2015年9月12日(土)より公開となる映画『天空の蜂』の完成報告会見が昨日6月22日に都内で行われ、主要キャストと堤幸彦監督が登壇しました。
映画『天空の蜂』は、東野圭吾が1995年に発表した小説が原作。最新鋭にして日本最大の巨大ヘリコプターを乗っ取り、原子力発電所の真上にホバリングさせるという史上最悪の”原発テロ”と、この究極の危機に立ち向かう人々を描いた物語。
今回は会見の内容をそのままに書き起こしをお届けいたします。
映画『天空の蜂』完成報告会見・書き起こし
MC:それでは、監督、キャストの皆さま、ご挨拶をお願いいたします。
巨大ヘリ・ビッグBの設計士、ヘリ墜落を阻止すべく奔走する主人公・湯原一彰役、江口洋介さん(以下、江口さん):とても危機感のある映画に仕上がりました。冒頭13分をご覧いただきましたが、これから面白くなるところです。最高の作品が出来上がりましたので、ぜひご覧いただければと思います。
湯原の同期で、狙われた原発「新陽」の設計士・三島幸一役、本木雅弘さん(以下、本木さん):驚きに満ちている作品です。予言の書である原作が600ページにも及ぶ内容であるにもかかわらず、2時間にまとめ上げた脚本家・楠野さんの凄さ。そして、難しい題材でありながら、しっかりとエンターテイメントに仕上げている堤監督、CGチームの努力の素晴らしさ、全てが合わさっています!
また、仲間さんの独身時代、最後の相手を演じさせていただきました。(笑)ぜひ多くの方々に観ていただかなくてはならない作品だと思っております。
ビッグBと原発「新陽」を設計した錦重工業の総務課員、三島の恋人・赤嶺淳子役、仲間由紀恵さん(以下、仲間さん):実は3日程の撮影だったので、この場に立たせていただいていいのか、心配ではありましたが、もっと短い方(綾野剛さん)がいらっしゃいました(笑)本当に一人でも多くの方にご覧いただきたいと思っています。
巨大ヘリ・ビッグBを奪った謎の男・雑賀勲役、綾野剛さん(以下、綾野さん):この日を迎えられて光栄です。この作品に参加できて、誇りに思っています。少しでも皆様に届けられるよう精一杯努めたいと思います。
堤幸彦監督(以下、監督):本当にキャスト・スタッフが全力でみたことのない作品を作ろうと一丸となって取り組みました。原作を拝見した時、未来への先見の明に驚きましたが、本作も息の詰まるような仕上がりになっております!
MC:ありがとうございます。それでは、これより質疑応答に移りますが、その前に原作者である東野圭吾先生より、映画をご覧になってのコメントが届いておりますので、読ませて頂きます。
–{自分だったらどんな立場で…}–
原作者・東野圭吾のコメント
「映画化など絶対に不可能だと思っておりましたが、執筆中に思い描いた以上の映像に圧倒されました。監督や俳優の皆さん、そのほか多くの方々の熱い思いが伝わってくる、骨太の素晴らしい映画だと思います。私自身の血も、この小説に取り組んでいた20年前のように騒ぎました。きっと多くの人々の心を揺さぶることだと思います。」
MC:堤監督、ご自身でも「少しびっくりするような仕上がりになった」とコメントされていますが、改めてどのような想いで、本作に挑まれたのでしょうか。
監督:テロという現代の脅威だったり、3.11を通して生で危機感を感じた中、どのようにこの題材と関わるか。そして、親子の作品でもあるので、その想いを映画的にどう語るか。日本で題材にすべき作品ですし、いろんなテーマが詰まっています。自分だったらどんな立場でいるか、ぜひ考えてほしいです。
MC:また、完成した映画をご覧になって、手応えはいかがでしたか?
監督:自分で言うのもなんですが、本当にビックリしました。この凄さはぜひ劇場で体感していただきたい。特に音と、音楽はこだわっています。
ビッグBの音は生き物のようにとリクエストしているので迫力が凄まじいですし、音楽は作曲家のリチャード・プリンさんがハリウッド映画のような仕上がりにしてくださいました。ぜひその辺もお楽しみください。
MC:本作では、8時間に懸ける男たちの熱いドラマやアクションシーンとともに、わが子を救おうとする父と子のドラマも非常に印象的でした。同時に、今の日本人にとって非常に深いテーマ性も持ち合わせている作品だと思います。江口さんはどのような思いや覚悟で、ご出演を決意されたのでしょうか?
江口さん:まず原作を拝見させていただいたのですが、恐怖をリアルに感じました。8時間の中でエンターテイメントに仕上がっていますが、子供から大人まで伝わる、感動作に仕上がっていると思います。“蜂に刺される”と、本木さん演じる三島のセリフにもありますが、沈黙する群衆になってはいけないのだと思い、何か形で残したいと参加を決めました。
MC:本木さんは、本作のご出演を前に東野圭吾さんの原作をお読みになって、この小説が既に20年も前に書かれていたことに大変驚かれたと伺いました。実際にご出演されるにあたって、どのような想いで三島役に臨まれたのでしょうか?
本木さん:頭の中では原作と脚本がうまく混ざっていますが、緊迫感であったり、人間が作り出してしまった怪物“ビッグB”であったり、意思がみえない仮面をつけた沈黙する群衆など…この作品にはたくさんのものが詰まっていました。
自分自身も3.11のような災害を超えて、価値観を再構築しなくてはならなかった時、胸に歯がゆさであったり、恥ずかしさだったり、自分自身も沈黙する群衆の一人だったのではないかと感じ、そのメッセージ性に引き込まれました。
原作者・東野さんもおっしゃっているように、事件の真相がどうかよりも、これから未来がどうなっていくのかを描いています。三島の憤り、矛盾を演じられるよう頑張りました。
–{正しいやり方ではないが…}–
MC:仲間さんは「トリック」シリーズから15年に渡って監督とご一緒されています。今回は全く違う役どころで、事件解決の鍵を握る重要な人物を演じられましたが、役作りにあたって、監督とはどんなお話をされたのでしょうか?
仲間さん:地味で影のある女性なので、台本を読みながら監督と役作りをしました。本木さん演じる三島との、ホテルのシーンは演出がとても大人の雰囲気で素敵です。トリックのような陽気さはないですが…(笑)このような役を演じさせていただき光栄です。
MC:綾野さんは今回が初めての堤組となりましたが、堤監督とご一緒されての印象や、また巨大ヘリを奪う“テロの実行犯”という難しい役どころを演じられてみて、いかがでしたでしょうか?
綾野さん:念願でしたから、最高の現場でした。パワー以上に、俳優への信頼だったり、ただのライブ感ではなく、人と人を繋ぎ、記憶を記録していく演出が素晴らしかったです。
堤監督:普段、こんなに人前で褒められることがなくてドキドキしていますが、少ししか出演シーンがない中で、ステレオタイプの犯人ではなく、表現や発露を綾野さんは瞬発的な力で、凝縮して、出しきってくれました。読み取ろうとする姿を見ることができて、幸せでしたし、いい時間を過ごすことができました。
MC:こういう作品を今、送り出す意味とはどうお考えでしょうか?
江口さん:時代を感じる作品にしたいと思いました。嘘の中にある真実など、様々な内容が詰まっていますが、このように形になったのは嬉しいです。
本木さん:この作品で語られていることは、地球で生きていく上で、非常に大切なことだと思いました。大人は小説や本で知ることができますが、未来を担う子供たちに伝えるためにこの作品は最適だと思います。
ある種の怪獣映画と、少年少女が観て、その裏にあるテーマを知ることができたらと、ぜひ子供たちにも観て欲しい作品です。
仲間さん:私自身も仮面をかぶった一人だったのではないかと感じました。これから先、生きていくために重大なテーマです。たくさんの人々に観ていただければと思います。
綾野さん:僕は肯定か、否定かではなく、『天空の蜂』を生きて、生活していく中で大切なことを感じました。自分自身がどう生活していくのか、人が人であるために、本質的に向き合いたいと、単純かもしれないけど、こういった場で人々に向き合うことを大切にしていきたいです。改めて、この作品に参加できて心から誇りに思っています。
監督:“蜂に刺される”ってなんだろうと…人間というのは、社会、家族、地域だったり、集団の中で過ごすと何も考えず、考えることを放棄してしまう。
そのことに対して、この犯人は警告をしています。正しいやり方ではないが、皆さんもどう感じるか、ご覧になった頂きたいです。
映画『天空の蜂』は2015年9月12日より全国ロードショー。
(C)2015「天空の蜂」製作委員会
関連リンク
江口洋介×本木雅弘”初”共演の話題作・映画『天空の蜂』特報映像公開!
仲間由紀恵、そして堤組”初”綾野剛も!映画『天空の蜂』豪華出演者発表
堤幸彦監督最新作『天空の蜂』公開前にチェックしておきたい堤幸彦作品3選
ドローンの兵器利用を描く問題作『ドローン・オブ・ウォー』15年秋日本公開
前代未聞の大統領狩り?!『ビッグゲーム 大統領と少年ハンター』日本版予告解禁