「日本沈没ー希望のひとー 」第8話レビュー:「やっぱり希望が必要だな」天海たちが繋いだ日本の未来は?(※ストーリーネタバレあり)

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小栗旬が主演を務めるTBS系日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」が2021年10月10日(日)スタート。

1973年の刊行以来、何度も映像化されてきた不朽の名作「日本沈没」(小松左京)を大きくアレンジした本作。2023年の東京を舞台に、日本沈没という前代未聞の危機の中で希望を見出す人々を描き出していく。大義のために手段を選ばない野心家の官僚・天海啓示を演じる小栗旬をはじめ、松山ケンイチ、杏、ウエンツ瑛士、中村アン、与田祐希(乃木坂46)、國村隼、仲村トオル、香川照之ら豪華キャストが集結した。

本記事では、第8話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「日本沈没ー希望のひとー 」第8話レビュー

極秘で進められていたアメリカと中国への移民交渉が、東山総理(仲村トオル)のミスで失敗に終わった。日本沈没の情報が全世界に知れ渡ると状況は一変。中国を裏切った代償は大きく、日本は信頼を失って円は大暴落、世界との移民交渉も頓挫してしまう。

自暴自棄になって居酒屋で暴れる者や、COMS事業を推し進めた東山総理を批判する街宣車も現れた。関東沈没を乗り越え、復興に向けて歩み始めた国民の夢や希望が一瞬にして打ち砕かれたのだ。無理もない。

1億2千万人の移民先は見つかるのか。見つかったとして、無一文で見知らぬ土地に放り出された国民の生活は保障されるのか…。

日本が未曾有の危機に直面した時、天海(小栗旬)が「やっぱり希望が必要だな」と呟く。「日本沈没」第8話は、いよいよ本作のテーマである“希望”に深く切り込む回となった。

再び中国政府との交渉に乗り出した日本政府だったが、常盤医療を含む大企業5社を譲り渡すという厳しい条件を突きつけられる。しかし、常盤(松山ケンイチ)の父・統一郎(小野武彦)はこれを拒否。大切な社員を少しでも良い環境で働かせたいという会長としての責任から、独自にカナダとの移民交渉を進めていた。

そんな中、天海は行きつけの居酒屋で愛(与田祐希)が呟いた「この街ごとみんなでどっかの国に移動できたらいいのに」という言葉からヒントを得る。天海が統一郎と里城副総理(石橋蓮司)に提案したのは、関東沈没後に考えていたグリーンシティ構想の応用。企業5社の移転場所に日本人移民を振り分けて、各地にジャパンタウンをつくる計画だ。

「そして、いずれ世界中のジャパンタウン同士がネットに繋がる。日本の国土が失われても、日本人は世界のあらゆる土地で未来を作っていく。国土を失う日本人にとって、“希望”となるんじゃないでしょうか」

日本・中国両国にメリットがある現実的な施策でありながら、新たな未来に高揚感すら抱くような天海の提案に度肝を抜かれる。一縷の望みをかけ、天海と里城は中国に渡って楊元国家主席と交渉。40年前に日本企業団を中国へ連れてきた里城に恩義を返したいと、楊元国家主席は現主席に天海たちの思いを伝えると約束してくれた。

無事に中国からジャパンタウン構想受け入れの連絡が入り、固く抱き合う東山と里城。

「残したいものはたったひとつだけ
似た者同士だねって笑う、そんな景色だ」

主題歌「ラストシーン」(菅田将暉)のワンフレーズが、ずっと対立していた二人の抱擁を言い表しているようだった。移民を躊躇する人たちに椎名(杏)が用意した海外からのメッセージも胸を打つ。国土をたとえ失っても、全てが無駄になるわけではない。やっと見出すことができた希望は奇跡なんかじゃなく、何十年何百年と人々が紡いできた道のりの先に必然と現れた結果だ。

次回、ついに「日本沈没ー希望のひとー」が最終回を迎える。

「日本沈没ー希望のひとー 」第8話ストーリー

アメリカの会見を受けて、中国は日本政府との移民交渉を完全に遮断。そして、世界各国も中国の動きに同調し、もはや世界との移民交渉の窓口は閉じられた。
また、日本沈没という情報が全世界に知れ渡り、日本国内でも政府や東山総理(仲村トオル)に対しての怒りやデモは日増しに高まっていた。

そんな中、中国に再度交渉しに行った日本政府は、到底不可能な条件を突きつけられる。
天海(小栗旬)と常盤(松山ケンイチ)は、何とか移民交渉を進めるために中心となって動くが、なかなかうまくいかない。

八方塞がりの中、田所博士(香川照之)からは日本沈没はいつ起きてもおかしくないという話を聞かされる。

追い込まれた天海は、唯一の打開策を思いつく─
それは、中国に対しての一か八かの危険な賭け。里城副総理(石橋蓮司)の協力も得て、その賭けに出る天海だったが…。
そして、衝撃的な出来事が待ち受けていた…

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(文:苫とり子)

–{「日本沈没ー希望のひとー 」作品情報}–

「日本沈没ー希望のひとー 」作品情報

小栗旬が11年ぶりに日曜劇場に戻ってくる!
環境省の官僚として、日本沈没という未曾有の危機に立ち向かう!
さらに、共に戦う共演者に松山ケンイチ、杏、仲村トオル、香川照之が決定!
– 信じられるリーダーはいるか。あきらめない。未来は絶対に消させない! –
盤石の布陣が日本の危機に挑む!

出演
小栗旬/松山ケンイチ/杏/ウエンツ瑛士/中村アン/与田祐希(乃木坂46)/國村隼/小林隆/伊集院光/風吹ジュン/比嘉愛未/宮崎美子/吉田鋼太郎(特別出演)/杉本哲太/風間杜夫/石橋蓮司/仲村トオル/香川照之

原作
小松左京「日本沈没」

脚本
橋本裕志

音楽
菅野祐悟

主題歌
菅田将暉「ラストシーン」(Sony Music Labels Inc.)

地震学監修
山岡耕春
篠原雅尚

記者監修
龍崎孝

演出
平野俊一
土井裕泰
宮崎陽平

プロデュース
東仲恵吾

製作著作
TBS

キャスト/スタッフコメント

小栗旬 コメント

「日本沈没」という未だかつてない困難に立ち向かっていく作品です。
ただでさえ苦しい環境の中、この題材は非常に難しいお話ですが、その中でも“希望”と“人間の強さ”を届けられるよう、自分を含め、キャスト・スタッフ全力で希望を持って真摯に作品に向かっていきます。
今を生きる皆さんへの賛歌になれるような作品にしていきたいと思っておりますので、ぜひご期待ください。

松山ケンイチ コメント

まだ全ての台本が手元に無いのでどんな話になるのか分かりませんが、想定外の国の危機に日本人はどう立ち振る舞っていくのか、どう助け合っていくのか、どんな答えが出るのか、楽しみです。
客観的に国のこととそこに生きている自分自身を見つめ直すきっかけになる作品になると思います。

杏 コメント

今回初めてTBS連続ドラマにレギュラー出演させていただくことになりました。
日本沈没というどうしようもない自然の脅威にどう立ち向かうかというキャラクターたちの姿は、今の混乱の世の中で戦っている皆様と近い気持ちで共鳴し合えるのかなと思っています。そして、演じる私たちもそのような不安や脅威を抱えつつ乗り切ることになります。これを映像として残せることは意味があるような気がしています。万全の体制で挑みつつ、全力でぶつかっていきたいと思います。

仲村トオル コメント

2007年の『華麗なる一族』以来の日曜劇場。はじめての総理大臣役に緊張しています。
僕が演じる東山首相は、物語のはじめは一国のリーダーとしてはやや弱く甘い男に見えますが、逆風の中、上り坂を登った足に力がつくように、最終回を観た人たちに、困難な状況の日々でも諦めず前を向いて歩き続けた人間の未来には少し強くなった新しい自分がいる、というような希望を感じていただけるように全力で頑張ります。

香川照之 コメント

政府側の海洋環境改革方針に対し、独自の理論で徹底的に異論を唱える頑固な博士の役です。ドラマの原作は何十年も前のものですが、環境破壊問題はいま別の形でこの地球を襲っています。その意味でも我々には、未来まで持続可能な環境への取り組みが不断に求められている。日本が沈没するという、かつては荒唐無稽と思われたテーマを通して、地球が現在抱えている多くの課題を、改めてこのドラマで訴えていきたいと思っています。

脚本家・橋本裕志 コメント

今へ、未来へと繋がる、新たな『日本沈没』を目指して、これまでに映像化されたものとは違った角度からのアプローチで取り組んでいます。
危機を前にした時にあぶり出される人間の様々な感情や、思いのぶつかり合い、極限状態だからこそ繰り広げられる人間ドラマが、そこにはあります。
明日が見えない中で、それでも希望を探して生きていく登場人物たちのエネルギーを通して、皆さんに勇気を与えられる作品をお届け出来ればと考えています。

プロデュース・東仲恵吾 コメント

今作のテーマは、未来への希望です。日本沈没が目前に迫ってくる中で、決して諦めずに今やるべきことを全力でやる人たちの人間ドラマを丁寧に描いていきたいと思っています。
そして「未曾有の危機でもこの人たちなら救ってくれるんじゃないか」そう思わせてくれる力強いキャラクターを、小栗旬さんをはじめ、松山ケンイチさん、杏さん、仲村トオルさん、香川照之さんと共に議論しながら、ドラマ版オリジナルキャラクターを作り上げました。
最後まで立ち向かった先にある“希望”を精一杯の熱量で作りたいと思います。