく…。

第10話のレビュー

萌(箭内夢菜)と楓(高野洸)、優愛(齊藤なぎさ)とハルヒ(藤原樹)のダブルデートが描かれた「明日カノ」第10話。顔が緩むような微笑ましい光景をずっと息が詰まるような思いで見守った。

ホストの楓と少しでも長く一緒にいるため、ついに風俗で働き始めた萌。4人を相手にして、一日で稼いだ額は4万。この調子でいけば、親に借りたお金も返せるし、使ってしまった奨学金の分も戻せると萌は安心する。でも、仕事とはいえ、知らない男に身体中を触られて“本番”まで迫られた萌の心はボロボロだった。

こんな思いまでして楓に会いたいのか。一瞬、冷静になりかけた萌をすぐに夢の中へ引き戻すのが楓だ。萌がこれで最後にしようとかけた電話に応答して、「何かあったらすぐに連絡してね」と優しい言葉をかける。しかし、萌が泣いていることが分かっても、以前のように駆けつけてはくれない。そういう細かい変化が、視聴者の心にもグサグサと突き刺さる。

その後、萌は「風俗で働いている」という共通項が生まれたことでより仲良くなった優愛と“アイバン”することに(指名ホストの異なる客同士が一緒に来店し、相席すること)。優愛とハルヒの前でも、「萌ちゃん、今日の髪型かわいいね」「(僕のことを)いつもどんな風に惚気てるのか知りたいな……」と甘々な言葉をかけまくる楓。

あの、あなたは欲しい言葉をくれるBOTかなんかですか? もしくは乙女ゲームばりの台詞を吐く楓に、優愛が「すぐ雰囲気エロくするのやめて!」とつっこむ場面は思わず笑ってしまった。でもそんな楓に萌は心を奪われまくって、ついに“掛け”に手を出してしまう(客がその日にお店で支払うはずだった飲食代を、指名ホストが立て替えること)。つまりは借金なのだが、楓は心配するだけで止めてはくれない。

一方、後から味わうことになる地獄のような現実と代償に、萌が手に入れたのは夢のような一夜だった。4人でアフターを共にし、ボーリングで楽しい時間を過ごした後は楓とふたりきりで神社の境内を歩く。萌が泣いている時に楓が駆けつけてくれた思い出の場所だ。

そこで初めてのキスを交わす二人。ロマンチックだよね……ロマンチックなんだよ……彼らが本当の恋人同士ならば、の話だが。結局はその場所で楓に電話をかけなければ、そして楓が来なければ、萌は傷つかずに済んだかもしれない。だけど、少女漫画の主人公になったみたいな幸せも味わうことはできなかっただろう。

リナ(横田真悠)のようにキラキラとした女子にコンプレックスを心に抱きながらも、そのモヤモヤを打ち消すように、行きつけのバーで「恋愛だけがすべてじゃない」って持論を貫いていたはず。その未来と今の現実、どっちが良かったかなんて分からない。どっちにもそれなりの幸せと、それなりの地獄があるだけ。

こんなにも現実的で心を揺さぶられる物語は後にも先にもないかもしれない。そんな風に感じられるのも、箭内夢菜、高野洸、齊藤なぎさ、藤原樹というキャストたちの素晴らしい演技があってこそ。次週で「ホスト編」は幕を閉じるはずだが、彼らが演じるキャラクターとお別れするのが寂しくて堪らない。

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–{第11話ストーリー&レビュー}–

第11話ストーリー&レビュー

第11話のストーリー

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ハルヒ(藤原樹)との関係が一層こじれながらも、なんとか関係を保っている優愛(齊藤なぎさ)。しかし、下着姿の女性と眠るハルヒの画像が流出してしまい、優愛は、ハルヒへの憎悪を募らせ、ついに口論になってしまう。エスカレートし、罵り合いの末についに2人は―。
一方の萌(箭内夢菜)は、楓(高野洸)にのめり込み、大学を退学し、風俗での稼ぎを増やしていく。楓の誕生日を祝うために目標の額を稼ぐことができ、満足する萌。そして、楓の誕生日を祝うためにホストクラブへと向かうはずだったのだが…。

第11話のレビュー

長い夢から覚めた気分だった。ドラマ「明日カノ」第11話は、お金で“愛”を買ってきた萌(箭内夢菜)と優愛(齊藤なぎさ)がついに限界を迎える。

ホストクラブは、ほとんどの人間が生涯一度も足を踏み入れない未知の世界。そこでは一晩で、数十万〜数百万というお金のやりとりが交わされる。お気に入りのホストと少しでも長い時間を過ごすには、できるだけお金を使うしかない。だから必然的とも言うべきか、常連客の多くは高収入を得られる風俗嬢のようだ。

萌と優愛もそう。楓(高野洸)とハルヒ(藤原樹)、それぞれの担当ホストに心を奪われている彼女たちは本番を伴わない性行為と引き換えにお金を得て、その全てを彼らに“投資”する。側から見れば、歪な関係。だけど、きっと彼女たちにとっては心の隙間を埋めてくれるかけがえのない存在であって、誰にもその行為を否定する権利はない。

ハルヒと激しい喧嘩の末に一応仲直りした優愛、両親への罪悪感から仕事中に泣いてしまった萌。ふたりが想いを寄せる相手からの連絡を待ちながら、スマホを握りしめて眠りにつく姿が切なくてたまらない。

でも、そんな思いをさせているホストを一方的に責めることもはばかれる。下着姿の女性と眠るハルヒの画像が流出し、逆上してハルヒを罵る優愛(この時の齊藤なぎさの演技には引き込まれた)。

その時、ハルヒが優愛に放った「理想押し付けて、都合の愛情欲しがって、それが手に入らなかったらゴミみたいに吐き捨てる。ホストだからって何してもいいと思ってんだろ?恋愛ごっこ求めておきながら、俺らを見下して人間扱いしてないのはお前らの方なんだよ」という言葉も理解できるからだ。今まで悪い男に見えていたハルヒの抱えている苦しみや、弱さがこのシーンからひしひしと伝わってきた。

もちろん、彼女たちが自分のために身体を売ることを、“当たり前”のように思ってしまうのは褒められたことではない。だけどホストも、たとえ純粋にお金を得るためだったとしても、そのために努力をしている。生半可な気持ちじゃできない。優愛はその点を踏まえて、ハルヒの気持ちを尊重することはできていたのだろうか。

優愛をお金で買う客も、ハルヒをお金で買う優愛も、要するに「こっちはそれなりのお金を払ってるんだから、自分を気持ちよくさせろよ」という根本にある思いは同じなのだ(もちろん、優愛はハルヒに不快な思いをさせないために身だしなみを整えているのだから、おじさんたちと一緒にしてほしくないというのも分かるけれど)。

その点、萌は最後まで楓のことを人として大事にしていた。自分の思いを一方的にぶつけたり、無茶な要求をしたり、無理やりお酒を飲まされたり。そういうことは一切しなかった。楓のことが好きで好きで堪らない気持ちを一人で抱えて、呑み込んで、純粋に偉いと思う。

彼女が最後に何も言わず、楓から離れていったのも、純粋な客として彼と接することがこれ以上はできないと判断したからだろう。そんな萌が、今すぐ抱きしめてあげたいくらい愛おしかった。

だから、楓も恋心は抱かずとも萌のことを彼なりに大事にしていたのだと思う。前話で楓が言った「萌ちゃん飲み方すごく綺麗だし、七星も萌ちゃんの卓楽しいから着きたいって言っててくれてさ、それ聞いたらなんか俺も嬉しくて」という言葉は本音だったと思うから。

誕生日イベントの日、入り口で佇む楓も“お金”じゃなく“萌自身”を待っていたと信じたい。高野洸のどっちともつかない高度な表情が最後まで私たちを惑わせる。スーパー“シゴデキ”な彼の内面を少しでも暴きたかった(完璧なまでに楓というキャラクターになりきっているのに、彼の心情を内側に留める演技が凄すぎる)。だけど、萌が自らの意思で夢から覚めてしまったから、私たち視聴者ももう目覚めなきゃいけない。

「みっこの言う通り、大恋愛してきたよ」と笑顔でみっこ(品田誠)に報告する萌は今までで一番綺麗だった。みっこがそんな彼女を褒め称えるのも希望だ。いっぱい傷ついたかもしれないけれど、人生を振り返ったときに楓との時間はきっと財産になるはずだ。

これで良かったと思う一方で、箭内夢菜、齊藤なぎさ、高野洸、藤原樹が演じた人間味あふれる愛おしいキャラクターたちとの別れが寂しくてたまらない。「ホスト編」に登場した彼らをもっとフューチャーした完全オリジナルのスピンオフドラマを作ってほしいくらいだ。萌と同じように私たちもしばらくは喪失感を抱えながら過ごすことになるだろう。

しかも、ドラマ「明日カノ」自体がもうすぐ最終回を迎える。ちなみに原作の方はまだ連載中で、「ぬる……」と言って萌の元を去った優愛の生い立ちも描かれているので気になった方は是非読んでみてほしい。

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–{第12話ストーリー&レビュー}–

第12話ストーリー&レビュー

第12話のストーリー

壮太(楽駆)は雪(吉川愛)を誘って、温泉旅行へ。穏やかで楽しい時を過ごす2人。そして壮太は、雪のことが好きだとはっきり告白する。そんな壮太の思いを受け、自身の過去について話し始める雪。その夜、雪は初めて夢を見る。そして帰京する朝、壮太は、これからも雪と一緒にいたいという思いを伝える。果たして、雪が出した答えとは―。そして、リナ、彩、優愛、萌、カノジョたちのそれぞれの未来は―。

第12話のレビュー

をのひなおの漫画『明日、私は誰かのカノジョ』の実写ドラマが最終回を迎えた。

「今、この東京でたった一人生きていくためにどれだけのお金が必要か。恵まれた環境か、強い意志。そのどちらかがなければ、普通の生活さえままならないのが現実」

思えば、第1話のこのナレーションから既にドラマの成功は決まっていたようなものだ。若者から絶大な支持を受けている漫画の実写化。さらには、レンタル彼女・パパ活女子・整形依存症・ホス狂など、メディアでもセンセーショナルに取り上げられ、世間から嘲笑の眼差しを向けられやすい彼女たちを主人公に据えたドラマを作るのは挑戦だったと思う。

一歩間違えれば、ただ人気だから実写化してみただけの安易で、差別的なドラマになりかねなかったはず。でも本作は脚本からキャスティング、実際に選ばれた俳優さんの演技に至るまで、これ以上ないくらい原作をリスペクトした最高の実写化だった。

特に雪(吉川愛)を主人公とした「レンタル彼女編」を、他の章が一旦ひとくぎりした最終回で完結させる構成がいい。リナ(横田真悠)、彩(宇垣美里)、萌(箭内夢菜)、優愛(齊藤なぎさ)。カノジョたちが自分の答えにたどり着くまでのプロセスを、雪は最終話で見せてくれた。

第12話では、レンタル彼女の雪と、客の一人である壮太(楽駆)が温泉旅行に出かけた。雪に想いを寄せる壮太はあわよくば、という気持ちがあるからはしゃぐ気持ちを止められないが、雪はあくまでもレンタル彼女として振る舞う。

そんな雪に改めて告白をする壮太。支えたい、守りたい。一体、彼はどの立場からその言葉を雪に向けているのだろう。壮太は雪を尊重しているようで全くしていない。

結局はレンタル彼女でお金を稼いで学費や生活費を払っていること、母親からのネグレクトがきっかけで火傷の痣が残っていること。それらすべてを総合して、彼は雪のことを“可哀想”だと思っているのだ。生きていくために何が必要かを判断し、自分で道を選び取った主体的な存在とはみなしていない。

「明日カノ」の主人公たちは、たしかに人より壮絶な人生を歩んでいる。可哀想だな、悲惨だなと思う瞬間がないわけではない。だけど、カノジョたちを目で追っているうちに自然とそんな気持ちはすぐに消え去る。

家庭環境、生まれ持った才能、容姿、人から愛される力…何もかも足りないものだらけの最悪な人生。だけど、それでも、自分は自分と離れることができない。だったらせめて、少しでも好きだと思える自分になるために、もがいてやる。そんな強さを持ったカノジョたちを、可哀想だなんて少しも思わない。

雪は普通の幸せな家庭で育ち、普通の学生生活を送り、普通に壮太と出会って恋をする人生を想像する。そうだったらいいのにと思いつつ、浮かぶのは「でもそれって私なの?」という疑問。もはやそれは雪ではなく、別の誰かだ。

「この窮屈な世界で少しでも生きたいように生きていくために、私は、私の足で歩いていく。だから今日も、私は誰かのカノジョになる」

答えに辿り着いた雪は壮太と決別し、レンタル彼女を続ける。リナは何かに依存することをやめ、モデルという自分の道を進む(これはドラマオリジナルの展開だが、パパ活依存ENDより救いがあってよかった)。彩は相変わらず整形するためのお金を稼ごうとしているし、優愛は新しい担当ホストに入れ込んでいる。そういう二人の、どんなに非難されようと己の道を行く逞しさが好きだ。

そして、萌は美容学校に進学。もうアドトラックに映ったNo.1の楓(高野洸)を見ても、過去のことだと笑える(楓が二重になっているところまで再現しているのは本当にすごかった!)。

生きることを続けていくためには、少しでも自分を好きでいられる選択を。たとえ、親切な顔で見下してくる人がいたとしても「吐き気がする正論ばっかShut up!」と吐き捨て、自分の足で、自分の向かいたい場所に歩いていくカノジョたちに賛辞を送りたい。

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–{「明日、私は誰かの彼女」作品情報}–

「明日、私は誰かのカノジョ」作品情報

イントロダクション

女子を中心に口コミで火がつき単行本は累計300万部突破、連載中のマンガアプリ「サイコミ」ではランキング一位をキープし続ける大人気作「明日、私は誰かのカノジョ」(作・をのひなお)の実写ドラマ化が決定!

レンタル彼女編、パパ活編、整形編、ホスト編。
一週間に一回誰かの彼女になるレンタル彼女として日々お金を稼ぐ「雪」。
埋められない孤独を抱え、寂しさを男で紛らわす「リナ」。
見た目に固執し、整形を繰り返す30代女子「彩」。
周りに流されず、“自分”を持っていると語る「萌」。
自由を求め上京し、夜の街で“今”を生きる「ゆあ」。

様々な思いを持つ5人の女性たちが各章で主人公となり物語が進む。それぞれにコンプレックスや悩みを抱え、もがきながらもそれを克服しようとした先にあるものとは─。
登場人物たちのリアルな心理描写は話題を呼び、同じ体験をしているわけではなくとも、「明日カノ」の世界観に共感する読者が続出、一度ハマったら抜け出せない超注目作!

放送日時

MBS(毎日放送)
2022.4.12(火)放送開始 毎週火曜深夜0:59~

TBS
2022.4.12(火)放送開始 毎週火曜深夜1:28~

出演
吉川愛/横田真悠/齊藤なぎさ(=LOVE)/箭内夢菜/楽駆/井上想良/ゆうたろう/福山翔大/藤原樹(THE RAMPAGE)/高野洸/宇垣美里 ほか

原作
「明日、私は誰かのカノジョ」 /をのひなお(サイコミ/Cygames)

監督
酒井麻衣(「美しい彼」「雨の日」「荒ぶる季節の乙女どもよ」ほか)
近藤幸子 菅原正登

脚本
三浦希紗 川原杏奈 イ・ナウォン

オープニング主題歌
Amber’s「Desire -欲情本能-」

エンディング主題歌
DUSTCELL「足りない」(KAMITSUBAKI RECORD)

制作プロダクション
MMJ

製作
「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・MBS