アニメ「東京リベンジャーズ」猛烈に中学生を感じるトーマン5選

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2021年4月から2クールで放送されたTVアニメ「東京リベンジャーズ」が、もう2期を放送しなければ罪レベルのところで終わった。「どういうつもりだ」「早く続きを恵んでくれ」と願うファンも多いのではないだろうか。

「東京リベンジャーズ」は、「ヤンキーもの×タイムリープ」という斬新な設定もさることながら、あっと言う間に惚れてしまうほどカッコいいキャラクターたちの個性も魅力的な作品だ。しかしそれゆえに、ある問題が起こりやすい作品だとも感じている。

「忘れがちだけど東京卍會(トーマン)メンバー……ほぼ中学生」問題である。

※以降壮大なネタバレがあります。視聴予定の方はご注意ください。

なぜ私たちはトーマンが中学生ってことを忘れてしまうのか

トーマンの面々が中学生であることを忘れてしまう理由として、バイクを乗りこなす姿が大きいだろう。バイク免許(普通二輪・原付)は16歳からしか取得できないはずなのに、堂々とノーヘルで愛機を乗りこなし、並列走行をしているのだ。けっして褒められたものではないが、普通に運転スキルが高いと思う。

※よい子であろうとなかろうと、バイクの運転は免許をとってからルールを守って。シネマズプラスとの約束だ。

また人を殴る描写に遠慮がないところも、中学生設定が頭から抜けてしまう大きな要因だろう。不良とはいえ頭から血を流したり気絶したりと、言葉通りボッコボコである。にもかかわらず彼らは立ち上がるのだ。そんな強靭な体をもつトーマンや敵対するキャラクターたちを見ていると、中学生であることを忘れてしまうのも無理はない。

余談だがアニメで描かれた「喧嘩賭博」や「血のハロウィン」は、日程と場所指定のもとに行われた2人以上がかかわる喧嘩なので、「決闘罪」という立派な犯罪にあたる。「漫画でも法律違反は怒られる」と解説、さらにマイナーではあるものの、バレたらヤバい犯罪として決闘罪を挙げていた漫画「月刊少女野崎くん」の主人公・野崎くんがこの作品を見たらきっと、卒倒していると思う。

それから、10代前半の少年とは思えない言動も、中学生であることを忘れてしまう大きな理由の1つだろう。

たとえば5話で東京卍會参番隊隊長の林田春樹(パーちん)の親友とその彼女が、敵対勢力の愛美愛主(メビウス)に襲われた時。東京卍會総長の佐野万次郎(マイキー)と副総長の龍宮寺堅(ドラケン)は、愛美愛主によって大けがを負わされた女の子の入院先を訪問する。そこで彼女の両親と遭遇し、「社会のゴミ」「虫けら」と責めたてられる。マイキーは、自分たちのせいではないにもかかわらず向けられる理不尽な怒りに歯向かう姿勢を見せた。

下げる頭持ってなくてもいい 人を想う“心”は持て
※TVアニメ『東京リベンジャーズ』第5話Releapより

一方ドラケンは全部俺たちの責任だと、マイキーも一緒に頭を下げさせた。そしてご両親がその場を去ったあとに「メンバーたちにも大切な人がいる」「不良の世界に周りの人を巻き込んではダメだ」と、引用のセリフでマイキーを説いたのだ。

周りを見る力は、中学生も持っている。しかし目に見えている部分だけでなく、メンバーたちの枝分かれした関係性にまで深く想いを馳せるドラケンのこのセリフに、大人ながらにハッとさせられた人も多いのではないだろうか。それくらい彼の優しい想像力は、大人顔負けのものだと思う。

他にも壱番隊隊長の場地圭介が「血のハロウィン編」で見せた立ち回りにも、驚かされる。トーマンの創設者でありながらも内輪揉めを起こすなど問題児と化していた場地は、挙句の果てに敵対勢力の芭流覇羅(バルハラ)に入ると宣言。ここだけ見れば、彼は自分を持て余すトーマンに嫌気がさして出ていった裏切り者だ。

しかしこの裏切りの背景には、トーマンを利用しようとするある人物から仲間たちを守りたいという気持ちがある。真打ちを出し抜くためには、身内から。そんな危険が伴うスパイ行為に、仲間の誰にも明かさずたった1人で挑み続けた場地の「ただ仲間を大切に想う強さ」に惚れた大人も多いと思う。

こんな10代前半の少年らしからぬキャラクターたちの言動が随所に見られる、「東京リベンジャーズ」。定期的に「トーマンは中学生」と呪文のように唱えなければ、設定を忘れてしまいかねない。

–{トーマンの「どうしようもなく中学生」を感じる瞬間}–

トーマンの「どうしようもなく中学生」を感じる瞬間

ついつい中学生であることを忘れてしまいがちな、トーマンの仲間たち。しかし「どうしようもなく中学生」を出してくる瞬間もある。

「う○こ」でめちゃくちゃはしゃぐ

愛美愛主との抗争後、パーちんが少年院に入ったことをきっかけに、マイキーとドラケンが対立。内部抗争が起こるのではないかという不穏な空気がトーマン内に流れていた。

そんな中でマイキーとドラケンは、愛美愛主との抗争後に倒れてしまった主人公のタケミチを見舞いに訪れた先で出くわし、喧嘩を始めてしまう。この喧嘩のせいで自分の思い出の品を壊され激昂したタケミチは、涙を流しブチギレながらふたりに仲直りするよう説得する。

その説得のおかげでマイキーとドラケンは冷静になった……のではなく、ゴミ捨て場に突っ込んだせいで「うん○」を頭に乗せてしまったタケミチをみてゲラゲラと大笑い。一瞬で仲直りが成立してしまったのだ。数秒前まで喧嘩をしていたのが嘘だったかのようにう○こでしゃぐ姿は、暴走族の2トップではなく等身大の中学生に見えた。○んこの力は偉大である。

まずは形から 「勉強ができるやつは眼鏡」

血のハロウィン後に放送された壱番隊隊長・場地と副隊長・松野千冬の出会いを描いた過去編では、場地の中学生っぷりが火を噴きまくっていた。

場地は中学校という日本の義務教育過程において、その頭の悪さゆえなのだろうか。留年というなかなかのイレギュラーっぷりを発揮している。敵対組織にスパイとして1人乗り込み、仲間を守ろうと動いていた人物とは思えない。またその容姿も、髪ぺったり眼鏡という暴走族の1つの隊を率いる人物には見えない、場地と出会う前はなかなかにイキっていた千冬が「なぜこんなやつが留年しているのだろうか」と疑問に思うほどのものだった。

場地がそのスタイルをとっていたのは、これ以上留年してオフクロを泣かせたくないという想いあったからだ。その背景には「勉強ができるようになるには眼鏡だ!」という思考があったと考えられる。

この「まずは形から入ってしまうところ」に、猛烈に中学生を感じた。また「勉強ができる人=眼鏡」という短絡的思考を見せた千冬にもまた、どうしようもなく中学生を感じてしまうのだ。

オフクロが買うペヤング

場地圭介の「どうしようもなく中学生」っぷりは、留まるところをしらない。

先輩から目をつけられた千冬が、多数の不良たちに絡まれていた時だ。場地は手紙を書くための漢字を千冬から教えてもらったお礼に、その喧嘩に参戦。1人でその場にいた全員を倒してしまう。

その喧嘩のあとに場地は千冬に「ペヤング好き?」と笑顔で声をかけ自宅へ招くのだが、肝心のペヤングのストックがないことに気づく。その際に「あと1コしかない!」と文句を垂れた相手がオフクロさんだった。

この文句1つに、「実はお母さんにしっかり甘えている」「親のもとで育っている」という事実がみっちりつまっているのだ。

プレゼントはあの子がかわいいと言ったゲーセンのクマ

体格と強さ、さらには大人びた発言によって、多くの視聴者から中学生であることを忘れ去られているであろうドラケンにも、中学生らしさが光る瞬間がある。血のハロウィン終結後の束の間の日常回、ドラケンが自分に想いを寄せている佐野エマにプレゼントを渡すシーンだ。

ドラケンは「誕生日おめでと」と、ピンクのクマのぬいぐるみをエマに手渡す。このクマのぬいぐるみは、以前一緒にゲームセンターで遊んだ時にエマが欲しがっていたものだとマイキーの口から明かされている。また登場人物たちの日常が描かれるミニアニメ「ちびりべ」でも、彼女がこのぬいぐるみのクレーンゲームを見てかわいいとはしゃいでいる様子が描かれていた。つまりドラケンはエマの「かわいい」を覚えており、それを取るためにクレーンゲームと格闘したと考えられるのだ。

中学生にとってクレーンゲームは、ゲットできるかどうかわからないものに限られた所持金をつぎこむ大きなギャンブルだろう。しかし大切なあの子がもらした「かわいい」の一言のためにドラケンは、その勝負に挑んだと考えられる。そのゲーセンという遊び場で生まれた純粋さに、ドラケンの年相応の姿が垣間見えるようだった。

ただ彼は兄妹水入らずで誕生日を祝っていたエマとマイキーを邪魔しないように、プレゼントを渡したらスッとその場から去る。そのスマートさを浴びた瞬間にまた、彼が中学生であることを忘れてしまいそうになるのだ。ドラケンは中学生の皮を被った紳士なのかもしれない。

–{トーマンに最も中学生を感じる瞬間は……}–

トーマンに最も中学生を感じる瞬間は……

中学生とは思えないほど大人びた言動の中に見える、年相応の姿。そのギャップがあるからこそ、東京リベンジャーズのキャラクターたちの魅力はより引き立っているのだろう。

ただ私がトーマンのメンバーに最も中学生を感じる瞬間は、激しいアクションシーンやシリアスなシーンにある。

彼らは暴走族という、世の中からは煙たがられる存在だ。バイクに乗るのだって喧嘩をするのだって、アニメだからといって手放しに許してはならないと思う。

しかし彼らは自分たちの行為がルールに反していることを理解しつつも、なくしたくない繋がりのためにそこにいる。満たされた人間には想像できない人生背景があって、藁にも縋る想いでトーマンにたどりついた子も中にはいるだろう。そのつながりや居心地の良さを守るために、彼らは必死なのだと思う。そしてその場所を守るための手段が、喧嘩なのだ。

大切な人や場所を守るための手段は、暴力をふるう以外にも案外たくさんある。それらをまだまだ知らないところに、中学生らしさを強く感じるのだ。と同時に、不良を描く作品でこのツッコミは非常に野暮だとは思いつつも、物語の中に法や相談窓口など暴力以外の守る手段を教える大人がいればどんなに良かっただろうかと感じずにはいられない。

正直私は、相手が中学生だったとしても彼らのような暴走族だったら怖くて口を出せる自信はないが、抗争現場を目撃したら真っ先に警察に通報し傷つく若者を1人でも減らす行動は起こしたいと思う。

(文:クリス)

–{「東京リベンジャーズ」作品情報}–

「東京リベンジャーズ」作品情報

ストーリー
人生どん底のダメフリーター花垣武道(タケミチ)。中学時代に付き合っていた人生唯一の恋人・橘日向(ヒナタ)が、最凶最悪の悪党連合”東京卍會”に殺されたことを知る。
事件を知った翌日、駅のホームにいたタケミチは何者かに背中を押され線路に転落し死を覚悟したが、目を開けると何故か12年前にタイムリープしていた。人生のピークだった12年前の中学時代にタイムリープし、恋人を救うため、逃げ続けた自分を変えるため、人生のリベンジを開始する!

予告編

基本情報
声の出演:新祐樹/和氣あず未/逢坂良太/林勇/鈴木達央 ほか

監督:初見浩一

シリーズ構成:むとうやすゆき

キャラクターデザイン:大貫健一/太田恵子

音響監督:飯田里樹

音楽:堤 博明

アニメーション制作:ライデンフィルム

製作国:日本