「天国と地獄」も絶好調!高橋一生のキャリアで輝く5本の映画

金曜映画ナビ

ドラマ「天国と地獄」より

男女が入れ替わる映画やドラマは今に始まったわけではありませんが、現在放映中のドラマ「天国と地獄~サイコな2人~」は刑事と殺人鬼が入れ替わるという奇抜な設定の中、綾瀬はるかと高橋一生の入れ替わり演技の妙も鑑賞の大きなポイントとなっています。

では今回、高橋一生にスポットをあて、彼のキャリアを振り返ってみることにしましょう!

少年時代の高橋一生を愉しむ『よい子とあそぼう』『耳をすませば』

高橋一生は1980年12月9日生まれ。

実は子役出身で、1990年の『ほしをつぐもの』映画初出演を果たしています。

以後、多くの作品に出演していますが、その中の1本が1994年の『よい子と遊ぼう』。

退屈しのぎのゲームとして窃盗を罪悪感のかけらもなく楽しんでいる塾仲間の5人組中学生の前に、謎の覆面男が金属バットで襲いかかっていくという、都市伝説感覚のサスペンス・ホラ―作品です。

襲われてもどこかヘラヘラしている中学生たちの危うい心理とフィーリングを巧みに描出した監督の平山秀幸と脚本の奥寺佐渡子は、この後『学校の怪談』シリーズでさらに才能を開花させていくことになります。

さて、悪ガキ5人組のひとり並夫に扮しているのが高橋一生で、ちょうど中学校時代に出演した作品。

立ちション姿を披露したり「ビンビンに勃ってる!」みたいな下ネタ台詞を発したりと、イッセイ・ファンにとってまさにお宝作品といえるでしょう

また、スタジオジブリの名作アニメーション映画『耳をすませば』(96)でヒロインの相手役・天沢聖司の声を彼が務めていることも、ファンなら先刻ご承知のとおり。

ラストで彼が叫ぶ一言は、ファンならずとも嬉し恥ずかしの胸キュン名台詞でしたね。
(実は1991年『おもひでぽろぽろ』でも、ヒロインの小学校時代のクラスメイトの声を務めていたのでした!)

–{記念すべき初主演映画 は?}–
 

記念すべき初主演映画『ミートボールマシーン』

21世紀に入って成人となった高橋一生は、『恋愛寫眞』(03)『世界の中心で、愛を叫ぶ』(04)『LOVE MY LIFE』(06)タケちゃん『マリッジリング』(07)『デトロイト・メタル・シティ』(08)など数多くの映画に助演しながら大人の俳優への階段を上り始めていきました。

そのさなか。彼の記念すべき初主演映画が2005年の『MEATBALL MACHINE ミートボールマシン』です。

謎の生命体に寄生されてバトル・モンスター“ネクロボーグ”へ変貌してしまった人間たちの壮絶な戦いを描いたSFヴァイオレンス・スプラッタ・アクション映画。

もともと山本淳一監督が1999年に制作した自主映画を、山口雄大監督と共同メガホンで劇場用映画としてリメイクしたもの。
(山口監督は、高橋一生が2004年に初主演したTVドラマ「怪奇大家族」のメイン監督のひとりでもありました)

スプラッタ度が高く血しぶき満載、グロテスクなシーンも多い作品でもありますが、気弱ながらも愛のために闘う主人公を真摯に演じる高橋一生の悲壮な勇姿は感動的。

イッセイ・ファンなら勇気を出して一度は見ておいてもよい作品でしょう。

初の映画賞受賞作品齋藤工監督の『blank13』

2010年代に入ってTVドラマ出演が多くなっていった高橋一生は、2015年の『民王』の貝原茂平役で一躍脚光を浴び、第1回コンフィデンスアワード・ドラマ賞&第86回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演男優賞をそれぞれ受賞しました。

2016年には映画『シン・ゴジラ』のオールスター・キャストのひとりとして出演。

さらに2017年「カルテット」「おんな城主直虎」「わろてんか」といったドラマで多大な注目を集めることとなり、ここに至って揺るぎのないスターの地位を獲得しました。

その翌2018年に公開された映画『blank13』で、高橋一生は第15回ウラジオストク国際映画祭長編コンペティション部門最優秀男優賞を斎藤工&リリーフランキーと共に受賞しています。

俳優・斎藤工が本名の齋藤工・名義で長編映画初監督したこの作品、13年ぶりに見つかった父親(リリー・フランキー)との確執と懐かしい過去の思い出の狭間に立たされる息子(斎藤工&高橋一生)の忸怩たる想いを描いたヒューマン映画の秀作でした。

–{さっそうとした殺陣を披露!?}–

さっそうとした殺陣を披露!時代劇映画『引っ越し大名』

2019年の時代劇映画『引っ越し大名』もまた、高橋一生の新たな一面を魅せる作品足り得ています。

江戸時代前期、姫路藩から豊後国日田藩への国替えに際し、引っ越し奉行に任命された気弱な書庫番・片桐春之介(星野源)の一大奮闘を描いたこの作品、高橋一生はその親友・鷹村源右衛門を演じています。

この鷹村、姫路藩の御刀番で武芸に秀でており、実は彼が春之介を引っ越し奉行に強引に推薦した張本人!?

すべては親友のため、藩のため、鷹村は己の剣をもって徹頭徹尾春之介をサポートし続けていきます。

クライマックスの立ち回りもお見事で、この作品のかっこよさで改めて高橋一生に魅せられたファンもさぞ多いことでしょう。

[配信先 ※2021年2月26日現在]
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2020年度キネマ旬報ベスト・テン第1位を受賞!『スパイの妻』

2020年、高橋一生が蒼井優とともに『ロマンスドール』(20)に続いて夫婦役で主演した黒沢清監督作品『スパイの妻』は、この年のキネマ旬報ベスト・テンの第1位に輝きました。

太平洋戦争開戦の危機が迫る1940年から41年の神戸を舞台に、夫(高橋一生)がスパイなのではないかと疑う妻(蒼井優)のサスペンスが時代色豊かに描かれていきます。

黒沢監督としては初めて現代劇ではない作品ともなりましたが、映画フィルムをアイテムにした秀逸な設定などを駆使して、ヒッチコックばりの秀逸なサスペンスが構築。

もともとNHK8Kドラマとして製作されたものですが、オンエア後に〈劇場版〉として全国の映画館で上映され、日本中の映画ファンの喝采を浴びることになりました。

それは同時に高橋一生&蒼井優の見事な演技を改めて披露することとも同義であったといえるでしょう。

(文:増當竜也)