(左から、土屋哲彦監督、冨手麻妙、高岡奏輔、山田裕貴、津田寛治、青木玄徳)
2015年8月1日(土)、新宿武蔵野館で映画『闇金ドッグス』の公開初日舞台挨拶が行われました。
今作はヤンキーアクション映画『ガチバン』シリーズのスピンオフ作品で、ヤクザの安藤忠臣(山田裕貴)に焦点を当て、闇金をテーマにした映画です。
組長になったもののヤクザから足を洗い、すべてを失ったことをきっかけに闇金の世界に足を踏み入れた安藤。安藤の前には、地下アイドルやオタクのニート青年、悪徳社長などそれぞれの欲望を持った人間が現れ、金と暴力にまみれた闇金の世界で生きる安藤の生き様が描かれます。
主演の山田裕貴さんは「安藤を演じるのは3作目。ヤクザの下っ端から若頭になり、若くして組長にまでなったけど『え?組長やめちゃうの?』っていうところから始まる映画です。僕は明るい役を演じることが多かったけど、安藤はちょっと悪くてトーンが暗い役で、そういう役の方がしっくりくるようになってきた気がします。芝居の幅を広げてくれた役なので、また演じられることがうれしいです」と安藤を演じた感想を交えて作品を紹介。
芸能プロダクションの悪徳社長・沢村を演じる津田寛治さんは「楽しくすっきり見られる映画ではないですが、どろどろした痛々しいだけの映画ではないと思っています。役者陣が熱い芝居で頑張っているので、しっかりと網膜に焼き付けて欲しいです」とアピールしました。
–{緊張で手が震える…}–
高岡さんの語る山田さんの印象は?
『ROOKIES』や『クローズ』を興奮しながら観ていたという山田さんが、闇金業者を演じた高岡奏輔さんとの共演について「緊張でタバコを持つ手が震える、震える」と話すと「初日のクラブのシーンで、まぁ震えてましたね(笑)」と高岡さんがおどける一幕も。
高岡さんが「年齢も若いのに、ピッとした佇まいで。初めてお会いしたんですが、ただのイケメン俳優という感じじゃなかった」と話すと、「もっと言ってください!」と小声で山田さん。その姿に、会場から大きな笑いが起こっていました。
タイトな撮影スケジュールだったそうで、キャスト同士話す時間もなかなかなかったそうですが「山田くんが、ヤクザらしくしっかりと腰が据わった重厚感のある男の人を演じていたので、僕も演じやすかったです。楽しんでお芝居できました」と高岡さんが語ったように、作品のダークさとは一転して、雰囲気のいい現場だったようです。
映画の見どころ
津田さんは見どころについて「台本を読んだ印象では、この映画に出てくる社長はいい人ではない感じがありましたし、いいやつなんてほとんど出てこない作品です。ただ、監督がすごいのは、ひとりひとりが息のある役になるように人間らしさを加えているところ。僕の演じる社長も家族がいて、家族を守るためにその仕事をしていて、アイドルをいじめようと思ってひどいことをしている訳ではない。ただ単に闇金や世の中の裏側を描いたということではなくて、一生懸命生きている人の人生を丁寧に描いている作品だと思います」と語っていました。
地下アイドル“けろリズム”のえりなを演じた冨手麻妙さんは「私は借金をしたことはないけど、元々地下アイドルみたいなことをしていたこともあり、アイドルの世界を生々しく描いた作品に『これだ!』と思って、ぜひこの役を演じたいという気持ちで挑みました。えりなは女ウケの悪いタイプだと思いますが、どこか女性としても共感出来る部分があると思うので、観終わったあとに『えりな、案外嫌いじゃないな』と思ってもらえたらうれしいです」と話し、「歌とか踊りより、けろリズムのポーズの方が難しかった(笑)」と本音を暴露(トップの写真でみんながやっているポーズです)。
ちなみに監督によると、このポーズには特に意味はないそうです(笑)。
–{「明日もしっかり生きよう」}–
元ホスト・須藤役の青木玄徳さんは、自分の演じた役の顛末に「こんなに簡単に人生って崩れさってしまうものなんだなと勉強になりました」と語り、印象的なシーンとして「役に入り込んでいる山田くんの目が強烈で『これがヤクザの目か』と思った」と山田さんともみ合うシーンでの芝居を絶賛していました。
また、作る上で意識した点について尋ねられた土屋監督。「いいヤツがひとりも出てこないけど、それぞれの登場人物がそれぞれの欲望に忠実に生きている。それがある意味ちょっとかっこよく思えるし、普通に生きてる僕らからしたら、それだけ夢中になれることがあるのはうらやましいこと。その生命力みたいなものが表現出来ればと思いました」とのこと。
思い入れのあるシーンについては、ネタバレに気を遣いつつ「お金のないえりながもやしを食べるシーンは実体験なので、3秒くらいの短いシーンだけど個人的に思い入れがある」と話し、客席の笑いを誘っていました。
「明日もしっかり生きよう」と思える映画
最後に「監督が言っていた、もやしを食べるシーンもそうなんですが、お金がないということで、食べるということ、生きるということに対する苦労が各キャラクターそれぞれに出ています。ハードな映画ではありますが、つらい中でも諦めない強さや逃げないことの大切さなどを感じられると思います。僕はこういったリアルなものを感じられる作品が好きなので、そういう部分を感じてもらって、観終わったあとに、明日もしっかり生きようと思ってもらえたらうれしいです」という山田さんの挨拶で舞台挨拶が締めくくられました。
『闇金ドッグス』は新宿武蔵野館ほかで公開中です。
(文・写真:大谷和美)
(c)2015「闇金ドッグス」製作委員会
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