はじめましての方もそうでない方もこんにちは。
八雲ふみねです。
この夏、諏訪へ弾丸ツアーしてきました。
足湯って気持ちいいですね~。
さて。
八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.75
今回は…。
カンヌ国際映画祭でも喝采を浴びたドキュメンタリー映画『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~』初日舞台挨拶の模様をお届けします。
『カサブランカ』『ガス燈』『オリエント急行殺人事件』『秋のソナタ』…。
数々の傑作で知られる、スウェーデン出身の名女優イングリッド・バーグマンのドキュメンタリー映画とした誕生したのが、本作『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~』。
知性あふれる美貌と卓越した演技力でハリウッド黄金期に活躍し、アカデミー賞には7度ノミネートされ、3度受賞。
世界中の人々を魅了する一方で、プライベートでは不倫騒動や3度の結婚などスキャンダルも多く、波乱万丈の人生を送ったバーグマン。
そんな彼女が父親の影響で肌身離さず持ち歩いていたのが、カメラ。
バーグマン自身が撮影した貴重な写真のほか、プライベートな映像、日記、手紙、子どもたちへのインタビューなどで構成された本作は、女優としてのバーグマンはもちろん、家族を愛するひとりの女性としての姿が浮き彫りとなっています。
またバーグマンと同じスウェーデン出身で、ハリウッドで活躍する人気女優アリシア・ヴィキャンデルがナレーションを担当していることも話題となっています。
今年のカンヌ国際映画祭でも上映され、大絶賛を浴びた『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~』。
その公開を記念して、スティーグ・ビョークマン監督をお迎えしての初日舞台挨拶が行われ、八雲ふみねが司会を務めました。
–{スティーグ・ビョークマン監督に初来日の感想を聞くと…。}–
舞台挨拶は2回行われましたが、どちらも満席御礼。
「沢山の方に足を運んでもらえて嬉しいです」と笑顔の、スティーグ・ビョークマン監督。
ビョークマン監督は映画評論家としてのキャリアもお持ちで、黒澤明監督や溝口健二監督の映画が大好きだとか。
今回の初来日について「約2週間の日本滞在の中で、日本の文化や映画に存分に触れたい」と、意欲的にお話して下さいました。
さて、本作製作のきっかけとなったのは2011年のベルリン国際映画祭でのこと。
「私が食事をしているところにイングリッドの娘さんで女優のイザベラ・ロッサリーニが現れ『私と一緒にママの映画を作りませんか?』と誘われました。もちろん『はい』と即答しました」と、当時を振り返るビョークマン監督。
イザベラさんはじめバーグマンさんの子どもたちとビョークマン監督との信頼関係は深く「『どんな資料でも監督の判断で使って下さい』と、映画制作にあたって、彼らは私に一任してくれました。だからとても仕事がしやすかったですね」とも仰ってましたよ。
ところで本作はイングリッド・バーグマンの出演作はほとんど登場せず、彼女のプライベート写真や映像、日記や手紙で構成されています。
あまりにも膨大な資料が残っていたことに驚いてしまいますが、監督はこれら資料を最初に目にしたとき、どうお感じになったのでしょうか…。
「もちろん、びっくりしましたよ(笑)。イングリッドは写真や映像はもちろん、日記、手紙、台本、幼い頃の作文や自作の劇など、思い出の品を大切に取っておく人でした。中には、彼女が撮影した長編映画もありました。どれを映画に使うかを決める作業がいちばん大変でした」と、制作時の苦労を語って下さいました。
–{ビョークマン監督から見た“イングリッド・バーグマン”とは???}–
映画制作を通じて、イングリッド・バーグマンという女優と改めて向き合うことになったビョークマン監督。
監督の目に彼女はどんな風に映っているのでしょうか…。
「イングリッドはとても強い女性だと思います。この映画を制作する時、彼女の誕生から死までタイムラインを追って描くことも出来たのですが、私は敢えてそれをしませんでした。愛する父親を亡くし、その後すぐに叔母を失い、彼女の人生が悲しみの渕にあるところからイングリッドの人生を描くことを決意したのは、そこに彼女が愛に生きた由縁があると感じたからです」と、ビョークマン監督。
本作は家族への愛、仕事への愛に生きるイングリッド・バーグマンを包み込むような温かさを感じます。
お話を伺っていると、この“温かさ”とは、スティーグ・ビョークマン監督がバーグマンを見つめる眼差しなのでは…と感じました。
さて映画の公開を記念して、Bunkamuraギャラリーでは「イングリッド・バーグマン写真展」 が9月5日まで開催中。
こちらも秘蔵映像や本邦初公開の写真、日本公開時の映画ポスターなど見応えたっぷりですよ。
入場無料ですので、映画鑑賞の前後に併せてお楽しみ下さい!
私がイングリッド・バーグマン作品の中でいちばん好きなのは、『秋のソナタ』でしょうか。
女性としても女優としても、円熟したバーグマンの美しさと存在感に圧倒されたのを覚えています。
本作を観て、また改めてイングリッド・バーグマンの作品を見直したくなりました。
『イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~』は、2016年8月27日からBunkamuraル・シネマほか全国ロードショーです。
それではまた次回、お会いしましょう。
お相手は、八雲ふみねでした。
イングリッド・バーグマン〜愛に生きた女優〜
監督:スティーグ・ビョークマン
プロデューサー:スティナ・ガーデル
ナレーション:アリシア・ヴィキャンデル
音楽:マイケル・ナイマン
出演:イザベラ・ロッセリーニ、イングリッド・ロッセリーニ、ロベルト・ロッセリーニ、ピア・リンドストローム、フィオレラ・マリアーニ、リブ・ウルマン、シガニー・ウィーバー、ジャニーン・ベシンガー ほか
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八雲ふみね fumine yakumo
大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
「シネマズ by 松竹」では、ティーチイン試写会シリーズのナビゲーターも務めている。