常盤貴子が池松壮亮のストーカーに…映画『だれかの木琴』で初共演へ

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直木賞作家・井上荒野の「だれかの木琴」が、常盤貴子と池松壮亮の初共演によって映画化されることが明らかとなった。

東陽一監督・脚本で映画化『だれかの木琴』

娘と夫と共に東京郊外の家に引っ越してきた平凡な主婦・小夜子(常盤貴子)。ある日小夜子は、新しく見つけた美容院で、髪を少し切る。帰宅してすぐ、小夜子を担当した美容師・海斗(池松壮亮)から一本の“営業メール”がとどく。「またのご来店をお待ちしております」――それに何気なく返信したときから、小夜子は自分でも理解できない感情にとりつかれる。やがて一方的に若い美容師に執着しはじめ、次第に常軌を逸した行動で“ストーカー”となっていく小夜子。夫の光太郎(勝村政信)はそんな妻の異変に気付くが、言葉にはできない。小夜子の行動は、娘や、海斗、その恋人の唯(佐津川愛美)までも巻き込んでいく――

だれかの木琴

映画『だれかの木琴』は、直木賞作家・井上荒野の同名小説を『もう頬づえはつかない』『橋のない川』『絵 の中のぼくの村』『わたしのグランパ』などで知られる東陽一監督によって映画化する作品。生活の豊かさや安定とは裏腹に、人同士のつながりが希薄となった現代で、すべての女性が感じる精神的な飢餓感、疎外感をテーマに据え、それに対峙せざるを得ない男たちの姿を 描く、人と人との“共鳴・共振”の物語となっている。

一通のメールがきっかけでストーカーと化していく主婦・小夜子を常盤貴子、小夜子の執着の対象となる美容師・海斗を池松壮亮と、実力派2人の初共演で描く。その他には、小夜子の夫・光太郎役に勝村政信、海斗の恋人・唯役に佐津川愛美らが共演者に名を連ねる。日常で誰もが抑え込んでいるエロスをすくい取り、解放させていく、東陽一監督の手腕に注目が集まる。なお本作は東陽一監督作品の製作を長年手掛けてきたシグロの30周年記念作品となっている。

今回の映画化発表をうけて東陽一監督、原作者・井上荒野、さらに常盤貴子、池松壮亮からのコメントがシネマズに到着した。

–{常盤貴子、池松壮亮らのコメント到着!}–

常盤貴子/親海小夜子役

Q.出演することになった気持ちは?

A.あの!東陽一監督の映画に参加させて頂けるなんて。『ザ・レイプ』『もう頬杖はつかない』に憧れ、興奮していた女優を始めた頃の私に教えてあげたいです!

Q.小夜子役をどのように演じたか?

A.小夜子役を演じるにあたって、監督から「役作りはしないでください」と強く何度も言われていたので「役作りをしない」役作りに挑戦してみました。

Q.池松壮亮との共演について

A.東陽一監督作品の一部であろうとする姿が、同じ志を抱いていた私にとっては最高の理解者であり、最強のパートナーでした。

Q.観客へのメッセージ

A.東陽一ワールドを楽しみましょう!

池松壮亮/山田海斗役

Q.出演することになった気持ちは?

A.東監督の作品に出演できるなんて、嘘じゃないかと思いました。また1つ大きな夢が叶ってしまった気分でした。でもそうも言ってられないので、平気なふりして現場にいこうと思いました。

Q.海斗役をどのように演じたか?

A.はっきり言って殆ど東さんに預けていました。僕がやるべき事は、用意してもらった世界を信じることくらいでした。

Q. 常盤貴子との共演について

A.殆ど話す機会はありませんでしたが、現場で何も言わず真摯にやってのける姿がとても印象に残っています。その強さは美しく、小夜子という1人の女性に深みと迫力を感じました。

Q.観客へのメッセージ

A.東陽一監督と、だれかの木琴の脚本に惚れ込みました。どんな映画が出来上がるのか僕自身も楽しみです。乞うご期待ください。

東陽一監督

Q.「だれかの木琴」を映像化しようと思ったのはなぜ?
A. 題名が魅力的な「謎」をふくんでいること。また、映画化にあたって、いろいろな要素を書き加えたり、人物を増やしたりしても、全体の構造がこわれない小説だと考えたから。

Q. キャスティングの理由

A.常盤貴子さんは、熟成した演技力の、その深い底の方に、ただ「そこに居る」だけで、女の微妙な心の動きを表現できる人、だと思っていたし、池松壮亮さんは、類型的な若者像でなく、もっと自由で繊細な青年の心情を表現できる、若手のホープであるから。

Q.観客へのメッセージ

A.女と男の間に揺れ動くエロス感覚を、サスペンスフルに、また大胆に描いた映画です。じっくりと楽しみながら観てください。

井上荒野/原作

Q.映画化オファーを受けて

A.まず、東陽一監督に撮っていただけるということにびっくりしました。『絵の中のぼくの村』は、私にとって邦画ベスト3に入る作品で、ちょうど一週間くらい前に久しぶりに観 返したところだったからです。不思議な縁を感じましたし、東監督から原作として選んでい ただいて大変光栄に思っています。同時に、監督とこの小説の取り合わせは意外な感じもす るのですが、その意外性が面白さになるのではないかと考えています。この小説は、ストーカーになっていく主人公の捉え方によって、どんな映画になるかも決まると思うのですが、その点でも、東監督の人間に対する視線を信頼しています。

Q.キャスティングについて

A.常盤貴子さんは、いくつになってもイノセントな魅力がある女優さんだと思います。そこが私にとっての小夜子のイメージにぴったりなんです。大きな、きれいな瞳も印象的ですが、そこに小夜子の静かな狂気が宿るところを見たいです。
池松壮亮さんが演じる海斗は基本的にはやさしい男で、でも無責任で、ある種の冷酷さも併せ持っている青年です。そういうキャラクターを、池松さんは年齢的に、肌で理解できるところがあるのではないかと思います。甘さの中の毒、あるいはつめたさの中のわずかな熱のようなものを、彼がどんなふうに見せてくださるのか楽しみです。

Q.観客へのメッセージ

A.「だれかの木琴」はストーカーの物語です。「少しずつ」「だんだん」の物語でもあります。ごく普通の主婦が、ほんの些細なきっかけで、少しずつ、だんだんくるっていく。どこで間違ったのか。どこまで戻ればやり直せるのか。そんなことを考えながら観てくださると嬉しいです。
一方で、原作と映画とは、べつものであるとも考えています。映画でしかできない表現というものがあります。ラストシーンで使う予定だという音楽について聞いたときゾクゾクしました。私の小説が、東陽一監督によってどんなふうに料理され、あらたな容貌を見せるのか。私自身も楽しみにしています。

映画『だれかの木琴』は2016年9月、有楽町スバル座、シネマート新宿ほか全国公開予定。

(C)2016 『だれかの木琴』製作委員会

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