映画『誰のせいでもない』と芥川賞受賞作家・羽田圭介氏の意外な共通点

INTERVIEW
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はじめましての方もそうでない方もこんにちは。

 

 

八雲ふみねです。

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日に日に寒さが増しますね〜。
さて。
八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.83
今回は…。
『誰のせいでもない』公開記念トークイベントの模様をお届けします。

 


 

02

カナダ、モントリオール郊外。
作家のトマスは仕事がうまくいかず、一緒に暮らす恋人サラとの関係もぎこちない。
ある大雪の日、車を走らせていたトマスは、目の前に飛び出してきた何かに驚き、急ブレーキをかける。
車を降りて確認すると、虚ろに座り込んでいる幼い少年がいた。
幸い怪我もなく、少年を家まで送るトマス。
しかし母ケイトが、息子の姿を見て半狂乱になるのを見て、驚愕の真実を目の当たりにするのだった。
トマス、サラ、編集者のアン、そして少年の母ケイト。
この“誰のせいでもない”事故が、1人の男と3人の女の人生を狂わせていく…。

 

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巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の7年ぶりとなる劇映画『誰のせいでもない』。
トマス役をジェームズ・フランコ、サラ役をレイチェル・マクアダムス、ケイト役をシャルロット・ゲンズブール、アン役のマリ=ジョゼ・クローズ。
人気実力共に兼ね備えたキャストが名を連ねています。
人間の奥底に潜む感情を美しい映像と共に描き出していく、サスペンスフルな人間ドラマです。

 

本作の公開記念トークイベントに、芥川賞受賞作家の羽田圭介さんが登場。
八雲ふみねが司会を務め、作品の見どころや羽田さんと本作との意外な共通点について伺いました。

 

–{“人気作家”の境界線って???}–

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学生時代に『パリ、テキサス』を観た時、ナスターシャ・キンスキーの美しさに衝撃を受けて以来、ヴィム・ヴェンダース監督作品に魅力を感じると言う羽田圭介さん。
そんな羽田さんがご覧になった本作については…。
「小説でも映画でも、内容を分かりやすくするために人物に安易に役割を持たせてしまいがち。でもこの映画は、善悪どちらかに偏った人物を出さずに物語を成立させているところに上品さを感じます」と、大絶賛。
「映像でしか表現出来ない映画ですね」と、その魅力を語って下さいました。

 

さて、主人公トマスと羽田さんの共通点と言えば、職業が作家だということ。
そこで“作家あるある”について伺うと…。

 

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「主人公が新刊のサイン会を開くシーンがありましたが、実際はごく一部の人気作家や売れている作家でないと、サイン会なんてやってもらえないのが現状ですね」と、主人公の“売れっ子ぶり”を分析。
ちなみに、羽田圭介さんの新刊「コンテクスト・オブ・ザ・デッド」については…。
「芥川賞を獲って1年以上経ってから小説を出すということで、今回は書店員さんを集めた説明会を東京と大阪で開いて下さったんです。僕はそんなこと、一度もやったことなかったんですよ」と自身の環境の変化についてもお話して下さいました。

 

なるほど〜、人気作家かどうかの境界線のひとつは“サイン会”の有無。
人気作家へと変貌した主人公について、同じ作家ならではの感想をお持ちのようでした。

–{羽田圭介、九死に一生を得る???}–

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主人公のトマスが大雪の日に交通事故を起こしてしまうところから物語が始まる本作。
なんでも羽田さんにも、交通事故に遭って“奇跡的に助かった”という経験があるとのコトですが…。
すると「それは…。勝手に話が大袈裟になっていて、ですね」と切り出す、羽田さん。
「小学2年生の時、学校に行く途中で徐行運転中の車のバンパーにぶつかって倒れたんですが、ランドセルがクッションになって無事だったんです。
運転手さんが慌てて降りてきて『病院に行こう』と言われたんですけど、その数日前に誘拐事件をテーマにした刑事ドラマを観た影響で『このまま誘拐されるかもしれない』と妄想してしまって。断って、歩いて学校に行きました」と真相を告白。
刑事ドラマの影響で小学生誘拐を恐れた羽田少年の姿が目に浮かんだのでしょうか、これにはお客様も大爆笑。
当時から作家になるべく、逞しい創造力の持ち主だったのでしょうか…。
このトークイベントで間違った情報を訂正出来て、良かったですね〜と、私が言うと…。
「でも、この話が一人歩きしてくれたおかげで、トークイベントのオファーも来たわけですし」と、ニンマリするお茶目な羽田さんでした。

 

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ちなみに、羽田圭介さんが着用しているTシャツにプリントされているのは、11月15日に発売された新刊「コンテクスト・オブ・ザ・デッド」の表紙。
羽田さんご自身の著作プロモーション用に作成した、非売品だそうです。

 

映画『誰のせいでもない』は、2016年11月12日からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショーです。

 


 

それではまた次回、お会いしましょう。
お相手は、八雲ふみねでした。

 

 

 

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誰のせいでもない  http://www.transformer.co.jp/m/darenai/
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ジェームズ・フランコ、シャルロット・ゲンズブール、マリ=ジョゼ・クローズ、レイチェル・マクアダムス ほか
©2015 NEUE ROAD MOVIES MONTAUK PRODUCTIONS CANADA BAC FILMS PRODUCTION GÖTA FILM MER FILM ALL RIGHTS RESERVED.

 

 

 

八雲ふみね fumine yakumo

八雲ふみね

大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
「シネマズ by 松竹」では、ティーチイン試写会シリーズのナビゲーターも務めている。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com