ドラマ「俺の家の話」全10話のあらすじ感想|ありがとう寿一、ありがとう長瀬智也、ありがとうクドカン

国内ドラマ

TBS金曜ドラマ「俺の家の話」。主演・長瀬智也×脚本・宮藤官九郎のTBS連続ドラマ11年ぶりタッグで描くのは、濃すぎる家族が織りなす王道のホームドラマだ。

長瀬演じるピークを過ぎたプロレスラーが、能楽の人間国宝である父の介護のために現役を引退し、名家の長男として家族と謎の女性介護ヘルパーを巻き込んで介護と遺産相続を巡る激しいバトルを繰り広げるストーリー。

もくじ

・第1話あらすじ&感想

・第2話あらすじ&感想

・第3話あらすじ&感想

・第4話あらすじ&感想

・第5話あらすじ&感想

・第6話あらすじ&感想

・第7話あらすじ&感想

・第8話あらすじ&感想

・第9話あらすじ&感想

・第10話あらすじ&感想

・作品情報へ

第1話あらすじ&感想

第1話ストーリー


プロレスリングでマットに叩きつけられ、ロープへ投げ飛ばされながらも、ブリザード寿こと観山寿一(長瀬智也)は、自分の家族について思いを馳せていた。

寿一は幼少時代、重要無形文化財「能楽」の保持者である父の観山寿三郎(西田敏行)から一度も怒られたことがなかった。一緒に悪さをしても、怒られるのは弟子で芸養子となった寿限無(桐谷健太)のみ。しかし寿三郎は、初舞台以降「神童」と讃えられた寿一を褒めることもなく、それが幼い彼の心を傷つけていた。やがて反抗期を拗らせた寿一は、母の死後、家を出てプロレスラーの道へ進む。そこには、寿一が憧れていた家族の形があった。

さらに時は流れて現在。ピークを過ぎたレスラーとなった寿一の元に寿三郎危篤の知らせが飛び込んできた。急いで病院に駆け込んだ寿一は、久しぶりに会った弟の踊介(永山絢斗)と妹の舞(江口のりこ)から、一昨年に寿三郎が脳梗塞で倒れたことを聞かされる。別れの挨拶は2年前に済ませたと遺産や相続の話を始める弟妹に激昂する寿一。そして寿一は二十八世観山流宗家を継承すべく、プロレスラーを引退することを決めるのだった。

引退試合を終えた寿一を待っていたのは、寿三郎が退院したという知らせだった。一門の幹部、そして家族を前に、これまでの威厳はどこへやら、デイケアサービスで寿三郎の担当ヘルパーだった志田さくら(戸田恵梨香)と結婚すると言い出した寿三郎。呆気にとられる寿一ら家族を余所に、自身の余命とすべての遺産をさくらに相続すると告げ・・・!?

第1話感想

長瀬智也はやっぱりクドカン作品のヒーローだ

想像以上に面白かった! IWGP(池袋ウエストゲートパーク)やタイガー&ドラゴンが好きだったので、同じクドカンこと宮藤官九郎×長瀬智也がタッグを組む今作を楽しみにしていました。

一方で、好きだった作品が若者視点を描いたドラマだったのに対して今回は40代のプロレスラー・寿一(長瀬智也)が実家に戻って父・寿三郎(西田敏行)を介護する話。年齢と現実味を感じさせるテーマで、今までの作品のように楽しめない内容だったらどうしよう? という不安が少しだけあった。

しかしそんな心配は杞憂に終わった。重くなりがちな介護や相続といったテーマながら、軽やかなテンポのかけあいで楽しんで見られるところはさすがクドカン。やっぱりクドカン×長瀬智也のドラマに外れなし! 

予告では父親と折り合いが悪かった息子の話なのかな? と思ったが、第1話を観ると本当は父親ともっと話したかった、褒めてほしかった息子と、出ていった息子のプロレスラー姿をスマホの待ち受けにしている父でちょっとじーんときてしまった。しかもプロレスラーになったのも父との思い出がきっかけだったなんて、お父さん大好きじゃん……。

と思いきや復活&余命&ヘルパーのさくら(戸田恵梨香)と結婚して遺産も渡すから子供たちにはびた一文やりまセンチュリーハイアット宣言。車椅子の西田敏行の膝に乗せられ去っていく戸田恵梨香、ほっそ!!(そこかよ)

全体的に小気味良いかけあいが肝となっているが、特に寿一の妹・舞(江口のりこ)のツッコミが全体通してキレッキレで素晴らしい。このドラマの空気感は彼女で成り立っているといっても過言ではないと思う。

舞の夫・ラッパーでラーメン屋オーナーのO・S・D(長田)役のロバート秋山とのかけあいも斬新。寿三郎、寿一に対しては寡黙だったのにO・S・Dとはノリノリで話すんかい。

そしてこんなこと言うのはアレかもしれないが言わせてほしい。
ロバート秋山と江口のりこから道枝駿佑くんが生まれるのすごくない?

寿三郎の弟子・芸養子の寿限無(桐谷健太)、幼いころから寿一と一緒にふざけてても自分だけ怒られてたのによくこんなに真っ直ぐ育ったな……! あまりにいいやつ過ぎてどこかで黒幕ルートがあるのかと思ってドキドキしちゃう。桐谷健太はいいやつの役が似合う。

寿一(リングネーム・ブリザード寿)のテーマ曲が松任谷由実なのめっちゃ笑う。確かに名前と合ってるんだけどプロレス感なくない……? 

テンポよくみられるとはいえ、要介護認定のテストで思うように言葉が出てこず要介護1となり、一人落ち込む寿三郎のシーンは胸が痛い。だが、寿一らしい励ましがよかった。納得がいかなかった「そういうもんだ」というセリフを使って「俺がお前がしてくれなかったこと、全部してやるよ」という寿一。

テーマは違っても、長瀬智也はクドカン作品のヒーローだ。

どう見ても怪しかったさくら、保険金詐欺の常習犯疑惑が出てきたラスト。
来週も引き続き超期待!

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–{第2話あらすじ&感想}–

第2話あらすじ&感想

第2話あらすじ

寿一(長瀬智也)が二十八世観山流宗家を継承すると宣言したことにより、父の寿三郎(西田敏行)から門弟にそのことを告げる日がやってきた。寿三郎が後継者決定を声高に宣言するものの、門弟たちからは不満の声が続出。収拾がつかなくなった一同を前に寿三郎は、1週間後に寿一に高砂を披露させることを約束してしまうのだった。

同じ頃、ネットでさくら(戸田恵梨香)の過去の写真を発見した踊介(永山絢斗)は、彼女のことを秘密裏に調べ進めていた。一方、寿一は高砂の稽古に励みつつもある悩みを抱えていた。プロレスラーをやめてしまい、お金がないのだ。息子の養育費も払えなくなった寿一は、寿限無(桐谷健太)に土下座をし借金を申し出るのだが、驚愕の事実を知ることとなり・・・。

第2話感想

お金にまつわるエピソードが多かった今回。
無職になりお金がない寿一(長瀬智也)は養育費を払えず、元嫁・ユカ(平岩紙)にキレられる。寿限無(桐谷健太)に土下座して金を借りようとするも、観山家にはもうほどんど現金が残ってないことを知る。
ヘルパーのさくら(戸田恵梨香)が貸してくれるという10万円を借りてしまう。プロレスの助っ人に呼ばれたら10万円出すと言われ、寿三郎(西田敏行)の介護をほっぽって行ってしまうのだった。

「お金無いとね、もう言葉、態度、目つき顔つき、においと全部変わるの。もう貸してくれオーラがきつくて気になっちゃって」
さくらの言葉がずしっとくる。

過去に3人の老人の遺産を受け取っていることがわかり、余命いくばくもない老人に遺産目的で近づいているのでは? という疑惑を持たれたさくら。遺産目当てではなくあくまで介護を一生懸命したのがきっかけではあったものの、お金をもらったことは否定しないさくら。

「生きがいを与えたから余命が延びた」「何もしなかったあなたたちに私を責める権利はないはずです」「もらえるものはもらいます」確かに一理あるなと思ってしまった。

結局観山家に残ることになったさくら。今後どう動くのか引き続き気になる。寿三郎のことを好きなわけじゃないと正直に言うあたり、完全に悪い人ではないのではという気もするが……。
寿一の「親父は寂しい老人じゃない。俺がいる」という言葉も前回に引き続きグッと来た。

頼もしい一方で、子どもの頃の「父に褒められたかった」という思いを引きずっている寿一。能の稽古を始めた秀生(羽村仁成)のことはべた褒めする寿三郎に、拗ねたようないじけたようなような顔をするところがかわいい。さくらに初めて褒められてひそかに喜んでいるのもかわいい。

「褒められた。親父にも褒められたことないのに」はガンダムの主人公・アムロの「ぶったね、二度もぶった。親父にもぶたれたことないのに」のオマージュだろうか。

個人的に好きな舞(江口のりこ)のツッコミは、今回は出番の関係で控えめだったが、さくらの着物姿を弟子たちに見せる寿三郎に対する「何これ?何の時間?」というツッコミはよかった。

貧乏くじをすべて引き受けたようなポジションにいるのに献身的に観山家を支え、寿一にも優しい言葉をかける寿限無。お金がないためデリバリーのバイトをはじめ、無邪気に寿一っちゃんもやらないと誘ってくる。本当にいいやつだ。いいやつなだけでなく、和服のたたずまいにちょっと色気があることにも気づいた。

英雄、識字障害や多動などのディスアドバンテージは持っているものの、父に気を遣って母に新しい彼氏がいることを隠していて感心した(結局かちあってしまうのだが)。

寿三郎とさくらがデート(?)していた際に「トイレ大丈夫か?」と気にするあたりはクドカン作品の長瀬智也っぽいし、冒頭出てきたハンドサイン(トイレ行きたいときは耳を引っ張る、間に合わなかったときはバンザイする)はクドカン作品らしいユーモアがあった。あれ、説明してる時点で間に合わなくてバンザイするだろうなってわかっちゃうやつだよね(笑)。

二話目にしてかなりの盛り上がりを見せてくれた「俺の家の話」来週も引き続き期待大だ!

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–{第3話あらすじ&感想}–

第3話あらすじ&感想

第3話あらすじ

観山寿一(長瀬智也)はさくら(戸田恵梨香)に借りた10万円を返すため、スーパー多摩自マンに扮してリングに上がる。試合を終え、急いで帰路につく寿一の元に、寿限無(桐谷健太)から一本の電話がかかってきた。それは、寿三郎(西田敏行)が廊下で転び病院へ運ばれたという内容で、寿一は慌てて病院に駆けつける。自分が目を離した隙の出来事に言い訳できない寿一は、さくらや踊介(永山絢斗)、舞(江口のりこ)からの追及にただ謝ることしかできなかった。

そんな中、寿三郎は残りの人生を楽しむため、さくらとエンディングノートを作る。エンディングノートから父の願いを知った寿一は、家族に内緒である決意をし・・・。

第3話感想

現実を受け入れて切り替えていく女性陣の力強さと、夢見がちな男(というか寿一)の対比、そして寿三郎(西田敏行)の真実が印象的だった今回。

前回当番を抜け出した間に寿三郎が倒れ、言い訳せずに謝る寿一(長瀬智也)は、何も言わなかったため風俗に行っていたと思われてしまう。それに対しての舞(江口のりこ)のツッコミが「行くタイプじゃなくて呼ぶタイプもあるじゃないか」で、そこなんだ、と思った。前回は出番少なめだった舞のコミカルな演技が多めに見られてうれしい。

「娘泣かせてんじゃねーよ!あんたに長生きしてほしいからみんな考えたのに!」と怒って「それをバラしたら台無しだ」と怒られ「ごめん難しいわ」という寿一、ものすごく寿一っぽいし長瀬智也っぽい。寿三郎のエンディングノートに二重線で引かれた「家族旅行」があるのを見て積立貯金始めちゃう寿一、愛おしい。

さくらを疑っていたのに「死ぬまで婚約者のふりしてもらえば?」と切り替えた舞、「死ぬまで」や「いつか終わるんだし」と発言してしまって反省する舞、渡し方まで考え抜いてプレゼントした手押し車(シルバーカー)を寿三郎に「こんなじじくせぇもん使わねぇよ」と言われて泣いちゃう舞、全体的にキュートすぎた。

寿一にプロレス復帰してもらうため、家に押し掛ける面々。毎度おなじみ長州力に加え武藤敬司に蝶野正洋が並び、プロレスファンの方からしたらとんでもなく豪華な取り合わせなのでは? 長州力は毎回「切れてない」ネタがあるし、彼らに包丁を渡そうとしただけなのに帰ってきたさくらに誤解されてしまう絵面、クドカン作品っぽくてよかったな~。

さくら(戸田恵梨香)の身の上話を話す際に突然始まった新作能「私の家の話」。さくらの母を江口のりこ、兄を道枝駿佑が演じ、江口のりこの芸達者さに感心しつつ、家に愛想をつかし盗んだバイク(尾崎豊かよ)で出ていく兄のエンジン音が「ぶろろ~ろ~」と能の言い回しで笑ってしまう。

しかしさくら、苦労したな……友達に貧乏だと知られたくなくて、プレゼントのためにためたお金を使おうとしたら母に盗まれていたというシーン、つらい。前回ほんとのところはどんな人なのかおあずけになったさくらだが、今回の寿一や寿三郎とのエピソードでただのいい人な気がしてきた。

寿三郎、本当は全部わかっていてさくらが婚約者だとボケたふりをしていたことがわかってびっくり。理由が子供たちの前ではカッコつけたいからで、寿三郎の生きざまを目の当たりにした。打ち明けられてびっくりしつつも「人生は子どもたちが畳んでくれるから任せればいい」というさくら、絶対いい人じゃん。

元妻ユカ(平岩紙)、前回新恋人といるのを目撃してからの今回妊娠してるという事実を知りショックを受ける寿一。それがわかる前に「本当は俺のことまだ好きなんじゃ……」と期待していたのに対し、ユカは妊娠の告白の際「恥ずかしくて言えないわ」とキャッキャしていて完全に切り替わっている。ユカがオール関西弁で方言女子にキュンとする身としてはたまらない。

何だかんだで「スーパー世阿弥マシーン」としてプロレス活動することになった寿一。偶然観にきた寿三郎(スーパー世阿弥マシーンが寿一とは知らない設定)に「体幹がしっかりしていて、プロレスじゃなくて能をやったらいいと思ったね」とほめるのを聞き「はじめて親父にほめられた」と喜ぶ。よかったね寿一。

次回も楽しみ! そして新作能もまた観たい。

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–{第4話あらすじ&感想}–

第4話あらすじ&感想

第4話あらすじ

スーパー世阿弥マシンとしてプロレス界での活動を再開した寿一(長瀬智也)は、寿三郎(西田敏行)のエンディングノートを眺めながら、”寿限無(桐谷健太)のおとしまえ”の意味が分からず首をかしげていた 。当の寿限無に聞いても、でてくるのはトンチンカンなことばかり。

一方その頃、踊介(永山絢斗)は、さくら(戸田恵梨香)の昔の写真を入手し、寿一と舞(江口のりこ)にさらなる疑惑を持ち出すが、2人に一蹴されてしまう。

そんな中、大州(道枝駿佑)と秀生(羽村仁成)による能の定期公演の話が持ち上がった。だが、大州は稽古にたびたび遅刻し、さらに反抗的な態度も重なり、舞の怒りは募るばかり。筋の良い秀生と比べられる大州に、寿一は昔の自分が重なって見え・・・。

第4話感想

寿限無(桐谷健太)、まじかーーー!!
最近ちょいちょい寿一(長瀬智也)にチクチク言う場面も目立って友達感増してきた寿限無、腹違いの弟だったのか……。っていうか寿限無って芸事のための名前だと思ってたけど本名なのね。

事実を知らされた舞(江口のりこ)・踊介(永山絢斗)・寿一、全員一度外に出て「くそジジイ」と叫ぶ。いやまぁそりゃクソジジイと言いたくもなるわな。

さくら(戸田恵梨香)の高校時代の写真を買ってきた踊介に「好きなんじゃないの?」とぶっこむ舞、「そんなこと言われたら意識しちゃう」と返す踊介、さくらに話しかけられて「どうもしねぇよ、コンチクショーめ」と嬉しそう。かわいいかよ。コンチクショーって。その後能の稽古を眺めながらのさくら「何だろう、能のことはわからないけどすごい下手ですよね」舞「そうなのよ。しかも訴えかけるものが何もないの」もセットで笑える。踊って名前に入ってるのに。

舞が勤める塾に協賛してもらって行っている子供向けの能イベント名「YES!子供だって能(NO)」のタイトルを何度も復唱して「能とNOをかけましたよ」と言わせる寿一、やめてあげて(笑)。あとtiktokをヨックモックと間違えて逆ギレ? する舞がかわいい。

道枝くん……じゃなくて大州のダンスが見られてうれしい。
そして池袋! 池袋西口公園! カラーギャング! 大州の所属ダンスチーム名がYellow Angels! ……IWGPオマージュきた!! 
胸が熱くなった人、私と握手!
大州のスマホの舞の登録名「鬼婆」だった次の瞬間表情が般若で笑った。絶対寄せてる。

さくらちゃんの好きなドラマがビューティフルライフなのも熱い、同じ年のドラマなんだなぁ。ロケ地巡りしながら寿三郎(西田敏行)が「ちょ、待てよ」と言っててうける。それはラブジェネレーションのセリフや、木村拓哉違いや。

「逃げるのも才能」「逃げ道を作ってあげるのも大人の役目じゃない?」
逃げられなかった寿限無が言う言葉が重い。この言葉で救われる人はきっと多い。

長田(秋山竜次)の「ラーメンが嫌いだから仕事にできてる」「ラーメン嫌いな俺の意見結構大事」というセリフもよかった。「好きを仕事に」という言葉がたくさん聞かれる世の中だけど、好きではないからこそやる価値がある場合もあるんだな。

一つじゃない価値観を提示してくれるこのドラマ、やはり好きだ。

寿限無が事実を聞いたとき怒鳴らなかったのを「人間ができてるからね寿限無は俺たちと違って」と言われていたけど、やっぱり寿限無も人間だったんだな。よかった。時間差で来たんだな。でも鐘? の中にいるのは大州だと思ってた……!

舞の「何言ってんの母さんどんな時だって大州の事しか見てないんだよ」もグッと来た。「その女ジルバ」も観ていると江口のりこさんパラレルワールドを観ている気持ちになる。

「そうか、あの時俺たちは兄弟で舞ってたんだな」も泣けちゃうね。
秀生のほうが能の才能があることに気づいて反抗期気味の大州を見て、寿一はどんどんうまくなっていく寿限無に劣等感を感じていた自分と重ねていたけれど、寿限無からしたら圧倒的に華があった寿一に勝てないと思っていた自分のほうが大州だった。
でも大州は寿限無と違って逃げられた。道を示してくれたのは、寿一、寿限無、長田、舞、4人の大人たちだったのではないだろうか。本当に「俺の家の話」なんだ。寿一と寿三郎だけじゃなくて、この家に関わるみんなの話なんだな。

来週も楽しみ。

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–{第5話あらすじ&感想}–

第5話あらすじ&感想

第5話あらすじ

寿一(長瀬智也)と腹違いの兄弟であることが発覚した寿限無(桐谷健太)は、これまでの態度とは一変、遅めの反抗期を迎えていた。そして同じ頃、さくら(戸田恵梨香)は、スーパー世阿弥マシンの正体が寿一であることに確信めいたものを感じ、頭からそのことが離れない。

そんな中、寿一は寿三郎(西田敏行)との家族旅行の計画を立てていた。家族全員を参加させたい寿一は、卑屈になっている寿限無を連れ出し、無理矢理プロレスのリングに立たせる。そして、兄弟喧嘩と称し、寿限無のサンドバックになる寿一。だが、2人を追いかけてきたさくらが、寿一にあることを告げて……。
 

第5話感想

それぞれの思惑と2人一緒にきちゃった反抗期でカオスな観山家、情報量が多くて戸惑うも、何だかんだ旅行に向けて家族がひとつになってる感じがよかった。

寿限無(桐谷健太)40歳と大州(道枝駿佑)16歳の反抗期、同時に来る
いい人すぎていつか爆発しそうで心配と序盤の感想に書いていた気がするが、前回自分が寿三郎(西田敏行)の隠し子だったとわかったことで反抗期がきてしまった。寿一(長瀬智也)にも「さわんなよ」と息巻く始末。
同じく反抗期がきた大州と二人で片膝を立てて食事し、寿三郎に注意される。

心の声がでかすぎる、カオスな観山家
前回舞に「好きなんじゃないの?」と言われてさくらを意識しちゃってる踊介。舞は嫁の実家でも遠慮のない夫・長田(秋山竜次)に心の中でつっこみまくっている。スーパー世阿弥マシーンが寿一だと気づいたさくら(戸田恵梨香)、なぜか恋している? 全員心の声がでかすぎる。

踊介「はぁ~かわいいぜ~さくら、お前のかわいさゆ・う・ざい(有罪)!ゆ・う・ざい(有罪)!ー中略ー嫌いじゃないぜ、とにかくもう、キュンだぜ」
舞「こいつ、嫁の実家で何回おかわりすんだよ」
さくら「世阿弥さま、もう一度してくれないかな、山賊抱っこ」
踊介「あ~かわいすぎるぜさくら。かわいさ過失致死だぜ」
舞「目玉焼きにケチャップって味覚小学生か」
長田「俺は東京生まれHIPHOP育ち」GRATEFUL DAYSかな?
寿三郎「それは天人の羽衣とて」

カオスすぎるだろ。
家族がかみ合ってないことに気づきつつも、家族旅行を提案する寿一。
でもみんなそれどころじゃなさそう。

「彼女できたのにデートする時間もねぇし」
大州に彼女ができただと???

能をやめたいという大州にやめたきゃやめればいいという舞。
「その代わり大学いけ。公務員になれ。うちらの老後を保証しろ。墓場まで連れてけ」
シータを追い詰めるムスカ(天空の城ラピュタ)ばりにセリフを繰り出す。
「親の介護もあんたの人生なんだよ」
後でひどいこと言っちゃったと落ち込んむ舞、まあ実際そうだしと慰める踊介。この二人のバランスが結構好きだ。

大州と長田二人のシーンもいい。なんであいつと結婚したのと言われて
「俺と母さんが結婚してなかったら、お前生まれてなかったんだぜ。あ下ネタ?下ネタ言っちゃった?」
「父さんてたまにまともなこと言うよね」
「え?いつ?」

デスメタルを大音量で聴くきながらゲームする限無。わかりやすい反抗期してるな……。
でも寿一に止めてくれと言われたらデスメタルは止めてくれる寿限無。
俺は家族じゃないから留守番だろう。ずっと家族とは違う扱いを受けてきたのに、自分じゃ駄目だから寿一の帰りを待っていたのに。早くわかっていたら違う生き方だってあったんだよと叫ぶ。そりゃそうだよな。

「決めた、俺が継ぐ二十八世。もう一歩も引かない。親父の後釣りたいならプロレスじゃなくて能で俺に勝ってみろよ」
おおこれは、寿限無は寿一のライバルになるのか?

寿一(世阿弥)に「好き」と言って走り去るさくら。さくらの好きになったポイントどこだったんだろう。やっぱり山賊抱っこなのかな。

一方元妻ユカと息子・秀生の親権について話し合う寿一(忙しいな)。親権を持ちたかったが、元妻の再婚相手も先日の能を見て親権をほしいと言ってきた(なぜそこで)。弁護士を頼んだ方がいいらしいが、いた、弁護士(踊介)。

「弁護士あるあるなんだけど、怪しいって言う感情と好きって言う感情。これ、混同しがちなんだわ(そんな弁護士あるある、あるのか?)」と踊介はさくらに告る気満々。さくらに告られた寿一は困る。さらにさくらに返事を求められて「返事が必要なやつだったのか」と困る。

いろいろ大変だが、旅行の実現に向かって家族が1つになっている感じが良い。寿三郎を岩風呂に入れるイメトレとして、末広さんを子供用プールにかつぐ練習をする寿一と踊介。転ばせそうになったところに手を貸してくれる寿限無。ツンデレかよ。

家族写真を撮って「舞が一重になってる」「40年一重だけど」という寿一と舞の掛け合いに笑った。

突然会いたい人がいるからさくらには旅行に来ないでほしいという寿三郎、みんなを見送ってから「そういえば今日誕生日だった。行きたかったな」というさくらちゃん、なんかかわいそう。祝ってあげたい。

寿三郎は何人秘密の女がいるんだ? と思ったらおいおいおい田中みな実出てきたよ。予告には阿部サダヲがいるよ。さらにカオスでやべぇな。

寿限無と寿一の「どこ乗ればいいの」「俺の隣だよ」のやり取り、いいなぁ。

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–{第6話あらすじ&感想}–

第6話あらすじ&感想


第6話あらすじ

ついに25年ぶりの家族旅行へ出発した観山家だったが、道中思わぬ寄り道が発生していた。寿三郎(西田敏行)がかつて愛を誓った女性たちへの謝罪行脚をしたいというのだ。寿三郎の好きなようにさせると決めた寿一(長瀬智也)は、思うところがありつつも車を走らせる。

一方、観山家に残ったさくら(戸田恵梨香)は、誰もいない稽古場で寿三郎と踊介(永山絢斗)から引っ切り無しに届くメールをぼんやりと眺めていた。だが、寿一のことが頭から離れずモヤモヤとした想いを抱えていた。やっとの思いで目的地へと到着し、夕食を終えた一行だったが、寿三郎が今度は近くの温泉旅館の女将に会いたいと言い出す。それは、かつて寿三郎がプロポーズをし、それを了承してくれたという女性で・・・。

第6話感想

念願の家族旅行に行けたと思ったら寿三郎の過去の女めぐりツアーになってしまうし、阿部サダヲが純烈もどき(潤沢)で出てくるし、寿一と種三郎は大げんかしちゃうし、前回に引き続き恋の矢印が複雑。カオスと思いきやラストでじーんとしてしまった。

まだまだいる寿三郎の女たち
前回出てきた昔の女の一人・田中みな実、寿三郎をジュリー呼び!
昔は能にハマってて今は農業にハマってる、オーガニック、インスタ更新……いかにもな感じに仕上がっている……!旦那さんも子どももいて、旦那さんのことをダーリン呼び。気持ちとして能面をプレゼントする寿三郎のセンスよ。いらねぇ……! と思ったけど、オークションで売ったら100万以上するらしい。ならうれしいのかな。

豆千代さんはジュネ呼び。なんでいちいち呼び方違うんだよ。
わからなかったけど、豆千代さん、IWGP(池袋ウエストゲートパーク)のキング(窪塚洋介)の彼女・ジェシー(池津祥子)らしい! 胸熱。
豆千代にも面を渡そうとしたところ、慌てて制止して名前入りの扇に替える寿一。扇を受け取った途端ノリノリで踊り出す豆千代。よくわからないけど楽しそうだからいっか。

そして今は温泉旅館の女将をしているまゆみさん。呼び方がジュマンジwww どうしてそうなった。
しかし、お引き取りくださいと言われてしまう。

出た阿部サダヲ
まゆみさんが寿三郎に帰れと言った理由は阿部サダヲ。出た阿部サダヲ。温泉地を歌ってまわるグループ、完全に純烈じゃんと思っていたらドラマ内でも純烈って言っちゃってるし、「純烈が行ってない温泉地をまわるグループ」らしい。
グループ名は潤沢、役名はたかっし。
「潤と沢の間に半角スペース その隙間を埋めるのが姫たち」
っていう設定がいいね。KAT-TUNにとってのハイフンみたいだね(ちょっと違うか)。

メンバーの顔がプリントされたフェイスシールド売ってるのはうける。いつ使うんだ。

なかにし礼ならぬなかにし札(ふだ・たかっしーの作詞時のペンネーム)とか、歌詞9割たかっしーだから他3人替わっても問題ないとか、歌詞が「嬉し恥ずかしたかっしー 夜夜夜夜忍びよる」だったりとか、パクリなのに楽屋のれんが純烈からもらったものだったり、小ネタが最高だったな~。小ネタの多さ、クドカンって感じする。

潤沢(というかたかっしー)のステージを見てそれぞれ感銘を受ける観山家の子どもたち。

踊介「ババアが波打ってる その波にあいつが乗ってる」
舞「なにこのどうでもよさ なにこの多幸感 バカになった方が勝ち バカになりたい」
寿一「何だろうこの敗北感」
寿限無「伝統芸能が大衆芸能に張り合っても…」

メンバーが移動できなくなったため、頼み込まれて急遽潤沢のメンバーとしてステージに出ることになった観山家の息子たち(寿一・寿限無・踊介)。フェイスシールドの使いどころ、ここか。能の才能が全くない踊介、潤沢の振り付けの習得はめちゃ早い。舞にばらされた小学生のときマイムマイム踊れなくて不登校になったエピソードがやばい。今更だけど、名前に踊って入ってるのに踊り下手なのつらい。

なんだかんだ超楽しくステージに立っちゃった3人。
寿一のソロ部分、ちょっと感動してしまった。こんなことろで思いがけずTOKIOのボーカル長瀬智也の歌が聴けるとは。

お願いして歌わせてもらったもう一曲、寿三郎のマイウェイ。西田敏行さん、歌手もしていたのは知っていたけどめちゃくちゃ歌がうまいんだなぁ。寿三郎はどうして素直にありがとうって言えないんだろうと思っていて、子供たちもそれぞれ声をかけるシーン、ちょっとうるっと来てしまった。特に寿限無の「俺もっと甘えていいかな、タメ口でいいかな」「いいよぉ」が特によかった。ドタバタ回だと思ってたのに、このやり取りとラストのめちゃくちゃいい家族写真で泣きそうだった。

そう、西田敏行も長瀬智也も桐谷健太も阿部サダヲも、みんな紅白に歌手としてるんだよな~と観ながら思っていた。めちゃくちゃ豪華だな~。

それぞれの部屋での会話
泊まった旅館での家族それぞれの会話もよかったな。

寿限無と踊介の部屋では寿限無が踊介にキレていた。
「寿限無さんもしくは兄さんと呼べ話はそれからだ。今度お前って言ったらぶっ飛ばすから」

ちなみに寿限無の中での観山家の継承順は
継承順は
寿一
俺(寿限無)
秀生
大州
O.S.D(長田)
お前(踊介)

らしい。踊り下手だしなとは思うけど、関係ない長田より下なのはさすがに厳しい(笑)。

舞と大州の部屋
能を一度やめてみるのもありかよという舞。能をやめても俺の居場所なくならないよね? と聞く大州に当たり前でしょ、バカ言ってんじゃないわよと答える。柔軟でいい親だな。

寿三郎と秀生の部屋
泣き出す秀生にどうしたのかと聞くと、まゆみとのやり取りのときに「おじいちゃんもうすぐ死んじゃうから優しくしてあげてください」と言ったことを「もうすぐ死んじゃうなんてごめんなさい」と後悔していた。でも死んじゃうからなぁ。おじいちゃん死んだら嫌か。そうかかわいいかわいいと言って秀生を抱きしめて寝る寿三郎。いいシーンだった。自分も子どもの頃、祖父母に私たちはいつお迎えがきてもおかしくないんだからと言われるたびに泣いていたのを思い出してちょっと泣いた。

踊介、行動がまじでモテなさそう
さくらにLINEを送りまくって携帯を放置された踊介。

「今、話せる?」「誕生日だよね」「大事な話がある」
挙句LINEでプロポーズするとか言ってるし怖い怖い怖い。
告白をLINEでするのはまじでないからやめとけ。

 山賊抱っこふたたび
 寿一に会いに来ちゃったさくら(戸田恵梨香)。誕生日なので抱っこしてくださいと山賊抱っこしてもらう。お姫様抱っこより山賊抱っこのほうがいいのか。めちゃくちゃ軽そうだな~頭に血がのぼらないのかなこの体勢。

筋肉バカなんて嫌いだったのに……という超長い独り言? はちょっとわかるなと思った。ともかくさくらがハッピーな誕生日になってよかった。

さくらが寿一に言った親子の話も印象的。
「割り切っちゃったら親子じゃないんですよ。どんなに自分を殺して割り切っても親は親だし子は子なんです。シモの世話したくらいじゃひっくり返りません」

親子の絆が深まった回、とてもよかった。
来週もいろいろ波乱がありそうだけど、引き続き楽しみ!
 

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–{第7話あらすじ&感想}–

第7話あらすじ&感想

第7話あらすじ


無事、家族旅行を終えた観山家一同。往路の息の詰まるような車中とは一変、大合唱をしながらの帰路となった。そして、寿三郎(西田敏行)は帰宅後すぐにリハビリを開始。忙しくなった舞(江口のりこ)と踊介(永山絢斗)はリモート介護に切り替え、稽古場では寿限無(桐谷健太)が体験入門のお弟子さんたちの稽古をつけるという日々が続いていた。

そんな中、ひとり暇を持て余していた寿一(長瀬智也)の元に、さくら(戸田恵梨香)がやってくる。旅行中にした告白の返事を聞いていないさくらは、寿一からの返事を待っていたのだ。しかし、寿一はその前にと、自分がスーパー世阿弥マシンであることをさくらに告白。話を上手くかわしたかのように思えたのも束の間、さくらから返事を催促され、寿一は返答に窮する。

日は変わり、元妻であるユカ(平岩紙)との秀生(羽村仁成)の親権を巡る話し合いのため、寿一はスーツ姿で踊介のミヤマ法律事務所へとやって来ていた。だが、寿一はその場でユカを怒らせてしまい・・・。

第7話感想

このドラマ、大枠の一本筋は通りつつ、毎回違う感動をくれるところが素晴らしい。

家族旅行のおかげで仲深まってる!
家族旅行の帰り、めっちゃ盛り上がる観山家。
みんなでユーミンのブリザードを熱唱。寿限無はDJやってる(口で)。
寿三郎は嫌がっていたデイサービスに行くようになり、仕事が忙しくなった舞と踊介はリモート介護に(リモート介護ってあるんだ)。

ところで寿一がスマホをズボンのお腹のところに挟むのが気になった。トイレの時落とさないかな?
反抗期に入ってしまった寿限無が旅行を経て優しい感じに戻っててうれしいな。

寿一と秀生、父子の絆
今回は何といっても寿一と秀生のエピソードがよかった。
秀生に寿三郎が自分にしたのと同じことをしてしまうんじゃないかと思って怖かった、父親として自信がなかった寿一。親権についての話し合いで元妻のユカ(平岩紙)を怒らせてしまい、よけいに自信がなくなってしまう。

でも、参観日のために秀生が寿一のために書いた作文(なんと、ユカの再婚相手と寿一、二つの作文を書いていた)には、若干上から目線の部分がありつつも「お父さんみたいになりたいんだと思います」とあって泣けた。秀生くんはちゃんとお父さんを見て育ってた。「僕」が「朴」になってて笑った。LINEでは「能したい」が「脳、死体」になってぶっそうな秀生、漢字は追い追いだな。

学校の先生が「濃いお父さん」「薄いお父さん」で呼び分けてるのもよい。

親権の代理人、キャラが濃い
代理人の女性、言葉遣い独特~! 
「どぅーお考えですか」「リモートゥー」「そうなんですクー?」後半何言ってんのかよくわかんなくてうける。
スタバから南の島の海辺みたいな背景でリモート参加する元妻の再婚相手、「背景変えようか、さすがにアホみたいやから」と突っ込まれる。優し気な男と思いきや、いろいろ痛いところついてくるな~。

ユカのキレ所も独特であった。
「家庭を顧みない?そんなこと気にしたことないわ。むしろ顧みんといてほしかったわ」「家で殺気放ってんねん」「私が離婚決めたんはな、寿一くんがアメリカ行ったからちゃうよ、アメリカから帰ってきたからや」
女心は難しい。でも、すごく寿一のこと考えててくれたのかもしれない。と言いつつ自分よりプロレスや能のほうが大事だったんやというところが複雑だけど、最終的にわかってくれていい人だ、ユカ。

どうなる寿一とさくら(と一応踊介)
寿一さん私のプロポーズに答えてない、と迫るさくら(「好き」「抱いて」ってプロポーズだったの?)

「人を幸せにする自信がないんです。また自覚もなく大切な人を不幸にしてしまう。殺気を放ってしまう」
「観山寿一さん、ますます好きになりました」「寿一さんはスカイツリーなんだよ」
「じゃあ駄目じゃないですか」
「違う。登ったもんわたし」
「ああ、山賊抱っこ」
「ありがとう。うれしいな。なんか、すごいうれしい」「こんな美味しいラーメンをちゃちゃって作る人は、幸せになるべきだって思いました」

途中いろいろ略してますが、さくらは独特な視点で寿一を見て好きになっていていいな。
この二人くっつくことあるのかな。
ところで踊介、大事なことをLINEで言うのは引くからやめたほうがいいよ。

長州力さんのキャラたまらん
いいキャラの長州力さん、長州力さんのボケをことごとく殺す寿一。
ドラマで持ちネタを結構いじられてて快く出演している長州力さん、いい人だなと毎回思う。
プリティ原が持参したフルーツサンドを食べた寿限無「口が女の子になっちゃう」がかわいい。

その他
泥棒騒ぎで面がなくなったという話が出て、以前寿三郎に持っていてくれと言われた面を返したさくら。兄弟の軽快なツッコミ? が小気味よかった。
寿一「あんたって人は」
舞「油断も隙もないわね」
踊介「ったく。たまんないぜ!(嬉しそう)」

踊介の単純っぷりが愛おしい。
来週も波乱の予感。楽しみだ!
 
 
 
 
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–{第8話あらすじ&感想}–

第8話あらすじ&感想

第8話あらすじ

ついに、さくら(戸田恵梨香)へ自分の気持ちを告白した寿一(長瀬智也)。だが、まだそのことを家族に話すわけにはいかず、何事もないかのように振る舞う2人。そんな中、突然寿三郎(西田敏行)が「終活をする」と言い出した。自分が「要支援2」だと思っている寿三郎は、今のうちに遺産相続について書き記しておこうと言うのだ。「さくらへ贈与する」と寿三郎は言うが、それを聞いたさくらはキッパリと断ってしまい…。

日は変わり、寿一は寿三郎から新しい演目の稽古をするように告げられる。同時にスーパー世阿弥マシンの新しい対戦相手が決まり、寿一は能とプロレスを同時進行で稽古していくことに。そんなある日、寿限無(桐谷健太)との稽古中によろけてしまい、寿一は病院へ。診察の結果、とあることがきっかけとなりアキレス腱を断裂。2週間の車椅子生活を余儀なくされる。そして、観山家に“車椅子の親子が2人”という生活がスタートするのだった。

第8話感想

結ばれた(?)寿一とさくら

リングの上から想いを伝えて、晴れて結婚を前提にお付き合いすることになった寿一(長瀬智也)とさくら(戸田恵梨香)。タクシーの中で覆面取らないのかよ、さくらの手を見つめる目が犯罪者にしか見えない。ツッコミどころタクシーを降りて覆面とさくらのマスクがふわっと宙を舞うシーンはちょっとロマンチックな気もする。山賊抱っこされる瞬間の恍惚とした顔、いいのか? さくらの好み、ほんと独特。

夕飯の当番が踊介だからコンビニに行くという寿限無
踊介には徹底して気を遣わなくなったな寿限無。

踊介が作ったローストビーフを囲む観山家。
寿三郎が突然の終活宣言をする。さくらは貯金は結構ですいりませんときっぱり断る。
誰も何も言わないから、ローストビーフそんなにまずくなかったのかなと思いきや、まずさに気づいた寿一の表現がやばい。
「ローストビーフまずい。使い古しの熱さまシートを噛んでいるような無駄な弾力、顎に時給を払いたいくらいだぜ」 めっちゃまずそう。絶対食べたくない。 「このローストビーフでよくドヤれるな」と思われる踊介。勉強とか仕事はできるみたいだけど、それ以外は基本不器用なのかな。

帰り際、無言で低い位置で手を振るさくら、かわいい〜。
初々しくていいな。

佐藤隆太がKINGのポーズしてる!

ところ変わってさんたまプロレス本部(?)昔プエルトリコで対戦した長い名前のホセ……をフルネームで会話し続けるみんなに「ホセでいいんじゃないか?」と提案する長州力(正しい)。
毎回毎回どこかに何らかの長州力「切れてない」ネタを入れるのがほんと好き。
今回は寿一の靭帯が切れていた。しばらくは絶対安静となり、観山家の車椅子人口は2人になってしまう。

整形外科のお医者さん、佐藤隆太だーー! そしてブリザード! と言いつつしたポーズがIWGPのキングのポーズ! 熱い。

すっかり大州(道枝駿佑)のステージママになった舞(江口のりこ)。今度のオーディションで受かったら長州力のバックで踊るらしい。そのCMめっちゃ見たい。

舞にさくらとのことを切り出そうとする寿一に、
「大州! その辺で踊ってきな!」と雑に言う舞、
「そんな雑な追い払い方」と言われる。

大州が気を利かせて席を外した後、寿一が話そうとすると「長田不倫してる」と言い出す舞。
職場の若い女がインスタに匂わせしてるというか、匂わせどころか写ってしまっている。
「別れない、別れたら許したことになるから」という舞に、元妻ユカとのことを思い出しつつ、自分がさくらと付き合っていることは許されてもいいんじゃないかと自問自答する寿一。

ユカの再婚相手のことを「薄味薄っぺら男」と言っていて、顔だけでなく中身も薄っぺらという評価になってる(否めない)。

「俺もジュジュみたいな特別な呼び方欲しいな」
とか言い出す寿一、正気か?? 浮かれすぎじゃない?

二人きりになってしまう寿一と寿三郎

さくらとのLINEに舞い上がった寿一は、スタンプを踊介に誤爆してしまい二人の仲がバレる。
「勘違いのスピードが早くて追いつけなくて」というさくらに
「ハハッ勘違いのスピード違反」と自嘲気味に言い、寿一を睨みつけて出ていってしまう踊介。
下手に隠すと余計傷つけるよなぁ。

そしてなぜか不倫相手とともにやってくる長田。
「誰だテメーは」「何でもかんでもコロナのせいにしてんじゃないよ」
舞の鮮やかなツッコミが飛ぶ。

反省してるんだから許してやったらいいじゃないかと言う寿三郎に
「あんたのことも諦めただけで許したわけじゃないからね」
「お母さん泣いてたよ。あんたが浮気するたびに私の部屋で泣いてた」
「寿限無のことだって」
今は俺のことはいいよという寿限無に
「良くないよ! 初恋の人だもん」
「あぶねえあぶねえ タメだよタメ。小中高一緒」
「この家で女に生まれるってことは……生まれた時から数に入ってない。舞はいいから、舞はいずれ出ていくから」
こちらも長年積もり積もったものが爆発してしまった様子。
謝ろうとしても
「結構です。どうせ忘れちゃうんでしょ」
そのまま舞も観山家に来なくなってしまった。

寿限無が寿三郎の風呂の準備をしてくれている間、寿一と二人になり寿一が入れられるようになるまで入りたくないと言い出す寿三郎。
「身を任せられないというか早く出たくなっちゃうんだよ。俺はやっぱ寿一がいい。寿限無はなんか違……」
呼びに来た寿限無は全部聞いていた。
「なんか違うってそんなのわかってるよ。だって俺じゃないんだもん本当は。大きな舞台に入っても俺じゃない俺じゃないって思いながらやってた」 寿限無も出ていってしまう。

寿三郎は子ども全員を傷つけてしまうのだな……。不器用な人。

ユカとさくら、ご対面

観山家を訪れたユカとはじめて話すさくら。
寿一のファンだという話で盛り上がる。

「うちらの分まで戦ってくれるやん。勝ったら心から笑ってくれるし、負けたら悔しがってくれる。あんな男いないわ。けど自分がないねん。与えてはくれるけど、こっちが返しても受け取ってくれへん」
「妖精みたいですね」 「そうやな、そこにおるけど触られへん」
なるほど……! 確かに寿一って、ずっと父に認めてもらいたいで生きてきたから、自分がどうしたいがそんなにないのかな。

「私は結婚してもファンのままでいます」というさくら、強い。

ついに能の言葉まで忘れだす寿三郎。 秀生、前はうまく言葉が出てこない寿三郎を笑ってたのに、おじいちゃんに配慮できる子になっている。「やらせないよ、継がせないよお前になんか」と強がる寿三郎に何も言えない寿一。

一人川辺で寿一からのビデオメッセージを観る寿三郎「さくらと結婚しようと思う」という告白に「ほう……」とうれしそう。

グループホームに行くという決断をする寿三郎。
別れ際、「ブリザード!」と笑顔で叫んで手を挙げる寿三郎に、背を向けて泣きながら去る寿一。せつない……。
自宅で看たいと思っても限界だった人、実際たくさんいるのだろうな……。

寿一、元妻の出産に立ち会いかける。そして矢沢心

親権の話のときに産気づくユカ、だが新夫はバーチャル背景じゃなく京都にいた(予定日付近に出張入れるなよとちょっと思った)。急いでかけつけ、再婚相手との出産現場に立ち会いかけてしまう寿一を「夫ちゃいます、別れた夫です」と拒否するユカ。
それを聞いて「何やってんのよアンタ!」と怒鳴る看護師(矢沢心)。IWGP以来21年ぶりの共演らしくてこれまた熱い! っていうか21年も経ってんの……時の流れ……。

次回は塚本高史が出るらしいし、話自体もIWGPファンとしても見逃せない!

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–{第9話あらすじ&感想}–

第9話あらすじ&感想

第9話あらすじ

妹弟が去り、寿三郎(西田敏行)がグループホームへ入所し、観山家に残った寿一(長瀬智也)は、ひたすら稽古に励んでいた。そこへ、半年前に家を出た寿限無(桐谷健太)が突然の帰宅。「自分には能しかないと気づいた」と言う寿限無を誘い、寿一は寿三郎のいるグループホームへと出かける。スーパー世阿弥マシンに扮した寿一をはじめ、慰問に来たさんたまプロレスのレスラーたちを見たお年寄りは歓声を上げる。そして、その中には寿三郎の姿もあり、寿限無は泣き笑うような気持ちでそれを見つめるのだった。

一方、寿一と結婚を誓い合ったはずのさくら(戸田恵梨香)は、この2週間ほど観山家には行かなかった。能とプロレスが頭の大部分を占め、手を出してこない寿一に不満を覚えていたのだ。同じ頃、踊介(永山絢斗)は週刊誌の記者からある記事を見せられていた。そこには、グループホームの中庭で運動している寿三郎の姿があり・・・。

第9話感想

一度は寿一(長瀬智也)一人になってしまった観山家。
再集結した家族、また倒れて寿三郎(西田敏行)にかけるそれぞれの言葉にもらい泣きしまくってしまった回でした。

寿一と寿限無(桐谷健太)の再会、良い

家の前で「お邪魔しますかただいまかわからなくて……」と戸惑う寿限無に、「おかえり」と言って腕を広げる寿一。寿一のこのさりげない優しさ、好き。

寿一が手を出してこない愚痴をユカ(平岩紙)にするさくら

寿一の頭の中のハードディスクはほとんど能とプロレスで埋まってて、私に割く容量は2GBしかない! と意気投合しててうける。二人で会うくらい仲良くなってるのも面白い。
でも、ユカの新夫が1年育休を取って家事育児をほぼやってくれてるという話を聞いて「無理!」を連発するさくら、「無理」と言うたびにユカ夫妻の顔が映るのテンポが良すぎて笑ってしまった。ごめんなさいと言って帰って行ってしまったけど、話あれだけ聞いてもらってわりと失礼じゃない?

分家の万寿(ムロツヨシ)現る、ちらつく大恋愛

週刊誌の報道を見て押し掛けてきた、分家の万寿(ムロツヨシ)。
え? これクドカン作品だけどムロツヨシ?? っていう動揺がすごかった(福田雄一監督作品の印象が強い)。めちゃくちゃ嫌味だし怖い感じ。
ムロツヨシと戸田恵梨香といえばドラマ『大恋愛』の二人じゃないか~と思った人も多そう。

万寿に後釜として引っ張り出された踊介。聞いた時の観山家の(いやこいつは駄目だろ)的な反応がすごい。演目の土蜘蛛、はみ出てばれちゃってるし。

「バカ息子!」と言ってくる関係者の人(この人身内なのか何なのかわからんけど失礼だな)に、「うちにはもうバカ息子とバカ娘しかいない、だがそれを言っていいのは親父だけだ」と寿一が言い返すと、意外とあっさり帰って行った万寿。何だったんだ。

ホームを抜け出して帰ってくる寿三郎

能の稽古に根を詰め、寿三郎(まだ生きてる)の亡霊を見るようになった寿一。
ある日「さくらちゃんと別れなさい」と言ってきた亡霊寿三郎をよく見ると、ホームのスリッパをはいた本物だった。抜け出してきたのだ。
「あそこのみんな、孫と薬の話しかしない。つまんねー」
確かに……!

演目の隅田川、世阿弥親子が子供の亡霊を出すか出さないかの演出で揉めた話を聞いて「俺なら出ていくよ。だって会いてえもん」と答えた寿一に「そうか、お前は出るのか」と嬉しそうな顔そした寿三郎は、そのまま脳梗塞を起こして倒れる。

能について、ずっと寿一は寿三郎がどう思うかで悩んできたけど、この時の笑顔が本心だったんじゃないかな。

寿三郎に話しかける家族の言葉に泣いた

実はホームに行ってた踊介。間接的にホームに差し入れしてた舞。ひどいこと言っちゃったから直接会いに行けなかったと気にしていた。

現れる葬儀屋の塚本高史。木更津キャッツアイにもタイガー&ドラゴンにも出てた!
これまた胸熱だ~! でも「前の道霊柩車Uターンできますかね?」とか病人の前で言うのやめろ。

戒名考えてなかったという話で、長州力が考えてくれると言い、なぜか寿一の戒名を考え出す。
吹雪院親不孝革命居士。ブリザードだから吹雪らしい。

寿三郎の心拍数を上げる大喜利みたいになる。
秀生の能の話や女の子の話題のときは上がるのに、踊介が「俺の土蜘蛛も観てくれよ」と言ったときだけ下がったのは笑った。
舞が「あんたこのままだと地獄行きだよ。それが嫌なら目を覚まして。愛人の子まで作って……」
というと、寿限無が「俺は気にしてないから。この家好きだし、能が好きだし、短い間だけど親子になれて嬉しかったよ。あの時落とし前つけてくれてありがとう」
寿限無ーーーーー(涙)。やっぱまじでいいやつだな……。

みんな言いたいことを言い出した。
秀生の言葉「おじいちゃんのおかげで、漢字は書けないけどウロウロしなくなりました。漢字が書けなくても能楽師になれるかな? なれるよね、おじいちゃんも野菜の名前言えないもんね、おじいちゃん」これは泣いてしまう……。

離見の見
離見の見の考え方が出てきて、自分を俯瞰して観ている寿一。まだ、観山家の能を取り仕切るのは寿三郎だなと思う。

寿三郎、奇跡の復活
いよいよ寿三郎が危ないというとき、寿三郎が口にしたのは「世阿弥マシーン」。
世阿弥マシーンに扮した寿一が現れ、自分がプロレスしていたこと、能より全然プロレスだったことを告白。
みんな知ってたけど気を遣って見て見ぬふりしてたらしい。
まあ、体格も目も声もバレバレだったよね……。
舞が「また出ていっちゃうかもしれないから」黙ってたというのにジーンとした。

世阿弥マシーンの声掛けで奇跡が起こり、寿三郎は一命を取り戻す。

ラストが意味深で怖い

大晦日の試合の日。寿三郎はだいぶ元気になり寿一に「行ってこいや!」と声をかける。
「奇跡は二度起きなかった」のナレーションと、リングに向かう寿一を悲し気な顔で観ている着物を着た寿一。まさか寿一、死んだりしないよね……? 対戦相手のホセはプロレス愛がないし、キレると何するかわからないというアドバイスも気になる。

能の演目「隅田川」が子が亡くなる話だということや、長州力が考えた戒名の話も伏線のような気がしてきてしまう。いや、寿三郎も嫌だけど寿一が死ぬのは嫌だ~、次回、頼む……。

クドカンから長瀬智也へのエール?

長州力の「引退しても何度でもカムバックすればいいじゃねぇか」の言葉が、この作品でドラマ最後という長瀬智也への、宮藤官九郎からのエールのようにも感じた。

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–{第10話あらすじ&感想}–

第10話あらすじ&感想

第10話あらすじ

“俺の家の最後の話” ―忘れないで!家族の時間―

グループホームを抜け出し観山家にやってきた寿三郎(西田敏行)は、3度目の脳梗塞で危篤に…。
多くの門弟や家族たちに囲まれ、最後の時を迎えようとしていた寿三郎の前に、いままで正体を隠してきた寿一(長瀬智也)がスーパー世阿弥マシンとして現れる。

そして「肝っ玉!しこたま!さんたま!」の掛け声で、奇跡的に寿三郎は一命を取り留める。そして寿一は新春能楽会で舞う予定の「隅田川」の稽古に励んでいた――

第10話感想

俺の家の話、長瀬智也最後のドラマ、ついに終わってしまった。

冒頭の煙突から煙があがるシーン。ということはやっぱり……。
なぜか2021年ではなく2022年1月に。でも普通に寿一がいて話してる……?
寿一は無事だったのだろうか。

でも何か変だ。食卓の会話は微妙にかみ合ってないし、「アイス食べる人~!」とさくらが呼び、寿一も手を出すが手渡されずなくなってしまう。
まだ寿一がいるのに稽古場の電気を消す寿限無。「寿一っちゃん、明日はよろしくね」と微笑む。そういえばさっきの家族のシーンも、寿三郎以外寿一と会話のやり取りをしていなかった。
ああ、これは多分そういうこと……。

2021年1月、3年ぶりに寿三郎が舞台に立つ。新春能楽会当日、寿三郎は寿一はどこにいるんだと言うが、誰も答えない。寿三郎が寿一の話をするときは終始楽しそうだ。「寿一のことだから緊張してるのかな?」寿一にあんなに厳しかったのに、秀生に接するときのように優しい。

寿一は死んでしまったけど、寿三郎は認知症でそのことを忘れてしまったorわからないのかな?
とはじめ思った(おそらく他の家族もそう思っているように見えた)。
寿一を呼ぶ寿三郎を悲しそうに見る秀生。でも「僕は大丈夫だよ」と言って演目の準備に移る。本当に人を気遣える優しい子になった(というかもともと優しい子だったのだとは思う)。

しびれをきらした家族。さくらが「寿一さんは亡くなったのよ」と告げる。
ああ……やっぱり……。

やはり寿一は引退試合の際に意識不明になり、そのまま搬送先で亡くなった。
遺体と対面したさくらが「え、もう駄目なんですか?」と普段の感じで周りに聞くのが、そしてそれに対する周りの反応が悲しい。

寿三郎に何かあった時のために準備していた葬儀が、そのまま本人の準備になってしまった。寿三郎が話せなかった弔辞はフリースタイルになり、ラップが出るわ薄い夫はキセキ歌うわ(キセキ歌うのはやめろ、歌いそうだけど)。お棺の顔を見るなり閉めた末広(荒川良々)に長田(秋山竜次)が「不謹慎だろ」と言っていて、普段不謹慎の塊みたいな感じの長田から不謹慎という言葉が出るなんて……! 
寿一が笑ってると聞いてユカちゃんと秀生が「ええ試合やったもんね」「うん、かっこよかった」という会話をしてるのが泣けた。寿一を理解していたんだな……。

冒頭の煙突のシーンがまた出てくる。骨の量が多すぎて2時間以上かかるらしい。

新春能楽会がはじまり、座る寿三郎の横にお風呂に入れるときの格好をした寿一が出てくる。「今は本番中だから駄目だ」「さくらちゃんがお前が死んだって言うんだよ」と聞き「やっぱそうなのか、俺も変だと思ってた」と言う寿一。

つまり、寿三郎は認知症で寿一の死がわからなかったのではなく、本当に寿一が見えていたのだ。そうか死んじゃったか、自分が死ぬはずだったのにごめんなと謝る寿三郎。寿三郎が言うに、母親の墓参りに行った日に寿一と運命がすり替わってしまったという。

このドラマが始まったときは介護の話で、てっきり寿一が寿三郎を看取るまでの物語かと思っていた。最後まで寿三郎は元気で、死ぬのが寿一だとは。

寿三郎が寿一をほめるシーン、泣いてしまった。
「よくやったよ寿一。
みんなのことを笑顔にしてくれてさ、奮い立たせてくれてさ。
人様の分まで戦って、舞って、怪我して、笑って。
そんな奴いないよ。
国の宝にはなれなかったけど、家の宝にはなれたな、家宝。
お前は観山家の人間家宝だよ」

これ以上のほめ言葉があるだろうか。
でもさ、ずっとずっと寿一は寿三郎にほめられたかったのに、やっとほめてもらえたのがここなんて、死んでからなんて。

「俺がお前のことをほめなかったのはな、ほめたら終わっちゃうから」
「しょうがないよ、そういうもんだから」

ここでもう号泣だし、この言葉や心情って、長瀬智也が表舞台から降りることを悲しむファンと本人の関係にも重なる。寿一の死後、それぞれがそれぞれの収まるところに収まって、それなりに幸せに暮らすし、寿一は「俺の家族が大丈夫なら大丈夫」だし、いなくなってもiPadでいただきますをして、完全に存在を忘れられるわけではなくてそばにいる。

だからその後も大丈夫。そんなメッセージも込められているように感じた。
寿一が死んでしまったのは悲しいけどある意味ハッピーエンドだし、このドラマを最後の舞台として用意してくれたクドカンこと宮藤官九郎の、長瀬智也と長瀬智也を愛した人たちへの思いを感じて感謝しかない。

ありがとう寿一。ありがとう長瀬智也。ありがとうクドカン。

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–{キャストコメント}–

長瀬智也 コメント

2021年1月期の金曜ドラマ「俺の家の話」で主演をやらせていただくことになりました。
そして、磯山プロデューサーと宮藤さんと11年ぶりにタッグが組めて幸せに思います。
演じる気持ちは「IWGP(池袋ウエストゲートパーク)」の頃と何も変わりません。
42歳の思い出にさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

宮藤官九郎 コメント

長瀬くん、磯山プロデューサーと、またドラマが作れる。こんなにうれしいことはないです。
僕にとっては長瀬くん自体が、連載少年マンガの主人公のような存在です。
まだまだ描ける、いくらでも描ける、描きたいと思わせてくれる。
落語好きのヤクザ、恋愛体質の刑事、地獄の鬼。
どんな無理な設定でも、絶対面白くしてくれる。
「長瀬くんと次やるなら、プロレスラーが親の介護をするホームドラマがいいです」
こんな提案を受け入れてくれるプロデューサーは磯山さんだけだし、
なんの疑問も持たずに肉体作りに励んでくれるのは長瀬くんしかいません。
もう俺の頭の中では始まってる「俺の家の話」ですが、放送は1月からです。

磯山晶プロデューサー コメント

宮藤官九郎さんと長瀬智也さんとドラマを作ることは、とてもワクワクして、とても刺激があって、それでいてホーム感があふれる私のライフワークです。またその作業に入れることがうれしくてたまりません。このドラマは、長瀬くんと長期にわたって相談してきた企画であり、彼本人の思いもたくさん詰まっています。宮藤くんとは、とにかく「現時点での長瀬智也の最高傑作を作ろう!」とずっと話し合って来ました。前代未聞の設定ですが、「家族っていいな」と思える王道のホームドラマを目指しております。是非、期待してください。

桐谷健太コメント

宮藤さんの作品は宮藤さんにしか出せない味があると思います。僕の中では、もはや故郷の味みたいになっていて(笑)。なのでまた呼んでいただき、味わえる。とてもうれしいです。しかも主演が長瀬くん。『タイガー&ドラゴン』以来、長瀬くんとはもう15年以上も付き合いがあり、以前から「また一緒にやりたいね」と言っていました。役者としても、人としても、とても波長の合う方だと思っているので、この作品でも共に切磋琢磨していきたいなと思います。そして今回、舞台となるのが能楽の世界。現在、映像を見たり、能の美術館へ行ったりと勉強中なんですが、知れば知るほど奥の深い世界で、しかもかっこ良い。情報があふれている世の中で、能は自分で想像させられることがたくさんある世界。クランクインする前、時間があれば佐渡のほうに世阿弥をたどる旅をしたいと思うほど。そんな中で、僕は芸養子である寿限無を演じます。物腰が柔らかくて、優しくて、いろいろなことを包み込んできた男性です。寿一が帰ってきたことで、いろいろな事件が起こっていくと予想しているんですが、寿限無がどのように変わっていくのか!? 能楽師のように重心をしっかり下げ、しなやかに演じていきたいです。宮藤さんが描く脚本は温かさのあるホームドラマになると思うので、平日最後の金曜日、ぜひ肩の力を抜いてご覧になってください。

永山絢斗コメント

今回の脚本も宮藤さんの色がとても濃く出ていて、笑いました。宮藤さんの作品には何度か出演させていただいたのですが、ある程度のポジションは決まっていても、そこには決めつけたようなものはなくて、演者に任せる余白をいつも感じます。「どうエッセンスを加えるかはお任せします」と汲み取らざるを得ないのです。なので台本をもっと読み込んで、探っていかなきゃと思っています。『ごめんね青春!』のときも回を進めていく中で、キャラクターがコロッと変わったりしたので(笑)。何が起こるかわからないところも宮藤さんの脚本の魅力だと思っています。そして主演の長瀬智也さん。『IWGP(池袋ウエストゲートパーク)』はもちろん、ずっとテレビで観ていた方なので、今回共演させてもらえて(しかも兄弟です)本当に感激しています。能楽についてはまだ少し触れた程度なのでこれから勉強していくつもりです。宮藤さんと磯山さんが手掛けるドラマは僕の中では特別感があり、毎回素晴らしく面白い方たちが集まる作品ですので、いろいろなことを吸収しながら“笑い”について考え、学んでいきたいです。僕の役柄は面白担当ではないんですが(笑)。

江口のりこコメント

最初にこのドラマのお話を聞いたとき、宮藤さんの脚本作品に出られて、うれしいという気持ちでいっぱいになりました。宮藤さんの脚本ってすごく面白くて、とにかく笑えるじゃないですか。普段、あまりドラマを追いかけて見ることはないんですけど、宮藤さんの書かれた本のドラマは好きで、よく拝見させていただいていております。宮藤さんの舞台も好きなので、ドラマの出演が決まったときは、本当にうれしかったですね。今回、私が演じるのが、長瀬さん演じる寿一の妹・舞。お父さんの身を心配したり、遺産問題に真剣に悩んだりするんですけど、その姿が真面目であればあるほど面白くなると思っていて。だからこそ真面目に芝居をしなきゃなって身を引き締めています。そして、主演の長瀬さんは、強いエネルギーを発していて、ほかの方にはない魅力を持っている方なので、一緒に芝居ができるのがとても楽しみな方です。宮藤さんが描かれるホームドラマは、今の時代の人たちに必要な作品であると思うので、ご覧になる方にはぜひ笑ってほしいですね。

井之脇海コメント

初めて脚本を読んだ時に、嫌なことや辛いことを全て忘れて、笑いながらあっという間に読んでしまいました。この笑いを早くみなさんに届けたいです。物語全体はもちろんですが、ぜひプロレスチームの面白くも熱い部分にも注目して笑っていただきたいです。宮藤さんの作品に参加するのは今回で3回目になります。どの役も宮藤さんのキャラクターへの愛をたくさん感じるので、今回もその愛に応えられるよう全身全霊で演じたいと思います。僕が演じるプリティ原は、プロレスと長瀬さん演じる寿一が大好きな、真っ直ぐな少年のような人だと感じました。身体作りもしていて、現時点で10kg以上増量しましたが、長瀬さんの身体の仕上がりを見て、さらに気合を入れて頑張らなくてはと思いました。髪型やコスチュームにもこだわって、“プリティ”に演じたいと思います!実は昔、長瀬さんの中学生時代を演じさせていただいたことがあります。その時は「僕が大人になったらこんなカッコいい大人になるんだ」と思ったのですが、現実そう甘くはなかったようです(笑)。今回は長瀬さんとずっと一緒なので、カッコいい大人に近づけるよう、長瀬さんのカッコいいエキスを吸い尽くしたいと思います。

平岩紙コメント

宮藤さんの脚本は、隅々の登場人物までに愛情があり、みんな可愛く、面白いことを言ったりします。そんな優しい脚本を演じさせていただけることは毎回うれしいです。主演の長瀬さんは、心根が綺麗で真っ直ぐな方なんだろうなあと勝手に尊敬しております。率直にうれしいです! 私は長瀬さん演じる寿一の離婚した妻・ユカを演じます。寿一の人生の上で枝分かれした、もう一つの道のエピソードなので、関係性がこれからどうなっていくんだろう? と楽しみにしています。ユカについては、年齢的にも人生経験的にも、想像も共感もしやすいです。それに関西弁なので大阪出身である自分にとっては、より近い存在になれるように思います。脚本を読ませていただき、想像しただけで、もう、いろんなことが豪華ですし、絶対面白いやん! て、ニンマリしてしまいます。想像以上になるんだろうなあ。どのシーンも楽しみです。なので、視聴者の方と共に毎週楽しみに視聴したいと思います。よろしくお願いします!

西田敏行コメント

宮藤くんの脚本は既成概念を取り払い、役者の気持ちを泳がせてくれます。既成の何かを演じるのではなく、何もないゼロの状態から役を作らなければいけない・・・そこが魅力でもあり、演じることが楽しみな脚本家です。長瀬くんとは、長瀬くんがまだ10代のころ『竜馬がゆく』というドラマで共演したことがあって。そのとき驚いたのが表現者として一番大事な目力を持っていたこと。だから長瀬くんと共演すると自分も刺激を受けることが多いんです。素晴らしいポテンシャルを持った役者なので、今回もいいキャッチボールができるんじゃないかと期待しています。今回、僕が演じるのは能楽の人間国宝・寿三郎。彼は日本の伝統芸能を支えていく責任を持っていると同時に、そこから解放されたいという自由を求める気持ちも持っているんじゃないかと考えていて。縛りとゆるさを併せ持ち、頭の中はカオス状態になっている男を早く演じてみたいです。いまや学者や有識者にも先が見えない時代に突入しました。そういうときこそ、フィクションを大事にして、楽しんでいただきたいと思います。そこにはきっと“力”が潜んでいると思うので、ぜひこの作品をご覧になり、エネルギーにしていただきたいですね。

チーフプロデューサー・磯山 晶コメント

『俺の家の話』には最高のキャストに集まっていただきました。人間国宝の能楽師・観山寿三郎役に西田敏行さん。西田さんと長瀬くんのかけあいはフリージャズのセッションのようです。年齢は違いますが、こんなに感性が合っている俳優二人ってなかなかいないと思います。今回の企画が「親子もの」「介護もの」と決まった瞬間に、西田さんにお願いに行きました。桐谷健太さんには、今までも宮藤くん脚本のドラマに数多く出ていただいていて、絶大な信頼を寄せています。明るくて優しくて真面目、という彼本人のキャラに近い今回の寿限無役を、どう温かく演じていただけるのか、とても楽しみです。そして永山絢斗さん。能楽の才能がなく、家のために弁護士になった次男・踊介はその几帳面さゆえに父親や兄の自由さに嫉妬し、もやもやする役です。絢斗さんにしか作れないチャーミングなキャラクターにしてくれると信じています。江口のりこさんは初めてご一緒しますが、『名もなき毒』『わたし、定時で帰ります。』の演技を見て憧れていたので、今回すごくうれしく思っています。平岩紙さんは『木更津キャッツアイ』の時からずっと変わらぬ透明感ですが、今回は関西弁でまくしたてる寿一の元妻の役です。今までで一番意外な感じでやってもらいたいです。井之脇くんは、『おんな城主 直虎』の時から素敵だなと思っていました。寿一を慕う後輩レスラーであるプリティ原はプロレス練習が半端ないのです。どうかお芝居はもちろん、彼の努力と鍛錬の結果を見ていただきたいです。

–{作品情報}–

作品情報

宮藤官九郎が脚本を手掛けるオリジナルホームドラマ。かつて人気プロレスラーだった“ブリザード寿”こと観山寿一(長瀬智也)は、けがや年齢もあり今は小規模なプロレス団体で細々と試合に出ている。ある日、寿一の元に父親・観山寿三郎が危篤との連絡が入り、寿一は20年以上ぶりに家族と再会する。

2021年1月22日(金)から毎週金曜22:00~TBS系で放送

脚本
宮藤官九郎

演出
金子文紀、山室大輔、福田亮介

出演
長瀬智也
戸田恵梨香
永山絢斗
江口のりこ
井之脇海
道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)
羽村仁成(ジャニーズJr.)
勝村周一朗
長州力
荒川良々
三宅弘城
平岩紙
秋山竜次
桐谷健太
西田敏行
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