2/28から劇場上映がスタートしました、『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』。
ストレートに面白かったのですが、個人的に特に唸ったのはレジェンドライダー方の登場の仕方。
非常に「ジオウ」らしくてよかったです。
今回ゲストレジェンド2号ライダーとして、仮面ライダーディエンドの海東、仮面ライダーアクセルの照井竜(照井竜はフルネームで呼びたいのは何でだろう)、仮面ライダーバースの伊達さん、仮面ライダーカイザの草加が登場するんですが、お祭り映画でいくなら、きっと最後はゲイツ含めてみんなで同時変身的なことになってたかと思います。
「平成ジェネレーションズ」や「MOVIE大戦」のそれは胸が熱くなるし、めちゃくちゃうれしかったりはするんですが、TVシリーズであんなに丁寧に練り上げたジオウの世界観が台無しになってしまいかねません。
しかし、そこはさすが諸田敏監督。
そんな野暮なことはしないし、ゲイツとも共闘させない。
ディエンドとカイザに関しては変身シーンすらない。
でも、こうすることで後半に変身したゲイツがとても引き立つんです。
レジェンドってファンの想いが年月経ってより強くなってたりするんで、主役を喰ってしまう恐れが大いにあるんですが、ゲイツの変身を引っ張ったことで主役が主役としてしっかりおいしくなるように構成されておりました。
とはいえ、やはりレジェンドのシーンはグッとくるものがあり、個人的には照井竜の「俺に質問するな」というセリフやエンジンブレードを引きずるシーンに、思わずにやけてしまいました。
28日の上映初日には舞台挨拶があったんですが、今回ありがたいことにMCを務めさせていただきました。
新宿、品川、横浜と各2回ずつ、計6回。
どっぷり、ゲイツに浸からせていただきました。
–{諸田監督が演出で意識したと語ったこととは?}–
諸田敏監督もご登壇されてましたので色々とお話を聞かせていただいたんですが、レジェンド2号ライダーの背中を意識的に撮られたとのこと。
ゲイツに先輩ライダーとしてのアドバイスを口で語ることなく、背中を見せることで感じさせるという演出を聞いたとき、なんて繊細な演出なんだと感動しました。
そうなんです、諸田監督っていつからか水落ちさせる監督みたいなイメージついてますが、それは表現のいち手段であって実はとても演出の幅が広く、どんな角度からでも感情を揺さぶることのできる稀有な監督なんです。
お歳が60を超えていながら、いまだ仮面ライダー作品の最前線でローテーションに入って活躍されてるのを見ても、かなりの超人だということがわかります。
あと監督がおっしゃられてたのは、仮面ライダーゲイツの第1話のつもりで撮ったとのこと。
ソウゴが普通の高校生のところからジオウの物語が始まったように、ゲイツもジオウの続きではなく、リセットされた世界で普通の高校生としての物語を紡ぎあげていかれたそうです。
ゲイツであってゲイツでない押田さんの演技は、今まで見たことないゲイツの一面を思いっきり出してましたし、記憶をなかなか取り戻さないもどかしさはレジェンドライダー達が解消してくれてましたし、そのもどかしさを経ての変身は最高でした。
『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』を観て、これで最後かもしれないジオウワールドを、存分に堪能しちゃいましょう。
(文:篠宮暁)
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