2020年3月13日は金曜日です。
13日の金曜日……とくれば、これはもうずばりホラーの日(!?)。現にその名を冠した大人気ホラー・シリーズも作られたりしていますが、今回は現在アイマックスで上映されている『地獄の黙示録』の監督フランシス・フォード・コッポラが製作総指揮のひとりとして参加した都市伝説型ホラー映画『ジーパーズ・クリーパーズ』シリーズをご紹介したいと思います。
23年ごとに襲い来る都市伝説の正体とは
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トリッシュ(ジーナ・フィリップス)とダリー(ジャスティン・ロング)の姉弟は春休みを利用して帰省すべく車で田舎道を走っていたところ、後ろから急に不気味なトラックに挑発され、パニック寸前の事態へ陥ってしまいます!
まもなくしてトラックは通りすぎ、落ち着きを取り戻した姉弟でしたが、ふと23年前にこの地で行方不明になった高校生カップルの話を思い出しました……。
やがて例のトラックが教会のそばに停まっており、運転手らしき大男が何か奇妙なものを地下に続く排水用パイプに捨てているのを目撃。
その後、再びトラックに襲われて危うく死にかけた姉弟は、引き返してパイプの中を調べるのですが、そこには……!
『ジーパーズ・クリーパーズ』は「23年に一度、23日間人々が消える」という都市伝説の恐るべき真相を描いたホラー映画です。
タイトルは1938年にヒットした曲《ジーパーズ・クリーパーズ》から採られていて、「《ジーパーズ・クリーパーズ》が聞こえてきたら逃げるのよ!」といった警告が大きなカギともなっています。
また、「23日」「23人」といった23という数は、災害などに関して大きな重要性を持つと言われる“23エニグマ”の思想を基に採り入れたもののようです。
監督は『マニアック1990』(89)や『パウダー』(95)などのヴィクター・サルヴァで、全体に流れる雰囲気が、1970年代に流行した『激突!』(71)や『悪魔のいけにえ』(74)などの低予算サスペンス&ホラーのテイストをそこはかとなく漂わせているのは、コッポラへのリスペクト的な要素も含まれているのかもしれません。
コッポラ自身『ディメンシャ13』(63)や『ドラキュラ』(92)、『Virginia/ヴァージニア』(11)といったホラー映画を撮っています。
–{シリーズ化されて愛着が湧いてくるモンスター}–
シリーズ化されて愛着が湧いてくるモンスター
ヴィクター・サルヴァ監督は、本作の好評を受けて続編『ヒューマン・キャッチャー/JEEPERS CREEPERS2』(03)と第3弾『リターン・オブ・ジーパーズ・クリーパーズ』(17)も監督しています。
『ジーパーズ・クリーパーズ』で描かれる都市伝説、その正体は……(以後、ネタバレになるので、未見の方はご注意を)
まるで悪魔のような翼を生やし、人を喰らう不気味なモンスター“ザ・クリーパー”(ジョナサン・ブレック)でした。
『悪魔のいけにえ』シリーズのレザーフェイス、『ハロウィン』シリーズのブギーマン、『13日の金曜日』シリーズのジェイソン、『エルム街の悪夢』シリーズのフレディなど、人気ホラーには人気モンスター・キャラがつきものですが、ザ・クリーパーもその仲間のひとりともいえるでしょう。
さて、第2弾『ヒューマン・キャッチャー/JEEPERS CREEPERS2』(03)では、ザ・クリーパーがバスケット・ボール部とチアリーダーたちを乗せたハイスクールバスを襲い、高校生たちを次々と餌食にしていく恐怖が描かれていきます。
1作目がザ・クリーパー登場編とでもいった序章とみなすと、今回は本格的大活躍編(!?)といえるかもしれません。
そして第3弾『リターン・オブ・ジーパーズ・クリーパーズ』(17)ではザ・クリーパーVS特殊部隊という、もはやホラーというよりもバトルものの趣き?
また第1作からご覧になられている方にはあっと驚くサプライズ・キャラクターも登場します。
最初は不気味に映えていたザ・クリーパーも、回を重ねるごとにどことなく愛着を覚えてしまうのも、映画ファンの倒錯したサガかもしれません(もちろん現実にはお目にかかりたくなどありませんけど!)。
(文:増當竜也)