【徹底解説】KinKi Kidsコンサート、ぶっちゃけ「どれから観ればいい?」

音楽

KinKi Kidsの映像作品13タイトルが、Amazon Prime Videoのプライム会員特典対象作品として独占配信されている。今回この記事では、ソロ作品を除く9タイトルについての見どころとKinKi Kidsの魅力を熱く解説する。

どのエピソードから見たらいい?初見におすすめ作品

【エピソード7:2015−2016 Concert KinKi Kids】

2016年1月1日に行った東京ドーム公演。シングルを中心としたセットリストなので、初めてKinKi Kidsのコンサートを見る人も楽しめる。王道ソングたっぷりの入門編ともいえるコンサートだ。「とりあえず観てみるか」という軽い感じで観始めてもOK。

オープニングはコーラスとオーケストラの「オペラでも始まるのか!?」というくらいの厳かな演奏で始まる。そう、KinKi Kidsのコンサートの醍醐味の1つに、生バンドがある。歌だけではなく、演奏まですべてが生で、とてもぜいたくな空間だ。厳かな演奏の後に、メインステージの大きな扉が開いてKinKi Kidsが満を持して登場。このときのKinKi Kidsのシルエットはラスボス感が半端ない。

4曲目の「やめないで,PURE」はめちゃくちゃにかっこよくパフォーマンスしているのだが、ある事件が起こる。光一が立ち位置を間違えて、剛と丸かぶりしてしまうのだ。それに気づいたときの2人のキュートさといったらない。コンサートは、こういうことがあるからまた楽しい。まさしく“生”の醍醐味だ。この曲だけでかっこいいKinKi KidsとかわいいKinKi Kidsが楽しめる。この曲の話はMCでもしているので、MCも確認してから見直すとより一層かわいらしく見える。MCといえば、このコンサートのMCでも光一の誕生日パーティーが行われているが、誕生日プレゼントで遊び倒すKinKi Kidsもかわいくて楽しいので要チェック!

中盤の「Misty」、「Kissからはじまるミステリー」も見逃せない。キラキラした衣装を着てムービングステージでたった2人きりで踊る演出は、シンプルなのに思わず泣きそうになるほど素敵だ。シンプルな演出になればなるほど「KinKi Kidsは2人なんだ!」と当たり前のことを強く強く感じてしまう。何度観ても心が奪われるエモーショナルな演出だ。

KinKi Kidsは2人。2という数字は本人たちも言うようにとても難しくて、どうしても比べられるものだ。ファンにもいろいろな考えがあるのは当たり前のことで、それを止めることなんて出来ない。それでも最後のMCで、剛は「光一派、剛派、そんなしょーもない時間を過ごすのやめてください。KinKi Kids派でいいです」「KinKi KidsはKinKi Kidsです」「シンプルにKinKi Kidsを愛してください」と言い切る。KinKi Kidsは、それぞれ強い個性を持ちながらも2人で存在し続けている。「KinKi Kids」という彼らのグループ名がついたシンプルなこのコンサートでは、「KinKi Kidsらしさ」を痛いほどに感じることが出来る。

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–{【エピソード3:KinKi you】}–

【エピソード3:KinKi you】

急きょ決まった10周年全国ツアー。「楽しい!」が目一杯詰まっているコンサートだ。10周年ということで、シングル曲も惜しみなく歌っているため、KinKi Kidsのコンサート初見の人も楽しめるラインナップとなっている。その上、コンサートのオフショットや舞台裏まで覗くことが出来る、まさに“良いとこどり”の映像だ。

なんといっても見どころは2人が登場し、そして去っていく大階段。このコンサートのオープニングには特効がない。会場が照明で明るくなると、大階段が現れるとともに2人の歌声が聴こえ、2人の合作「愛のかたまり」のアカペラからコンサートの幕が上がる。1フレーズを歌い終わった後に映し出される2人のシルエットの“無敵さ”は何度観ても鳥肌もの。音楽が流れ、サビ終わりまで歌うと、階段が輝き出し、上から2人が並んでステージまで降りてくる。ダンスもなく、とてもシンプルな演出だが、正直このコンサートはオープニングだけでも観る価値がある。「愛のかたまり」からはデビュー曲の「硝子の少年」へ。その後も「やめないで,PURE」「愛されるより愛したい」とシングル曲が続く。KinKi Kidsはオープニングで観客の心を掴むのが本当に上手い。最初の4曲で早くも「観てよかった!」と感じられるはず。

そして本編ラストもまた、「愛のかたまり」。歌いきった後には、再び大階段が登場し、メンバー紹介をした後に2人は大階段を登って去っていく。同じ大階段を使用しているのに、オープニングの期待感とは反対に「終わってしまう」という強い寂しさが増す演出。このコンサートは2人とファンが大切にしてきた楽曲「愛のかたまり」に始まり「愛のかたまり」に終わるのだ。KinKi Kidsは夢を見せてくれるけれど、現実に帰る方法もちゃんと教えてくれる。2人が大階段を登って去っていく姿は「終わり」を感じてとても寂しくなるけれど、現実もちゃんとがんばって、またKinKi Kidsに会いに来よう、という気にもさせてくれた。

まるで漫談のようにゆるくて長いMCにも注目だ。内容はかなりくだらないのに、2人の醸し出す温かい雰囲気と空気感が心地良い。ここまで長く2人きりで話している姿はテレビではなかなか見られない姿なので、早送りしないで観てほしいと強く願う。

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–{エピソード5:KinKi Kids 2010-2011〜君も堂本FAMILY〜}–

【エピソード5:KinKi Kids 2010-2011〜君も堂本FAMILY〜】

タイトルの通り、シンプルかつストレートにKinKi Kidsを感じられるコンサート。シングル曲も多く、間違いなく良いセットリストなので、初見の人にも力強くおすすめしたい。青春時代にKinKi Kidsを聴いていた人たちは絶対に楽しめるコンサートだ。中でも、2人が合作で作った曲のメドレーは必見。

このコンサートのオープニングでは、対称的に位置するムービングステージにいた2人がステージごと少しずつ近づき、ステージが1つになったときに、2人同時に前へ歩き出すという演出で始まる。2人はただ前をまっすぐと見据えているだけというシンプルで洗練されたオープニング。そして始まる1曲目は2人の合作でツアータイトルにも含まれている「Family 〜ひとつになること」。2人の奇跡ともいえる相性が良い歌声を堪能出来る。剛が作詞した中に“つよい光”というKinKi Kidsを表す歌詞があることにも注目だ。

シングル曲以外にもファンに愛されてきた楽曲が続くこともあり、見どころだらけのコンサートだが、やっぱり強くおすすめしたいのは2人の合作たち。「好きになってく 愛してく」からはじまり「Family〜ひとつになること」まで9曲を連続で披露する。2人の合作といえば「愛のかたまり」が有名だけれど、他の楽曲も最後まで聴いてみてほしい。

2人が作る曲は明るい曲は少ないが、どこか切なくてロマンティックだ。セット全体がモニターになっており、巨大スクリーンが映し出す宇宙の中で、真ん中で2人がポツンと並んで歌う演出は映像で観ても圧巻。もちろん全部観てほしいけれど、このコーナーだけ観てもKinKi Kidsの素晴らしさが伝わると思うほど、魅力がぎゅっと詰め込まれているコーナーだ。この9曲だけでギターを演奏するKinKi Kids、しっとり歌うKinKi Kids、ダンスするKinKi Kidsすべてが楽しめる。

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–{◾︎KinKi Kids、好きかも。だんだんハマってきた人へのおすすめ作品}–

KinKi Kids、好きかも。だんだんハマってきた人へのおすすめ作品

【エピソード2 We are Φ’n 39!! and U? KinKi Kids Live in DOME 07-08】

2007年に発売された10作目のオリジナルアルバム「Φ」を引っ提げて行われたコンサート。シングル曲はあまり多くないセットリストだが、ずばり「目に見えて仲の良いKinKi Kids」を堪能したい人におすすめのライブだ。お酒を飲みながら流しておきたいようなおしゃれな楽曲もたっぷり詰まっている。ファンの中でも「伝説のコンサート」と呼ばれるほど人気があるので、必見。

アルバムの表題曲「lOve in the Φ」から始まり、序盤ではバリバリダンスを踊るかっこいいKinKi Kidsが観られる。息を飲むようなかっこいい楽曲が続き、4曲目にはこのライブを見る上で絶対に見てほしい「Harmony of December」。タイトルの通り、2人の美しいハーモニーを堪能出来る楽曲だが、ここで早くも2人の仲の良さが見受けられる。

切なげな歌声と、ロマンティックなメロディーと歌詞。心地よく耳を傾けていると「ふと気づけばいつも隣で笑ってる 僕の隣に咲く花」の歌詞で、剛が光一に近寄り、肩に手を添えるのだ。それに気づいた光一もまた、剛に手を伸ばし、サビではお互いに向き合って手を差し出しながら歌う。自分からやり出したのにも関わらず、照れて笑ってしまう剛…というとてもかわいらしい2人が見られる1曲となっている。この楽曲タイトルは、故・ジャニー喜多川さんがつけたものでもあり、今でも2人が大切に歌っている曲でもあるので、改めて聴くと感慨深いものがある。

バラードやダンスチューンが続き、中盤では2人がギターを弾きながら歌うほっこりタイムに。「全部だきしめて」を気持ちよさそうに歌い上げた後は、それぞれの過去のソロ曲「ひとりじゃない」「僕は思う」へ。この2曲は、彼らのデビュー前からのソロ曲で、それぞれ「金田一少年の事件簿」「銀狼怪奇ファイル」のエンディングテーマでもあったので、懐かしい!と思う人も多いはず。歌っている機会はかなり貴重なので、こちらも見逃せない。

10周年ライブでも披露したアンプラグドのコーナーは、2人の相性ぴったりの歌声をじっくり聴きたい人も満足出来るコーナー。ダンスチューン、バラード、ギターコーナー、シングルコーナーと本編だけでかなりお腹いっぱい、という感じだが、ぜひアンコールの最後まで観てほしい。ここでもとびきり仲良しのKinKi Kidsが見られるし、最後のMCは2人のまったり具合とファンへの愛情に溢れている。

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–{エピソード6:KinKi Kids concert 2013-2014「L」}–

【エピソード6:KinKi Kids concert 2013-2014「L」】

2014年1月1日の東京ドーム公演。「LOVE&LIFE」がテーマの「L album」の楽曲をメインに構成されたセットリストは、盛り上がる曲からバラード、ところどころにシングル曲、とバランスが良い。入門編のコンサートを見た後、「もう少しKinKi Kids見てみようかな?」と考える人におすすめしたいコンサートだ。

オープニングでは2人が円柱型のセンターステージに登場。そこから始まる1曲目は、シンメ感が感じられるダンスとオープニングに相応しいテンションの楽曲「Cool Beauty」。セクシーな楽曲を2人はいつも上品にパフォーマンスする。登場したときのTHE王子様、という雰囲気の白とゴールドを基調にした衣装にも目を奪われ、1曲目からぐっと世界観に惹き込まれる。

何回でも言うが、KinKi Kidsはオープニングで心を鷲掴みにするのが本当に上手いのだ。それはもう憎いほどに。その中でもこのコンサートのオープニングは特効も使い、楽曲自体も激しめの曲なので「これからコンサートが始まるぞ!」という期待感が一気に高まる。

このコンサートでグッズとして発売されたペンライトは、剛のメンバーカラーの青、光一のメンバーカラーの赤、オレンジの3色に変わる。応援している人のカラーにしたり、気分で変えたりと自由気ままに振るのだが、本編ラストの曲「Candle Night」では、ペンライトの色が会場全体で1色に揃っている。しかも、曲を通して同じ色というわけではなくて、ダンサーが振るペンライトの色に呼応し、1番は赤、2番は青、ラストサビはオレンジ、そして最後は赤からまた青へ…と会場全体の色が次々と変わるのだ。

今だからこそ、主催側がコントロールして客席のペンライトの色を変えられる自動制御ペンライトも増えているが、当時、このコンサートで販売されていたペンライトは手動で色を変えるものだった。つまり、このときの客席のペンライトの色が変化するのは、ひとりひとりが手動で変えているからだ。自然発生で作られたKinKi Kids色。映像で観ても美しすぎるペンライトの海。そこにあるのは、KinKi Kidsとファンの間の絆や、お互いに向ける愛情、信頼、感謝だと思う。コンサートはアーティスト側だけで作るものではなく、観客と一緒に作るもの。そんなことを心から実感出来る楽曲だ。

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–{もっともっとKinKi Kidsを観たい!!仕上げにおすすめ作品}–

もっともっとKinKi Kidsを観たい!!仕上げにおすすめ作品

【エピソード1:We are KinKi Kids Live Tour  2016 TSUYOSHI & KOICHI】&【エピソード8:We are KinKi Kids Dome Concert 2016-2017 TSUYOSHI &YOU & KOICHI】

CDデビュー20周年を迎える節目の幕開けに行われた、20年の歴史をぎゅっと詰め込んだコンサート。シングル曲はもちろん、ファンから人気のある曲、おしゃれな曲、ソロ曲までたっぷりと詰め込まれていて、どんな人でも満足出来る構成のコンサートだ。かっこよさとかわいらしさ、それに加えセクシーさを備えている大人のKinKi Kidsが存分に堪能出来る。

エピソード1はDVD化もされていない武道館公演。武道館はKinKi Kidsが初めてコンサートを行った場所だ。エピソード1とエピソード8は、ソロ曲以外セットリストはほぼ変わらないが、ドームと武道館ではステージも客席も違うので、やっぱり両方チェックしてみてほしい。

まず、オープニングでは赤と青の照明が会場全体を照らす。生バンドの演奏が始まり、ツアーロゴが映し出されると、「Kissからはじまるミステリー」のイントロが流れ、2人が登場する。この楽曲のイントロには、「ここまで興奮するイントロあるか?」というくらい心を掻き立てられる。2人がデビュー前から歌っている楽曲なのに、いつまでも色褪せない。KinKi Kidsにはそういう曲が本当に多い。デビュー曲の「硝子の少年」を筆頭に、何年経ってもどこかおしゃれで心に響く楽曲たち。「硝子の少年」は、作曲の山下達郎が「何歳になっても歌える曲」と言っていたというが、まさにその通りになった。デビュー時は10代だったKinKi Kids。20年経って、大人のKinKi Kidsが歌う「硝子の少年」は、大人が少年時代を振り返っているかのような、10代のときとはまた違う哀愁が生まれる。KinKi Kidsのコンサートに行くと、改めて楽曲の素晴らしさにも気づかされる。

3曲目の「情熱」は入りのアレンジがかっこよすぎて思わず息をするのを忘れてしまうほどなのでぜひ観てほしい。衣装がバラバラなのに、ステージとしてものすごく画になり、なぜかまとまりがある。特効やダンサーたちの迫力も相まって、このコンサートの「情熱」は、なんというか、強い。このコンサートもまた、オープニングの4曲くらいで大満足してしまう、ある意味恐ろしいコンサートだ。

そしてここで改めて注目したいのがソロコーナー。KinKi Kidsはある時期からアルバムにもソロ曲は入れず、コンサートでも披露しないようになった。個々のアーティストとしてのソロが充実していて、お互いの世界を守っているような印象だったが、このコンサートでは2人がソロで培ってきたものを持ち寄って披露している。光一はダンスにフォーカスした楽曲、剛はファンク、と2人それぞれの持ち味を活かしたソロを披露。2人はやっぱり“違う”。それを実感するシーンでもあるのだけれど、違うからこそ、2人が融合したときにまた新しい何かが生まれる。しかも、今回は、それぞれのソロコーナーの一部にお互いが登場する。特に光一のソロ「Slave Maker」では、剛がギターで登場し、2人が背中合わせになるときがあり、なんともいえないエモーショナルさを感じる。

ソロコーナーの後には「薔薇と太陽」へ。この楽曲は、シングルで発売されたときにも大きな衝撃を受けた。光一がダンスをし、剛はギターをかき鳴らす。光一のダンスに合わせて剛も揺れる。まさしく「2人の個の融合」という印象を受けたからだ。パフォーマンスでは剛が上段でギターをかき鳴らしながら歌い、下段で光一がバリバリ踊りながら歌うという構成。横並びでも縦並びでも斜め並びでも尊さが生まれるのがKinKi Kidsだ。

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–{KinKi Kidsの魅力がわかった!変化球も観てみたい人におすすめ作品}–

KinKi Kidsの魅力がわかった!変化球も観てみたい人におすすめ作品

【エピソード4:KinKi Kids concert tour J】

11枚目のアルバム「J album」の楽曲をメインとした公演。全体的に大人っぽくおしゃれな楽曲が多く、しっとりしたイメージのコンサートだ。(MC以外)最初に観るよりも、KinKi Kidsのコンサートに少し慣れてから観るとより一層楽しめると思う。光一の誕生日公演ということで、MC中で行われたドタバタの誕生日パーティーの様子も収録されている。

オープニングでは、2人が最初にリリースした「A album」から「J album」までのジャケット写真がモニターに映し出され、期待を煽った後に「Secret Code」のイントロが流れ出す。最初からテンション高めの楽曲が2曲続き、ボルテージがMAXになったところで、バラードへと流れる。この緩急がKinKi Kidsのコンサートの魅力でもある。

このコンサートで注目してほしいのは、「宝石をちりばめて」「walk on…」などのダンス楽曲。ふざけ倒したMCの後だとは思えないほどバチバチにかっこよく踊るKinKi Kidsが見られる。2人のダンスは、タイプが全然違う。力強く踊る光一と、少し力を抜いて踊る剛。中居正広は「どっちが上手いとかじゃなくて種類が違う。光一はダンスシューズ、剛はスニーカーっぽい」と分析していたが、こんなにぴったりくる表現があるのかと感服した。

全然違う2人だが、そんな2人が一緒にいるからこそ放てるかっこよさがあるし、2人で踊って初めてKinKi Kidsのダンスとして完成するからおもしろい。2人は衣装も完全に同じということは少ない。全く違うこともあるし、同じ雰囲気の衣装でも、光一の方がジャケットの丈が長く、剛の方が短いなど微妙な違いを作っている。あえて2人の“違い”を楽しみながら観るのもおすすめだ。

違うタイプの2人だけれど、声の相性の良さは本当に抜群。聴いていて心地良く、それは音源でも生でも変わらない。それがありありと感じられるのはやはりバラード曲だろう。特にアンコールの「愛について」は、2人の優しさに包まれているような感覚に陥る。KinKi Kidsのバラードは騙されたと思ってじっくり聴いてみてほしい。2人の声が完全に溶け合う瞬間が、確かにあるのだ。

そしてクライマックスに歌う「スワンソング」。ここまで、踊る楽曲はダンサーたちと一緒に踊るシーンが多かったが、ここからはムービングステージに2人きり。照明もシンプルなものになり、2人であることを強く感じさせる。切ないメロディーと歌詞は、どこまでもKinKi Kidsにマッチする。大注目ポイントは最後のサビで、2人が向き合って歌う場面。曲の盛り上がりとともに“2人であることの意味”のような尊さが詰まっている。ちなみに「スワンソング」はいろいろなコンサートで歌われているが、すべてのコンサートで推したい楽曲だ。

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–{【エピソード9:KinKi Kids CONCERT 20.2.21-Everything happens for a reason-】}–

【エピソード9:KinKi Kids CONCERT 20.2.21-Everything happens for a reason-】

CDデビュー21年目に突入したKinKi Kidsの20回目の東京ドーム公演。総勢100人を超えるオーケストラによる全編オーケストラ公演だ。この公演は、一言では表現出来ない。今までの歌って踊って特効を使って…というこれまでのKinKi Kidsのコンサートとはまるで違う。客席にもペンライトはなく、神聖なコンサートといった雰囲気の公演だ。しっとりとKinKi Kidsの歌を楽しみたい人や、眠れない夜におすすめ。

というのも、剛は2017年6月に突発性難聴を患い、踊りながら歌う、演奏しながら歌う、など複数のことを同時に行うのが難しい状態だった。2021年現在も完治はしていないという。当時の剛の状態で出来ることを模索してたどり着いた結論がこの全編オーケストラ公演だったというけれど、本当はとても無理してステージに立っていたのだと思う。実際にMCの中で剛は「無理して立っています」と告白している。しかし、KinKi Kidsにとって20回目の東京ドーム公演ということで「無理して、それでも立ちたい場所とか、過ごしたい時間はあるじゃないですか。20回目をどうしても2人でどうしてもドームで立ちたいと思った」と胸の内を明かす。そんな剛の覚悟と踏ん張りが伝わってきて、この公演は時折胸が苦しくなってしまう。

オーケストラの演奏から始まる本公演。全編オーケストラということで、アレンジも音源とは違う。ここでもまたKinKi Kidsの楽曲の素晴らしさと2人の声の相性の良さを改めて実感出来るだろう。また、剛の耳のことを配慮して、MCがこまめに挟まれていることにも注目。それはそれで2人のゆったりとした会話を楽しめる。

2017年7月には、横浜スタジアムにて20周年のイベントが行われたが、会場には光一のみ登場し、剛は映像で参加した。そのイベントでは、新しい2人の合作が披露された。光一が作曲した曲に剛が短い期間で歌詞をつけたものだ。そのときには完成形ではなかった同曲が「Topaz Love」という曲になり今回披露されている。「愛のかたまり」に負けず劣らずの名曲なのでぜひ聴いてほしい。明るくキラキラした中にちょっぴり切なさがプラスされていて、最後のフレーズの2人の掛け合いが最高にロマンティックだ。

KinKi Kidsは、1回ハマると間違いなく癖になるし、抜け出せない。デビュー当時、デビュー前からのファンも今だって多いだろう。なぜこんなに心を鷲掴みにされるのか。それはKinKi Kidsが「信じられるから」ではないかと思う。真摯で誠実でまっすぐ。変わらずにそこにいて、いつも自分たちをアップデートしているグループ。それはパフォーマンスを観るたびに感じることだ。「俺たちについてこい」タイプでは決してないけれど、「理解出来る人はついてきて。そして一緒に楽しもう」という意志を感じる。そんな空間が何年経っても心地良いし、幸せだ。「KinKi Kidsを応援してきてよかった」と今まで何度思ったかわからないほどに。

(文:ふー)