(C)2017「ナラタージュ」製作委員会
2017年10月7日(土)より劇場公開中の映画『ナラタージュ』。
葉山先生をさんが務め、その相手役・工藤泉を有村架純さん、三角関係ともとれる小野怜二を坂口健太郎さんが演じました。
筆者は原作となった島本理生さんの同名小説をすでに読んでいたので、ストーリー展開を知っていましたし、実際、映画を観て、原作に忠実な印象を受けました。
しかしまだ内容を知らない方には、あまり前情報を入れずに観て欲しい作品です。ですので、今回の「シネマズ女子部」では内容に触れず、松本潤さんの過去作品、そして『ナラタージュ』の葉山先生がどんなキャラクターなのかを探っていきたいと思います。
決して少なくはない、松本潤の“陰”な役
『ナラタージュ』を観て、「こんな松本潤、観たことない!」という印象を抱いている人も多いかもしれませんが、筆者はさほど驚きませんでした。というのも、これまでの松本さんの出演作を考えたときに、デフォルメされたキャラクターを多数演じてきた一方で、定期的に見られた“陰”なキャラクターも際立っていたからです。
過去作品と比べても『ナラタージュ』はその極みと言えるかもしれませんが、明るい、暗いとあえて2つに分けるとするならば、それほど珍しさはありません。
映画『僕は妹に恋をする』(2007)
妹と両思いで恋をする兄を演じた松本さん。高校生にありがちなクールなキャラクターとも取れますが、少なくとも決して明るい人ではありませんでした。その分、妹への切実な想いが浮き彫りになっていたとも言えます。
筆者は、『花より男子』シリーズをリアルタイム視聴しておらず、松本潤さんを初めて認識したのがこの作品だったので、余計に「暗め」なキャラクターに馴染みがあるのかもしれません。
ドラマ『スマイル』(TBS、2009)
松本さんはフィリピン人のハーフを演じ、新垣結衣さんが失声症を抱えた女性を演じていました。
松本さんが演じたビトは、表向き明るいのですが、日本人とフィリピン人のハーフであるという自身の背景にコンプレックスを抱いていましたね。さらに、無実の罪を着せられるなどの困難があることで、暗さ、気性の激しさ、弱さも描いていました。
映画『陽だまりの彼女』(2013)
ファンタジー要素のある、少し不思議な出来事を描いた作品ですが、松本さんが演じた奥田は、気弱でどちらかと言うと隠な印象のキャラクターでした。
作品を通じて暖かく穏やかな作品ではあるのですが、結婚相手となった渡来真緒(上野樹里)の食欲がなく痩せていく部分では、心配のあまりつい声が大きくなってしまったこともありました。
その後、真緒がいなくなってからも、暗い日々のなかの、気落ちした奥田がいましたね。
ドラマ『99.9 ー刑事専門弁護士ー』(TBS、シーズン1 / 2016年4月クール、シーズン2 / 2018年1月クール)
シーズン1の時から感じていましたが、これもかなり背景の暗いキャラクターではないでしょうか。ただその詳細はシーズン1では明かされないままで、不透明な部分が多いですが、おそらく、暗い部分(過去)を持っているでしょう。
ただ表向きに余裕があって飄々として明るい様子は『スマイル』とも通じる部分があるかもしれません。
シーズン2は2018年1月スタートですので、待ち遠しいですね。
–{次のページで、『ナラタージュ』での松本潤を語ります}–
『ナラタージュ』での松本潤
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とはいえ、やはり、ダントツに表も裏も暗く、重たいキャラクターだったのが『ナラタージュ』の葉山先生です。葉山先生には、「暗い・だるい・激しい」の3拍子が揃っていますので、そのポイントに注目してご紹介します。
1.暗い
とにかく、本編2時間20分、ずっと、暗い。
松本潤さん自身も、今作に関するインタビューで「自分が主役(映画のクレジットで名前が一番に来る)なのはしっくりこない気がした」と話していらっしゃいましたが、たしかに、原作は明らかに泉が主人公であり、作品全体を通しても女性に焦点を当てています。
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それを、映画であえて葉山先生=松本潤さんを主役に据え置くことで、暗さを引き出しているように見えます。
そうした理由はいくつもあると思いますが、もともと、小説でも葉山先生の描写はさほど多くないうえに、映画ではさらに削られています。小説ではト書きで説明できるのに対し、映画で言葉を入れるとなると、モノローグか、説明台詞になってしまうからでしょうか。
葉山先生がどんな人物なのか、どんな人生を歩んできた人なのか、それを暗に示すための「暗さ」だったと思うのです。
2.だるい
「暗さ」を表すひとつとして、歩き方も、喋り方も重だるい。台詞が聞きづらいなどの弊害はありませんが、それだけで、観ている人の気分も落ちていきます。
もちろん普通に歩いているシーンもありますが、メガネをかけていて普段からあまり表情が読めず、服装にも特徴がないので、全体的に気だるさが漂っていたりします。
もちろん、場面によって歩き方や喋り方は変わっていますので、ぜひ実際に観ていただきたいところです。
3.激しい
全体的に暗さを漂わせているなか、激しさを見せる部分もありました。
ひとつは、高校時代に泉がクラスに馴染めず、いじめの対象になって制服のままプールに落とされたときのこと。あまりに急だったので不自然に感じるほどでしたが、葉山自身の善悪が垣間見られる瞬間です。
もうひとつは、泉に対する想いが爆発する場面です。葉山のこの行動自体には賛否両論あると思いますが、松本潤さんとしても、これまでにない激しさを表現していた部分だったので、見逃せない場面のひとつです。
圧倒的な存在感の松本潤
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暗い、だるい、激しい、の松本さんご自身とは似ても似つかぬ3拍子、圧倒的な存在感がありました。
これは少し余談ですが、撮影中、泉役の有村架純さんはずっと富山に泊まりがけで『ナラタージュ』漬けだったのに対し、松本潤さんは嵐としての仕事もあるため、東京との行き来が続いたとか。
もう慣れたものなのかもしれませんが、嵐・松本潤としても、俳優・松本潤としても、どちらにも引きずらないところは、流石としか言いようがありません。とくに、今回のように暗くて重みのあるキャラクターならなおさらそう感じます。
今回はストーリーに触れずに紹介したので、映画をご覧になってから、答え合わせのようにこの記事を読んでいただくのも良いかもしれません。
公開は始まったばかりですので、ぜひ劇場でご覧くださいね!
(文:kamito努)
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