金子大地の魅力:若手俳優界の新星、飛躍の2021年

俳優・映画人コラム


(C)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会

映画『猿楽町で会いましょう』『サマーフィルムにのって』、現在放送中のドラマ「#家族募集します」、そして9/10公開『先生、私の隣に座っていただけませんか?』にも出演と、2021年、着実に活躍の幅を広げている若手俳優・金子大地。

金子大地が一躍有名になった作品といえば2018年に一大ブームを巻き起こしたドラマ「おっさんずラブ」。いかにもゆとり世代の代表格のような新入社員・栗林歌麻呂、通称マロ役に起用され大きな注目を集めた。

若手俳優界の新星・金子大地とは?

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安定感のあるお芝居、色白でキリッとした切れ長の瞳、シュッとした鼻筋…どこから舞い降りた美少年なのだろうとつい目で追ってしまう、そんな新星・金子大地に心奪われている人も多いはず。

そんな彼が芸能界に入るキッカケとなったのが「アミューズオーディションフェス2014」。俳優・モデル部門を受賞し、デビュー以降、映画・ドラマ・CMなどに多数出演。

2017年公開の『ナラタージュ』では、有村架純演じるヒロイン・泉が参加する高校演劇部の部員・新堂役を好演。2018年放送・ドラマ「おっさんずラブ」の新入社員・マロ役として知名度を高める。2019年放送のドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る。」では自身がゲイと自覚しつつも「異性を愛し、子どもを作って、家庭を築く」という “普通の幸せ” への強い憧れも持っている主人公・純役を熱演した。

そして2021年、主要キャストとして多くの映画・ドラマに出演。言うまでもなく飛躍の年となっている。

ちなみに、同オーディションのグランプリには「おかえりモネ」や『まともじゃないのは君も一緒』(21)など清純派ヒロインとして活躍中の清原果耶、WOWWOW ドラマ賞には「危険なビーナス」や「わろてんか」、また、non-no専属モデルを務める堀田真由が受賞。さすがアミューズ、今をときめく俳優、女優、モデル揃いだ。

ここからは、金子大地の魅力を2021年公開・放送作品4つとともに紹介していく。

–{インテリ男子を熱演!『先生、私の隣に座っていただけませんか?』}–

インテリ男子を熱演!『先生、私の隣に座っていただけませんか?』

(C)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会

金子大地が出演する最新映画、9/10公開『先生、私の隣に座っていただけませんか?』。本作品には物語を大きく動かすキーマンとして登場している。

漫画家夫婦である佐和子(黒木華)と俊夫(柄本佑)は、連載漫画の締切に追われながらも平凡で安定した結婚生活を送っていた。漫画家夫婦とはいっても、俊夫はもうずいぶんとオリジナル作品を描いておらず、佐和子のアシスタントのような立ち位置になっている。

周囲から見ると夫婦バランスとしてはどうなのかという部分はあるかもしれないが、お互いに好きなことを仕事にし、また、同じ業種だからこそ理解もあり、理想の夫婦ともとれるこの二人。が、俊夫はよりによって佐和子の編集担当である桜田千佳(奈緒)と不倫をしている。薄々勘付きながらも特段言及もせず、むしろ「駅まで送ってあげたら」とわざわざ二人きりにする佐和子、非常に不気味である。

その後、佐和子の母(風吹ジュン)が事故で足を怪我してしまったという一報が入り、夫婦ともども田舎で暮らす母の家にしばらく住むことに。佐和子は俊夫への復讐として、新作連載のネームで”不倫”というテーマを掲げ描きはじめる。と同時に、車の免許を取得するために教習所に通いはじめる佐和子。その教習所で指導員を務める新谷歩(金子大地)と出会い、新谷の誠実さに惹かれていく。

そんな中、俊夫は例の”不倫”をテーマにしたネームを覗き見してしまう。そこには俊夫と千佳、そして佐和子と新谷の関係が如実に描かれており、俊夫の知っている範囲の部分はほとんど現実そのままのことがネーム上で再現されていたのだ。
漫画と現実の世界が入り乱れそれぞれの思いが交錯する中、ラストでの佐和子の”本当の気持ち”にきっと誰もが衝撃を受けるだろうーー

(C)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会

教習所の指導員役ということもあって、爽やかで誠実なインテリ眼鏡男子という言葉がよく似合う新谷。真面目キャラと思いきや、佐和子への思いを率直に伝える姿には思わずギャップ萌え。とにかく眼福。それでいて癖のない芝居はどんなシーンにもすっと溶け込む。実際の年齢よりも年上の役に当たることが多いそうだが、今回のような母性本能をくすぐる年下の役柄も言わずもがなハマっていた。

この映画、よくある夫婦の話と思って臨んではいけない。嫉妬や復習をこんな形で表現してしまうのかと、度肝を抜かれる作品なのである。
黒木華演じる佐和子もなかなかだが、それ以上に恐ろしいのが奈緒演じる桜田千佳。本作品きってのサイコパスは千佳であること間違いない。

もっと語りたいところだが、これ以上思い返すとネタバレしてしまいそうなのでこのあたりで留めておく。

金子大地を知ってる人も知らない人も、ぜひ劇場で。

–{やんちゃな見た目とは裏腹なピュアボーイ『猿楽町で会いましょう』}–

やんちゃな見た目とは裏腹なピュアボーイ『猿楽町で会いましょう』

『猿楽町で会いましょう』(C)2019 オフィスクレッシェンド

第2回未完成映画予告編大賞にてグランプリを受賞し映画化となった『猿楽町で会いましょう』。

東京で夢を追いかける若者たちのリアルな恋愛を描いた本作品。渋谷・猿楽町が舞台ということ、また、映画『stay』(21)やソーシャルドラマ「みせたいすがた」でじわじわと人気が広まっていた石川瑠華がヒロインを務めることから注目していたが、金子大地を認知するキッカケになる作品となった。

もちろん、ドラマ「おっさんずラブ」でのマロの印象も十分にあるのだが、当時はただのイケメン若手俳優くらいにしか思っておらず、俳優の名前を検索するまでには至っていなかったのだ。『猿楽町で会いましょう』を観た後にあのマロと同一人物だということを知ったときは非常に驚いた。

『猿楽町で会いましょう』(C)2019 オフィスクレッシェンド

売れないフォトグラファー・小山田(金子大地)が、とある撮影で読者モデルのユカ(石川瑠華)と出会い、恋に落ちていく。仕事もうまくいきはじめ公私ともに順風満帆な日々を送っていると思っていた小山田だったが、元カレ・良平(栁 俊太郎)の存在や小山田の上司でありユカのことをかわいがっている嵩村(前野健太)との関係、彼氏であれば容認しがたいバイトをしていることなど、ユカの闇がうっすらとわかってきてしまう。東京に揉まれ、必死に世間にしがみつきながら生きていく二人の結末はどうなってしまうのかーー

まぁ要するに、小山田がとんでもないメンヘラ嘘つき女・ユカにただただ振り回される話しなのだが、金髪で女たらしな雰囲気のある見た目とは裏腹に、非常にピュアで、真実に気付きながらもユカのことを好きでいたい、好きでいようと必死で向き合おうとする姿に心打たれた。

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』でのインテリ男子とは打って変わって、夢を追いかける金髪カメラマンとイメージの異なる役柄を演じている本作品、公開から時間は経っているものの、下北沢トリウッドなど一部劇場で上映しているそうだ。

金子大地のさらなる魅力を知りたい方はぜひ観に行ってみてはいかがだろうか。

–{映画界に爪痕を残した『サマーフィルムにのって』}–

映画界に爪痕を残した『サマーフィルムにのって』

(C)2021「サマーフィルムにのって」製作委員会

映画関係者から絶大なる支持を集め、第33回東京国際映画祭でも話題となった『サマーフィルムにのって』。

とある映画部でくすぶり続ける時代劇オタクな女子高生・ハダシ(伊藤万理華)に、ひょんなことから時代劇映画の主役に抜擢されてしまう謎の青年・凛太郎(金子大地)。個性豊かな仲間とともに様々な壁にぶつかりながらも映画を完成させたその先にあるものとはーー

(C)2021「サマーフィルムにのって」製作委員会

うん、やっぱり金子大地は黒髪がよく似合う。イケメンではあるが、それを全面に押し出す役柄よりかは”イケメンなんだけどなんかちょっと冴えない男”くらいのポジションが一番似合う気がする。時代劇衣装も似合ってるし、いつの間にかハダシからもビート板(河合優実)からも好かれちゃってて、結果かっこいいのでモテはするのだけれど。

金子大地演じる凛太郎は、実はタイムトラベラーという少し異質な青年だが、若干のミステリアスさもありつつどこか現実味のない、アニメや漫画から飛び出してきたような”凛”としたさわやかな少年を見事演じきっていた。

超爽快青春映画でありながら、恋愛と友情、時代劇やSFといったさまざまなジャンルまでを見事に組み合わせて映画ファンを虜にした本作品、WHITE CINE QUINTOやアップリンク吉祥寺などで絶賛上映中。ぜひ足を運んでみては。

–{いたずらな笑顔に胸アツ展開希望「#家族募集します」}–

いたずらな笑顔に胸アツ展開希望「#家族募集します」

なかなか映画館に行けない…地上波でも金子大地を見たい…という方に朗報。現在放送中のTBSテレビ 金曜ドラマ「#家族募集します」に教師役・中里隆志として出演している。

シングルファーザーである赤城俊平(重岡大毅)は、幼馴染み・小山内蒼介(仲野太賀)をはじめとするシングルマザーの教師・桃田礼(木村文乃)やシンガーソングライター・横瀬めいく(岸井ゆきの)とそれぞれの子供たちと、蒼介が働くお好み焼き屋・にじやの2階住居部分で共同生活をスタートし、”家族”になっていく姿を描く、新時代のホームドラマだ。

本ドラマで金子大地は、礼と同じ小学校に務める後輩教師・中里隆志役を演じている。ドラマ「おっさんずラブ」のマロに近いというと言い過ぎだが、先輩教師たちを少しヒヤヒヤさせるような今どきの若者を好演。礼に向けるキラキラとした眼差しはただの憧れなのか、それとも恋心なのか…

俊平と礼の関係性も気になるところだが、中里の本当の思いがこれから露わになっていくのか、まさか俊平とライバル関係になったりするのか?膨らむ妄想…後半戦がますます楽しみだ。

(C)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会

2021年、注目の若手俳優の仲間入りを果たした金子大地。12月公開予定・つぶやきシロー原作『私は一体、何と闘っているのか』にも出演予定だ。

比較的好青年な役柄が多いので、サイコパスな殺人鬼やネガティブモード全開なオタクキャラなど、イメージにない姿も見たいところ。金子大地のさらなる可能性に今後も大いに期待だ。

(文:桐本絵梨花)

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