『コンティニュー』レビュー:毎日殺されては強くなっていく主人公のタイムループ・アクション映画!

ニューシネマ・アナリティクス

■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

同じ1日を永遠に繰り返すという「タイムループ」を題材にした作品が、このところ日本でお目にかかる機会が多く感じられます。

4月にもラブコメ仕様の『パーム・スプリングス』(20)が公開されたばかりですし、毎日誰かに殺されては同じ朝を迎えてしまうという本作の設定そのものはホラーチック・コメディの『ハッピー・デス・デイ』(17)と同傾向ではあります。

ところで監督のジョー・カーナハンは、本作について「アクション映画版『恋はデジャ・ヴ』(93)」と称していたとのこと。

しかし問答無用に撃たれるは、轢かれるは、首を斬られるは、などなど壮絶に殺されまくる日々を繰り返し続ける元特殊部隊の主人公(フランク・グリロ)にとって、この事態はもはや「恋」どころではないはず(……ですが!?)。

本作は邦題や原題“BOSS LEVEL”が示すように、RPGかシミュレーションかといったテイストで次々と主人公に襲いかかる殺し屋たちをクリアしていきながら、なぜこのような事態に陥ったのかという真実に辿り着くべく腐心し続け、殺されたら必然的にコンティニューさせられて、生前(?)の経験を基にまた闘いを繰り広げていくといった、まさにゲーム感覚で進行していくのが妙味!

つまりこの地獄のタイムループ・ゲーム、コンティニューしていくごとに主人公は真相を知るとともに強くなっていくわけですが、そこに伴うさまざまな仕掛けがまた面白く、ヴァイオレンス・アクションとストーリーの融合がいつしかコミカルなリズムと化し、本作独自のユニークな空気感を醸し出していきます。

フランク・グリロやヒロイン、ナオミ・ワッツの好演もさながら、ここでは悪役陣が実に存在感豊かで、特に剣と刀の違いをちゃんとわきまえているアジア系女殺し屋“観音”(セリーナ・ロー)が出色。

(アジア系アクションのレジェンド・ヒロイン、ミシェル・ヨーも特別出演)

そしてあの初代“マッドマックス”の名優メル・ギブソンが、ここではふてぶてしい巨悪を喜々として演じているのもファンには嬉しい驚きでしょう。

(いや、もう本当に楽しそうに演じてます!)

正直なところ、鑑賞前は「またタイムループものか……」と、あまり興が乗ってなかったことを白状しつつ、いざ見始めると「これでもか!」と言わんばかりの強引なまでのサービス精神に圧倒されるとともに、映画的醍醐味をとくと堪能できる快作でした。

でも『ハッピー・デス・デイ』もそうですけど、毎日殺されるのって、やはり嫌ですね。

(しかも結構“観音”から首を斬られる確率も高いし……)

(文:増當竜也)

–{『コンティニュー』作品情報}–

『コンティニュー』作品情報

ストーリー
元デルタフォース特殊部隊員のロイは、ある朝、目覚めた瞬間、謎の殺し屋の襲撃を受け、殺される。だが、それは一度では終わらなかった。銃で撃たれ、爆弾で吹き飛ばされ、首を切られ、刃物で刺され……。何度殺されても生き返り、同じ1日を繰り返す死のループに陥ったのだ。そこから抜け出そうと、何度もトライ&エラーを重ねる中、科学者である元妻(ナオミ・ワッツ)から、タイムループの鍵を握る極秘計画“オシリス”の手掛かりを得る。真実を暴き、追われる身となった元妻を救うため、ロイは攻勢に転じ、今度は自ら殺し屋集団を追い詰めていく。やがて、計画の責任者である軍属科学者ヴェンター大佐(メル・ギブソン)に迫っていくが……。果たしてロイは、タイムループを抜け出し、明日に辿り着くことができるのか……?

予告編

基本情報
出演:フランク・グリロ/メル・ギブソン/ナオミ・ワッツ

監督:ジョー・カーナハン

公開日:2021年6月4日(金)

製作国:アメリカ