『屍者の帝国』初日舞台挨拶は細谷佳正らの爆笑トークで大幅延長

映画コラム
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シネマズ公式ライターのアスカでございます。

2015年10月2日、Project Itoh第一作目となるアニメ作品『屍者の帝国』の初日舞台挨拶が行われました!盛大な拍手のなか、ゲストには細谷佳正さん、村瀬歩さん、花澤香菜さん、楠大典さん、山下大輝さん、三木眞一郎さんといった豪華声優陣に加え、牧原亮太郎監督の7名が登場。予定時間を大幅に超えるほどの大盛り上がりを見せ、終始笑いっぱなしの舞台挨拶となりました!

涙ではなく笑いが止まらない細谷佳正

主人公ワトソンを演じた細谷佳正さんは「ようやく初日を迎えられたことに、嬉しくてここにきて笑いが止まりません!」と、涙ではなくなぜか笑いが止まらないというコメントに会場は大爆笑。このあと細谷佳正さんは他の登壇者からいじられっぱなしになるのですが、一方、ワトソンに付き添うパートナーの屍者フライデーを演じた村瀬歩さんは「役者一同、作り手一同、こうして拍手していただけて嬉しいです。」と、丁寧な挨拶。

また、フレデリック・バーナビーを演じた楠大典さんの挨拶になると会場からクスクスと笑い声が聞こえ、「なんか、(自分は何もしていないのに)クスクスしてるな。初日を迎えて、お腹の鳴りが止まらないですが、最後までよろしくお願いします!」と、無事に公開となったことによる安堵感か、それとも食欲の秋のせいかわかりませんが、楠大典さんはお腹が減っていたようです。それ以上に、楠大典さんの衣装が奇抜だと感じたお客さんが多かったのかもしれません。黒いスーツにサングラスと赤いストール。いや、あれはとても素敵でしたよ!!

–{眉毛のCGを2回観たい!?}–

三木眞一郎「眉毛のCGを2回観たい」

作品を観た感想を聞かれた細谷佳正さんは「本アフレコの前に、本番のキャストさんと代役とで前段階の絵作りのためにアフレコをやりまして、後半部分がすごい早い2月くらいだったんですが、ラストの方(とあるシーン)がその場で台本が上がってきたのでとりあえずやりました。」とコメントすると、牧原亮太郎監督が「通常、映画のアフレコってだいたい一度でやっちゃうんですが、一度全体像を見てから絵をFIXしたいと言うのがあって、本アフレコの2ヵ月前にプレアフレコをやり、最終的なブラッシュアップをしていきました。」と、『屍者の帝国』では映画作品としては珍しく本番前にプレアフレコを行っていたことが明らかに。非常に丁寧な作品作りを進めていったことがわかりました。

屍者の帝国

また、プレアフレコ時に物足りなかったと感じたので本アフレコのときにはトライできたという村瀬歩さんは「(収録時と違って完成したものは)体の無意識なところが音と絵に反映されてて、劇場で観る方が価値があるな〜と思いました。」と、改めて完成した作品に感激していた様子でした。

ヒロインのハダリーを演じた花澤香菜さんは「山澤さんの眉毛が気になります!」と、作品に登場する山澤静吾の眉毛について触れると、監督は「自分の趣味みたいなもんですかね〜。」と返答。山澤静吾は実在した大日本帝国陸軍の将校で、どうやら作品のなかではそんな日本のキャラクターも登場するようです。これはぜひ劇場で確かめてほしいと思います!

続いて、フレデリック・バーナビーを演じた楠大典さんは「音響試写会あったでしょ?二人(村瀬さんと山下さん)が誘ってくれなかったので、一人で家で見みましたよ。ヘッドホンをして聞いたら音もスゴイし、いろいろなところがCGでした。続けて2回も見ちゃいました。」と言うと、ここでアレクセイ役の三木眞一郎さんが「今までの話をまとめると、眉毛のCGを2回観たいってことですね。」と会心のボケを披露し、会場はこの日一番の爆笑に包まれました。

ニコライ・クラソートキン役の山下大輝さんは「息をつく暇もないほどアクションがすごかったり、今どこを観たらいいかわからないほど映像と情報がすごくて、ほんとに1回観ただけじゃ追いつかないので、何度も視点を変えて観てほしいなと思います。ちょっと泣きそうなシーンもあったりして。」と、アクションや泣けるシーンなど、見どころが満載であることをアピールしていましたよ!

–{観た後に伊藤計劃さんの存在が心に残っててほしい}–

牧原監督「観た後に伊藤計劃さんの存在が心に残っててほしい」

楽しかった舞台挨拶の時間はあっという間に過ぎ、最後にみなさんからの言葉を述べてもらいました。

細谷佳正さんは「亡くなった伊藤先生の文章を引き継いだ円城先生の話を聞いてからこの作品を改めてみると、円城先生がワトソンで伊藤先生がフライデーだなと感じました。バックグランドを知ってから観てみるとたくさん発見がある映画だと思います。名作というのはそのとき観て満足するよりも、今自分が置かれている状況とかによって全然違うもので、この作品はまさにそういうものだと思います。ですので、劇場に何度も足を運んでもらって、Twitterで非常に面白いと言ってもらえると監督もキャストも大喜びすると思いますので、よろしくお願いします!」と、考え深いコメントとともに映画を観たあとの口コミに期待を寄せていました。

Project Itoh 屍者の帝国

最後に牧原亮太郎監督は「この作品は2009年に34歳で亡くなられた伊藤計劃さんの序文を、円城さんが引き継いで書いた作品なんですね。自分は円城さんが何を引き継いだのかを作品の制作中に考えていて、それは小説を見れば分かるんですが、過去のなかに伊藤さんの文章を引用することによって生かしているんだと思いつつも、それ(文章の引用)を映画でやるのは難しかったので、ワトソンとフライデーのやり取りで描こうと思ったんですね。伊藤さんの存在を大きく感じながら、伊藤さんの言葉を映像にできるのかなと考えながら作っていました。この作品はその答えみたいなものを120分の映像にできたんじゃないかなと思います。映画を観て、みなさんの中に伊藤計劃の存在が残ってくれたら嬉しいなと思います。」と、伊藤計劃さんへの尊敬の念を込めた言葉で初日舞台挨拶を締めくくってくれました。

原作は『虐殺器官』でSF作家デビューし、『<harmony/>(ハーモニー)』と続き、そして『屍者の帝国』の執筆中に34歳という若さで急逝した伊藤計劃さんとその後を継いだ円城塔さん。2014年3月には映画化に向けて「Project Itoh」が立ち上がり、ついに映画作品第1弾として『屍者の帝国』が公開となりました。今後は伊藤計劃さんの2作品の公開も決まっており、第2弾として11月13日に『<harmony/>(ハーモニー)』が公開予定です。(『虐殺器官』は公開日が延期となりました)

映画『屍者の帝国』は10月2日より全国劇場にて公開中です。

公式サイト:http://project-itoh.com/#/empire/top/

L(C) Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES

(取材・アスカ)