阿部寛主演のTBS系日曜劇場「DCU」が2022年1月16日放映スタートした。
TBS×ハリウッド大手プロダクションの共同制作となる本作は、水中の捜査に特化したスペシャリスト集団「DCU(Deep Crime Unit)」の活躍を描く“ウォーターミステリー”。真実を突き詰めるまで諦めないDCUの隊長・新名正義を阿部寛、新名のバディとなる隊員ダイバー・瀬能を横浜流星が演じる。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
>>>「DCU」の画像をすべて見る
2022年、海上保安庁に「潜水特殊捜査隊」、通称「DCU」が発足した。DCU設立の目的は、島国日本において海や河川で発生する事件の解決や、水際からやってくるテロなどからの防衛。いわば水際捜査に特化したエキスパート集団だ。隊長となったのは、50歳を迎えた新名正義(阿部寛)。メンバーには海保のエリート・西野斗真(高橋光臣)、女性初の潜水士となった成合隆子(中村アン)らがいた。そして過去に水難事件で新名に命を救われた瀬能陽生(横浜流星)の姿も。DCUは海上・水中だけではなく陸上の捜査権限も与えられることになったのだが、そのことが警察関係者との間に溝を生んでいた。
そんなDCUが発足と同時に捜査に向かったのは、群馬県のダム湖。数日前に上陸した大型台風によりダム湖内の水流が変わり、ある人物の頭骸骨の破片が発見されたのだ。警察には手が出せない水深100メートルというダム湖の水底を新名たちが潜水捜査すると、そこには思いもよらない景色が広がっていた。
容疑者として名前が挙がったのは、建設会社の社長で社長就任以前はダム事業を担当していた小山内正一(中村芝翫)、その秘書でどこか陰のある若林朱里(高梨臨)、会社の金を使い込んだことが発覚し、ロシア出張時に失踪して現在も行方不明の野田浩正(宮野真守)。ダム建設に関わっていた疑惑の3人、そして隠された事実とは…。
第1話のレビュー
瞬間最高視聴率40.1%を記録した「半沢直樹」や映画化決定で話題となっている「TOKYO MER~走る緊急救命室~」など、大人の視聴者層をターゲットとした重厚な作品を輩出し続けるTBS日曜劇場。
その枠で2022年のトップを飾る、阿部寛主演のドラマ「DCU」がスタートした。海上保安庁全面協力のもとで撮影。さらにはハリウッド大手制作プロダクションとの共同制作という気合いの入った企画に注目が集まっていた。
DCUとはDeep Crime Unit(潜水特殊捜査隊)の略称で、水中の捜査に特化した架空の組織。地上の事件に比べれば解決率が低い水中事件や水難事故を解明することで、さらなる国内の治安向上を目的として発足された。
そんなDCUの隊長に選ばれたのが、阿部寛演じる新名正義だ。第1話では、DCU発足と同時に起きた事件の全貌が明らかになるとともに、新名が率いるチームの関係性が少しずつ見えてきた。
水中捜査のスペシャリスト集団であるDCUのメンバーは、副隊長の西野斗真(高橋光臣)、中堅隊長の森田七雄(岡崎体育)、大友裕也(有輝/土佐兄弟)、成合隆子(中村アン)、そして若手隊員の瀬能陽生(横浜流星)と新名を含めた6人。どうやら密かに派閥ができているようで、森田と大友は海保のエリートである西野が新名よりも隊長に相応しいと感じていた。
目的のためなら手段を選ばない男で、空気を一切読まず、発足したばかりのDCUに不信感を抱く県警の人間にも歯向かう。そんな新名が隊長に選ばれたのは、海上保安庁の警備救難部部長である佐久間雄二(佃典彦)がゴリ押ししたからだと噂されていたからだ。
そんな中、陽生と隆子だけは新名を一心に慕っているが、それには15年前の事件が関係していた。
当時、海保のダイバーだった新名は佐久間から、海保と東都重工が共同で進めてきた船の自動運行システムの情報を外部にリークした東都重工海洋研究所に所属する瀬能博士の身柄を確保するよう命令を受ける。しかし、瀬能博士の潜伏する船は爆発。その直前、海に投げ込まれた瀬能博士の息子が幼き日の陽生だった。
新名が陽生を救い出した後に海の中へ潜ると、当時バディを組んでいた隆子の兄・淳(吉川晃司)が何かを探しているところを発見する。それは瀬能博士が所持していた鍵。実は海保の中に瀬能博士と通じるスパイがいると見られており、新名は淳に「お前がスパイだったのか」と詰め寄る。だが、真実が明らかにならないまま、淳は海の中に沈み込み殉職。事故現場で新名が少年を救ったという美談だけが一人歩きしていた。
水中捜査のスペシャリスト集団であるDCUのメンバーは、副隊長の西野斗真(高橋光臣)、中堅隊長の森田七雄(岡崎体育)、大友裕也(有輝/土佐兄弟)、成合隆子(中村アン)、そして若手隊員の瀬能陽生(横浜流星)と新名を含めた6人。どうやら密かに派閥ができているようで、森田と大友は海保のエリートである西野が新名よりも隊長に相応しいと感じていた。
目的のためなら手段を選ばない男で、空気を一切読まず、発足したばかりのDCUに不信感を抱く県警の人間にも歯向かう。そんな新名が隊長に選ばれたのは、海上保安庁の警備救難部部長である佐久間雄二(佃典彦)がゴリ押ししたからだと噂されていたからだ。
そんな中、陽生と隆子だけは新名を一心に慕っているが、それには15年前の事件が関係していた。
当時、海保のダイバーだった新名は佐久間から、海保と東都重工が共同で進めてきた船の自動運行システムの情報を外部にリークした東都重工海洋研究所に所属する瀬能博士の身柄を確保するよう命令を受ける。しかし、瀬能博士の潜伏する船は爆発。その直前、海に投げ込まれた瀬能博士の息子が幼き日の陽生だった。
新名が陽生を救い出した後に海の中へ潜ると、当時バディを組んでいた隆子の兄・淳(吉川晃司)が何かを探しているところを発見する。それは瀬能博士が所持していた鍵。実は海保の中に瀬能博士と通じるスパイがいると見られており、新名は淳に「お前がスパイだったのか」と詰め寄る。だが、真実が明らかにならないまま、淳は海の中に沈み込み殉職。事故現場で新名が少年を救ったという美談だけが一人歩きしていた。
結果的にダムで見つかったのは1ヶ月前に殺された遺体ではなく、5年前のものだったのだ。しかも、遺体の身元が新名の推理と陽生の活躍により野田であったことが判明する。裏金を使ってダム計画を進めていた小山内の不正を明らかにしようとしていた矢先、野田は小山内に殺された。釜飯屋の窯に隠された遺体は、そこにあった泥炭に守られ腐敗しなかったという。
見事に真実を明らかにした新名と陽生。絆で結ばれた最強のバディが誕生かと思いきや、ラストで最終回ばりの衝撃的な展開が待ち受けていた。
15年前の事件について何も覚えていなかった陽生だが、なぜか突然に一部の記憶を取り戻す。そこでは自分を助け出した後、新名に向かって「お前がスパイだったのか」と詰め寄る淳の姿が。そう、冒頭で流れた映像とは真逆に新名が裏切り者として描かれているのだ。
このことをきっかけに誕生したばかりのバディが決裂という驚愕の展開に驚きを隠せない。何より阿部寛の不敵な笑みが印象的で、新名が完全に白だと言い切れないのが面白いところ。果たして新名は正義のヒーローか、それとも……?
※この記事は「DCU」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
新名(阿部寛)と瀬能(横浜流星)のわだかまりが解けぬまま、新たな事件が発生した。変死体が発見された北能登の港へ向かうDCUのメンバー。殺害されたのは密漁者と戦う地元漁師のリーダーだった。漁師たちが「犯人は密漁グループの連中に違いない」と騒ぎ立てるのを余所に、新名は地元刑事の坂東(梶原善)と共に捜査に乗り出す。
現場となった場所には水産物の研究所を建てる計画があり、ロシアから政府高官が視察に来る予定が5日後に迫っていた。5日以内に事件を解決するよう命じられた新名は早速、西野(高橋光臣)たちに日本海に沈む遺留品を探すよう指示を出す。そこへ地元の市議会議員・岡部(古田敦也)が現れ…。
一方で坂東と共に陸を捜査する新名と瀬能は、被害者の下で技能実習生として働いていた外国人に聞き込みをすることに。やがて排他的な地元民と外国人技能実習生の実態が浮き彫りになり、事件は思いもよらない方向へと進んでいく。
第2話のレビュー
「DCU」第1話の終盤では、主人公の新名(阿部寛)が15年前の海難事故でバディの成合(吉川晃司)に濡れ衣を着せて自身の罪を隠蔽した可能性が浮上。記憶を頼りに瀬能(横浜流星)は当時の報告書を調べるが、新名が成合を殺してまで手にしようとしていた鍵についての記述は残されていなかった。
一方、部下が自分の罪を暴こうとしているにもかかわらず、一切焦る様子がない新名はPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が出始めている瀬能を潜水業務から外す。このことが、二人の間により深い亀裂を生んだ。
そんな中、北能登の港で変死体が発見される。何らかの凶器で刺殺されたのは、地元漁師の島田(須田邦裕)。彼は密猟者と戦う地元のリーダー的存在で、他の漁師たちは密猟グループの連中に殺されたに違いないと騒ぎ立てていた。
現場となった場所には水産物の研究所を建てる計画があり、ロシアから政府高官が視察に来る5日後までに事件を解決するよう急かされた新名たちは早速捜査に乗り出す。遺体が遺棄された場所を特定するため、被害者の遺留品を探す西野(高橋光臣)、森田(岡崎体育)、大友(有輝)の3人に対し、地元刑事の坂東(梶原善)と共に聞き込み捜査を行う新名と瀬能。その中である人物が容疑者として浮かび上がる。
それは島田の下で技能実習生として働いていたロドリゴ・サンチェス(フェルナンデス直行)。彼は島田が殺された夜に一人で密漁のパトロールを行っていたそうだが、供述には不審な点があった。周辺の海のように波が荒い場所では発光しないはずの夜光虫を見たというのだ。
一方、海の中からは遺体の傷と一致する二本鉤が見つかる。凶器には左利きの人間が握ったと思われる跡がついていた。容疑がかけられているサンチェスも左利きであり、瀬能は坂東と一緒に張り込む。しかし、その中で見たのは溺れた子供を助け出そうと迷いなく海に飛び込んだサンチェスの勇敢な姿だった。
彼に人を殺すことはできない。瀬能がそう思い始めた矢先にサンチェスの家から島田の血痕がついた財布が見つかり、翌日の朝には送検されることが決まった。しかし、新名もまたサンチェスが何かを隠していると疑っており、真実を明らかにしたい瀬能との思いが合致する。
鍵を握るのは、未だ見つかっていない島田のスマホ。サンチェスが送検される時間が刻一刻と迫る中、新名は水中ドローンを使った捜査に長けている森田の腕を信じて海の中をくまなく捜索。ようやく見つかったスマホに残されていたのは、島田が殺される一部始終の音声だった。
犯人は地元の市議会議員を務める岡部(古田敦也)だったことが明らかに。岡部はヤクザと癒着している密漁ブローカーだったのだ。さらに瀬能と調べを進めていた坂東も岡部とグルで、サンチェスを犯人に見せかけるため、島田の血痕がついた財布も凶器も彼が仕込んだものだった。
そんな二人と島田が揉み合っているところを目撃していたにもかかわらず、真実を隠していたサンチェスは新名たちに「私が外国人だからです。本当のことを言っても誰も信じてくれない」と涙ながらに訴える。それでも唯一自分のことを信用してくれていた島田が守り続けたアワビの漁場が盗まれないように、彼は口を噤んでいたのだ。
水陸同時捜査で今回も事件の真相を見事に突き止めたDCUだが、第2話はその中で新名のリーダーとしての素質が垣間見えた回だった。早い段階から坂東に疑いをかけて瀬能に彼と一緒に行動するように指示を出しただけではなく、操作中もさり気なく部下をサポートしていた新名。
自分に自信が持てないでいた森田に得意の水中ドローンを積極的に使わせ、なかなかスマホが見つからず焦っていた彼を落ち着かせようとしていた姿も印象的だった。時間の無駄と森田の努力を一切認めなかった西野と対象的だ。
特にリブリーザー試験に臨む隆子(中村アン)にお守りを渡す新名はどうしても本作の“黒幕”には見えない。むしろメンバー1人ひとりの長所や短所を理解した上で的確なパスを回す“理想の上司”ぶりに、ほうっとため息をついた人も多いのではないか。こんな上司が会社にいたら自然と下の人間が育っていくだろう。
また、そんな新名に不信感を抱く瀬能もやはり魅力的で、個人的な感情に振り回されることなく業務を遂行し、新名を慕っている隆子に本当のことを言わなかったことからも彼の誠実さが伝わってきた。
瀬能の新名に抱く憎しみと尊敬が入り混じった感情や、隆子への憧れとも恋心ともまだ判断がつかない淡い気持ちを表情で語る横浜流星の演技力が、人間関係が複雑に絡み合う本作の一つの支柱となっている。
※この記事は「DCU」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
隆子(中村アン)のミスにより、ロドリゴ・サンチェス(フェルナンデス直行)が被害者のスマホを盗んで失踪してしまった。しかも、サンチェスには治安を脅かすある重大な秘密が隠されていたことがわかった。
サンチェスを逃したことで新名(阿部寛)は上から厳しく追及される。さらに、この一件が原因でロシア高官の来日が見送られることになり、隆子は重い責任を感じていた。そんな中、大友(有輝)と聞き込みに出た隆子は、サンチェスと同じ日本語学校に通うマリア・シルバ(エレナ アレジ 後藤)を見つけ、焦りのあまり彼女に怪我をさせかねない行動をとってしまう。やがて、新名はミスを重ねた隆子を捜査から外すと伝える。
しかし、自分の犯したミスを取り戻したい隆子は命令に背き、ひとり捜査に乗り出す。そして瀬能(横浜流星)をはじめDCUのメンバーたちも隆子を励まし密かに協力する。そんな中、事態はゆっくりと最悪の方向に進んでいく…。
第3話のレビュー
「DCU」第2話で殺された漁師・島田のスマホを盗み、逃亡した“ロドリゴ・サンチェス”は全くの別人だった。彼の本当の名はジョアン・ロペス(フェルナンデス直行)。技能実習生として来日する予定だったサンチェスから身元を買い、日本に不法入国したブラジル人だ。
この一件でロシア高官の来日が見送られることになり、ミスを犯した隆子(中村アン)は重い責任を感じるあまり暴走。予想を遥かに超える最悪の結末を引き起こしてしまう。
ロペスが“打倒アメリカ”を目標に掲げる国際テロ組織「ブラックバタフライ」のメンバーであることが発覚し、県警は国道を封鎖して街中を捜索。撤退の危機に追い込まれたDCUも港周辺の聞き込み調査に乗り出した。隆子は大友(勇輝)と共に以前ロペスが溺れて入院した際、見舞いに訪れていたマリア・シルバ(エレナ アレジ 後藤)に接触。しかし、解決を急ぐあまりシルバに怪我をさせかねない行動を取ってしまう。
隊長の新名(阿部寛)はそんな隆子を見兼ね、彼女を一時除隊させることにした。しかし、ミスを取り戻すために新名の言葉を無視し、単独行動を続ける隆子を瀬能(横浜流星)をはじめとしたDCUのメンバーたちが支える。
ここで前回から気になるのが、隆子と瀬能の関係。二人は15年前に起きた海難事故で肉親を亡くしたという共通点もあり、他のメンバーよりも絆の強さを感じさせる。それだけではなく瀬能が隆子を見る目がとても優しく、今回も新名に隆子が捜査に参加できるように頭を下げたりと、特別な感情を抱いていることは明らかだ。
近年の日曜劇場を振り返ってみると、「日本沈没ー希望のひとー」の天海(小栗旬)と椎名(杏)、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」の音羽(賀来賢人)と涼香(佐藤栞里)の関係性が注目されていた。仕事に対する相手の姿勢に惹かれていき、関係が良い方向に進展していくと思いきや、どちらかが命の危険に晒されるという展開がお約束に。前者は最終的に上手くいったが、後者は涼香が死亡という最悪の形で終わっている。今回は果たしてどうなるか……と思うまもなく、第3話で早々に決着がついてしまった。
事の結末はこうだ。
ロペスが盗んだ島田のスマホが見つかり、奥能登の海上保安署を指す座標値が書かれたメールが残されていた。さらにロペスは島田を漁師に育てた柳田という男に接触し、「海上保安署を爆発する」と伝言。すぐさま海保の建物に機動隊が配置される。しかし、ロペスの目的は海保爆発ではなく国外逃亡だったことが、隆子の調べでわかる。同じ故郷で育った彼に協力していたシルバに真実を吐かせたのだ。
ロペスはすでに柳田の船を使い、仲間と落ち合う座標地点に向かっている。そこは海保も立ち入れない日本領海の向こう側。早く追いかけなければ間に合わないという状況の中で、現状一番近くにいるのは隆子だった。だがミスを重ね続けている隆子を向かわせるわけにはいかず、新名は待機を命令する。
正直、新名の隊長としての判断は正しい。「邪魔者は排除するだけだ」と口では言っているが、それはすべて隆子を含むDCUのメンバーの未来を守るためだ。お願いだから新名が伝えた兄・成合(吉川晃司)の「冷静になれ」という言葉を思い出して……と誰もが思っただろう。それなのに隆子は命令に背き、一人でロペスを追いかける。さらに結局間に合わず、ロペスの船は排他的経済水域を過ぎてしまうのだが、隆子もそのまま国境を超えてしまうのだ。
この時点で嫌な予感がしたが、隆子は乗り込んだロペスの船でテロ組織のメンバーと思われる何者かに刺されて死亡。ロペスも殺され、被疑者死亡で事件は解決となる。DCUメンバーの一人が早々に退場という展開に驚愕。
さらに隆子が瀬能のスマホにDCUのみんなに迷惑をかけないよう、退職の旨と感謝の言葉を伝える留守電を残していた…と涙を誘うようなシチュエーションも待ち構えていたが、正直ついていけない視聴者も多かったのではないだろうか。
紅一点の隆子にも活躍して欲しかったという残念な思いはもちろんあるが、新名の命令に背いただけではなくミスを重ねてDCU全体の信用を落としているだけに、悲しむというよりも「なぜ?」と思う気持ちの方が大きい。「DCUが一つになって、今まで捕まえることができなかった凶悪犯を捕まえて手錠をかける」。それが夢だったのであれば尚更、今回はDCUのメンバーとして隊長の意見を聞くべきだった。
隆子の死をきっかけにバラバラだったDCUが一致団結していくという筋書きなのかもしれないが、他の人たちが踏み入ることのできない「危険極まりない場所で働く、鍛え抜かれた人々」を描いている本作においては、もっとその重要性や危機管理の大切さを説いて欲しいとも思う。とにもかくにも物語はまだ始まったばかりなので、今後の展開に期待したい。
※この記事は「DCU」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
隆子(中村アン)の殉職に言葉を失うDCUのメンバーたち。
新名(阿部寛)は隊長から外され自宅待機が命じられた。その間は副隊長の西野(高橋光臣)が隊長代理を務めることに。他のメンバーは事件捜査を公安に任せて通常業務に戻るよう指示される。この指示に納得できない瀬能(横浜流星)のもとに公安の清水(山崎育三郎)がやってきた。隆子のパソコン内にあったプライベートデータをわざわざ持ってきてくれたのだ。そのデータに違和感を覚えた瀬能は、DCU機動班第一部隊のメンバーとして新たに加わった瑠璃(趣里)に解析を依頼する。解析の結果、今回の事件は2年前に起きたある溺死事故に起因している可能性が浮上する。
瀬能は、隆子の司法解剖を行なった医師・真鍋宗雄と事故が起きた際の機材会社の月島秀樹の元を訪れる。しかし、既に自宅待機中の新名が訪れた後だった。独自に捜査をしていた新名は瀬能に手を組むことを提案。やがて共に捜査に乗り出す2人だったが、事件は想像以上に混迷を極めており…
第4話のレビュー
国際テロ組織「ブラックバタフライ」の一味であるロペス(フェルナンデス直行)が国外逃亡を図った船に乗り込んだ隆子(中村アン)が、何者かに襲われて殉職した。
「DCUが一つになって、今まで捕まえられなかった凶悪犯を捕まえる」
「DCU」第4話では生前の隆子が語っていた夢のために、バラバラだったDCUのメンバーが一丸となって弔い合戦に乗り出す。
自宅待機が命じられた新名(阿部寛)に代わり、西野(高橋光臣)が一時的に隊長を務めることになった。隆子の死に茫然自失のメンバーも事件の捜査は公安に任せ、通常業務に戻るように指示される。しかし、誰よりも隆子を慕っていた瀬能(横浜流星)はもちろん納得できない。そんな瀬能の元に公安の清水(山崎育三郎)が。隆子のパソコン内にあったプライベートデータを個人的に届けてくれたのだ。
その中に隠しデータを発見した瀬能。DCU機動班第一部隊のメンバーとして新たに加わった瑠璃(趣里)が解析した結果、隆子は2年前に起きたブラジル人男性の溺死事件を調べていたことが分かった。独断行動を西野から咎められた瀬能だったが、「仲間の死も弔えないDCUにいるつもりはない」と海上保安庁の身分証を手渡してDCUを去る。
瀬尾が向かったのは、ブラジル人男性が溺死した際に使用していた器材会社アクアディープ。男性と接点があったと見られる同会社の営業課に勤める月島秀樹(六角精児)に話を聞くためだ。しかし、既に独自に捜査をしていた新名が訪れた後だった。新名は自宅待機中に仕事を手伝うフリをして、周辺の漁師から聞き出した話を元に月島の存在に辿り着いたという。
月島はロペスの顔をニュースでしか見たことがないと証言していたが、隆子が集めた写真の中には二人のツーショット写真があった。様々な違和感から2年前に起きた溺死事件は今回隆子が殺された事件と何らかの関係があるとみて、新名と瀬能は手を組み捜査を進める。
まずはロペスに協力していたシルバ(エレナ アレジ 後藤)に接触。テロリストとして国に強制送還すると揺さぶりをかけ、月島とロペスの関係を聞き出すことができた。シルバによると、月島はロペスから頼まれたことは何でもやっていたという。またシルバがロペスから指示を受け、コインロッカーで受け取ったGPSを隆子に装着したことが明らかに。つまり、隆子は船に乗ってロペスを追いかける前から何者かに命を狙われていたのだ。
シルバに接触したことで独自調査が上層部にバレてしまったものの、佐久間部長(佃典彦)の粋な計らいで新名の一時復帰と特別捜査が認められた。辞職も覚悟で仲間の死の真相を追う新名と瀬尾の決意に周囲が動かされていく。
ようやく一致団結したDCUのメンバーは痛みを堪えて隆子の殺害現場に。すでに公安が調査していたものの、「自分たちにしか見つけられないことがあるはず」とみんなが信じて調査を行った。その結果、隆子が倒れていた場所の床に石川県琴ヶ浜の砂が見つかり、月島がそこでダイビングをした経験があることも分かる。
確実な証拠を得るために現場からなくなっていた隆子のスマホを手に入れようと、ロペスがシルバに指示を出していたように犯人をロッカーに誘き寄せる作戦に出る新名たち。目論んだ通り、指定したロッカーの前に現れたのは月島だったが、彼はある人物に頼まれて来たに過ぎなかった。
隆子を殺した犯人は、なんと彼女とロペスの司法解剖を担当した真鍋医師(角田晃広)。2年前、自分の正体に気づいた友人を月島に頼み溺死に見せかけて殺したロペスはカジノ狂いでお金に困っていた真鍋に司法解剖の結果を偽らせた。その不正に気づいた隆子は口封じに殺されたと新名は仮定。しかし、真鍋もシルバのように誰かからメールで隆子を殺すように指示されたに過ぎない。
真犯人の特定には至らなかったが、隆子の無念を晴らすように瀬能は彼女の手錠で真鍋を捕まえた。また新名のアドバイス通り、過去のトラウマを隆子との思い出で上書きしたことで再び海に潜ることができた瀬能。そのおかげで真鍋が海中に投げ込んだ隆子のスマホが見つかり、ラストで衝撃の事実が明らかとなった。隆子の兄で新名の元バディである成合(吉川晃司)が実は生きていたと思わせる写真がスマホに残されていたのだ。
成合が殉職した15年前の海上事件と、国際テロ組織「ブラックバタフライ」の関与が疑われるロペスや隆子が殺された事件に何か繋がりがあるのか。新名を隊長の座から引き降ろすためか、早川次長(春風亭昇太)と頻繁に連絡を取る西野の動きも気になるところだ。
今回は、大切な存在を失った瀬能の想像を絶する怒りと哀しみを表現した横浜流星の熱演ぶりが見どころでもあった。特に大粒の涙を流し、真鍋に殴りかかるシーンは隆子を守れなかった自分自身への怒りもぶつけているようで痛々しいほど。しかし、トラウマと哀しみを同時に乗り越え、隆子の写真を眺める穏やかな笑顔に希望が見えた。第1話よりも2話、2話よりも3話、3話よりも……と瀬能が少しずつ成長していく過程を横浜流星はその表情に刻んでいく。
※この記事は「DCU」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
新名(阿部寛)が隊長復帰を果たす中、瀬能(横浜流星)は15年前の事件を再び調べ始めていた。
そんな折、国土交通省副大臣の長男・木下裕司(三浦獠太)が海上で行方不明になり、DCUに捜索命令が出された。新名はこれまでの捜査方針を一蹴して新たな指示を出す。すると、間もなく裕司のものとみられるゴムボートが発見されるが、そこに彼の姿はなかった。そして聞き込みで立ち寄ったサーフショップで、瀬能は学生時代の先輩・中林(藤井流星)と再会する。このサーフショップのオーナーだという中林との再会を瀬能は喜ぶが、顧客名簿提出を求められた際に中林が何か細工をしたことを新名は見逃さなかった。
捜査が続く中、新名のもとに、裕司は海上で行方不明になったのではなく誘拐されたという情報が入る。副大臣秘書の日村(栁俊太郎)によれば、2億円の身代金を要求されており、また裕司は危険ドラッグに手を出していたという。誘拐も危険ドラッグもマスコミに知られるわけにはいかない。DCUは極秘捜査に乗り出すが、厚生労働省麻薬取締部と公安からの要請で、捜査中止命令が下されてしまう。
第5話のレビュー
黒幕の特定には至らなかったが、隆子(中村アン)を殺害した犯人を捕まえて気持ちを新たにしたDCU機動班第一部隊。「DCU」第5話では、隊長復帰を果たした新名(阿部寛)のもと、海上で行方不明となった国土交通省副大臣の長男・木下裕司(三浦獠太)の捜索に乗り出す。
これまでの捜査方法を一蹴し、裕司が消息を絶った地点から北西方向を捜索すると間も無く本人の物と思われるゴムボードを発見。しかし、そこに裕司の姿はなかった。
そんな中、新名の元に裕司が危険ドラッグの密売グループに誘拐されたという情報が届く。副大臣秘書の日村(栁俊太郎)によると、行方不明になった日も裕司はドラッグを購入するために海に出たようだ。
誘拐も危険ドラッグの事実もマスコミに知られないよう、極秘に犯人グループ検挙に向けて動き出すDCU。新名は瀬能(横浜流星)を連れ、仲介人の立花という男が出入りしていたサーフショップを訪れる。
そこで瀬能は学生時代に入部していた水泳部の先輩・中林(藤井流星)に再会。顧客情報を流出したという噂が流れるのを恐れ、最初は立花の名刺を隠した中林だったが、自分の正義を信じてくれた瀬能に根負けして捜査に協力してくれた。
今回、中林役でゲスト出演となった藤井流星。同じ名前の横浜流星と初めて共演することもあり、放送前からSNSでは大きな話題となっていた。中林は強面でチャラチャラしているように見えるが、瀬能から慕われる優しい先輩。久々の再会を喜び、中林が部員の喫煙を告発した学生時代の思い出話に浸る姿は微笑ましかった。
しかし、二人の共演はこれだけで終わらない。実はこの中林こそ、今回の事件の黒幕だったのだ。
3年前から裕司を誘拐した危険ドラッグの密売グループを追っていた厚生労働省麻薬取締部(通称、マトリ)と公安はDCUに捜査から手を引くように命令するも、新名はそれを逆手に取り彼らと協力。その事実を隠したまま極秘捜査に瀬能を誘い、身代金の受け渡しを指示した。
新名は瀬能と共に犯人グループに捕まることで、組織を主導していた中林を炙り出すことに成功。あらかじめ突き止めていたアジトをマトリや公安にも伝えていたため、スムーズに密売に関わっていた人間を一気に検挙することができた。
しかし、何も知らされていなかった瀬能は信頼していた先輩に裏切られたことで呆気にとられる。同情や哀れみもなく親を亡くした自分に接してくれた先輩が好きだったと涙を流す瀬能。
中林はそんな瀬能に「心の中で周りの連中と一緒に笑っていた」と追い打ちをかけるが、一方で新名を殺すのに躊躇したり、自分とは違い正義を貫く後輩を前に苦しむそぶりを見せるなど、悪役になりきれない一面も覗かせる。横浜流星と藤井流星、“W流星”による熱い演技のぶつかり合いは感動的なドラマを生み出した。
また、ラストでは意外なバディが誕生。
国際テロ組織「ブラックバタフライ」の一員だったロペスの携帯から成合(吉川晃司)の写真が見つかったことで、15年前に起きた事件の真相を再び追う決意をした新名。そのバディとして選んだのが、副隊長の西野(高橋光臣)だ。
これまで自分が隊長に選ばれなかったことに納得していなかった西野は、新名を今の座から引きずり下ろそうとしている早川次長(春風亭昇太)に協力していた。しかし、裏切るかもしれない自分をバディに据えた新名の器の大きさを目の当たりにし、西野の心は動かされる。
なんと、除隊を覚悟で早川次長に「今日を最後に報告をやめる」と宣言。対立していた新名と西野が手を組み、最大の事件に立ち向かうというアツい展開にSNSが湧いている。
※この記事は「DCU」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
溺死した身元不明の女性の遺体が横浜の港で発見された。被害者が身につけていたダイヤの指輪が盗まれずにいたことから自殺も疑われたが、遺体の肺の中に残されていたのは北極海に生息するプランクトン。死後約1日しか経っていないことからも、自殺に見せかけた殺人事件として、DCUが捜査に乗り出す。
調べを進めるうち、殺害現場は水族館であることが分かった。さらに、身元不明だった被害者は、魚サプライヤーの木見一郎(加藤雅也)の婚約者と判明。新名(阿部寛)は瀬能(横浜流星)らと捜査を進めていく。不審な動きを見せる水族館プロデューサー・根岸那由(明日海りお)と木見を怪しく思いつつも、その証拠はどこにもなく・・・。
第6話のレビュー
ついに殉職したはずの成合(吉川晃司)が姿を現した。3月6日放送の「DCU」第7話では、本格的に元バディの新名(阿部寛)と成合の戦いが始まる。放送に先立ち、二人が決裂するきっかけとなった15年前の水難事故について、これまで明らかになっていることを振り返りたい。
15年前、海上保安庁(海保)と東都重工が共同で進めてきた船の自動運行システムの情報が外部に漏れた。情報をリークしたと思われるのは、東都重工海洋研究所の瀬能博士(西尾浩行)。さらにその瀬能博士と通じているスパイが海保に忍び込んでいるという。その調査を任されたのが、海保に所属していた新名と成合だ。
二人は瀬能博士が乗る船に接近。しかし、瀬能博士が当時10歳だった息子の陽生(幼少期:岩川晴/横浜流星)を海に投げ込んだ後、船は爆発してしまった。
新名は溺れていた陽生を助けた後、船内で瀬能博士が持っていた鍵を必死で探す成合の姿を発見。彼こそがスパイだと確信した新名は自分が持っていた鍵をチラつかせ、成合に詰め寄る。その際、二人はもみ合いになるが、足に絡みついていたワイヤーに引っ張られ成合は海の底に沈んでいった。
そこから15年の歳月が経過し、何の因果か、成合の妹・隆子(中村アン)や陽生は新名が隊長を務めるDCU機動班第一部隊に所属となった。水中捜査のスペシャリストとして水にまつわる事件や事故の真相を突き止めていく彼らだったが、その中で3人はそれぞれ密かに15年前の水難事故について探っていたのだ。
風向きが変わったのは第4話。国際テロ組織・ブラックバタフライの一員だったジョアン・ロペス(フェルナンデス直行)を追って殺された隆子のスマホから、ロペスのスマホ画面を撮影した一枚の写真が出てきた。そこに映っていたのは、15年前に死んだはずの成合。さらに第5話のラストで、新名は生きている成合の姿を見つけ動揺を隠せない。
しかし、そこから瀬能博士も成合もテロリストだったと考え、新名は第一部隊の副隊長・西野(高橋光臣)やサイバー能力の高い瑠璃(趣里)と共に改めて15年前の事件の真相を探る決意を固めた。
そんな中、横浜港に身元不明の女性の遺体が上がり、新名たちは被害者の肺に残されていた水から殺害現場が水族館であることを突き止める。さらに、遺体の身元が水槽デザイナー・高田和美(原田佳奈)のものであることが判明。DCUのメンバーは彼女の婚約者だった魚サプライヤーの木見一郎(加藤雅也)と、水族館プロデューサー・根岸那由(明日海りお)が犯人とみて捜査を進める。
当初は二人が浮気関係にあり、邪魔になった和美を殺したとみられていた。しかし、実は木見がダイヤの密輸入に加担しており、そのことを自首するよう和美に言われ、彼女を水槽の中に突き落としたというのが事件の真相。では、那由の方は事件に無関係の人間だったのか。
那由が電話で話していたある言葉に違和感を持った新名は、西野と瑠璃に尾行を依頼。その言葉とは「川の流れは必ず海に出る」という成合の口癖であり、尾行の結果、那由が成合と通じていたことが分かる。
もし那由が木見と同じようにダイヤの密輸入に関わっていたのだとすれば、その裏で成合が所属しているとみられるブラックバタフライが手を引いているのかもしれない。この那由という女性は第7話でも登場予定。
心臓病を患う娘のために自身がプロデュースしたリモートダイビングVRのお披露目イベントを開くのだが、その技術を共同開発したのは、なんと“東都重工”。15年前の事件に繋がる新事実がまたもや明らかになりそうだ。
一方、成合は陽生に接触し、「あれが何の鍵なのか見つけるんだ。そうすれば君の記憶も戻る」と告げる。その際、気になったのが「多くの人の命の関わることだ」という言葉。今のところ事件の黒幕とみられている成合だが、もしかしたら彼はブラックバタフライに潜入してテロを阻止しようとしているのかもしれない。
※この記事は「DCU」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
心臓病の娘のために那由(明日海りお)がプロデュースした、リモートダイビングVRのお披露目イベントが病院で開かれていた。東都重工と共同開発した技術に大興奮の子どもたち。元カノ・玉井千英(鷲見玲奈)の入院中の息子を見舞った大友(有輝)もこのイベントに参加し、穏やかな時間を過ごしていた。
だが事態は一変、海中のリモートカメラが何かに乗っ取られてしまう。同時刻、DCU本部には沖合で一艘の水上バイクが爆発したとの報告が入った。船着場の映像には水上バイクに乗り込む成合(吉川晃司)の後ろ姿が映っており、新名(阿部寛)はなんとか動揺を隠す。
爆発物の破片を回収した結果、那由のリモートダイビングVRで使用されているカメラとの関連が発覚。水族館で起こった殺人事件がキッカケで、那由と成合がつながっていることを掴んでいた新名は、再び那由に接触を図る。
リモートダイビングVRの開発を指揮し、瀬能(横浜流星)の父を知る笠原英伍(岡田浩暉)にも協力を仰ぎ捜査に乗り出すDCUメンバーたち。だが、事件は病気の子どもたちを巻き込んだ想像もつかないものへと発展してしまう。
第7話のレビュー
「DCU」はついに最終章へ突入。新名(阿部寛)と陽生(横浜流星)は15年前の水難事故に関する秘密をそれぞれ抱えたまま、次の捜査へ。第7話では、前回も登場した根岸那由(明日海りお)という母親の愛がまた新たな事件を引き起こす。
ある日、病院でリモートダイビングVRのお披露目イベントが開催されていた。それは那由が心臓病を患う娘に海を見せるためにプロデュースしたものだ。長年の夢が叶い、喜ぶ那由だったが、海中のリモートカメラ2台が何者かに乗っ取られて暴走。水上バイクにぶつかり、爆発してしまう。
その水上バイクに乗っていた人物こそ、新名の元バディ・成合(吉川晃司)だった。
爆発物の破片を回収した結果、リモートカメラにはプラスチック爆弾が取り付けられていたことが分かる。実は那由もブラックバタフライのメンバーであったが、ロペス(フェルナンデス直行)や木見(加藤雅也)が口封じのために殺されたことで恐ろしくなり、組織を抜けるために成合を殺そうとしていたのだ。
しかし、成合は爆発の寸前に水上バイクを捨て生き延びていた。那由は再び同じ方法で成合の命を狙うが、彼の方が一枚も二枚も上手。作戦はすぐにバレ、心臓病の娘が家を抜け出して向かった水族館が狙われてしまう。
そもそも、那由がブラックバタフライに加入したのは娘の手術費用を稼ぐためだった。成合を殺害した後、那由は海外に逃亡しようとしていたが、水族館が狙われることを知り、少しの迷いもなく娘を助け出そうとする姿に母親としての深い愛情を感じる。
結局、新名の奮闘でリモートカメラの動きは爆発寸前で停止。手錠をかけられ、遠くから娘の無事を確認して心を撫で下ろす那由の表情が切ない。そんな純粋に娘を思う気持ちを利用した成合はやはり冷酷なテロリストなのだろうか。
ラストでは、新名が文字通り、15年前に起きた水難事故のカギとなる“鍵”を陽生に手渡した。その鍵を持って再び成合に接触した陽生は、そこで父がどんな乗り物も乗っ取ることが可能な遠隔システムの技術を横流しし、テロリストから高額な報酬を得ていたことを知る。
そして、「自分の目で確かめるんだな。鍵を使って」と言い残し、陽生の元を去る成合。きっと彼は陽生がもう鍵を手にしていることに気づいているのだろう。もし成合が本当にテロリストの一味なら、力ずくでも鍵を奪うはずだ。でもそうしなかったのは、瀬能博士の技術を手に入れたブラックバタフライが起こそうとしているテロをDCUに知らせるためではないだろうか。
吉川晃司が演じる深い謎に満ちた成合の動きから最終回まで目が離せない。
※この記事は「DCU」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
>>>「DCU」の画像をすべて見る
自分の父・陽一(西尾浩行)がテロリストの一味かもしれないと知り動揺する瀬能(横浜流星)の傍ら、新名(阿部寛)たちは成合(吉川晃司)がある総合レジャー施設に潜伏していることを突き止めた。
新名は真子(市川実日子)との新婚旅行を装い、捜査のために先に現地入りしていた西野(高橋光臣)と合流。そしてホテルを営んでいる支配人の戸塚明男(田辺誠一)が、かつて東都重工で陽一の助手をしていたことを知る。新名が戸塚に研究データの横流しについて尋ねると、戸塚は明らかに動揺した様子を見せる。その直後、西野が何者かに襲われる事件が発生し・・・。
同じ頃、瀬能は新名が持っていた陽一の鍵が何かを調べるため実家に帰省していた。そして一枚の写真からある店に目星をつける。そして調べていくうちに、瀬能は徐々に過去の記憶を思い出していく。
第8話のレビュー
成合(吉川晃司)から、自分の父・陽一(西尾浩行)があらゆる乗り物を乗っ取ることが可能な遠隔システムの技術をテロリストに横流ししていたと聞かされた陽生(横浜流星)。しかし、「DCU」第8話では一転、陽一がテロを阻止するために戦っていたという真実と息子・陽生への海よりも深い愛情が明らかとなる。
成合がある総合レジャー施設に潜入していることを突き止め、真子(市川実日子)との新婚旅行を装って現地へ向かった新名。そこで西野(高橋光臣)と合流を果たし、かつて東都重工で陽一の助手を務め、現在は新名たちが宿泊しているホテルの支配人・戸塚明男(田辺誠一)に接触する。15年前に起きた水難事故の後、身を隠すように東都重工を退職した戸塚がデータの横流しに関与していたのではないかと疑ったのだ。
その表情には明らかに動揺の色が浮かんだものの、戸塚は妻の実家を継ぐためだと事実無根を主張。しかし、その後まもなく西野が温泉の中で気を失う。真子によると、誰かが意図的に薬品を排水溝に入れて中毒を引き起こしたという。
同じ頃、新名が持っていた父の鍵が何かを調べるために動き出した陽生。実家からは陽一が共に東都重工で働いていた戸塚や笠原(岡田浩暉)と映っている写真が見つかる。あくまでも父の無実を信じ、写真が撮影された釣具店に赴く陽生だったが、そんな彼を翻弄するのが成合だ。成合に「本当の記憶を取り戻せ」と心をかき乱され、陽生は新名が自分の記憶を改ざんしたのではないかと、どんどん懐疑心を抱いていく。
そんな中、戸塚の娘・明美(島崎遥香)が理系の大学出身であり、薬品の扱いにも慣れていることが判明。親子がグルの可能性も浮上するが、今回の事件はもうすぐ結婚する娘を守るため、戸塚がある人物に指示されて起こしたものだった。
逮捕しないことを条件に新名が戸塚から聞き出したのは、陽一が研究していた遠隔システムの設計図のありかについて成合が訪ねてきたこと。さらに、15年前に陽一が海外のテロ組織にシステムの技術を流していると噂になったが、事実は逆で、陽一は横流ししている人物を明らかにするため一人で戦っていたことが戸塚の話から明らかになった。それは他でもない陽生のため。
「君にも子供がいるんだろう。君はその子にお父さんは人殺しの道具を作っていると言えるか」
そんな風に戸塚に訴えた正義感の強い陽一は、幼い陽生に設計図の完全版データを隠している場所を伝えていたのだ。その場所とは陽生の宝箱。ついに記憶を取り戻した陽生は鍵で宝箱を開け、データを父が言っていたように“一番信頼できる人”に渡す。
それは成合ではなく、海上保安官になるという夢を与えてくれた新名だった。
最終回を前に第1話で決裂した新名と陽生のバディが修復し、ついに最後の敵に立ち向かう。黒幕は成合と思われたが、ラストでは東都重工の社長が陽一のデータを盗むよう戸塚に命令していたことや、新名殺害の指示を出していたのは笠原であることも分かった。もし東都重工がテロリストと関係があるのだとすれば、本作におけるDCU最後の任務にはかなりの危険がつきまとう。誰も犠牲者が出ないことを願うばかりだ。
※この記事は「DCU」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
来たるG20東京サミットを前に、横浜海上保安部に警備準備本部が設置されることとなった。新名(阿部寛)は人の出入りが多くなるこの機に乗じて瀬能(横浜流星)にニセモノのフロッピーディスクをつかまされた成合(吉川晃司)が本物を奪い返しに来ると直感。そこで新名は佐久間(佃典彦)と相談の上で内部の者でも簡単に出入りできない場所にそれらを保管する。
その一方で、新名は公安の清水(山崎育三郎)から海保内部に内通者がいることを告げられる。その矢先、佐久間から笠原(岡田浩暉)と密に連絡を取り合っている者がいると聞かされた新名は、その名前に驚きを隠せない。
そんな中、海保内に緊急事態を知らせるサイレンが鳴り響いた。基地内で爆発物が発見されたというのだ。瀬能の父が残した設計図を巡る攻防戦が始まる。成合はどのような手段で新名に挑んでくるのか。そして裏切り者は誰なのか。
第9話のレビュー
TBS日曜劇場「DCU」がついに最終回を迎えた。瀬能(横浜流星)の父・陽一(西尾浩行)が残した遠隔システムの設計図をめぐる最後の戦いが始まる。
G20東京サミット開催を前に、横浜海上保安部に警備準備本部が設置されることになった。新名(阿部寛)は人の出入りが多くなるこの機に乗じて成合(吉川晃司)が完全版の設計図を奪いにくると考え、佐久間(佃典彦)と相談して内部の人間でも簡単には出入りできないセイフティールームにフロッピーディスクと設計図の完成に必要な鍵を隠す。
しかし、直後に海保内に複数の爆弾が仕掛けられ、基地内は大混乱に。その間に成合は笠原(岡田浩暉)と手を組み、セイフティールームへの侵入を図るのだった。
最終回のポイントは笠原と通じている海保内の裏切り者は誰なのかということだった。最初に怪しいと思われた人物は、笠原と頻繁に連絡を取り合っていた早川次長(春風亭昇太)。以前から新名を敵視し、DCUのメンバーに監視を頼んだりと、その動きに注目が集まっていた。
だが、裏切り者の正体は意外な人物。15年前、新名と成合に内通者を探すように命じた佐久間自身がその人物だったのだ。
東都重工の楢原(福澤朗)がCEOに就任したのがすべての始まり。楢原は経営が悪化した会社を立て直すために、軍事利用できる自社の技術を海外のテロ組織ブラックバタフライに売り始めた。それに気がついた陽一は、自身が開発した遠隔システムの設計図を持って逃亡。楢原は事実が公になることを恐れて、陽一をテロリストと通じている裏切り者に仕立て上げ、彼の確保を海保に依頼したのだ。
ちょうどその頃、東都重工の顧問弁護士が麻薬密売の容疑で逮捕された佐久間の息子の弁護を担当した。結果は大きな組織の力が働いて逆転無罪となり、そのことで弱みを握られた佐久間は悪事に加担。彼もまた成合に全ての罪をなすりつけ、東都重工と共に一連の情報漏洩問題をもみ消したのだった。
セイフティールームからフロッピーディスクを盗み出した成合だったが、肝心の鍵は佐久間が持っていた。佐久間は鍵を海保にあるプールの中に隠し、新名と成合をもろとも水死させようと企む。そのことがかつてバディだった二人を結束させ、協力して危機を脱出した新名と成合は共に佐久間を追い詰めた。
もし成合がブラックバタフライの一員ではなく、本当はテロを阻止するために一人で動いていたヒーローだったというオチならスッキリとした終わりになったはず。しかし、最終的に成合は鍵を手に入れて再び行方をくらました。やはり彼は最初からテロ組織に加担していたのか。もしそうだとするなら、その理由は?
最終回でも多くの謎を残したまま、まさかの「俺たちの戦いはこれからだ」エンドにSNSでは続編や映画化の可能性が浮上している。
(文:シネマズ編集部)
※この記事は「DCU」の各話を1つにまとめたものです。
–{「DCU」作品情報}–
「DCU」作品情報
TBSがハリウッド大手制作プロダクションと
2022年1月「日曜劇場」を共同制作!
そして主演・阿部寛が新境地に挑戦!
世界を見据えたタッグで
日本ドラマ界に新たな“潮流”を巻き起こす!
阿部寛が挑むのは「手錠を持ったダイバー」という難役
舞台は“水中事件”へ!
水難事故とそこに隠された謎に迫るウォーターミステリー!
放送日時
2022年1月スタート 毎週日曜よる9:00
出演
阿部寛/横浜流星/中村アン/山崎育三郎/趣里/高橋光臣/岡崎体育/有輝(土佐兄弟)/佃典彦/春風亭昇太/市川実日子
プロデューサー
伊與田英徳
関川友理
製作著作
TBS
制作
TBSテレビ
共同制作
ケシェット・インターナショナル
ファセット4メディア
協力
海上保安庁
番組公式Twitter
@DCU_japan