『けものフレンズ』が大好きな人におすすめしたい10の映画!わーい!たのしー!

映画コラム

現在放送中のアニメ「けものフレンズ」が話題沸騰ですね!あの星野源がラジオで「主題歌を1日60回聴きました」と語り、観た後にみんなが主人公兼ヒロインのサーバルちゃんの口ぐせ「わーい!すごーい!たのしー!」を口にするためか、“知能指数が下がるアニメ”とまで言われていました。いやいや、拝見しましたところ、頭が悪くなるどころか素晴らしい精神性を持った作品であると認識いたしましたよ!

ここでは、『けものフレンズ』が大好きなフレンズの皆さんにおすすめしたい、10の映画作品をご紹介します。

1:『ズートピア』

ズートピア ジュディ・ホップス ニック

(C)2016 Disney. All Rights Reserved.

まずは有名なこちらを。世界観の作り込み、キャラのかわいらしさ、バディ(コンビ)ものとしての面白さ、その全てを絶賛するしかない大傑作なのは言うまでもありません。「けものフレンズ」と『ズートピア』の共通点は、動物を擬人化したことで“ケモナー(ケモノに萌える人)”界隈で絶大な人気を博したことと、“その人の能力や好きなことを認めてあげる”シーンがあることです。

『ズートピア』の主人公は、周りからなんと言われようが“ウサギ初の警察官”を目指そうとします。一方で相棒となるキツネは、ある過去の出来事により自分の能力に気づかないまま塞ぎ込んだ人生を送っています。彼らがお互いの能力を認め合い、お互いに努力をして問題を解決していこうとすること、反省をしてより良い道を探していく様が痛快で仕方がありませんでした。

「けものフレンズ」のヒロインのサーバルちゃんは、初めて会ったけものに「すごーい!」「あなたは◯◯ができるフレンズなんだね!(※実際には劇中で登場していないセリフです)」と、その個別の能力を認めて、しかも感嘆の声をあげています。他者のイヤな部分をあげつらったりはせず、まずはその長所を褒めてあげること……それは『ズートピア』で提示された、差別や偏見と向き合い、多様性を肯定するための1つの答えなのではないでしょうか。いや本当に。

2:『世界最速のインディアン』


「けものフレンズ」には、さまざまな“ちほー”を渡り歩いて行くという“ロードムービー”のような要素があります。数多くあるロードムービーで、もっとも「けものフレンズ」の精神に近いと言えるのは、こちらの『世界最速のインディアン』でしょう。

アンソニー・ホプキンス(『羊たちの沈黙』のレクター博士)演じる主人公のおじいちゃんは、初めて出会う人に必ず「ニュージーランドから来たバート・マンローだ」と握手をしながら自己紹介するのですが、これが「けものフレンズ」のサーバルちゃんが「わたしはサーバルキャットのサーバルだよ!」とあいさつすることをほうふつとさせて、何だかとても萌えるのです。しかも、このおじいちゃんは、サーバルちゃん並みか、それ以上におっちょこちょいだったりするのですよ!かわええ!

さらに、劇中では『けものフレンズ』と同じく“悪人”と呼べる人がほとんど登場しません。ちょっと悪態をついたとしても、そいつはツンデレなので安心して観られます(笑)。レースで世界最速を目指すという目的を持ち、旅を通じて優しい人たちと触れ合っていくという物語は、どなたにも受け入られやすく、そして元気がもらえることでしょう。幅広い世代に観て欲しい1本です。

3:『幸せへのキセキ』

現在、「けものフレンズ」のファンが全国の動物園に訪れるという現象が起きています。これは同作でグッズ展開がほとんどされていなかったうえ、メディアミックスとして過去にリリースされていたゲーム版がすでに配信終了してしまっていたこともあり、もっと作品の世界を楽しみたい人が「現実でもけものに会いたい!」という考えに行き着いた結果なのだとか。何にせよ、娯楽が多様化している世の中で、動物園が注目されるのは素晴らしいことです。

しかし、「動物園は遠い」「行く時間がない」と二の足を踏んでいる方も多いでしょう。そんな方にオススメなのはこちらの『幸せへのキセキ』、動物園の経営を描いた作品なのです。

もちろん劇中ではたくさんの動物が出てくるので、それらを観ているだけでも癒されるのですが……実は動物以上に人間がかわいかったりします。具体的には7歳の女の子が、家に動物園がついていると知ると「イェーイ!」と飛び上がって喜んだり、クジャクさんと仲良くなったり、飼育員に扮してしっかり仕事をしていたりと、「けものフレンズ」のかばんちゃん並みの利発な良い子で、めっちゃかわいいんですよ!

実はキャスティングがめちゃくちゃ豪華で、『ボーン・アイデンティティー』シリーズのマット・デイモン、『ゴースト・イン・ザ・シェル』(4月7日公開)のスカーレット・ヨハンソン、『マレフィセント』のエル・ファニングと、それぞれが魅力的なキャラクターを演じているのがたまりません。サクセスストーリーとして高い完成度を誇る、極めて万人受けする作品と言えるでしょう。

4:『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation.

公開中の映画では、こちらも「けものフレンズ」に似た精神性を持っていました。主題歌の「ようこそジャパリパークへ」の歌詞にある「けものはいても“のけもの”はいない」を体現するかのような内容なのです。

劇中の子どもたちは、それぞれの能力のせいで迫害をされていた過去があるのですが、不思議な孤児院というコミュティで、お互いの能力を認め合いながら暮らしています。個別の能力やクセを悪いものと捉えず、より良く生きるための手段として活用する、まずは「◯◯が得意なフレンズなんだね!」などと肯定することは、どんな世界においても大切なことですよね。

さまざまな能力を持つ子どもたちが主人公の味方になり、一緒に問題を解決する、というのも「けものフレンズ」っぽいですね。ネタバレになるので詳しくは書けないのですが、さまざまな“ちほー”を渡り歩くという要素もあったりしますよ。

5:『ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』

ご存知、劇場版ドラえもんからはこちらの作品をおすすめします。「けものフレンズ」とは古代(?)の遺跡があることや、川やジャングルなどのさまざまな場所を冒険すること、そして擬人化した動物(犬)が登場することが共通していますね。

なお、「けものフレンズ」のツチノコは、その性格ときったねえ声(※褒めています)で人気を博したキャラクターでしたが、同役を演じていた声優の小林ゆうさんは、こちらではとある重要な役でイケメンボイスを披露しています。具体的にどの役かは、秘密にしておきましょう。

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–{マッドマックスとけものフレンズの共通点はこれだ!}–

6:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

最近の映画ではこちらも挙げないわけにはいきますまい!「けものフレンズ」の第5話では、サーバルちゃんがハンドルを殴って右や左に動かし、「わーい!たのしー!」と喜ぶというシーンがありましたが、本作ではそのようなカーアクションシーンが2時間ぶっ続くと言っても過言ではありません!(※過言)

「けものフレンズ」では“フレンズ化”や“じゃぱりまん”などの謎の言葉が話題となり、さまざまな観点からの考察がなされています。こちらの『怒りのデス・ロード』でも“輸血袋”や“アクア・コーラ(原語のみ)”などの、世界観を決定づけるような独特なワードが立て続けに登場しており、それも映画の魅力になっていましたね。しかも、「わーい!すごーい!たのしー!」に匹敵する喜びを表現する言葉「V8!V8!V8!」も出てきています。

なお、『怒りのデス・ロード』は女性を虐げているような世界観でありながらも、実はフェミニズム精神に溢れている作品でもありました。対して「けものフレンズ」の世界には女性のみが存在(?)しており、悪意をもって攻撃して来る者はおらず、女性にとって優しい世界が築かれています。「けものフレンズ」と『怒りのデス・ロード』は同じテーマを持つ、表裏一体の作品と言っても過言ではないでしょう。(※過言)

7:『楽園追放 -Expelled from Paradise-』

「けものフレンズ」と同じく3DCGを活用した日本の劇場用アニメで、監督を「鋼の錬金術師」の水島精二、脚本を「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄が手がけた作品です。

『マトリックス』のように仮想(電脳)世界で人類が生きるようになった近未来が舞台で、『攻殻機動隊』のような哲学的な会話シーンが盛りだくさん、『サマーウォーズ』ばりの仮想空間でのバトルがあったり、『トランスフォーマー』並みのロボットによる市街地での戦闘シーンがあったりと、多方面のオタクたちが大熱狂できる内容になっていました。

「けものフレンズ」との共通点は、コンビが旅を通じて心を通わせていくというロードムービーの要素があること、“機械的にしゃべる”マスコットキャラクター(ラッキービースト)が登場することですね。そのマスコットキャラを演じているのが、超人気声優の神谷浩史というのもたまりません。しかも、主役の2人を演じているのが釘宮理恵と三木眞一郎だったりするので、声優のファンは是が非でも観ましょう。

8:『UTOPA』

若手アニメーターの育成とアニメのクリエイティビティの向上のためのプロジェクト“あにめたまご”の一環として作られた作品です。上映時間は30分未満、厳密に映画と呼んでいいかどうかは微妙なラインではありますが、これまで挙げた中では最も「けものフレンズ」と似ていると感じる作品でした。

空中都市に住んでいた3人の子どもたちが“外の自然の世界”を冒険するという“SFの要素を持つロードムービー”で、友だち同士で力を合わせて問題を解決していき、大切なことを出会った人から学び、またその出会った人にも価値観の変化が訪れるというのは、「けものフレンズ」と同じ魅力に満ちていました。

同じ“あにめたまご”の作品の1つ「カラフル忍者いろまき」もそうですが、子どもも大人も分け隔てなく楽しめる内容になっているのがいいですね。アニメ「干物妹!うまるちゃん」でワガママな妹を演じていた声優の田中あいみさんが、こちらでは見事な“少年声”を披露していることも見逃せませんよ。

ただ、『UTOPA』は現時点ではDVD/Blu-Rayが発売されていません。テレビでの再放送および再上映も待たれるところです。なお、次回の“あにめたまご2017”は、3月11日に池袋HUMAXシネマズにて完成披露上映会が開催予定となっています。

9:『バグダット・カフェ』

砂漠の中にある、さびれたカフェ兼モーテル兼ガソリンスタンド“バグダッド・カフェ”に変人たちがつぎつぎとやってくるという内容です。「けものフレンズ」の第3話は高山にあるカフェに主人公たちがやってくるという内容でしたが、本作はそれが1時間半続く内容と言っても過言ではありません。(※今度はたぶん過言じゃない)

「けものフレンズ」のアルパカ・スリのような癒し系の女性がカフェの人々に潤いを与え、彼らが変化していく様子が美しく描かれています。派手な演出や展開はないのですが、映像と音楽のアンサンブルが心地よい名作です。

10:『一週間フレンズ。』

(C)2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会

“フレンズ”つながりで、公開されたばかりのこちらを紹介しないわけにはいかないでしょう!人気コミックの実写映画化作品で、原作の雰囲気を大切にしつつも、オリジナルの展開も上手く機能している優秀な作品でした。

注目は主人公を演じた山崎賢人で、これがもう超キュート!子犬がキャンキャン吠えているかのような人懐っこさがたまらん!乙女っぽいよろこび方がかわいい!そのちょっぴりの“残念な子”っぷり、おっちょこちょいなところも含め、「けものフレンズ」のサーバルちゃんを彷彿とさせるではないですか!(※男だけど)

しかも、この主人公は“一週間で友だちの記憶がなくなってしまう”ヒロインのために、たとえ邪険にされようが、忘れられようが、諦めずに友だちになろうと努力するのです。これこそ、「けものフレンズ」の「みんな友だちになろう!」な精神性に通じますよね。劇中では時折「私たちは◯◯なフレンズなんだね!」というセリフさえもあった気がします。(※気がするだけ)

まとめ

この他にも、擬人化された動物たちがさまざまな場所を冒険する『マダガスカル』シリーズ、ビーバーがかわいいけどとんでもない行動もする『ゾンビーバー』、未来の世界での“謎”が提示されているSFアニメにしてラブストーリーでもある『WALL・E/ウォーリー』、かわいいロボットや人工的に作られた自然が登場するSF映画『サイレント・ランニング』、ライオンが人を喰い殺すシーンが売りのドキュメンタリー『グレートハンティング』など、「けものフレンズ」に通ずる、似ている映画は数多くあります。グレートハンティングは違うか。

何より、『けものフレンズ』を観て「わーい!すごーい!たのしー!」という喜びでいっぱいになり、全てを受け入れる体制になっているアニメ畑のフレンズの皆さんを、ぜひこうした映画ちほーに招待したいのです。そこには「これは◯◯なフレンズ(映画)なんだね!」という新たな気づきがあることでしょう!

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(文:ヒナタカ)