SixTONESの魅力:6人の強さを裏付ける10年間の変遷

音楽

2022年1月1日、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」にSixTONESが登場した。

これまでに各ジャンルで活躍するアーティストが数多く登場し、その度に話題となった一発撮りに挑んだジャニーズは、彼らが初めてだった。

公開された動画、その動画に寄せられた絶賛のコメントを見て、私は「やっぱり、すごい人たちなんだな…」とファンであることを誇らしく思った。

彼らの原点ともなった2012年に放送されたドラマ『私立バカレア高校』をきっかけに、彼らを本格的に応援し始めてから10年。その歴史を振り返りながら、彼ら6人でいることの魅力について語らせてほしい。

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非フレッシュJr.との衝撃的な出会い

「推しは、推せる時に推せ」なんてよく言うけど、本当にその通りだ。

今でこそ、ジャニーズJr.として活動する子が退所したのか否かがわかりやすくなったが、一昔前までは、いつも出演していたはずのテレビ番組やアイドル誌に出演していないのを見て「あれ?今月はいないのかな?」と3ヶ月くらいやきもちしたあとで退所を知ることはめずらしくなかった。

また「デビュー間違いなし」と言われたグループの一部メンバーが新しく結成されたグループのメンバーとしてデビューをし、残りのメンバーがそのまま辞めてしまうことも過去にはあった。

そんな経験をしたことがあるからこそ「ジャニーズJr.を推すことって儚くて辛いな」と感じることは度々あって、のめり込みすぎないようにしていた。

そんな時に出会ったのが現在のSixTONES、いわゆる“バカレア組”だった。

彼らの原点となった2013年放送のテレビドラマ『私立バカレア高校』(日本テレビ系)を見たときに、私の知っている幼き頃の彼らとはあまりにも印象が違い驚いたのを覚えている。

最近の言葉で言うと、いわゆる“治安が悪い”。

同作品で6人が演じたのが、ヤンキー役ということも相まってか、誰かに媚びることなく「俺らは、俺ら」と言わんばかりに立ち振る舞う姿に心を鷲掴みにされた。

そんな彼らのスタイルは、ドラマの中だけに限ったことではなかった。

当時彼らはドラマのオープニング曲Kis-My-Ft2の『Shake It Up』やKAT-TUNの『HELL,NO』をカバーして披露することが多かったのだが、良い意味で原曲に忠実すぎず、アレンジを入れながら、自分たちの魅せ方で歌い上げる。

原曲にはない振り付けを追加し、ファンを煽る姿がたまらなくかっこよくて私は沼へとハマっていった。

解体、そしてSixTONESの誕生

そんな彼らのパフォーマンスが好きで「次は、なんの曲を6人で披露してくれるの?」という思いとは裏腹に、約1年くらいかけて“バカレア組”はゆるやかに解体へと向かっていった。

「まあ、グループの何名かが推されることはあるよね」くらいの気持ちでいた私に解体を突きつけたのは、2013年ジャニーズ銀座での出演者発表の時のこと。

公演が発表された時に「うお!バカレア組の公演があるじゃん」と歓喜し、申し込んだ後で、6人での公演はなし、松村北斗とジェシーの公演、京本大我、髙地優吾、田中樹、森本慎太郎+何名かのジャニーズJr.の公演へと変更が行なわれたのだ。

この件がきっかけとなり、私は彼らを応援することから距離を置いた。

誰が悪いのではない。箱推し気質な私にとって、当時は彼らが6人でいることが何よりも正義だった。前を向いて頑張る彼らを応援しながらも「6人だったら…」といつもたらればを考えてしまう自分に嫌気が指し、辛くなり離れていった。

しかし、そこから月日は流れて2015年。

社会人となった私はTwitterで「バカレア組にグループ名が付いた!」という意味のツイートを見かけた。そして、ザ少年倶楽部で彼らのオリジナル曲『この星のHIKARI』を歌っているのを見て、すぐにまた彼らの沼に戻った。

白スーツに身を包み、キラキラとしたラブソングを顔を見合わせて、アイコンタクトを取りながら歌う姿がたまらなく愛おしかった。

もちろん“バカレア組”だったころの尖っぷりも健在。一列になってヘドバンのような振り付けから始まる『BE CRAZY』、歌やラップ振り付けを自分たちでつけたオリジナルダンスナンバー『Drop the beat SixTONES』(正式の曲名は不明、曲中で何度も叫んでいるワードがファンの間で広まり、通称ドロストと呼ばれている)など、次から次へとファンをワクワクさせるパフォーマンスを披露した。

そして、彼らが一緒になれたのは、ジェシーが当時の事務所社長ジャニー喜多川に「1曲でもいいから、6人でやりたい」と直談判してくれたからなのだという。このエピソードを初めて聞いたとき「6人でいることを大切に思っていたのはファンだけじゃなかったんだ」と涙が溢れた。

言葉で直接的に伝えてくれたJr.時代

ジャニーズJr.は儚いものだ。デビューをしない限りグループとしての効力は、あまり意味がないことも私は知っている。

だから、6人を応援できるのが嬉しい一方で「もしもまた、彼らを応援できなくなったらどうしよう」と不安に思ったのも事実だ。

そんな私たちの不安な気持ちを汲み取ってか、彼らはよく「大丈夫」とか「信じて」と言ってくれた。エゴサしていることを匂わせることもよくあった。

その思いを、特に強くアピールしたのは2018年12月11日に行なわれた「YouTube FanFest 2018」に出演した時のこと。

他の出演者のファンもいる中で、パフォーマンスした2曲目「IN THE STORM」で、田中樹が「俺を信じて」の歌詞を叫ぶように歌った姿を見たときに「一生ついていきたい」と思わせてくれた。

また、YouTubeチャンネル「ジャニーズJr.チャンネル」で2019年1月18日に公開された動画「SixTONES【ラジオ企画】みんなの質問に答えます!」の中で、ジェシーは「デビューさせる気ありますか?」と発言した。

当時、SixTONESという名前がついてから4年弱。「デビューできるか」と不安になり始めていたファンの思いを代弁してくれたのだ。

こうやってファンがほしい言葉をほしいタイミングで言葉にしてくれたのは、今日に至るまで彼らを応援できる理由の1つのように思える。

–{6人で掴んだデビューという夢}–

6人で掴んだデビューという夢

そこから半年後、2019年8月8日に東京ドームで行なわれた「ジャニーズJr.8・8祭り〜東京ドームから始まる〜」でSixTONESはSnow Manとの同時デビューが発表された。

そして、2020年1月22日、ずっと願っていた6人でデビューするという夢を彼らは叶えた。

2013年4月に発売された『劇場版 私立バカレア高校』の特典版DVDに収録されているクランクアップのシーンで、田中樹は「このまま終わりたくないというか、撮影終わっちゃったんですけど、見てくれた人たちにバカレアすげーなと認めてもらって、またみんなで撮影したいです」と涙ながらに話している。

松村北斗は「完成して嬉しい気持ちと、またバラバラになっちゃうという寂しい。(中略)絶対またこのメンバーで、もう1回と言うか…やれたらいいなと思っています」と、森本慎太郎は大泣きしながら「みんなと離れるのがすごい嫌です。映画の公開がうまく行ったら、また新たなバカレアを作りたいです」と語っている。

その言葉が現実になる未来が、本当にやってくるなんて。言葉では言い表せないほどに嬉しかった。

彼らのデビューシングル『Imitation Rain』に収録されたカップリング曲『NEW WORLD』のオリジナルセルフカットMVを見てほしい。

3分10秒からのジェシーのパート「あの日の偶然の出会いから 始まった 僕らのストーリー きっと奇跡なんだ」という歌詞を、6人が笑顔で噛み締めている。

初めてこの映像を見た時「誰1人、辞めることなくここまで来てくれてありがとう」そう思いながら、私は泣いた。

6人でいることで生み出す強さ

デビュー発表時、嬉しさと同時に「今までのように彼らは彼らのスタイルを貫けるだろうか…」との不安がよぎった。

しかし、デビューから2年経った今もなお、彼らは彼らのままだし、最強にかっこいい。

自分たちのことを「踊りがそろわない」と言っていた時期もあったが、個性を出しながらも合わせるところでしっかりと合わせたパフォーマンスを見せる姿は健在。さらに誰がメインボーカルでも落ち着いて聞ける歌唱力、6人が織りなす重厚感のあるハモリがたまらなく好きだ。

また個人の仕事が増えても、6人でいることを大切に思ってくれているように思えるのもうれしい。

そんな6人でいる強さが現れているのが「THE FIRST TAKE」の第2弾として公開された動画「SixTONES – Everlasting / THE FIRST TAKE」だ。

歌い出す前、嬉しさのあまり口角が緩みっぱなしの6人。ジェシーの「OKな人から親指立てて」をツッコミながらもちゃんとやる6人。最後に指スマのように指を立てた松村北斗にツッコむことなく始まる通常運転加減…歌が始まる前から好きポイントが渋滞している。

ところが歌唱し始めると空気は一変。息をするのを忘れさせるくらいの圧倒的な歌声で見る人を引き込んだ。かくいう私も、初めて動画を見終えた後は、しばらく放心状態になり、感想を呟くことなく、もう1度、もう1度と繰り返し見て涙を流した。

「付いてきて」「信じて」と言われたから、付いてきた先に広がる景色が想像の何百倍も美しくて「すごいところに来ちゃったな…」とよく思う。

見たことがない輝き放つ6人が大好きだ

誰かのようにではなく、自分たちらしいスタイルを、予想の斜め上を行く方法で表現してくれる彼らが私は最高に好きだ。

彼らの楽曲『光る、兆し』の中に「奇跡のカケラに宿った それぞれの力合わせたら 見たことない輝き放った」という歌詞があるように、彼らを応援していると見たことのない世界って、まだまだたくさんあるんだなという気持ちにさせられる。

きっと私は、これからも「もういいよ」と言われるまで付いていくだろう。そして、SixTONESの6人が大好きなんだろう。

(文:於ありさ)

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