『老後の資金がありません!』天海祐希がお金と向き合い、生き方を見直す人生活劇

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映画『老後の資金がありません!』は、天海祐希を主演に、松重豊・草笛光子・新川優愛・瀬戸利樹・加藤諒・柴田理恵など錚々たる豪華キャストを迎えた人生活劇。

ある日、経済ジャーナリスト・荻原博子がテレビ番組で「老後の資金は2,000万円必要です!」と話しているのを聞いた後藤篤子(演:天海祐希)。夫婦共働きで節約し続ける日々だが、義父の葬儀・娘の派手婚・義母との同居など次々と「お金が出ていく事件」が起こってしまい……?

果たして、後藤家の運命はどうなってしまうのか。

お金と向き合うことで、自分の生き方を見直す

この映画のテーマは、ズバリ「お金」

天海祐希演じる主人公・後藤篤子は、ごくごく一般的な主婦。松重豊演じる夫・後藤章と夫婦共働きで、日々節約に勤しむ。瀬戸利樹演じる長男・勇人、新川優愛演じる長女・まゆみとの4人家族で、慎ましく暮らしていたはずだったのにーー章の父(篤子にとっては義父)が亡くなったことから、お金に頭を悩ませる生活が始まってしまう。

「長男なんだから」と言う理由で葬儀の喪主を押し付けられ、挙げ句の果てにすべての葬儀費用まで賄うことに。タイミングを同じくして、長女まゆみの結婚や義母との同居など、次々とお金が出ていってしまう事件が発生する。せっせと貯めていたはずのお金が、みるみるうちに減っていき……。

悩める篤子を見ながら、これは決して物語の中だけの出来事ではないと思わされる。いくら毎日頑張って節約をしていても、大金が出ていくときは出ていってしまうのだ。お金が持っていかれる事件は、前もって予測できるものとできないものがある。

いつ自分の家に、後藤家と同じ運命が舞い降りてきてもおかしくない……。そう思った瞬間にはもう、この物語にのめり込んでいるのだ。

お金の問題と向き合うことで、自分の生き方・人生にも向き合うことになり、姿勢を見直すきっかけにもなる。お金をどう使うか、どう守るか、どうやりくりするかーーそれを考えることは、自分の人生をどう生きるかを考えることと同義なのだ。

天海祐希・柴田理恵・草笛光子!女性の元気な姿が日本を元気にする?

柴田理恵は、天海祐希演じる主婦・後藤篤子が通うヨガ教室の友人を演じ、草笛光子が演じるのは篤子の義母(松重豊演じる、篤子の夫・章の母)だ。

ネタバレになるため詳しくは書けないが、この3人が集まるとあるシーンが、なんとまあ面白い! 日本のコメディ映画として王道を突っ走る展開でありながら、どこか海外コメディにも通じるドタバタ感もあり……。さぞ、笑いの耐えない現場だったのだろうと簡単に想像できるほど。

どこかで聞いた話だが、家庭の財布は女性が握っており、従ってあらゆる購買の決定権も女性が握っているらしい。日本の景気は決して良い流れとは言えないかもしれないが、女性が元気で、ある意味「どこまでもワガママに」生きていれば、日本の元気は保たれるのではないだろうか。そう思わせてくれる映画だ。

お金のことを考えると、頭が痛い……と日々眉間にシワが寄ってしまう方もいるだろう。月々の家計はまさに火の車、ちょっとの余裕をもたせるために、1円でも安いスーパーへ渡り歩く……。その道中で、ぜひ映画館へ足を運んでほしい。レディースデーなど安く映画が観られる日を狙って、ぜひ、選ぶ映画は『老後の資金がありません!』であってほしい。

この映画を観て、お金を増やす方法は学べないかもしれない。それでも、お金がなくても幸せに生きられる心構えを得られるだろう。幸せとお金に関連性はないことを実感することもできるはずだ。

この映画とともに、日本の未来に幸あれ! そう高々に叫べたら良いと願ってやまない。

(文:北村有)

–{映画『老後の資金がありません!』作品情報}–

【あらすじ】

原作は、2015年刊行・垣谷美雨の28万部突破のベストセラー小説「老後の資金がありません」(中公文庫)。

主人公は、普通の主婦・後藤篤子。子育ても落ち着き、老後は安泰のはずだったのに… 娘の派手婚、舅の葬式、資産激減の中、あろうことか夫婦そろって失職!独りになった姑と一緒に暮らすことになると、高級志向の暮らしの価値観にクラクラする日々。奮闘する篤子に幸せな「老後」は訪れるのか??

主演は天海祐希。数々の大ヒット映画、ドラマに出演し、強い女性を体現してきた彼女の主演最新作は、普通の主婦!人生の後半に必ずやってくる老後資金問題と、誰もが直面する夫婦、親子、子の結婚、独立、嫁姑、親の介護、葬式…あらゆる問題が立て続けに襲ってくる中、悩みもがきながら幸せを探す、どこにでもいる女性を演じます。

単独主演作品は「狗神」(01)以来、19年ぶりの作品となります。監督は「こんな夜更けにバナナかよ 感動の実話」(18)で、感涙だけではないユーモアを交えた秀逸な演出で観客を魅了した前田晢。今作でもその手腕を遺憾なく発揮し、人生の節目を襲う難事に立ち向かう人々の様子を、コメディに仕立て上げています。

2019年6月、金融庁の報告書に年金の他に「老後には夫婦で2000万円が必要」との内容が記載され。それを受け、霞ヶ関、国民、メディアを巻き込んで大問題に。年金100年安心説は崩壊し、各メディアで「老後の資金は実質いくら必要なのか?」「貯めるにはどうすればいいのか?」という議題が連日取り上げられています。

この騒動をきっかけに、多くの人は、改めて自身の将来に関わる深刻な問題に気づき、身近な話題として「老後の資金」に対する関心を高めています。 人生100年時代と言われる中、避けては通れない問題が第1級のエンターテインメント作品となり誕生します!

(文:北村有)

–{『老後の資金がありません!』作品情報}–

『老後の資金がありません!』作品情報

【あらすじ】
節約がモットーの平凡な主婦・後藤篤子(天海祐希)は、家計に無頓着な夫・章、フリーターの娘・まゆみ、大学生の息子・勇人と暮らす日々。夫の給料と自身がパートで稼いだお金をやり繰りし、憧れのブランドバッグも我慢してコツコツと老後の資金を貯めていた。ある日、病気の舅が亡くなり、章の妹・志津子と葬式代を誰がいくらを出すかで揉め、結局400万円近くも支払うことに。さらに、パートの契約が更新されず、篤子はクビを言い渡されてしまう。そんな折、まゆみの婚約者が家にやって来る。メタルのバンドマン・琢磨は、見かけによらず地方実業家の御曹司であった。半年後の結婚式は格式高い麻布寿園で行いたいというが、費用は折半。篤子は多額の出費予定に慄きながら、なんとかまゆみを送り出したのも束の間、章から会社が倒産したという連絡が入る。夫婦揃っての失業、減り続ける老後の資金。窮地に立たされた篤子は、レンタルモップの解約、そして車の売却と次々に節約改革を実行。だが篤子の努力もむなしく、お金は出ていくばかりであった。高級ケアマンションで暮らす姑・芳乃の今後について、志津子と話している最中、篤子は思わず芳乃を引き取ると口走ってしまう。やがて、芳乃を迎え新たな生活が始まるが、高級和菓子屋に嫁いだ芳乃はお金の使い方が奔放で、またまた出費がかかる始末。果たして篤子に幸せな“老後”は訪れるのか……。 

【予告編】

【基本情報】

監督:前田哲
脚本:斉藤ひろし
原作:垣谷美雨「老後の資金がありません」

出演:天海祐希/松重豊/新川優愛/瀬戸利樹
加藤諒/柴田理恵/石井正則/若村麻由美
友近/クリス松村/高橋メアリージュン
佐々木健介/北斗晶
荻原博子(経済ジャーナリスト)
竜雷太/藤田弓子/哀川翔/毒蝮三太夫
三谷幸喜/草笛光子

音楽:富貴晴美
主題歌:氷川きよし 「Happy!」