「ちむどんどん」第4回レビュー:アキサミヨー! アババを「頂きます」 (※ストーリーネタバレあり)

続・朝ドライフ

2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第4回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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「ちむどんどん」第4回レビュー

予想どおり、青柳父子(戸次重幸、田中奏生)のもてなしに豚のアババが
使用されていました。

真相を知ったとき、アババの小屋に表札を凝って作るほどかわいがって飼育していた賢秀(浅川大治)がもっと泣いて両親(大森南朋、仲間由紀恵)を責めるかと思ったら「アキサミヨー!」(「嗚呼!」みたいなものでしょうか)と叫び、一瞬「おれのアババを食べないでくれ」と止めるものの、すぐに気持ちを収め、おいしく頂きます。

期待どおり、お父さん・賢三がメッセージ性のあることを語りました。

「生きているものはほかの生き物 植物や動物を食べないと生きていけない。人間も同じさぁな。『頂きます』とは命を頂くこと。だからきちんと感謝しながらきれいに食べてあげる。それが人の道。筋を通すということさ」

「命を頂くこと」という言い回しはよく聞きますが、ここで注目したいのは、それが「筋を通す」ということであるという考えです。
「筋を通す」によってよけいに食べる行為に重みが増すような気がします。

ラフティーに沖縄そばの出汁にと、アババは大活躍。

アババへのリスペクトを感じながらもりもり食べているときに流れる劇伴がバンドネオンの音色がなんとも切なくて、こんなにも生きるかなしみに溢れ、でも明るく力強い食卓はいままで見たことありません。

朝からすごいヘヴィなものを観せられてちょっと参ったなと思ったら、末っ子の歌子(布施愛織)がケロッとしたオチがつけて助かりました。

バンドネオンから賢三が奏でる三線に音色は代わり、暢子たち(稲垣来泉)たちは踊ります。和彦も見様見真似で踊ります。

両腕をあげてゆらゆらと動かすこれは「カチャーシー」という沖縄の人々の生活に根付いた踊りで、「かき混ぜる」という意味があり、みんなで自由に即興的に踊るものです。

賢三は、自分たち沖縄の人たちの生き方を「行き当たりばったりの人生」だと語ります。

「大和世(やまとゆー)」「戦世(いくさゆー)」「アメリカ世(あめりかゆー)」とそのときの状況に合わせていく。そうやって生き抜いてきた……。

「筋を通す」生き方を語ったそばから「行き当たりばったりの人生」を語る賢三。
大人は矛盾を抱えていますが、子どもたちはいたって無邪気です。

東京から沖縄に来て、つまらなそうにしていた和彦が沖縄そばをいままで食べたなかで一番おいしい」と心から笑顔になり、ようやく暢子と打ち解けていきます。
そして、比嘉家の4兄妹たちと文通することに。

暢子の最初の手紙は「なに食べた?」
「きのう何食べた?」みたいです。

海、川、サトウキビ畑……ではしゃぐ子どもたち。
みんなの笑顔に流れる女性ボーカル曲は美しくももの悲しく……。
生きるかなしみが染みる第4回は第1週のピークだと思います。
おそらくこれが「ちむどんどん」の主音でしょう。

「あさイチ」で博多華丸さんも注目していた仲間由紀恵さんの腕の動きの繊細さもそれを象徴しているような気がしました。

でも早くも和彦とのお別れが近づいてきているようで……。

(文:木俣冬)

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–{「ちむどんどん」第1週目のあらすじ}–

「ちむどんどん」第1週目のあらすじ

1964年、沖縄本島北部やんばる地域。小学生の比嘉暢子(稲垣来泉)はおいしいものが大好き。ある日、転校生・青柳和彦(田中奏生)がやってくる。暢子にとって、初めて見る東京の人だった。母・優子(仲間由紀恵)と父・賢三(大森南朋)もともに、和彦の父・史彦(戸次重幸)と家族どうしの付き合いが始まるが、肝心の和彦はやんばるでの暮らしが楽しくなさそう。暢子は何とか和彦の心を開かせようと試みるが…。

–{「ちむどんどん」作品情報}–

「ちむどんどん」作品情報

大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――

ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。

放送予定
2022年4月11日(月)~

<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。

日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。

<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。

出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
 山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人

作:
羽原大介

語り:
ジョン・カビラ

音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)

主題歌:
三浦大知「燦燦」

沖縄ことば指導:
藤木勇人

フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子

制作統括:
小林大児 藤並英樹

プロデューサー:
松田恭典

展開プロデューサー:
川口俊介

演出:
木村隆  松園武大 中野亮平 ほか