(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
2020年(令和2年)あけましておめでとうございます!
今年もシネマズPLUSをよろしくお願いいたします。
さて『アナと雪の女王2』をはじめ『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』『男はつらいよ お帰り寅さん』など2020年の正月映画第1弾、もうご覧になったでしょうか? 早く見ておかないと、次なる正月映画第2弾がすぐにやってきます。
実はこの第2弾、華やかさにおいては第1弾に一歩譲るところがあるものの、内容的には優れて面白いものが圧倒的に多いといった傾向があるのです。
その中で今回特に新年の景気づけにこの1本!
《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街427》
1月10日公開のマット・デイモン、クリスチャン・ベイル主演の『フォードvsフェラーリ』、タイトルに偽りなく、フォード車とフェラーリ車がかつてサーキットで激しくも熱いデッドヒートを繰り広げた伝説的レースを描いた実話の映画化なのです!
1966年ル・マン耐久レースで絶対王者に挑んだ男たち!
『フォードvsフェラーリ』のドラマは、1960年代半ばの自動車業界の確執から始まります。
かつて1959年のル・マン24時間耐久レースにアストン・マーティンを駆って出場し、見事に優勝した有能なアメリカ人レーサーだったものの、その後心臓の病でリタイヤを余儀なくされ、今は気鋭のカーデザイナーとして活躍中のキャロル・シェルビー(マット・デイモン)に、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社から依頼がありました。
それはル・マン24時間耐久レースでイタリアのフェラーリ社に勝てる車を作ってほしいというもの。
1960年から1965年までル・マン優勝を続けるフェラーリ社をフォード社は買収しようとしたものの、契約成立直前になってレース部門を手放したくないフェラーリ社社長エンツォ・フェラーリ(レモ・ジローネ)が態度を覆してご破算。憤ったフォード社社長のヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)は、打倒フェラーリを命じたのでした。
次のル・マンまで90日しか準備期間がない中で、シェルビーは凄腕のイギリス人ドライバーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)に声をかけます。
自身が営む自動車修理工場を国税局に差し押さえられて困り果てていたマイルズは、愛する妻子に背中を押されたこともあって、無謀な挑戦と知りつつもシェルビーの誘いに応じることに。
しかし車に関して一切の妥協を許さないマイルズの岩窟な姿勢は、フォード社レーシング部門の責任者でもある副社長レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)の反感を買うことになり、マイルズを排除しようと動き出します。
ビーブの陰謀を察知しながらマイルズを庇い続けるシェルビーも、あまりにも融通の利かないマイルズに時に呆れ、時に衝突しながらもいつしか固い友情の絆で結ばれていきます。
やがて前哨戦で良好な結果を出したシェルビーとマイルズのチームは、いよいよ決戦の地ル・マンへ乗り込むのですが……。
–{「手に汗握る!」という言葉が素直に似つかわしい快作!}–
「手に汗握る!」という言葉が素直に似つかわしい快作!
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
本作はル・マン24時間耐久レース史上に残る1966年の伝説的レース“フォードVSフェラーリ”の赤裸々な舞台裏を提示しつつ、クライマックスでは白熱のデッドヒートを完全再現させながら、絶対王者に挑む者たちの熱き気概と誇りを高らかに描き上げた快作中の一大快作です。
とにもかくにも男ふたりのハートが熱い!
このところ彼が出ていると知っただけで作品のクオリティの高さを確信できてしまうほどのクリスチャン・ベイルですが、ここでの頑固一徹で不器用なまでのマイルズの車オタクぶりは、同族オタクたちならずとも感涙させてくれること必至(家族思いなのも好感度大)。
一方、そんな彼をうまくなだめながらことを進めていくシェルビー役のマット・デイモンは、かつてレーサーとしての花道を絶たれた男の悔恨を次なるプロジェクトへのエネルギーに変えていこうとする前向きな姿勢がさりげなくも確実に醸し出されています。
監督はウルヴァリン3部作の第2作『ウルヴァリン:SAMURAI』(13)と完結編『ローガン』(17)で好評を博したジェームズ・マンゴールド。もともとラブストーリーからミステリー、西部劇、音楽映画、コメディなど多彩なジャンルを手掛ける彼ですが、やはり男たちの熱い闘いを描いたアクション仕立てのものに一段と才能を発揮してくれるような印象もあり、その伝に倣えば本作はそのトップに位置するものともいえるでしょう。
前半のドラマの進行をてきぱきと処理しながらフォード車を調整していく諸所のシーンの挿入タイミングなど編集の妙味も大いに讃えられるべきで、後半のル・マンが始まってからの展開はもう「手に汗握る!」という言葉がこれほど自然に似合う映画も珍しいと驚くほどスルリングかつダイナミック!
そして「実は味方の中に敵がいる」といった人生の機微を痛感させられるような本作の裏テーマは、洋の東西を問わず優れたエンタテインメントによく見られる傾向でもあり(わが国では岡本喜八監督作品に顕著であります)、ならばこの作品、いったいどういう結末を迎えるのか?
実話の映画化なので結論はちょっとググればすぐにわかることですが、ここではぐっと我慢して映画の中で確認し、大いに驚嘆してもらうことをお勧めします(もっとも既にレースの結果を知っている方でも、本作のテンションの高い演出の妙に乗せられ、大いに感情移入できることでしょう)。
今年最初の1本に何を見るかというのは、映画ファンにとってある種の運試しでもあり、いわばおみくじを引くようなもの。
その意味ではこの映画、大吉です。ぜひお試しください!
(文:増當竜也)
–{作品情報・公開情報}–
作品情報
タイトル
=フォードvsフェラーリ
公開日
=2020年01月10日
製作国
=アメリカ
上映時間
=153分
ストーリー
ル・マンでの勝利という、フォード・モーター社の使命を受けたカー・エンジニアのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。常勝チームのフェラーリに勝つためには、フェラーリを超える新しい車の開発、優秀なドライバーが必要だった。彼は、破天荒なイギリス人レーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)に目をつける。限られた資金・時間の中、シェルビーとマイルズは、力を合わせて立ちはだかる数々の乗り越え、いよいよ1966年のル・マン24時間耐久レースで長年絶対王者として君臨しているエンツォ・フェラーリ率いるフェラーリ社に挑戦することになる。
予告編
監督
ジェームズ・マンゴールド
脚本
ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース、ジェイソン・ケラー、ジェームズ・マンゴールド
出演者
マット・デイモン、クリスチャン・ベイル、トレイシー・レッツ、カトリーナ・バルフ、ノア・ジュプ、ジョン・バーンサル、ジョシュ・ルーカス、レイ・マッキノン、JJ・フィールド、マリサ・ペトロロ
公式サイト
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配給
=20世紀フォックス映画