「きらきらパチパチしゅわしゅわ」
これは彼らの初DVDのタイトル。本当にぴったりな名前をつけたものだと思う。
きらきらときらめくコンビ。その名はパーパーだ。
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独特の男女コント ほしのディスコが紡ぎ出す光る言葉
マセキ芸能社所属、ほしのディスコとあいなぷぅの男女コンビ・パーパー。
その名が世に広く知られたきっかけは、2017年の「キングオブコント」だろう。ファイナリストとして同大会の決勝舞台に立った彼らを見たとき、筆者は「お?」と思わず目を見はり、気づけばコントに見入ってしまった。
パーパーがかけたネタは、卒業式の日を舞台にした制服のボタンをめぐる男女コント。一見ありがちなシチュエーションだが言葉使いに独特の面白さがあり、ネタ作成者=ほしのディスコは才能があると確信したのをよく覚えている。
その後、テレビやマセキ芸能社のYouTubeチャンネルで幾度となくパーパーのコントを目にしてきたが、それらには「キングオブコント」のときと同様に彼らならではの面白さが存在していた。
彼らの基本スタイルはカップルコント。あいなぷぅ演じる、いささか自分勝手な女性がほしの演じる男性を振り回すものが多い。そして、あいなぷぅに追い詰められたほしのが返していくセリフはひとひねり、ふたひねりも加えられた味があり、これがなんともおかしく悲しく、そして切なく見ている人の心を揺さぶるのだ。
ほしのディスコが紡ぎ出す言葉から感じられるのは、夜空の星を散りばめたような繊細さとナイフのような鋭敏さ。パーパーのコントには、彼にしか描けないであろうきらりと光る情緒がいつも存在している。
そして、もう一人のパーパー・あいなぷぅ。お笑いに興味がないと公言している彼女は、コントの最中もいわゆる芸人らしさがあまり見られず、むしろ淡々と演じている感がある。
ただ、パーパーのネタにおける彼女の役どころは、とんでもない要求を突きつけたり突如刃物を出してみたりとだいぶヤバめであることが多い。それだけに、あいなぷぅの淡白な佇まいのおかげでコントが変にギスギスせず、むしろ味のあるシュール感を生み出している。
光る言葉を紡ぎ出すほしのディスコに、ヤバめのキャラを淡々とこなすあいなぷぅ。二人の持ち味を重ねて生まれるコントは、独特の空気と距離感が混ざりあうなんとも面白い世界。これこそが、パーパーというコンビの唯一無二の魅力といえるだろう。
静かな感動を覚えた不仲コンビの仲なおり
パーパーといえば、かつてはお笑い界きっての不仲コンビとして知られていた。
「アメトーーク!」の「男女コンビ芸人」に出演した際、コンビでのハグをおそらくガチで嫌がっていたあいなぷぅ。芸人コンビの仲がよくないのは決して珍しいことではないが、カメラを前にしてもあそこまで拒むというのは、さすがにネタにも差しさわりがあるのでは?と勝手に心配にもなった。
しかし、現在のパーパーは昔よりだいぶ仲がよくなっている様子。彼らが関係を修復するきっかけになったのは、LINE NEWS「VISION」で配信された仲直りをテーマにしたドキュメンタリー『二人合わせてパーパーです』を撮影したことのようだ。
同ドキュメンタリーでは、コンビの絆復活を目指してほしのディスコが奮闘。デートを試みたり別の相方を考えたりと紆余曲折ありつつ、最終的にパーパーの二人が関係修復していく姿が描かれた。
ドキュメンタリー前半部では、やはり仲の悪さばかりが目立った二人。なぜこんなにもこじれてしまったのか……と見ていて不安になったが、後半部に入ると、ようやくコンビで改善に向けて動き出す。そして、ラストに待っていたのは前述の「アメトーーク!」などの頃とは明らかに雰囲気が変わった二人。これを見たとき、筆者は安堵を覚えるとともに静かな感動で心が満ちた。
彼らの不仲ぶり、このまま続けばそのうち解散してしまうのでは……と危惧していたファンもいたことだろう。仲なおりをしてくれて本当によかったと思う。
なお、不仲解消後のパーパーはコントもちょっと進化しているよう。たとえば、下記のコント。チャイナドレスをめぐってひと悶着するカップルの話で、いろいろとほしのがやりこめられてはいるが、一方で仲のよい彼氏・彼女らしさも垣間見える。何より不仲コンビ時代にはなかった微笑ましさが感じられるのだ。
–{ほしのディスコの歌動画が大バズり!}–
ほしのディスコの歌動画が大バズり!「歌うま芸人」の筆頭に
2020年、以前からやっていたゲーム実況チャンネルとは別にYouTube「ほしのディスコちゃんねる」を開設した、ほしのディスコ。
同チャンネルが始まって程なくしてアップされた1本の動画。これが、この上ない衝撃を世間に届けた。
ほしのディスコ自身がファンだというクリープハイプの名曲「栞」を歌ったこの動画。皆を驚かせたのは、彼の伸びやかで透明感あふれるボーカルと類まれなる歌唱力だ。
この歌動画が大バズリ。おかげでチャンネルも注目を集めたようで、開設時には年内に登録者1万人いかなかったら罰ゲーム…などと言っていたのに、その目標をすんなりクリア。その後もコンスタントに歌動画をアップし続ける彼のチャンネルは、今や登録者は20万人以上(※2022年4月現在)。歌うま芸人の筆頭株としてすっかり人気者となってしまった。
そもそも、テレビなどで耳にする話し声も、高めのきれいな声であるほしのディスコ。歌声になったときに、もともとの声質のよさがいっそう際立っているように感じる。また、彼が歌うときに曲にこめる、やわらかな情感がとてもいい。普段書いているコントに見られる繊細さや感受性の豊かさが歌にも発揮され、だからこそ多くの人の心に強く深く響いたのではないだろうか。
なお、歌動画といえば、あいなぷぅも忘れてはならない。そもそもYouTubeチャンネルを開設して歌をアップしたのは彼女のほうが先。「あいなぷぅチャンネル」には、あいなぷぅ自身が作詞を手がけた楽曲のMVがいくつか並んでいる。ポップでカラフルかつちょっとシュールなオリジナルソングの数々は、見事な歌唱力を誇るほしのの歌動画とはまた違う不思議とクセになる魅力があり、こちらもなんとも楽しいのだ。
ほしのディスコがついにメジャーデビュー 歌でもコントでも輝き続けて!
2022年4月27日、歌うま芸人として名を馳せてきたほしのディスコがついに歌手としてメジャーデビュー。本名・星野一成名義で寺岡呼人プロデュースによる配信シングル「いとしの悪魔ちゃん」をリリースした。
MVが先行公開された「いとしの悪魔ちゃん」。ほしのディスコならぬ星野一成の持ち味であるハイトーンボイスとソフトな雰囲気が十分活かされた切なく響く楽曲だ。恋した女性に苦しめられたことを振り返る失恋ソングで、ひどい彼女に振り回される彼氏…というパーパーのコント定番の世界観ともリンクしていると感じる。
以前YouTubeチャンネルの動画でも「オリジナル曲を出したい」と語っていたほしのディスコ。歌の才能を見事開花させてメジャーデビューにたどりついた。今後、デビュー曲をひっさげて音楽番組やどこかのライブに出演することもあるのでは…と楽しみだ。
とはいえである。歌手だけでなく芸人としてのほしのディスコも才能にあふれている。なので、歌声を聴くとともに、できればお笑いの舞台に立って言葉を紡ぐ姿も見続けていきたい。この二人だからこそ…と思える唯一無二の笑いを作り出しているパーパー。この先も、コントに歌にきらめくコンビとして輝き続けてくれたらと願っている。
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(文:田下愛)