性描写は2人の関係を嘘なく表すためには必要『チェリーボーイズ』池田エライザインタビュー

INTERVIEW

シネマズby松竹では、2月17日(土)公開の映画『チェリーボーイズ』のヒロイン・釈笛子役の池田エライザさんにインタビュー。

(C)古泉智浩/青林工藝舎・2018東映ビデオ/マイケルギオン

今作は、東京に出てバンド活動をしているという国森信一(林遣都)が父の病気をきっかけに地元へ帰り、幼馴染の吉村達也(栁俊太郎)、高杉誠(前野朋哉)と再会したことから、ある計画をたて、脱童貞を目論むという物語。

童貞たちのターゲットとなる笛子は、周りの男子たちから軽い女だと思われているけれど、実は…という役どころ。“フェラファイト”なる過激なバトル(?)にも参加する笛子を演じた池田さんに、撮影の裏側や笛子を演じるうえでの想い、ご自身についてのお話などを伺いました。

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──まず、脚本を読んだときの印象を伺いたいです。

池田エライザ(以下、池田):率直にお話が面白かったのと、笛子として、私がやれそうなことがたくさん見つかったので、引き受けたいと思いました。青年誌が好きだったし、松居大悟さんの作品もよく見ていたということもあります。

過激なシーンもありますが、難しいことは大人に任せて、私は笛子が魅力的になるように台本をより深いところまで読み込んで、解釈できるように、という思いで、衣装合わせから現場まで、作り上げていきたいなって思いました。でも、全ては母性です。かわいいなって、愛おしいなって思える3人だったので。

──笛子としてやれそうなこと、というのは具体的には?

池田:台本上のト書きやセリフから読み取れるのは男性目線の笛子の姿で、彼女のバックグラウンドを描いたシーンはないんです。だから、笛子が抱えているもの、暖かい部分やどこか抜けているかわいらしさとか、何を大切にしていて、何に執着を持っていないか、というところを、与えられたセリフの中でどれだけ表現できるかという。それは、すごくやりがいがありました。

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笛子は精神面は男っぽくもあるんですけど、絶対に下品な子にはしたくなくて。あくまでヒロインに見えるように、衣装合わせで見た目をたくましく作ったら、あとは乙女な部分や、夢のためにお金をためている頑張っている女の子として演じました。

──では、笛子を演じるうえで特に大切にしたことを教えてください。

池田:笛子の素敵な部分っていうのを全面に出すというよりは、笛子が当たり前に素敵な人にしようと思っていました。例えば、どうみても状態がおかしい国森に対しても、すごくフラットな態度で接するところ。そういう、偏見を持たない彼女の魅力的な部分をしっかり演じたいと思ったんです。

(C)古泉智浩/青林工藝舎・2018東映ビデオ/マイケルギオン

それに、品がなく映ってしまって、「この人ネジが飛んでる?」って思われたら、国森が素敵だ!って憧れるような、魅力的な子ではなくなってしまいます。なので、誰が見ても、「これは、いい子に見えるよね」って思えるように思考錯誤したというか…。笛子がちゃんとヒロインに見えるように、というのが大切にした部分ですね。

──確かに、芯がある笛子の存在があってこそ、3人の暴走が成立しますよね。では、西海謙一郎監督から演出やリクエストはありましたか?

池田:どちらかというと、監督に対してどんどん提案をしていって、それを一緒になって考えてくださる感じでした。「きっと笛子はこう思っているから、これはしないんじゃないかな」とか、「こういう演じ方をすると、役がぶれちゃうんじゃないかな」っていうところは随時相談させていただいて。

笛子のたくましさも、恥じらいを隠すためというか、恥じらいがあるからこそ指を鳴らしたり、自分を強く見せちゃうところもきっとあるんだろうなって。態度の裏側まで考えるようにして、監督に提案しました。

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監督は終始楽しそうに撮っていらっしゃった印象ですね。でも、「カット! ありがとうございます!」って言われたときには、「この、“ありがとうございます”とは…?」と思ったことがありました(笑)。あんなに反射的に言われたことはなかったので。

お話をいただいたとき、監督が事務所に来てくださったんですけど、その時からもう、チェリーボーイズの一員のように「お願いします!」という感じだったことを覚えています。身を投じて、ご自身も自分の残り香みたいなものを探りながら、掴みながらやっているんだなっていうのを感じました。

──ちなみに、チェリーボーイズの3人で、誰がタイプっていうのは難しいと思うんですが…

(C)古泉智浩/青林工藝舎・2018東映ビデオ/マイケルギオン

池田:でた! その質問! 答えられなかったんですよ…。

──タイプとは別に、付き合ってみたら面白そう、と思うのは…

池田:前野さんが演じている、高杉ですかね。かわいいと思います。養うから、家に帰ったら笑顔で「おかえり!」って迎えて欲しい。多分、童貞3人組からもいちばんに離脱できるタイプだと思います。

──いちばんに結婚して、子沢山なパパになっていそうですよね。

池田:前野さん自身もパパなんですよね。ご本人の魅力を含めた、素敵な役だなって思います。

──じゃあ、タイプはいないけど選ぶなら高杉、という感じ。

池田:…でも、嫌ですけどね。だって、付き合ったとしても、他のメンバーに呼ばれたら、絶対そっちを優先するじゃないですか。「今日あの2人と約束あるからごめん!」って言われたら、「どうぞ、そっちに行ってください(怒)」って(笑)。劇中の事件を経て、絆が深まっちゃってるからね。

–{“フェラファイト”の裏話は…?}–

──映画を見た人は“フェラファイト”のシーンも気になるんじゃないかな、と思うんですが、裏話はありますか?

池田:このシーンの後に笛子がどんなメンタルでいるのかをおろそかにしないことが難しくて。

撮影までの時間、人前で過ごすのは少し恥ずかしさはありましたけど…。でも、現場からできるだけ人を減らすなど、みなさんがいろんな配慮をしてくれているということはわかっていたので、私も平常心でいるように、楽屋でマネージャーさんたちとおしゃべりしてました(笑)。

それに、ストリートファイトみたいな感じで、割とコメディっぽさを誇張して撮っていたし、絵コンテもいただいたので、面白くなるんだろうなって思ってました!

(C)古泉智浩/青林工藝舎・2018東映ビデオ/マイケルギオン

──逆に、五木誠一郎(般若)のバイクに乗って雨の中を走っているシーンは、お色気系の場面ではないけれど、すごく色っぽいなって。

池田:色っぽかったですか!? なるほど…。色気みたいなものはまったく意識していなかったんですが、五木くんのことを思う笛子は、今どれだけ幸せなんだろうなって考えていました。好きな人にしがみついてバイクに乗るなんて、恋する乙女からしたら最高のシチュエーションじゃないですか。あのシーンは本当に、乙女でいたいなって思っていたので、女性から見てそう映っていたならうれしいです。

少女漫画かよって自分で言っちゃってるのが可愛いんですよね! あと、肉じゃが作りすぎちゃった!とか。私、待ち時間にずっと肉じゃが煮込んでました(笑)。

──そうなんですか!? 普段からお料理されるんですか?

池田:おいしいご飯が好きで、ひとりでふらっとご飯に行くのも平気なので、外食が増えちゃうんです。でも、「今日は外食の気分じゃないな」とか「お店空いてない時間だな」って思ったら、自分で作りますね。

──では、ご自身のお話をもう少し。笛子は、監督が「引き受けてもらえないかも」と思っていたというほどの役でしたが、2017年の公開映画でもエライザさんは大胆な役が多い印象でした。そういう役を演じるとき、どういう思いで挑まれるのかなって。

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池田:男性と女性の物語を進めていくうえで、性描写というのは2人の関係を嘘なく表すために必要不可欠な課程だと思うし、描かれている以上はその行為があっての2人の関係なんだと思います。もちろん、これ以上はちょっと…というボーダーはあるけれど、基準としては台本が面白いなって思うかどうかでお受けしています。

あと、2017年はそういうシーンを演じた作品の公開がたまたま続いたんです。間にはほかの作品も撮っていましたし。なので、別にそういう方向に行こうと思ったわけではないです(笑)。だけど、「色っぽいね」と言っていただけるのは、やっぱりそうやって見出してくださる方がいたからだと思います。

でも、そういう役を持ってきた方が、次は根暗っぽい役を持ってくることが多いんです。「あ、違った!」って思ったんでしょうね。「エライザ、こっちじゃないかもしれない」って(笑)。そういう面白い連鎖もあります。

──最後に、笛子として、この記事を読んでいる童貞の方にメッセージをお願いします。

池田:あの3人みたいに、人様に迷惑はかけちゃダメだぞ、って思います。童貞同士で盛り上がっちゃうのもわかるし、極論に至ってしまうのもわかる。でも、じっくり考えて、人を幸せにすることを考えられる人の方がかっこいいぜ!って言いたいです!

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映画『チェリーボーイズ』(配給:アークエンタテインメント)は2月17日(土)より、シネ・リーブル池袋、渋谷TOEIほか全国ロードショーです。

(写真:生熊友博、スタイリスト:RIKU OSHIMA、ヘアメイク:豊田千恵、文:大谷和美)

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