2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第15回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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暢子、就職内定を蹴る
暢子(黒島結菜)が就職先の社長の息子に馬鹿にされて辛抱たまらず手を出したことが、賢秀(竜星涼)のときと同じく問題になってしまいます。
今度は優子(仲間由紀恵)も一緒に謝罪に行きます。
会社の人に、女性は「自己主張せず一歩引いて男を立てる」ものだと言われた暢子はカッとなって自ら、この会社で働くことを拒否します。
「暢子、よくやった!」と言う賢秀のように、観ながら、胸がすきっとなりました。ところが、暢子は帰りに優子に悩みを吐露しています。
「この村も沖縄も自分が女だということも全部大嫌い」
なかなかのヘヴィーワードが飛び出しました。なぜ、ここまで暢子が自分と故郷を責めるかと言うと、これまで走りでは誰にも負けなかった彼女が、ついに負けてしまったのです。
自分のわずかながらの取り柄・走ることすら失われてしまったことで、暢子には拠り所がありません。
でもなんだかここが惜しいなあと感じました。走りで男の子に勝って来た暢子が男の子に負けてしまったあと、会社で女は「「自己主張せず一歩引いて男を立てる」ものと言われて、”女”というものに絶望するという流れになっています。ここで女の身体が不利であることをもう少しデリケートに描いてほしかったと感じました。
比べてはいけないですが、黒島さんや歌子役の上白石萌歌さんも出ていた大河ドラマ「いだてん」は女性のスポーツ選手がいかに身体的なハンデと戦ってきたか描かれていましたので、女性を主人公にした朝ドラでそこが描かれないことが惜しいです。
もうひとつ惜しかったのが、優子の告白。
すぐにカッとなってしまうことを反省する暢子に優子が、自分も昔はすぐにカッとなっていたと驚くべきことを言うのです。そこは「若草物語」の一場面を思い出させます。
「ちむどんどん」が四姉妹を描いた名作児童書「若草物語」をリスペクトしていることは公式で語られています。「若草物語」にも穏やかな母がかつては癇癪持ちだったことを癇癪に悩む次女・ジョーに明かす場面があります。母が癇癪をどう抑えることができるようになったかが丁寧に書いてあり、筆者は子ども心に記憶に鮮明に残っていました。母親がどうやって変化してきたか、そこが大事なのですが、「ちむどんどん」ではそこはありません。のちにまた語られるときが来るのかもしれませんが。
全部じゃなくていいからちょっとだけ描写してくれると、優子のキャラクターがもっと彩られたような気がしますが、自分語りしないで暢子が腹を立てた理由を聞く優子も素敵でした。彼女がそこまで懐深くなった理由をいつか描いてほしいです。
「若草物語」の癇癪抑制エピソードはいずれもうすこし「ちむどんどん」にも生かされるかもしれません。気長に見ていきましょう。朝ドラは半年あるのですから。
下地先生(片桐はいり)と歌子の追っかけっこと、賢秀が博打でお金を稼いできてそれを暢子の就職断った祝いの費用にしたところは楽しかったです。
(文:木俣冬)
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–{「ちむどんどん」第3週目のあらすじ}–
「ちむどんどん」第3週目のあらすじ
時は1971年。比嘉家の母・優子(仲間由紀恵)は、今は村の共同売店で働いている。そして四兄妹はそれぞれに成長している。暢子(黒島結菜)はやんばるの高校生。相変わらず足が速く活発な人柄だ。そして、暢子は今、卒業後の進路、就職をどうするかを考える季節。兄・賢秀(竜星 涼)、姉・良子(川口春奈)、妹・歌子(上白石萌歌)もそれぞれに大きくなり、やんばるを舞台に兄妹の新たな物語が始まる。
–{「ちむどんどん」作品情報}–
「ちむどんどん」作品情報
大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――
ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。
放送予定
2022年4月11日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人
作:
羽原大介
語り:
ジョン・カビラ
音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)
主題歌:
三浦大知「燦燦」
沖縄ことば指導:
藤木勇人
フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子
制作統括:
小林大児 藤並英樹
プロデューサー:
松田恭典
展開プロデューサー:
川口俊介
演出:
木村隆 松園武大 中野亮平 ほか