『貞子vs伽椰子』感想、これは世界中を幸せにする傑作だ!

映画コラム

6月18日(日)から映画『貞子vs伽椰子』が公開されます。
ここでは、試写で一足先に鑑賞した筆者が、ネタバレなしで本作の魅力がどこにあるのかを全力で語ります!はっきり言って、シリーズ随一の傑作でした!

貞子vs伽椰子 ネタバレ

(C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

1.あの2大ホラーキャラクターが対決!

本作は『リング』シリーズの恐怖の対象である“貞子”と、『呪怨』シリーズの“伽椰子”とのバトルが勃発するという内容です。
洋画ファンであれば『エイリアンVSプレデター』『フレディVSジェイソン』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』などを思い出すでしょう。
(ちなみに、日本にもすでに『ひきこさん VS こっくりさん』や『ひきこさん VS 口裂け女』があり、7月2日(土)より『トイレの花子さん新章 花子VSヨースケ』が公開されたりもします)

本作の何がすごいって、 “物理”で攻めるモンスターではなく、“呪い”で人間を苦しめるキャラが対決することです。
「武器を持って戦ったりできないじゃん!こんなんで“VS”できるの?」と誰もが首をかしげるのではないでしょうか。

でも……“VS”できていたんです!その実現のために、本作はあらゆる工夫がなされていたのですから!

2.『リング』シリーズの“ルール”が違う!?

『リング』シリーズで多くの人を震え上がらせたのは、何よりも“呪いのビデオ”です。
ビデオには“観た者は1週間後に死んでしまう”という呪いが込められており、そのために“逃れられない”ルールが恐怖となり、また“限られた時間で助かる手段を探す”というおもしろさにもつながっていました。

今回の『貞子vs伽椰子』では、その呪いのビデオのルールに変更を加えています。
どう変わっているかは観て確認していただくとして……これは製作者の都合が透けて見えまくりで、もはや潔いものでした。

とはいえ、“基本”となる『リング』の恐怖はしっかり押さえられています。
ネタバレになるので詳細は伏せておきますが、呪いのビデオから逃れるには、“あの方法”がありましたよね。その方法が本作では……。

(C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

3.『呪怨』シリーズの恐怖をしっかり継承!?

『呪怨』シリーズでは、伽椰子とその息子の俊雄が、“ふつうの一軒屋(または学校などのさまざまな場所)”の“どこかに潜んでいるという”ということが恐怖につながっていました。

今回の『貞子vs伽椰子』では、一軒屋はわかりやすく老朽化したボロ屋になっており、ここに入った人間はゴ◯ブリホイホイのように餌食になるという感じになっています(笑)。

しかし、“伽椰子と俊雄がどこにいるか(どこから来るかわからない)”という恐怖はしっかりと継承されています。しかも、シリーズによくある “バスタブ”の中では……。

4.とにかく“VS”に特化した内容に!

『リング』シリーズの貞子は悲しい過去を背負っていたこと、『呪怨』シリーズの伽椰子は歪んだ愛情を意中の男性に注いでいることが描かれていました。

しかし、『貞子vs伽椰子』にはそのような背景描写は一切なし! あくまでも“貞子の能力はこんなに強いんだぞ!”“いやいや、伽椰子だって負けちゃあいないさ”“しかも伽椰子は息子の俊雄とタッグを組んで迫ってくるんだぞ!”といった、男の子の“どっちが強いか議論”をそのまんま映像化したような内容なのです。

これは“VS”ものとして存分に正しいですよね。このふたりがどう戦うかは、何ひとつ言えません!ぜひ観て確認してください。

(C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

5.抱腹絶倒のシーンが待ち受ける!

本作で自分が大好きでしょうがなかったのは“笑える”こと。具体的にどの場面かは言えませんが、とりあえず“笑すぎて腹筋が痛くなるレベル”とだけ言っておきます。
笑いと恐怖は紙一重。怖いはずのシーンも、ちょっとズレれば笑えてしょうがないのです。

その笑いの瞬間最大風速っぷりは、『貞子3D』の“貞子が終盤に◯◯◯”、『呪怨 白い老女』の“バスケババア”を超えていました。
最近思い切り笑っていないな、と思う方にもぜひオススメします。

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–{じつは真面目に怖いシーンも……!?}–

6.シリーズをリスペクトした、真面目に怖いシーンもある!

ここまで書くと、「シリーズをけなしているような、ふざけた内容なの?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
両シリーズと同じく、本作の恐怖の裏には“人間の行動”を感じたのですから。

『リング』も『呪怨』のどちらも、人間のおぞましい思惑や行動により恐怖の対象が生まれたことが示されています。
今回の『貞子vs伽椰子』でも、まさに“人間の行動”に、身震いをするほどの恐怖を感じるシーンがあるのです!

そのほかにも、真面目に怖い(笑えない)シーンがしっかりありますし、シリーズの“恒例”もけっこう多かったりします。
中には、ハリウッドリメイク版『ザ・リング』の要素を逆輸入していると感じたシーンもありました。
これらに、両作品への最大のリスペクトを感じることができたのです。

7.美少女ふたりの共演を見逃すな!

本作で主演を務めるのは、主演映画の『少女』の公開が控える山本美月と、現在公開中の『オオカミ少女と黒王子』に出演されている玉城ティナです
もう細かいことは言わない、このふたりのかわいさを観ないわけにはいかないだろ! もちろん演技も、うまいですよ。

(C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

8.白石晃士監督のファンにはたまらない要素も!

本作の監督は『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズ、『ノロイ』、『ボクソール★ライドショー』などの白石晃士氏です。
ホラー映画ファンからは絶大な人気を誇る方ですが、いままではややマニアックよりの作品が多かったんですよね。今回の『貞子vs伽椰子』は、白石監督のキャリアの中でももっともメジャーな作品と言っていいでしょう。

も白石監督の“クセ”や“勢いのある作風”は今回も健在。あとは美少女に妙なことをさせる変態性もしっかり常備しています(笑)。これだけでファンは必見ですね。

9.主題歌も超すごいぞ!

本作の主題歌『呪いのシャ・ナ・ナ・ナ』を手がけたのは、なんと聖飢魔II!
デーモン閣下からのありがたいお言葉、YouTubeで絶大な人気を誇っているダンスユニットのエグズプロージョンとコラボした動画も公開されているので、要チェックです!



10.笑いにまみれたプロモーションも要チェック!

『貞子3D』、『貞子3D2』のときも怖がらせる気が微塵もないプロモーションがされていましたが、今回はそれをはるかに超えている!

劇場前売り特典として“呪いのフチの貞子”または“呪いのフチの伽椰子with俊雄”をプレゼントしたり、笑いを取りに行っているとしか思えないマナーCMが公開されたり、果ては政権放送や始球式にも登場! 広報担当者は大天才です!(皮肉なしで)




11.子どもから大人まで楽しめる!

本作はG(全年齢)指定であり、グロテスクなシーンもほとんどありません(ただし、1箇所だけ……ネタバレになるので言えません)。作中には小学生も登場することですし、お子さんが見ても問題はないでしょう。

ただし、先ほど書いたように真面目に怖いシーンもありますので、あんまり小さい子の鑑賞にはご注意を。『リング(1作目)』くらいが大丈夫であれば、問題なく観られるでしょう。

12.シリーズを知らなくても楽しめる!

いままで『リング』および『呪怨』シリーズのことを書いてきましたが、この2作を知らなくてもまったく問題なく楽しめます。

作中でちゃんと最低限の説明はされますし、 “2大ホラーキャラクターが対決”という触れ込みに沿うように、小難しさなんてまったくない映画になっているのですから。何も知らずに事実だけを受け入れるんです!(←『呪怨 ザ・ファイナル』のセリフ)

でも、これから映画を観る人に知ってほしいことがあります。それは……。

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–{これから映画を観る人に忠告!}–

13.ネタバレは厳禁な作品だ!

本作の試写では、上映前に“最後に貞子と伽椰子のどちらが勝ったかなど、絶対にネタバレをしないでください!”と釘をさされました。

その理由は観た後に痛感しました。これはネタバレ厳禁どころじゃない、これをネタバレしたら末代まで呪い殺されなきゃいけないレベルだと!
“日本ホラー史上最恐のラスト”という触れ込みは伊達ではありません。冗談抜きで言いますが、その衝撃は『シックス・センス』『ユージアル・サスペクツ』『セッション』をはるかに超えていました!

ぜひ、観るまではTwitterなどでネタバレを見てしまわないようにお気をつけください。観た方も、これから観る方のために劇場を出てすぐに「◯◯だったよな!」などと大きな声で話さないでください!
この衝撃は一度しか体験できないので、お願いします!

貞子vs伽椰子

(C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

14.エンドロールの最後まで見逃すな!

本作でもうひとつ忠告しておきたいのは、エンドロールの最後までしっかり観ること!
なぜかは言いません、途中で帰ったら損をするぞ!とだけ言っておきます。

15.みんなが幸せになる映画だ!

試写会で忘れられなかったことがもうひとつあります。それは上映後に後ろを振り返り、試写会に参加した人たちを見たときのことです。
みんなが、本当に幸せそうに、ニコニコと笑っていたのです!

ああ、そうか、世界中を幸せにする映画はここにあったんだ、と思った瞬間でした。
『リング』と『呪怨』の両シリーズの設定を変えつつも確かなリスペクトがある、真面目な怖さもある、突発的にゲラゲラ笑える、美少女が怖がる姿を眺められる、そして衝撃のアレを観ることで……こんなにも人は幸せになるんだ、と。
いままでのシリーズの中でも、もっとも多くの方が楽しめる作品なのではないでしょうか。

個人的には、この『貞子vs伽椰子』が『リング』と『呪怨』の両シリーズを合わせてもっともお気に入りの映画となりました。
悪いことは言いません、デート、友だち、家族と、貞子と伽椰子の対決を見届けようではありませんか! そして上映後の劇場のみんなの顔を観て、その幸せっぷりを噛み締めてください!

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(文:ヒナタカ